仕事をしていると、高確率で訪れるものとして転勤があります。同じ部署や支店の中で異動するならいいですが、他の部署や支店へ異動することになり、県外を含め遠方へ転勤するようになることは多いです。

そうなると、必然的に引越しをしなければいけません。引越しが面倒だったり辛かったりしますが、会社命令なので引越しは必須です。

ただ、引越しの中でも「一人暮らしをしている」「家族はいるが、単身赴任をする」などのように、一人だけで引越しをする場合であれば、やることや手続きなどは比較的少なくなります。

しかし、転勤だとどうしても直前の辞令になることが多く、急に引越しをしなければいけなくなります。たとえ独身や単身赴任であったとしても、単身引っ越しでのやることや手続きを把握し、どのようなスケジュール感で動かなければいけないのか理解する必要があります。

そこで、ここでは「一人暮らしの転勤」「単身赴任による転勤」という、社会人の単身引っ越しに焦点を当てて確認していきます。

最初にやることは賃貸マンションの決定

転勤のとき、多くのケースで1ヵ月以内など短い期間で引越しをすることになります。直前で辞令が出るため、場合によっては1週間や2週間前に転勤を言い渡されることもあるほどです。

そうしたとき、最初に行うべきものが部屋探しです。賃貸マンション・アパートを契約することで、どの場所に住むのか決定させましょう。社宅があったり、会社の総務・人事がすべて手続きを行ってくれたりするのであれば任せればいいですが、自ら行う必要がある場合は自分で手続きをする必要があります。

それと同時に、大家(管理会社)には退去の連絡をしましょう。転勤が決まったため、いまの賃貸マンションから退去することを伝えるのです。

私が過去に勤めていた会社だと、「新居の賃貸マンション(部屋探し)は会社側が勝手に探すが、旧居の不動産の解約通知は本人(私)が行わなければいけない」という意味不明なルールがありました。

会社がすべて行ってくれるわけではないため、総務・人事と相談しながら自分が何をすればいいのか把握するようにしましょう。

次に引越し日を決定し、見積もりを比較する

賃貸マンションが決まったら、次に引越し日を決めます。引越し日が決まれば、引越し業者を依頼することができます。

引越しのトラックは数に限りがあります。特に3月や4月などの繁忙期となると、引越しを断られるほど埋まるようになります。そのため、できるだけ早めに依頼するようにしましょう。

なお、「引っ越しまで1週間しかなく、このままでは間に合わない」などのようなケースだと、明確な住所が決まっていなかったとしても先に見積もりを依頼しましょう。住む場所が決定していなくても、問題なく訪問見積もりによって金額を出してくれます。例えば、「東京都渋谷区に引越しをする」などのように、ザックリとした場所が分かっていれば問題ありません。

数キロほど場所が違っていたとしても、料金相場は変わりません。そのため、ある程度の引越し場所の目安があれば問題ないのです。

引越し業者が決定すれば、業者から大量のダンボールが送られてきます。このダンボールを活用して、荷造りを進めるようにしましょう。転勤だと内示が出てから引越しまでの期間は短いですが、効率的に荷物を片付けていくといいです。

引越し料金を安くするコツ

当然ですが、同じ引越しをするのであれば安い費用で引越しをしたいと考えます。そうしたとき、どのように考えて引越しをすればいいのでしょうか。

単に引越しをするときに比べて、知識のある状態で引越しを依頼すると大幅に引越し費用が安くなります。このときの方法としては、以下のようなものがあります。

・複数業者に依頼する

引越しで必ず必要になるものが複数業者への見積もり依頼です。何社もの見積もりを比較することで、ようやく格安での引越しが可能になります。

例えば、以下は家族での引越し(500kmほどの長距離引越し)になりますが、一方では270,000円であるものの、もう一方では198,720円となりました。つまり、7万円以上もの差があります。

もちろん独身や単身赴任など、一人暮らしの引越しであったとしても問題なく大幅な値下げを実現することができます。最も確実に引越し価格を値引きするコツが見積もり比較になります。

・安い日程や時間を指定する

あまり知られていませんが、引越しをするときは日程によって値段が変わります。繁忙期である3月や4月を外せば金額は低いですが、会社命令による転勤では時期をズラすことはできません。ただ、土日の引越しを平日に移動させることくらいなら可能なはずです。

一般的に引越しでは、土日(祝日を含む)などの休日よりも平日の方が値段は安いです。以下のように、同じ時間帯(今回は午後の引越し)であったとしても、日にちが違うことで1万円以上の値引きがあるのは普通です。

また、引越し時間帯によっても値段は異なります。一般的には、午後よりも午前の方が料金相場は高いです。どの時間でも問題ないフリー便もあり、これだとより大きな値引きを期待できます。

このように考えると、たとえ有休を利用したとしても平日の安い時間で引越しをした方がいいと分かります。有休を使うだけで1万円以上は簡単に値引きできるからです。会社命令での引越しですし、有休は余りまくっていると思うので、積極的に平日での引越しを行いましょう。

なお、会社によっては赴任休暇を設けていることがあり、その場合は出勤扱いになります。有休ではなく、休暇(出勤扱い)にしてくれます。このときは休暇の中でも、引越し価格が安い日を狙うといいです。

ライフラインの整備

問題なく新居の住所が決まり、引越し業者への依頼も完了したら、次に電気・ガス・水道などのライフラインを整備しましょう。いま住んでいる地域の電気・ガス・水道の会社に連絡を入れ、「引越しの次の日」にすべてがストップするようにします(単身赴任の場合は、家族が旧居に残ることになるので不要)。

また同時に、新居の住所での電気・ガス・水道を管理している会社に連絡を入れます。そして、引越しでの搬入日にすべてのライフラインが開通するように手配しましょう。

特にガスについては、立ち合いが必要になります。私の場合、いつも以下のように引越し業者が作業している中でガス会社の人に来てもらい、ガスの確認を行ってもらっています。

引越し日の当日に連絡しても対応してくれないことが多いため、ガスについてはできるだけ早めに連絡を済ませましょう。同時にインターネットなどのインフラも整備するため、ネット回線の会社とやり取りをするといいです。

住民票は移さなくて問題ない

引越しの手続きをするとき、

多くの人が勘違いするものとして住民票の移動手続きがあります。独身の一人暮らし、または単身赴任をするとき、住民票を移すことで住所変更してしまうのです。

ただ、住民票の移動に伴って以下の手続きが発生するようになります。

  • 転出届、転入届の提出(住民票の移動作業)
  • 運転免許証の更新
  • 印鑑登録の再登録
  • 子供がいる場合、児童手当など子供に関する手続き

要は、非常に面倒な役所手続きが発生するようになります。ただ、住民票を移動させない場合、これらの役所手続きがゼロになります。「独身であり、住民票が実家にある」「持ち家がある」「賃貸マンションだが、単身赴任する」などを含め、単身引越しの場合は住民票を移さないことを検討しましょう。

教科書的なことをいえば、引越しをすると住民票を移す必要があります。ただ、実際のところ転勤によって住民票を移している人は少ないです。

私も独身時代、会社命令で一人暮らしをしていましたが、住民票は実家に置いたままでした。それでも会社から特に文句を言われたことはありませんし、困ることもないです。困るとすれば、「選挙に行けない」「運転免許証の更新時に住民票の住所に戻る必要がある」くらいです。

住民票の移動が必要なのは、「子供が保育園や小学校・中学校など、学校に通っている状態であり、子供を含めて引越しが必要なとき」だけです。子供がいなかったり、単身赴任だったりなど、あなた一人だけが引越しをするとき、住民票を移動する必要はありません。むしろやっかいな作業が増え、大変になるだけです。

単身引越しのときは住所変更をせず、できるだけ無駄な作業をしない引越しを心がけましょう。

その他、社内手続き

会社によって手続きは異なりますが、必ず何かしらの社内手続きが発生するようになります。

例えば、多くの人にとって重要なものに通勤手当があります。引越しをすることで住所が変わるため、当然ながら通勤手当の支給額も変更されます。そこで、以下のような書類を会社に提出します。

社内規定は会社ごとに異なります。これについては、総務・人事に確認するようにしましょう。

引越しでの手続きチェックリスト

ここまで、独身の人や単身赴任を含め、社会人の単身引っ越しに必要なことについて述べてきました。どちらもやることは同じですが、急な引越しに備えるため、以下のようなチェックリストに沿って準備することを確認していきましょう。

【転勤の内示が出たときのやることチェックリスト】

  • 物件探し
  • 引越し業者探し(複数社へ見積もり依頼)
  • 電気・ガス・水道の手続き
  • その他、社内手続き

このように考えると、意外とやることは少ないです。住民票の変更など無駄なことは省き、必要最低限のことだけ行うようにしましょう。

単身引っ越しに必要なお金

それでは、一人暮らしでの引越しではどれくらいのお金が必要になるのでしょうか。独身や単身赴任など、一人暮らしだと引越しでの料金相場は低くなります。一般的には、以下のようになります。

・一般的な荷物量での単身引越し

近距離(50km以内)中距離(200km)長距離(500km)
閑散期3~4万円4~5万円5~6万円
繁忙期5~6万円7~8万円9~10万円

距離について、「東京-大阪:約500km」「東京-名古屋:約350km」「大阪-名古屋:約200km」となります。

安い引越しをしたときの料金相場であるため、何社もの見積もりを比較しなければ当然ながら価格は高くなります。そのため、必ず複数社の見積もりを比べるようにしましょう。

・賃貸マンションの費用

なお、この他にも新たに不動産契約をする場合、賃貸マンションの初期費用が必要になります。

会社負担で賃貸マンションを契約し、総務・人事がすべての段取りを行ってくれる場合、これらの費用を考える必要はありません。ただ、自ら契約をする場合は転勤先の不動産を契約するときに出費が重なるようになります。

一般的には、敷金・礼金や前家賃などを考えると、月額家賃の5倍ほどの費用が初期費用として必要になります。例えば家賃6万円だと、最初に大家(管理会社)などへ30万円以上を支払わなければいけません。

引越し業者に支払うお金に着目しがちですが、新たに新居を借りるときについても大きな出費があります。

どこまでが会社負担かを確認する

なお、会社命令なのでほぼ確実に引越し代は会社が負担してくれるようになります。ただ、全額を費用負担してくれるわけではありません。多くの場合、一部の負担であったり、支度金という形で支給されたりするようになります。

どれくらいの費用負担があるのかについては、会社の福利厚生によって大きく違ってきます。これについては、会社の就業規則を確認するようにしましょう。

  • 家賃7万円以下の物件について、〇〇という条件で家賃補助を出す
  • 引越しのとき、一律で支度金10万円を支給する

例えばこのような就業規則があり、会社ごとにルールが違います。これを確認するのです。

会社にとって、「転勤者ごとに家賃や引越し代を確認し、領収書をもらい、その額を支給する」などのような面倒なことは避けたいと考えます。そのため、一定額を一律支給するのが普通です。

例えば、私が以前にいた会社であれば、物件探しや賃貸マンションの契約(借り上げ社宅の契約)は総務がすべて行ってくれたため、不動産の初期費用支払いはありませんでした。初期費用が必要なく、月々の家賃補助も手厚かったので、この点については優れた会社でした。

また、引越し代金や新居へ移るための交通費については「総額15万円を支度金として支給する」という決まりでした。支度金の中から、新居での家具購入費用も出すようになります。

支度金を超えた額については、全額自腹です。そのため、当然ながら引越し代を安くするために頑張る必要があります。基本的には、ほとんどの会社で同じような一律支給を実施しています。

・派遣による会社命令の引越しでも手当はある

ちなみに、たとえ派遣であったとしても会社命令で転勤があり、引越しが必要になった場合は費用負担をしてもらえるのが普通です。少なくとも、全額自腹はあり得ません。なぜなら、会社都合だからです。

もし、全額自己負担の場合は「他の派遣の人は費用負担がある。そのため、同じように会社側で引越し代を負担してくれるなら内示を受け入れる」と交渉するといいです。もし、交渉決裂した場合は良い派遣会社とは言えないため、別の仕事を探すことを含めて検討したほうがいいです。

手順や流れを把握し、急な転勤に対応する

社会人にとって、転勤は急に訪れます。内示が出た後にすぐ転勤となり、人によっては1週間や2週間など引越しまでの日数が非常に短いことがあります。辞令が出た直後のタイミングから、すぐに準備を始めなければいけないのです。

そこで、事前に単身引っ越しに必要な手順や流れを把握するようにしましょう。

「子供を伴う家族引越し」であるなら、非常に煩雑な転勤になります。ただ、独身や単身赴任などのように、一人暮らしの引越しをする場合は意外とやることが少ないです。基本的に住民票の移動は不要ですし、部屋探しや引越し業者の選定を含め、一般的な段取りで引越し準備を進めていけば問題ありません。

このとき、家賃手当や引越し代の費用負担を含め、どれだけ会社が金銭的な補助をしてくれるのかについても同時に確認しましょう。多くは支度金の一律支給なので、自腹とならないように引越し料金を安くすることを考えるといいです。

ここまでのことを考え、スムーズに引越しを実現しましょう。急な引越しになりやすい社会人だからこそ、事前に行うべきことを把握したうえで手続きを行い、準備を進める必要があります。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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