引越しに伴う作業はかなり多く、一人ですべてこなそうとするとひどい疲れが溜まります。そのため可能であれば、家族や友人などに手伝ってもらうのが賢明です。

ただ当然ながら、手伝ってくれた人が誰であっても「手伝ってもらって当然」という姿勢でいてはいけません。特に大人であれば、助けてもらったことに対して適切な形でお礼することが求められます。

また、あなたが引越し祝いをもらった場合、これに対するお礼も考えなければなりません。引越し祝いへのお礼にはマナーが存在します。

それでは引越しを手伝ってくれた人には、どのようなお礼をすればいいのでしょうか? また引越し祝いに対するお礼は、どのようにして決めればいいのでしょうか? ここでは、引越しに伴うさまざまなお礼の方法・マナーについて解説していきます。

引越しを手伝ってもらった人へのお礼相場

引越しの手伝いに限らず、何か助けてもらったことに対してお礼をするのは子供でも知っている一般常識です。ただ大人になると、子供のときのような言葉だけのお礼ではなく、金銭や物品などを伴うお礼が一般的になります。

このような「大人としてのお礼」は義務ではなく、金額についての決まり事も存在しません。ただ、一般的な相場は以下のようになります。

  • 親などの家族:5,000~1万円
  • 親しい友人:3,000~5,000円

またお礼のマナーに関する価値観は個人によって大きく異なり、マナー通りにお礼することが必ずしも相手に良い印象を与えるとは限りません。そのため前提として、相手との関係性に応じてお礼の内容・方法を個別に考える必要があります。

ただ基本的には、お礼の気持ちは何らかの形で表した方が相手に伝わると考えた方がいいです。適切な形で感謝の気持ちを表現できると、双方が気持ちよく相手の気持ちを受け取ることができ、その後の人間関係が良好になります。

また手伝ってくれた相手が「お礼は形で表すべきである」と考えている場合、言葉だけのお礼で済ませると「礼儀知らず」「常識外れ」と思われる可能性があります。

そのため基本的には、引越しを手伝ってもらったら感謝の気持ちを何らかの形で表現するのがいいです。

家族や親しい友達なら食事をごちそうする

なお、学生や新社会人が一人暮らしを開始する際の引越しで家族の助けを借りた場合、金品などを伴うお礼をする必要はありません。このようなケースでは、荷解きなどが落ち着いた頃に家族を家へ招待するだけで、お礼の気持ちを表現できます。

一方で、あなたがすでに社会人として働いているのであれば、親族であっても大人としてのお礼をするべきです。また同様に、どれだけ親しい友人であっても、あなたがすでに社会人であるならば引越しを手伝ってもらった感謝の気持ちを形にする必要があります。

このとき親族や親しい友人などでは、金品でのお礼を敬遠するケースが多いです。

例えば現金だと、明らかに「手伝いに対する対価」であり、善意を否定された感覚になりやすいです。相手が親などの場合、現金でのお礼を「失礼だ」と受け取られるケースもあります。

またお菓子などの物品をお礼に贈ると、形式ばった印象を与えます。その結果、手伝った家族・友人のほうがかえって気を遣ってしまいやすいです。

そのため引越しを手伝ってくれた親族や親しい友人などへのお礼は、食事のごちそうがおすすめです。

例えば引越しを手伝ってくれた親しい友人に対しては、打ち上げとして飲み会などをセッティングするといいです。引越し作業を終えた達成感を共有することができますし、手伝った友人も気兼ねなくお礼を受け取ることができます。

また家族が引越しを手伝ってくれたのであれば、家に招いてホームパーティをするのもいいです。

私の経験を例に挙げると、自宅購入時に旦那方の家族が引越し作業を手伝ってくれました。この際には、人数分のそば・天ぷらなどを出前注文し、新居で義家族にごちそうしました。

このように家族や親しい友人に引越しのお礼をするのであれば、引越し作業の終了後に食事をごちそうすると気兼ねなくお礼を受け取ってもらうことができます。

業者にお礼・心付け(チップ)は必要?

ただ、通常はほとんどの人が引越し業者に作業を依頼します。このとき多くの人が気になるのが、「引越し業者にお礼は必要なのか?」という点です。実際、昔は心付けという習慣が根付いており、引越し業者に限らずお世話になったスタッフにはお礼を包むのが一般的でした。

ただ現在では、引越し業者にお礼(心付け)として現金を包む必要はありません。また、大手引越し業者だと「心付けは不要である」と明言しているケースがほとんどです。

実際に以下は、大手引越し業者のホームページに記載されている業者への心付けについてです。

このように大手引越し業者は、「心付けは不要である」と明言しています。そのため、仕事を依頼した引越し業者に対して心付けとして現金を渡す必要はありません。

ただ心付け(チップ)とは異なり、引越し業者へ差し入れすることには意義があります。

荷物の運搬作業は、慣れている従業員であっても体力・技術を要する仕事です。当然ながらスタッフも人間であるため、顧客から感謝の気持ちを示されれば気持ち良く仕事にあたることができます。「この人の荷物は丁寧に運ぼう」という心情になりやすいです。

このとき、引越し業者への差し入れは冷えた水やお茶などがいいでしょう。お弁当などは引越し作業の終了予定時間が差し迫ると食べられず捨ててしまうケースがあるため、食べ物を渡す場合は軽食やお菓子などがいいです。

引越し前の近所・隣人へのお礼は必要?

なお、引越しの際に近所への挨拶で悩む人は多いです。中には、引越し前の近所へのお礼を気にする人もいます。

ただ個人的にお世話になった人にお礼をするのは問題ありませんが、基本的には引越しの際に住んでいた家の近所へお礼をする必要はありません。

しかし例外的に、引越し前の旧居で近所にお礼をしたほうがいいケースもあります。例えば、旧居のある地域に再び戻ってくる可能性がある場合です。

具体的なケースを挙げると、旧居の地域に本社がある会社に勤めている場合、転勤によって引越しをしても再び戻ってくる可能性があります。また実家がある地域では、何らかのタイミングで旧居地域へ戻る可能性が高いです。

このような場合、引越し前に近所へのお礼を済ませておくと、旧居地域へ戻ってきたときに人間関係の構築をしやすくなります。

実際に私は旦那の転勤で引越しをしましたが、旧居が持ち家であり義実家が近いため、再び引越す可能性がありました。そのため顔見知りになっていた近所の人へお礼をして、再び戻ってくる可能性があることも伝えておきました。

このように引越し前の近所へのお礼は原則的に不要ですが、旧居の周辺住民と今後も付き合いを続けていく予定・可能性があるのであれば、一言お礼しておくと良い関係を継続しやすくなります。

近所へのお礼には消耗品やお菓子を添える

このとき、引越しの挨拶ではタオルなどの日用品やお菓子などを渡すのが一般的です。ただ中には、タオルなどの消耗しない日用品を嫌がる人も多いです。事実、タオルは贈り物の定番であるため、溜まっていきやすいです。

また、こだわりの強い人だと、お気に入りのブランドアイテムしか使わないケースがあります。このような場合、贈ったタオルは使用されず、相手に気を遣わせてしまうことになります。

そのため近所へのお礼では、紙類やキッチン用品などの日用消耗品かお菓子などの消費できる品物を贈るのがいいです。

高品質なトイレットペーパーやティッシュであれば、ほとんどの人が喜びます。また家庭を持っている世帯であれば、ラップや洗剤などのキッチン消耗品もいいでしょう。

このような消耗品であれば、普段使っているブランドが決まっていても短期間で使い切ることができるため、こだわりが強い人であっても活用しやすいです。そのため近所へのお礼では、消耗品やお菓子などをお礼の品として選びましょう。

引っ越し祝いに対するお礼と手紙の書き方

なお引越しを終えた人の中には、特に新築の場合だと引越し祝いをもらった人がいるでしょう。引越しに限らず、お祝いを頂いたらお返し(お礼)するのが一般的な習わしです。

まず、引越し祝いをもらったら数日以内にお礼状(手紙)を送るのが基本的なマナーです。お礼状はハガキを使用し、形式にのっとった文で構成します。具体的には、以下の流れで書きましょう。

  • 頭語(拝啓など)
  • 時候の挨拶~相手の健康を気遣う
  • お祝いへのお礼
  • 近況報告
  • 内祝いの品に関して
  • 結語(敬具など)

このとき注意が必要なのが、お返しという単語を使用しないことです。言葉のあやになりますが、「お祝いを返す(=お祝いは余計であった)」という意味になってしまうためです。

またお礼状は基本的には敬語で構成し、砕けた言い回しを避けるのが習わしです。特にお礼状を送る相手が年配や交流の少ない親族、上司である場合、形式を重んじた文にする必要があります。

一方で相手が親しい親族や友人である場合、頭語・結語を省略したり砕けた言い回しをしたりして問題ありません。関係性によっては、電話やメールなどでお礼を伝えるケースもあります。どのようなお礼の形を取るかは、相手との関係性や相手の性格などを考慮して決めましょう。

引越し祝いに対するお礼の方法

このとき引越し祝いのお礼としては、新居へ招待し、食事をふるまったりお土産(お菓子など)を渡したりするのが一般的です。新居へ招くことが難しい場合、引越し祝いの1/3~半額を目安に内祝い品を贈ります。

ただ親族からの引越し祝いだと、高額な金品をもらうケースがあります。このような場合、1/3~半額を目安に内祝い品を選ぶと相手が困惑してしまうケースがあります。

実際に私が新居へ引越した際、高額なカーテンや時計などを複数の親族から頂きました。このとき内祝いの目安金額である半額で品物を選んで贈ったところ、全員から「お祝いの気持ちで贈ったのだから、お返しに高額のお金をかけるんじゃない」と叱られました。

このように相手が善意でお祝いしているケースだと、習わし通りの内祝いがかえって失礼にあたるケースもあります。そのため親族への引越し内祝いは、一般的な金額の目安にこだわらず相手が喜びそうな品を選びましょう。

また若い世代だと、内祝いという風習を敬遠しているケースもあります。このような場合「お返しはいらない」などと一言添えられるケースが多いです。

お返しが不要と言われたら、内祝い品を贈らないのが基本です。「建前かもしれない」などと気になるのであれば、1,000円程度を目安にお菓子などを贈るといいでしょう。

引越し内祝いでは、お菓子などのギフトセットを贈る

また引越し祝いに対するお礼では、お菓子などを贈るのが基本です。近所の人へのお礼と異なり、引越し祝いに対するお礼(内祝い)は形式を重んじる必要があります。

このとき相手の好みがわかるのであれば、好みに合わせて品物を選びましょう。例えばいつもコーヒーを飲んでいる人であれば、ドリップパックのギフトセットなどがいいでしょう。

またお菓子であれば、和菓子よりも洋菓子を選ぶのが無難です。当然ながら相手が和菓子好きであることが明確であれば問題ありませんが、和菓子を苦手とする人は多いので注意が必要です。

相手の好みがまったくわからないのであれば、カタログギフトもいいでしょう。カタログギフトであれば相手が好きな品物を選べるため、嫌がられることはまずありません。

このような内祝いの品は、イオンなどの大型スーパーやインターネットサイトなどでも購入できます。あなたが探しやすいお店で見つけましょう。

引越し祝いのお礼では贈り物にのしをつける

このとき贈り物を販売している物販店であれば、店舗の形態に関わらず、内祝い品の購入時にのしをつけてもらうことができます。このとき「引越しの内祝いである」と伝えれば、スタッフが適切なのしをつけてくれます。

自分でのしをつける場合には、紅白または金銀の蝶結びの水引を使用しましょう。線の本数は5本か7本のものを選びます。表書きは「内祝」または「新築内祝」とします。

のし紙は100円ショップや文房具店、通販サイトなどで販売されています。自宅にプリンターがあるのであれば、無料でのし紙を公開しているインターネットサイトからダウンロード・印刷してもいいです。

シーンや関係性に応じたお礼の方法を選ぶ

子供のときと違い、大人になるとお礼の気持ちを何らかの形で表すのが基本です。

例えば引越しを手伝ってもらったのであれば、引越し作業の後に食事の席を設けるといいです。一方で引越し業者については、水またはお茶の飲み物で十分です。

また基本的に、引越し前の近所へのお礼・挨拶はしなくても問題ありません。ただ特にお世話になった人や、再び近所づきあいする可能性がある人には、お菓子や消耗品などを手にお礼の挨拶へ向かうといいです。

引越し祝いをくれた人に対しては、マナー・形式にのっとったお礼の形を取る必要があります。内祝いの品を贈るのであれば、適切なのしをつけた上で渡しましょう。このようにして、お礼の気持ちを示すといいです。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

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