引越しをする理由は人によってさまざまですが、母子家庭(シングルマザー)だった人が再婚するケースがあります。離婚や死別など人によって理由は異なりますが、子連れ再婚をして新たな主人と一緒に新生活をスタートさせるのです。

ただ、子連れ再婚のときに問題になりやすいのが学校手続きです。多くの場合、転校しなければいけません。

また、結婚の手続きをして、さらには引越し準備までしなければいけません。このとき、何をどのような順番で行うようにすればいいのでしょうか。

ここでは、シングルマザーの子連れ再婚に伴う引越しの手順や流れについて解説していきます。

二度手間を防ぎ、効率的に再婚する

何も考えずに再婚する場合であると、面倒な手続きが増えるようになります。例えば、再婚に伴ってひとまず退職する場合であると、「社会保険を国民健康保険に自ら切り替える」「国民年金への加入手続きが発生する」などの作業があります。

その後、旦那がサラリーマンであるなら扶養に入ることになります。その場合、今度は「国民健康保険を主人の社会保険に切り替える」などの作業が発生します。要は、二度手間になります。

短時間の間に無駄な作業をしなければいけないため、結婚の時期や転校のタイミングを含め、効率的に引越しを行わなければいけません。

再婚後もいまと同じ会社で働くのであれば関係ありません。ただ、そうではなく会社を辞めることを考えているのであれば、どのような順番で物事を進めていけばいいのか考える必要があるのです。

入籍は会社を辞める前がいい

まず、再婚によって入籍する場合、いまあなたが勤めている会社を辞める前に入籍するようにしましょう。理由は単純に二度手間になるからです。

「入籍後に会社を辞める」のではなく、仮に会社を辞めた後に結婚する場合、以下のような流れになります。

  • 退職後、国民健康保険に加入する → すぐに旦那の社会保険に入る
  • 退職後、国民年金に加入する → すぐに旦那の厚生年金に入る

健康保険や年金は日本国民全員が加入しなければいけないものになります。そのため、下手に先に会社を辞めてしまい、後で入籍&養子縁組をするときに面倒な作業が発生するようになります。

例えば、以下は国民健康保険です。

先に会社を辞め、後で入籍することになった場合、「国民健康保険に加入して保険証を発行するものの、入籍後に国民健康保険証を返納して新たに社会保険証を作る」という無駄な作業を行うことになるのです。

一方で既に入籍済みの場合であると、退職と同時に旦那の扶養に入り、主人の会社の社会保険に加入すれば問題なくなります。これにより、無駄な作業を省けるようになります。結婚をして子供を旦那の養子縁組に入れるにしても、いまの会社を退職する前が適切です。

有給消化の期間中に引越しを済ませる

なお、このときは「住民票の移動と入籍・養子縁組を同時に行う」ようにしましょう。つまり、新居の住所へ引越しをした後、住民票を移動させるのと同時に、新居の役所で入籍手続きを済ませるのです。

結婚する場合、ほとんどのケースで女性側の名字が変わります。旧居の住所にいるときに婚姻届を提出してもいいですが、名前が変わるので旧居の住所であらゆる役所手続きをすることになります。その後、引越し後に新住所の役所でも同じように住民票の変更など面倒な役所手続きが発生します。

ただ、引越し後であれば「住民票の変更」「名前の切り替え」「養子縁組の手続き」「児童扶養手当の廃止」「印鑑登録の再登録」などを一つの役所で一気に済ませられるようになります。

こうしたことを考えると、有給消化中に新居への引越しをするようにしましょう。有給消化中であれば、一応は「いま仕事をしている途中」ということになります。このときに新居への引越しを行い、住民票の変更や入籍までを一気に済ませてしまうのです。

その後、夫の会社に連絡して「扶養に入るので社会保険などの手続きをしてほしい」と伝えましょう。これにより、無駄な作業を大幅に減らせられるようになります。そのため、有給消化中に引越しや入籍・養子縁組を含めすべての作業を行うといいです。

養子縁組になったタイミングで転校させる

なお、子供の学校手続きについては早めに行うようにしましょう。保育園の場合は新居の役所に問い合わせて、入れるかどうか確認するといいです。

小学校や中学校については、現在の学校へ連絡して「在学証明書」「教科書給付証明書」など転校に必要な書類をもらうようにしましょう。

そうして、引越しを完了させた後に子供を旦那の養子縁組にさせ、正式に名字を変えるようにします。名字が変わった段階で転校するため、新たな名字の状態で新しい学校へ通うことになります。新しい学校では、以前の名字を周囲の子供は知らないので違和感がありません。そのため、問題なく溶け込むことができます。

・学校では通称を使える

なお、中にはどうしても入籍・養子縁組のタイミングがうまくいかず、子供の転校時期に合わせての入籍できないこともあります。

そうしたとき、学校では通称を使えます。つまり、戸籍上は子供の名字が変わっていたとしても、以前の名字を使うことが許されています。特に再婚について学校に報告しなかったとしても問題ありません。

また、まだ入籍をしていない状態で子供を転校させたとしても、新たな旦那の名字を転校先の学校で使うことができます。子供の名称については、学校は柔軟に対応してくれます。

母子家庭が再婚をするときの順序

少し複雑になってきたため、シングルマザーが再婚するときにどのような順序で作業を進めていけばいいのかについてまとめます。

最も無駄な作業を省けるのは、以下のような手順になります。

  1. 現在の学校(保育園、幼稚園、小学校、中学校)に転校を連絡し、書類をもらう
  2. 引越しを完了させ、新たな役所で住民票の移動と入籍・養子縁組を同時に行う(有給消化中)
  3. 新住所の役所でその他の手続きまで行う(児童扶養手当の廃止など)
  4. 新たな学校に書類を提出し、転校する
  5. 旦那の扶養に入り、社会保険や厚生年金などの手続き
  6. 有給消化が終わり、正式に会社を辞める

基本は有給消化中にすべての手続きを行うようにしましょう。二度手間を防ぐため、いまの会社で勤めている段階で、旦那の扶養に入ることを夫の会社に報告するのが適切です。

もちろん、会社を辞める気がない場合はどのタイミングで入籍・養子縁組の手続きをしても問題ありません。引越しを完了した後に入籍するのがスムーズなのは変わりませんが、退職しない場合だと時間的な余裕は大きくなります。

必要な役所手続きについて

なお、シングルマザーが再婚をするとき、独自の役所手続きが発生します。母子家庭(または父子家庭)には支援制度が存在するため、これらの廃止手続きをしなければいけません。

シングルマザーの支援制度としては、主に以下のようなものがあります。

  • 児童扶養手当
  • 児童手当
  • 福祉医療証
  • その他、自治体ごとの制度

それぞれについて確認していきます。

・児童扶養手当

母子家庭(または父子家庭)に対して、18歳未満の子供がいる家庭に対して支給される支援制度が児童扶養手当です。児童一人であっても、満額支給される場合は年間52万円の支給になります。

再婚してシングルマザーではなくなるため、この廃止手続きをしなければいけません。

・児童手当

母子家庭かどうかに関係なく、中学生になるまでの子供がいる家庭に支給される支援制度が児童手当です。

児童手当は年収の高い方へ振り込まれます。これからもずっと働く予定であり、妻側の方が高い年収なのであれば特に手続きは必要ありません。ただ、旦那の扶養に入る場合などであれば、必ず手続きが必要になります。いまの児童手当を廃止し、旦那の銀行口座に児童手当が振り込まれるようにしましょう。

・福祉医療証

母子家庭(父子家庭)の場合、医療保険の費用を負担してくれる制度が存在します。このときに発行されるものが福祉医療証です。

シングルマザーでなくなる場合、当然ながら福祉医療証は返納しなければいけません。

・その他、自治体ごとの制度

自治体によって異なりますが、バスや市営地下鉄に無料で乗れたり、上下水道基本料が減額されたりする制度があります。母子家庭で使える制度のため、再婚後は廃止手続きが必要になります。

転校に適したタイミング

役所手続きの流れについては理解できたと思います。それでは子連れ再婚のとき、子供の転校に適したタイミングとしてはどのようなものがあるのでしょうか。

基本的には、どの時期に転校しても問題ありません。学校側はいつでも受け入れてくれます。保育園については空き状況が関係するものの、小学校や中学校についてはあらゆるタイミングでも問題ありません。

ただ、最も適した引越し時期は春休み期間中になります。転校して4月からのスタートであれば、新学年で学校生活を開始できます。まったく友達のいない状況ではありますが、新たなクラスなので他の子と似た条件で学校生活をスタートできます。

その次に最適な時期が夏休み期間中の引越し・転校です。長期の休みに引越しや入籍・養子縁組、役所手続き、学校手続きを済ませることができるため、時間的な余裕があります。また、長期休み明けという区切りの良いタイミングで転校できるようになります。

必ずしも春休みや夏休みでの引越し・転校にこだわる必要はありませんが、この時期だとスムーズに転校しやすくなります。

子供が転校を嫌がる場合の対処法

ただ、中には転校を嫌がる子供もいます。例えば小学校で友達ができたばかりの7歳など、子供の年齢が小さいほど転校を嫌がるようになります。他には、思春期の子供も嫌がる傾向にあります。

こうしたとき、どのようにして再婚すればいいのでしょうか。

転校を嫌がる場合、理想的なのは転校しないことがあります。旦那に引越しをしてもらっていまの住所に住み続けたり、子供が通う学区内への引越しで留めたりするのです。

ただ、転校しないためには新たな旦那になる男性側の協力が必要です。もし、いまの住所周辺に新しい夫が引越しをして、旦那の仕事に支障が出ないのであれば問題ありません。しかし、支障がある場合は生活がかかっているので何とかして子供を説得する必要があります。

・子供を説得するときの考え方

子連れ再婚の場合、子供の気持ちを考えなければ失敗する確率が高くなります。そのため、子供を説得するとはいっても無理やり再婚を押し通すのではなく、少しずつ新しい旦那に慣れさせていかなければいけません。

大前提として、大きな不安を子供は抱えています。

  • 再婚相手から虐待や無視はされないだろうか
  • 新たな環境で頑張れるのだろうか
  • 友達ゼロでも学校生活を送れるのだろうか

こうした不安があるため、再婚や転校を嫌がるのはある意味当然です。いきなり子供へ「再婚して転校することになったから!」と伝えても、拒否されるのは普通です。

あなたはそこまで思っていないとしても、子供にとって離婚や再婚は天変地異が起こるようなものです。これをすぐに受け入れてもらうのは無理です。そこで、新たな旦那に何度も会わせて徐々に慣れさせ、こちらの要求を呑んでもらえるように誘導することを考えましょう。

なお、子供からの反対については慎重にならなければいけませんが、あなたの親の反対については無視すればいいです。すべては子供との関係に全神経を集中させましょう。

なお、転校を嫌がるのは、「友達がゼロになるから」という理由ではないかもしれません。新たな旦那を恐れているだけかもしれません。心の奥底に眠る不安を聞き取り、その不安を解決するために子供を支援するようにしましょう。

例えば、「転校しないように考えるから、それなら再婚してもいい?」と子供に聞いたとき、それでも嫌がる場合、学校関係が嫌がる原因ではありません。再婚によって家庭環境が変わること自体に反対しているといえます。

こうした子供の本当の不安を探り、それを解決する手伝いをしましょう。そうすれば転校を嫌がることはなくなり、再婚できるようになります。

・近所への挨拶や報告は必要ない

ちなみに、再婚するときの挨拶や報告は会社関係と学校関係だけで問題ありません。引越し先の近所を含め、挨拶をするのはやめるようにしましょう。

結婚で引越しをするとき、会社関係の人への挨拶だけで問題ないのと同じように、再婚での挨拶も会社関係と学校関係で大丈夫です。挨拶は必要最低限に留めるといいです。

再婚での引越しを円滑に進める

通常の引越しとは異なり、母子家庭の子連れ再婚ではやることが多くなります。役所関係の手続きは増えますし、保育園や小学校、中学校など学校関係の手続きも必要になります。

また、会社を辞めて旦那の扶養に入る場合、健康保険や年金などの手続きを考えながら、切り替えのタイミングを見計らうようにしなければいけません。

ただ、これらの作業以外に大変になるのが「子供が転校を嫌がるとき」です。物分かりの良い子なら問題ありませんが、再婚や転校を嫌がる場合、子供の了承を得られるように努力しましょう。

離婚や死別によってシングルマザーになったわけですが、再婚するときは子供がカギを握ります。子供が納得したうえで再婚し、引越しによって新たな新生活をスタートさせるようにするといいです。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

おすすめの人気記事

・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術

引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。

また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。

引越し価格を安くする交渉術

・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由

多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。

この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。

引越し業者の割引は無意味

安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備

見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。

ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。

引越し業者の営業マンへの対処法

見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか

実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。

ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。

おすすめの見積もり比較サイト