夏休みは自由に使える時間が長く、引越し作業を進めやすい時期です。特に8月にはお盆もあり、社会人であっても引越し作業に充てる時間を確保しやすいです。

ただこのとき、お盆月である8月は交通機関や宿泊施設などの価格が高騰しやすい時期です。そのため交通機関などと同様に、お盆時期の引越しは値段が高いと思っている人は多いです。

それでは、お盆月である8月に安く引越すことは不可能なのでしょうか? またお盆に引越す際には、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?

ここでは、お盆月の引越しをお得にする方法とお盆引越しの注意点について解説していきます。

お盆引越しの価格相場

引越し料金は引越し業者の混み具合によって大きく変動します。例えば3~4月は転勤や新社会人、新学期などによって引越す人が多く、1年でもっとも引越し料金が高い時期となっています。

このとき冒頭で述べたように、「お盆月である8月は公共交通機関や宿泊施設などの値段が高い時期であるため、引越しの料金相場も高い」と思っている人は多いです。

ただ実際には、8月は引越し業界における閑散期であり、価格が高い時期には当たりません。8月引越しの一般的な料金相場は、以下の通りです。

【8月の料金相場】

引越し人数2人3人4人5人以上
部屋サイズ1LDK~2LDK2LDK~3LDK3LDK4LDK以上
閑散期(8月含む)6~7万円8~9万円10~12万円15~18万円
繁忙期(3~4月)8~10万円11~13万円14~17万円20~25万円

このように、8月の引越し料金は繁忙期である3月や4月よりも3~4割ほど価格が安いです。そのため休みの人が多いお盆月であっても、引越し料金はそれほど高くなりません。

また8月の引越し料金は、最閑散期である11月と比べると少しだけ高い傾向にありますが、それほど大きな差ではありません。公共交通機関などが高騰するお盆月だからといって、引越し料金も高いとは限らないのです。

お盆明けの8月後半から料金が高くなる

ただ同じ8月であっても、お盆明けは引越し料金が少し高くなりやすいです。9月は4月に次いで転勤が多く、新学期シーズンでもあるためです。また大学によっては、9月入学を採用しているケースもあります。

このような事情から、お盆明けから9月の新生活に向けて引越す人が多くなる傾向にあります。その結果、8月の末日に近づくにつれて引越し料金が高くなりやすいです。

実際に以下は、サカイ引越センターの引越し料金相場についての案内です。

この図のうち、背景がピンク色の日にちは引越し料金が安くなっている割引日です。お盆休み(13~15日)の前までは割引日が多い一方で、8月下旬には割引日がありません。つまり、同じ8月であってもお盆が明けた頃から引越し料金が高くなっていきやすいのです。

お盆休みとお盆明けを避け、8月引越しの値段を安くする

ただ注意点として、お盆の周辺は料金が低いものの、お盆休みのど真ん中(13~15日)は他の平日に比べると料金が高めになります。休みの人が多いため、引越し案件が集中しやすくなるからです。

実際に以下は、アーク引越センターの引越し料金カレンダーです。

このカレンダーではお盆である15日が割引日でないのに対して、お盆周辺の平日は引越し料金が安くなっています(13日木曜日は大安であるため割引なし)。そのためお盆月である8月に引越すのであれば、一般的なお盆休みである15日を避けるのが賢明です。

また前述のように、お盆明けの8月後半も引越し料金が高くなる傾向にあります。そのためお盆月に引越すのであれば、お盆前の8月前半またはお盆明け直後に引越しすると費用を抑えやすくなります。

お盆引越しの料金を安くする夏の断捨離品目

そうしたとき、より引越し費用を安くするために断捨離をしましょう。断捨離はお盆引越しに限らず、引越し料金を安くする常套手段です。荷物の量が少ないと、その分だけトラックを小さくできたり作業時間を短縮したりできるため、引越し料金が安くなります。

このとき、お盆引越しで断捨離を検討するべき品目は以下の通りです。

・冬物衣料

まず、冬物衣料は夏物衣料に比べてかさばります。そのため、数年着ていないものを処分するだけで荷物を減らしやすいです。

また冬になってから冬物衣料を処分しようとすると、「これから着るかもしれない」と感じやすいです。そのため、実際には着ない服や使わない毛布であっても捨てにくくなります。

一方で夏の引越しを機に冬物衣料を処分すると、実際に着ていないものを冷静に判断できます。また「引越し費用を安くする」という動機があるため、冬物衣料の断捨離を成功させやすくなります。

・冷蔵庫の食材

引越前に冷蔵庫の食材を減らすのは引越しの基本です。ただお盆月の引越しでは、通常であれば持ち運ぶ調味料なども処分することを心がける必要があります。

8月は真夏であり、トラックの内部は50℃を超えることもあります。未開封の調味料であれば問題ありませんが、開封済みの調味料だと確実に変質します。そのためお盆月の引越しでは、冷蔵庫の中身をすべて処分しましょう。

・エアコンなど冷暖房器具

エアコンは素人が設置・取り外しできる家電ではありません。そのため引越し先で旧居のエアコンを使用するためには、専門業者に旧居での取り外しと新居への取り付けを依頼する必要があります。

このとき、エアコンの移設には24,000~30,000円程度かかるのが一般的です。そのためエアコンを移設すると、それだけで引越し料金が高くなります。

またエアコンが古かったり出力が低かったりすると、新居の部屋を十分に冷やす(温める)ことができません。このような状況になると、エアコンの移設料金だけが無駄にかかることになります。

そのため古いエアコンや出力の低いエアコンなどは、移設せずに買い替えを検討しましょう。リサイクル業者に依頼すれば、無料で引き取ってくれます。同様に、ストーブなどの暖房器具も新居に合ったものに買い替えた方がお得なケースがあります。

お盆に引越す際の注意点

なお、お盆休みの引越しは「引越し作業に集中しやすい」というメリットがあります。休み中にまとめて引越し作業に取り掛かることで、効率よく短い期間で引越しを終えることができます。

また家族で引越しする場合、お盆休みを利用すると家族総出で一気に引越し作業に取り掛かれます。そのため、妻・母など特定の家族(常に自宅にいて、引越し作業をお願いされやすい人)への負担が少なくなりやすいです。

ただ、お盆に引越す際にはいくつかの注意点があります。

例えば遠方に引越す場合、引越しの荷物を運送している間に引越し先へ移動しなければなりません。ただ、お盆期間中は道路や公共交通機関などが混雑しており、利用料金も高いです。そのためお盆休みの引越しでは、交通費がかさんだり引越し先への到着が遅れたりしやすいです。

業者がお盆休みのケースがある

また他にも、お盆期間中に役所は開庁しているものの、一般企業の多くは休業しています。そのためお盆の引越しでは、引越しで依頼することになる業者のスケジュールを把握しておく必要があります。

例えば8月の引越しでは、引越し後すぐにエアコンを利用できる状態にしなければなりません。ただ前述のように、エアコンの取り付けは素人が行える作業ではありません。引越し業者であってもエアコンの取り付けは基本的に無理であり、エアコン専用の別業者に依頼するのが普通です。

このとき、中にはお盆休みのある業者があります。そのためお盆の引越しでは、業者のお盆スケジュールをあらかじめ確認し、お盆でも作業してくれる業者にエアコンの取り付けを依頼する必要があります。

また、特に注意が必要なのが引越し先のガス開栓です。ガスの開栓は居住者立ち合いの下で専門業者の作業が必要となります。

このとき、新居のガス会社がお盆休みのある企業だと開栓作業もお盆明けになります。その結果、真夏の暑い中にもかかわらず引越し先でシャワー・風呂を利用できない事態に陥ります。

そのためお盆に引越す際には、引越し先のガス会社へ事前にスケジュールを問い合わせて確認しておきましょう。日にちに余裕をもって相談しておけば、お盆休みのある企業であっても開栓作業だけ行ってくれるケースがあります。

またお盆中の開栓作業を断られる場合は、他のガス会社に依頼しましょう。ガス自由化によっていろんな会社が参入しているため、お盆対応してくれるガス会社を選びましょう。

お盆引越しでの挨拶はどうする?

なお、引越し時には周辺住民への挨拶を行うべきか考える人がいます。義務ではないため必ず行う必要はなく、普通はしません。ただ新居への引越しや赤ちゃんのいる引越しなど、地域や居住環境、家族構成などによっては挨拶をしておく方が住みやすくなるケースがあります。

このとき、お盆の引越しでは挨拶のタイミングに注意する必要があります。年配者の中にはお盆中の引越しを縁起が悪いととらえる人がいます。また年配者だと、お盆中に家族が帰省していたり先祖供養をしていたりなどで忙しいケースもあります。

このような中で引越しの挨拶をしに行くと、「お盆に引越しするなんて非常識」という印象を抱かれかねません。

一方でファミリー層が多い環境だと、お盆休みのために帰省しているケースが多いです。そのため引越しの挨拶に行っても、無駄足で帰ってくる可能性が高いです。

このようなことからお盆中の引越し挨拶をするにしても、お盆明けに訪問するといいです。

お盆の引越しは縁起が悪いからダメなのは本当?

なお、8月引越しを考える人の中には前述のように「お盆の引越しは縁起が悪いから避けるべきである」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。特に、年配の人からこのような説を言われるケースが多いです。

一般的にお盆は先祖の魂を供養する日であり、祝い事を避けるべきとされています。そのため、「お盆の最中に祝い事の一つとされている引越しを行うのは縁起が悪い」という声があります。他にも、「お盆の引越しは避けた方がいい」とする説はいくつかあります。

ただ、このような説を気にせずお盆に引越しをしている人はかなり多いです。実際に私も、お盆休みを利用して引越ししたことがあります。

またお坊さんにお盆の引越しについて尋ねたところ、「仏教でお盆時期の引越しを避けるように言っている事実はない」とのことでした。

当然ながら、あなたや家族が縁起を気にするタイプなのであれば、時期をずらした方が安心して引越すことができます。ただ、スケジュールの都合上でお盆にしか引越しできないとしても、「悪いことが起きるかもしれない」などと気にする必要はありません。

引越し日を見定め、8月引越しを安く済ませる

お盆は引越し業界の閑散期にあたるものの、8月後半には9月の転勤・入学に向けての引越しが発生しやすい時期です。そのためお盆月である8月の引越しだと、お盆前後の平日に行うのがお得な傾向にあります。

またお盆のど真ん中は人の移動が激しい時期であるため、公共交通機関や道路などが混雑しており利用料金も高いです。そのため、お盆休みを利用して遠方へ引越すと、移動や宿泊などよって多額の費用がかかりやすいです。

ただ、お盆休み中の引越しには家族全員で引越し作業に取り組めるメリットもあります。お盆周辺の時期は費用が安いですし、またお盆のど真ん中で引越し費用が少し高くなるとはいっても3~4月の繁忙期のような高額な感じではありません。

これらを理解したうえで、8月のお盆月に引越す必要がある人は、複数の引越し業者から見積もりをもらって引越し作業を進めましょう。そうすることで、お盆の引越しをお得に行うことができます。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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