引越しには多額の費用がかかります。そのため、引越し費用を抑えたいと考える人は多いです。

このとき、格安の引越しとして候補に挙がることが多いのが便利屋(なんでも屋)です。一般的に便利屋は「低価格で依頼をこなしてくれる」というイメージがあります。また便利屋の中には、格安の引越しプランを掲げている業者もあります。

それでは、便利屋を利用して引越し費用を節約することは可能なのでしょうか? また引越しに便利屋を利用することには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ここでは、便利屋を利用した引越しについて解説していきます。

便利屋(なんでも屋)の引越しは安いのか

便利屋(なんでも屋)は、その名の通り「費用を払えば、法的に問題のない範囲でなんでもしてくれる業者」です。便利屋の利用料金は、作業員人数と作業時間で決まるのが基本です。実際に以下は、全国に店舗を展開する便利屋の料金表です。

この便利屋は作業費1名あたり1時間3,000円がかかります。また出張費として1名あたり2,000円がかかります。

例えばこの便利屋に仕事を依頼し、2人の作業員が2時間作業すると、基本費用は「作業費3,000円×2人×2時間+出張料4,000円=16,000円」となります。

このとき、依頼した作業内容によってごみの処分費や車両費などが加算されます。ただ、基本的に便利屋の利用料金は作業内容に関わらず一定であり明瞭です。

これに対して引越し業者は、便利屋ほど料金が明瞭ではありません。引越し業者の料金は荷物の量や引越し時期、引越し先との距離などのさまざまな要因によって変動します。そのため、訪問見積もりを受けるまで引越し費用が確定しません。

また便利屋では、引越し作業そのものだけでなく掃除や不用品の処分、買い物などのさまざまな仕事を依頼できます。

一方で引越し業者は、荷物の運搬が基本作業です。不用品の処分や荷物の梱包などを依頼することは可能ですが、業者によってはオプション料金がかかるケースがあります。

このようなことから「梱包作業などを踏まえると、引越し業者よりも便利屋を利用する方が引越し費用を抑えられる」と感じる人は多いです。

便利屋で安くなるケースは限定される

ただ実際には、引越しに便利屋を利用すると高額になるケースが多いのが実態です。

まず、便利屋はさまざまな仕事を依頼できる一方で、引越し作業のプロフェッショナルではありません。そのため便利屋だと、引越し業者よりも引越し作業に時間がかかりやすいです。

前述のように、作業時間が長引くとその分だけ費用が高額になります。そのため一般的な引越し業者を利用したときの作業時間を前提に便利屋を利用すると、想定よりも作業時間が長くなり利用料金がかさみやすいです。

例えば引越し業者だと3時間ほどで終わる引越しであっても、便利屋を利用すると5~6時間を要することがあります。その結果、想定していたよりも倍近くの費用を支払うことになるケースがあります。

また引越し業者を利用すると、梱包に必要な品物を無料で用意してくれるケースがほとんどです。

実際に私は単身引越しと家族引越しで何度も引越しを経験していますが、いずれの場合も引越し業者からダンボールとガムテープ、気泡緩衝材(いわゆるプチプチ)を無料でもらいました。引越し業者を利用すると、梱包用品費用を負担しなくて済むのです。

これに対して便利屋だと、梱包に必要な品物を自分で用意しなければなりません。梱包用品の費用は荷物の量によって変動しますが、5,000円ほどかかることを覚悟する必要があります。

これに加えて引越し業者には、一般的な範囲の家電の取り付けや不用品の処分などを無料オプションとしている会社が多いです。

中には、家電のリサイクル業者と提携している引越し業者もあります。このような業者を利用すると、無料どころかお金をもらいながら家電を処分することができます。

便利屋が荷物を運送するのは違法

また、引越しをする際には荷物を車で運搬する必要があります。このとき、事業者が荷物の運送(車を使った荷物の運搬)を行うためには一般貨物自動車運送業の許可が必要です。この許可を得ていない事業者は、顧客の荷物を運ぶことが許されていません。

このとき、一般的な便利屋は運送業の許可を取得していません。そのため便利屋が引越しの際に荷物の運送を行うと、基本的には違法となります。

このようなことから、大手の便利屋は荷物の運送を引き受けていません。そのため大手の便利屋を引越しに利用する際、依頼できる作業内容は荷物の梱包や車までの運搬、掃除などに限られます。

つまり一般的な便利屋を利用した引越しでは、便利屋の作業費用に加えて別業者を利用した荷物の運送料が必要となるのです。

なお地元の小さな便利屋や個人のなんでも屋の中には、違法ながらも荷物の運送を承っているケースがあります。このような便利屋であれば、引越し業者と同様に車への荷物の運搬から運送までを依頼することが可能です。

ただこの場合、荷物の運送にかかった時間分の利用料金と燃料費がかかります。便利屋が軽トラなどの運送車を所持していない場合、車両のレンタル費用も必要となります。これらを合算すると、一般的な引越し業者を利用するよりも費用が高くつきやすいです。

このようなことから、便利屋を利用した引越しは引越し業者よりも安いとはいえないことがわかります。

便利屋を引越しで使うリスク

さらに便利屋を利用した引越しには、さまざまなリスクを伴います。

まず、引越し業者を利用した引越しでは、利用前に訪問見積もりを利用するのが基本です。このとき、訪問見積もり金額以上の費用を請求されることはまずありません。

一方で便利屋だと、作業人数と作業時間によって費用が変動します。そのためトラブルや作業員のスキル不足によって作業時間が長くなると、予定していたよりも金額が高くなります。便利屋の引越しは作業が終わるまで費用が確定しないのです。

引越し日の当日になって、最後に高額な費用を請求されるケースはよくあるため、これも大きなデメリットだといえます。

荷物や内装の破損トラブルが起こりやすい

また引越し業者は引越し作業のプロフェッショナルであるため、大型の荷物であっても効率よく運搬可能です。

例えば階段や扉を通過しない大きな荷物であっても、窓から搬入したり分解・組み立てを実施したりしてすばやく運搬します。吊り上げ・吊り下げ技術を駆使して、2階以上の窓から荷物を搬入出することも可能です。

これに対して便利屋は、大型の荷物を搬入出する技術が低いです。そのため大型荷物の運搬に時間がかかったり、運搬時に内装が傷ついたりしやすいです。また窓から運搬する技術を持たないため、便利屋だと荷物を搬入出できないケースもあります。

さらに、便利屋の梱包技術は個人差が大きいです。センス・スキルのない人が梱包作業にあたると、ダンボール内で品物が破損するリスクがあります。

一方で、引越し業者であれば冷蔵庫やテレビなどの大型家電を専用の養生カバーを利用して運びます。実際に以下は、引越し業者が大型家電を運搬する様子です。

このように品物が養生シートで覆われ、大型家電が露出しない状態で運ばれています。引越し業者は家電が破損したり内装が傷ついたりしないように工夫しながら運搬するのです。これに加えて、内装の角や扉などにはクッション補強も施されます。

一方で便利屋には、このような技術・専用品はありません。実際に便利屋を利用して引越した人の口コミには、「雨の中でも家電を養生せずに家から運び出し、家電が破損した」という人がいます。

引越しに便利屋を利用すると、品物が破損したり内装が傷ついたりするリスクが高くなるのです。

トラブルが起こっても補償がきかない

また基本的に、引越し業者は運送業者向けの賠償責任保険に加入していています。そのため、作業員のミスや運送中の事故などによって荷物が破損したり家の内装が傷ついたりしても、業者の保険によって利用者(あなた)が費用を負担することは原則的にありません(上限あり)。

これに対して便利屋は運送業者ではないため、荷物や荷物の運搬に関する保険に加入できません。そのため便利屋を利用して引越しをすると、保険による補償はないのです。つまり、作業員のミスによる破損・傷であってもあなたが責任を負わなければなりません。

このとき、賃貸物件の利用者には原状回復義務が課せられています。つまり賃貸物件に傷がつくと、作業員の過失によるものであっても、あなたが原状回復に必要な費用を支払わなければならなくなります。

実際に便利屋を利用して引越しを実施した人の口コミでは、賃貸物件の内装に傷がついて退去時に費用が発生したケースがあります。

引越しに便利屋を利用すると荷物が破損したり内装が傷ついたりするリスクが高くなるだけでなく、その責任・費用をあなたが負わなければならなくなるのです。

どのようなシーンだと便利屋の利用が有益になるのか?

これまでに述べたように、便利屋を利用する引越しはリスクが高く、安価なわけでもありません。

それでは、引越しをするにあたって便利屋を利用した方が良い場面は存在するのでしょうか?

結論からいうと、いくつかの特殊な場面では便利屋を利用した引越しが有益といえます。具体的には、以下のような引越しシーンでは便利屋の利用を検討する価値があります。

自分が引越しの主力である場合

前述のように、便利屋を利用した引越しでは作業時間が長くなるほど費用が高くなります。これを言い換えると、引越し作業を短時間で終了できるのであれば便利屋でも安く引越しが可能です。

例えば、近距離で荷物の少ない単身引越しを行う場面が該当します。あなたが主に荷物の運搬を行い、実家や親せきなどが所持する軽トラを自分で運転できる場合、便利屋を利用することで引越し料金を抑えることが可能となります。

このケースで具体的な費用を算段すると、あなたが1人の作業員と協力して2時間以内に引越しを終えられれば「基本料金3,000円×2時間+出張費2,000円=8,000円」となります。

引越し業者の近距離引越しでは安くても2万円以上かかるのが基本なので、このケースだと便利屋を利用する方が引越し費用を抑えることができます。

なお荷物の少ない近距離単身引越しであっても、自由に使える軽トラを準備できない場合、車両費や出張費のかかる便利屋よりも引越し業者を利用する方がお得になります。

夜間に引越し作業しなければいけない場合

また便利屋を引越しに利用する価値がある特殊な例に、夜間での引越しがあります。引越し業者は夜間の作業を受け付けていない一方で、便利屋であれば夜間料金を支払えば仕事を依頼することが可能であるためです。

例えば、多忙でどうしても昼間に時間が取れない場合、引越し作業を夜間に行う必要があるでしょう。このとき、引越し日が差し迫っている状況だと、深夜料金を支払ってでも便利屋を利用する価値があるといえます。

また引越しする人の中には、ストーカーや虐待、DVなどの特殊な事情によって特定の人に引越しをばれてはいけないケースもあります。このような場合、人目につかないように引越しを済ませることを考えなければなりません。

このとき便利屋を利用すると、人目の少ない夜間に静かに引越しをすることが可能となります。また便利屋であれば、事情を踏まえて私服で作業をしたり友人のふりをしてもらったりすることも可能です。

そのため夜間しか時間が取れなかったり、夜間に引越さざるを得ない特殊な事情があったりする場合、柔軟に対応してくれる便利屋を利用するメリットが大きいといえます。

便利屋を利用した引越しがお得になるシーンは限定される

便利屋(なんでも屋)は引越し業者と異なり、費用さえ払えばどのような仕事でも請け負ってくれます。そのため引越しに伴う不用品の処分や梱包などの作業を踏まえると、便利屋を利用した方が引越し費用を安く抑えられると考える人は多いです。

ただ実際には、便利屋は引越しのプロフェッショナルではありません。そのため引越しに便利屋を利用すると、想定よりも時間がかかって費用が高額になる可能性があります。また、荷物が破損したり部屋の内装が傷ついたりするリスクも高いです。

しかしいくつかの特殊なシーンでは、便利屋での引越しを検討する価値があります。特に夜間引越しは、便利屋にしか依頼できません。

そこで便利屋での引越しを検討している人は、これまでに述べたような内容を参考にして、自分に合った業者を選びましょう。また引越し業者の訪問見積もりは無料なので、便利屋を検討するにしても、複数の業者から見積もりをもらった後に利用業者を決定しましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

 LIFULL引越し

LIFULL引越しではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

 SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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