引越しでは、さまざまな資材を用いて荷物を梱包していきます。このような梱包資材の1つが養生テープです。

このときダンボールやガムテープなど、梱包に必須となる資材は引越し業者から無料で送られるのが基本です。一方で養生テープは梱包の必須アイテムではないため、業者からもらうことはできません。

ただ、養生テープが1本あれば、引越し作業を楽に進めることができます。養生テープは低価格で入手することができるため、金銭的な負担も小さいです。

そこでここでは、引越しに養生テープを利用するメリットと引越しでの養生テープの使い方について解説していきます。

引越しで養生テープを使うメリット

養生テープはガムテープと似た梱包資材であり、形状と大きさはほとんど一緒です。ただ養生テープとガムテープでは、粘着力に大きな違いがあります。

具体的にいうと、養生テープは剥がすことを前提としており、ガムテープに比べて剥がしやすい特長があります。この特長を生かして、引越しでは業者による壁などの保護(養生)によく利用されます。

例えば以下は、引越し業者が荷物の運搬で壁や床を傷つけないように養生している様子です。

このように、引越し業者は作業前に保護材をテープで貼り付けます。このとき作業終了後には保護材をきれいに剥がすため、粘着力の低いテープ材(=養生テープ)が使用されます。

なお引越し業者を利用する場合、床・壁の養生については業者がすべて行ってくれます。そのため一般的な引越しでは、養生のために養生テープを使用する機会はほとんどありません。

きれいに剥がせるため、荷解きが楽になる

それでは、養生テープは引越しのどのような場面で使用するのでしょうか。結論からいうと、養生テープは荷造りの際に活躍します。

例えば、引越しの荷造りで家具や家電に直接テープを貼る場合、ガムテープを使用すると以下のような剥がし跡が発生するケースがあります。

当然ながら、荷物にこのような剥がし跡が残ると見た目が悪くなります。また、剥がし跡に残った接着部分にゴミが溜まり、荷物が汚れる原因になります。荷物にガムテープを貼ると、荷解きの時に剥がし跡を取り除く作業が発生することになるのです。

一方で以下は、同じテーブルに養生テープを貼って剥がした際の写真です。

このように剥がし跡が残ることなく、きれいに剥がすことができます。荷造りで養生テープを使用すれば、荷解き後に剥がし跡を取り除く手間を省くことができるのです。

手で簡単に切ることができる

また一般的なガムテープを手で切ると、縦に細長く割けて使えなくなるケースがあります。使用のたびにハサミなどを使用すると、手間が増えてスムーズに荷造りできません。

これに対して養生テープだと、以下の写真のように手できれいに切ることができます。

このように簡単に切断できると、荷造り中の作業・ストレスを軽減しやすくなります。また、荷解きの際はちぎって開封できるため、引越し後の作業も軽くすることができます。

100円ショップなどで安価にて購入できる

このとき、養生テープはホームセンターやダイソーなど100均(100円ショップ)で購入可能です。これらのうち、ホームセンターであれば塗装屋などのプロが使用する養生テープを入手することができます。

ただ引越しに使用するだけであれば、100円ショップの養生テープでまったく問題ありません。100円ショップの養生テープであっても、作業中にちぎれたり勝手に剥がれたりすることなく使用できます。

引越しではさまざまな場面でお金がかかるので、養生テープにお金をかける必要はないことを覚えておきましょう。

引越しでの養生テープの使い方

それでは引越しでは、どのような場面で養生テープを活用できるのでしょうか。

例えば荷造りの際にテレビなどの電気コードをまとめる場合、コードを結ぶと中の配線が切断されやすくなります。そこで電気コードをまとめる際には養生テープを使用しましょう。

このようにして養生テープで留めれば、荷造り時にコードをまとめても内部の配線が切断されにくくなります。

また家具や家電の中には、分解して運搬したり付属品があったりするケースがあります。このような場合、パーツや付属品を紛失しないように袋に入れ、養生テープを使用して本体に貼り付けておきましょう。そうすることで、荷解き時に組み立てられず困る事態を防ぐことができます。

衣装ケースの引き出しを抑える

また養生テープは、引き出しなどを留めるのにも有効です。

例えば引越しで衣装ケースを運ぶ際には、衣服が入ったまま運んでもらうことができます。ただ以下のような引き出しタイプの衣装ケースの場合、運搬中に引き出しが飛び出さないように工夫しなければなりません。

このような場合、養生テープで引き出しを本体と貼り付けておけば、運搬中に引き出しが飛び出る心配が少なくなります。

このときテープの接着面が小さいと、引き出しの重さによって運搬中にテープが剥がれてしまう可能性があります。そのため引き出しを留める際には、以下の写真のように本体部分のテープを長めに貼り付けましょう。

このようにして引き出しを留めておけば、運搬中にテープが剥がれる心配が少なくなります。また、貼り付けたテープを軽く擦って空気を抜くと、さらにはがれにくくなります。

緩衝材の固定に使用する

また食器などの割れ物を荷造りするとき、プチプチなどの緩衝材で包み、テープで留めて梱包していきます。

このとき、緩衝材を留めるためにはガムテープやセロハンテープも使用できます。ただ、ガムテープだと接着力が強いため、荷解き時に剥がれにくく手間がかかりがちです。

またセロハンテープだと、粘着力が低く簡単に剥がれてしまいやすいです。特にセロハンテープの接着面を素手で触ってしまうと、指の皮脂が付着してくっつきにくくなります。

そこで割れ物を緩衝材で包む際には、養生テープを使用しましょう。

養生テープであればセロハンテープのようにすぐ剥がれることはありません。またガムテープよりも剥がしやすく切断しやすいため、食器の荷解きをスムーズに行えるようになります。

養生テープを引越しに使用する際の注意点

このように、養生テープには「粘着力が低く、きれいに剥がしやすい」という特長があり、引越しの荷造りで大いに役立ちます。

ただ養生テープであっても、長期間貼ったままにしておくと剥がしにくくなります。便利だからといってそのまま貼り付けておかず、引越しを終えたら速やかに剥がして廃棄しましょう。

ダンボールの固定に使ってはいけない

また引越しの荷造りで養生テープを使用してはいけない場面があります。それは、ダンボールの固定です。

前述のように養生テープは粘着力が弱いため、荷物の重さに耐えられません。そのため、養生テープを使用して組み立てたダンボールに荷物を入れると底抜けしてしまいます。

運搬中にダンボール内の荷物が落ちると非常に危険です。そのため、養生テープを使用してダンボールを組み立てるのは絶対にやめましょう。

このとき、「養生テープでダンボールの上部を留めれば、荷解きの際に剥がしやすくて便利である」と考える人がいます。ただダンボールの上部であっても、養生テープで留めるのは避けた方がいいです。

引越し業者はプロであるため、積んであるダンボールの上下を入れ替えて運ぶことはほとんどありません。ただ、万が一さかさまに持ってしまうと、ダンボールが底抜けしてしまいます。

また荷造りしたダンボールは、引越しトラックの中で上下から衝撃を受けます。そのため場合によっては、養生テープで貼り付けたダンボール上部が開いてしまうリスクがあります。

運送中にダンボールが開封してしまうと、中の荷物が飛び出たり破損したりするリスクが高くなります。場合によっては荷崩れの原因となるケースもあります。

このとき、使用後のダンボールはそのまま廃棄することになるため、きれいにテープを剥がす必要はありません。ダンボールの固定に使用する際には、養生テープではなくガムテープを使用しましょう。

荷造りに養生テープを活用して、作業を楽に進める

養生テープは粘着力が弱く剥がしやすいため、引越し業者が床・壁の養生を行う際に使用されます。養生を自分で行うのであれば、業者と同様に養生テープを使用して保護シートを床・壁に貼り付けましょう。

また養生テープは、引越しの荷造りでも活躍します。ガムテープよりも剥がし跡が残りにくく、荷物に直接テープを貼ってもきれいに剥がすことができるためです。

そのため家具や家電などに直接テープを貼る際には、養生テープを使用するといいです。特に衣装ケースをそのまま運んでもらう際には、養生テープを使用して引き出しが飛び出さないように工夫しましょう。

ただ、養生テープは粘着力が弱いため、ダンボールの組み立てに使用すると底抜けの原因となります。非常に危険なため、養生テープでダンボールを組み立てるのは絶対にやめましょう。このようにして養生テープを活用し、引越し作業を楽に進めましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

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