引越しをすると、役所での住所変更手続きが必要となります。このような引越し手続きが必要なのは人間だけではありません。動物の種類によっては、ペットの住所変更も必要となります。

それでは、どのような種類のペットだと引越しで住所変更手続きが必要となるのでしょうか? また、ペットの住所変更手続きはどのようにして行えばいいのでしょうか?

ここでは、引越しでのペットの住所変更手続きについて解説していきます。

引越し手続き・登録が必要となるペット

飼っているペットが犬の場合、引越しの際には手続きが必要となるのが基本です。生後91日を経過した犬を飼う場合、居住地の役所で登録(畜犬登録)をすることが法律で義務付けられているためです。

これは犬の戸籍にあたる登録であるため、引越して住所が変わったら人間と同じように引越し手続きが必要となります。引越し後30日以内に引越し手続きを行わないと法律違反となり、20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

このとき愛犬の住所変更手続きを忘れても、罰金が科せられるケースはほとんどありません。ただ愛犬の引越し手続きを終えないと、狂犬病予防接種のお知らせが自宅に届かなくなります。

狂犬病の予防接種は1年に1度の接種が義務付けられており、違反すると20万円以下の罰金刑となります。ワクチンの未接種は引越しの未届けよりも発覚しやすく、実際に書類送検されている事例もあります。

そのためワクチンの打ち忘れを防ぐためにも、引越しをしたらあなた自身だけでなく、愛犬の住所変更の手続きも忘れずに完了させましょう。

犬以外のペットに引越し手続きは必要?

一方で猫やハムスター、うさぎなどを飼う際に、特別な許可は必要ありません。そのためこれらペットを飼っている場合、引越し手続きの義務はありません。

ただ、これらペットにマイクロチップを装着している場合、マイクロチップの登録情報変更を行う必要があります。

このときマイクロチップの引越し手続きを忘れても、罰則などの規定はありません。ただマイクロチップの住所変更を行わないと脱走の際に見つけにくくなったり、保健所の捕獲対象になったりする恐れがあります。そのため、引越したらマイクロチップの登録情報変更を忘れずに行いましょう。

また、ワニやマムシなど特定動物などの飼育には、都道府県または政令市の許可が必要です。そのため、このような動物を飼育している場合、引越しの際に登録の変更(住所変更手続き)が必要となります。

ペットの住所変更手続き

それでは、実際にどのようにしてペットの引越し手続きを行えばいいのでしょうか。

まず、ペットにマイクロチップを装着している場合、マイクロチップの登録情報を変更することになります。マイクロチップの登録情報は日本獣医師会のマイクロチップ情報登録のページで変更可能です。

これらサイトでの登録情報変更には、マイクロチップの登録証明書に記載されている識別番号や暗証番号などが必要となります。手元に書類を用意してサイト上での変更を行いましょう。

郵送で手続きを行う場合、申請用紙に必要事項を記入して日本獣医師会へ送付します。申請用紙はコールセンターで取り寄せられるほか、日本獣医師会のマイクロチップ情報登録サイトからダウンロードできます。

なお、マイクロチップの住所変更手続きそのものに費用はかかりません。郵送で手続きを行うと印刷代や郵送費用がかかるので、なるべくウェブ上で手続きを完了させましょう。

マイクロチップを装着していない犬の手続きに必要なもの

一方でマイクロチップを装着していない犬の場合、役所や保健所などで住所変更の手続きを行う必要があります。

このとき引越し先地域に関わらず、愛犬の引越し手続きは新居地域の役所・保健所で行います。市区町村外への引越しであっても、旧居地域での手続き(転出届など)は必要ありません。

なお、愛犬の引越し手続きには旧居地域で発行された鑑札が必要です。引越し前に狂犬病ワクチンの接種を済ませている場合、注射済票も必要となります。

愛犬の鑑札をなくした場合、引越し先地域で新たに交付を受けることになります。この場合、鑑札交付(再交付)の手数料が発生します。

また手続きをする自治体によっては、鑑札の交換であっても手数料がかかるケースがあります。引越し先地域での手続きについて、あらかじめ調べてから引越し手続きへ向かいましょう。

ワニや毒ヘビなど特定動物の引越し手続き

一方で特定動物と一緒に引越しをする場合、引越し先住所で新たに飼育許可を取得する必要があります。このとき、特定動物に認定される動物は「人間に危害を加える危険性がある種類」です。そのため特定動物の飼育場所変更(引越し)では、引越し前に新居地域での許可を取る必要があります。

なお都道府県内での引越しであれば、住んでいる地域の動物愛護センターや保健所などで登録の変更許可手続きを行います。一方で都道府県外への引越しの場合、引越し先の保健所などで新たな飼育許可を取得することになります。

このとき引越し先に関わらず、手続きの際には飼育する場所の図面や写真、新居周辺の見取り図などの必要書類と所定の手数料が必要です。

これに加えて、現在では特定動物をペットとして新たに飼育することはできないため、旧居で許可を受けて飼育していたことを証明する必要があります。そのため引越し先での手続きの際には、手元にある特定動物飼養の許可証の写しも持参して手続きに向かいましょう。

なお、手続きの際に必要となる書類の詳細は自治体によって異なります。書類不備などがあると手続きに時間がかかり、引越しに間に合わなくなる恐れがあるので、事前に引越し先の自治体へ確認しましょう。

ペットの引越し手続きを理解する

生後91日を過ぎた犬を飼う際、居住地域での役所で畜犬登録する必要があります。そのため引越して住所が変わったら、犬の住所変更手続きが必要となります。

愛犬にマイクロチップが装着されている場合、マイクロチップの住所変更を行うことで引越し手続きが完了します。一方でマイクロチップ未装着の愛犬は、引越し先の役所・保健所で引越し手続きを行う必要があります。

また犬以外の動物であっても、ペットにマイクロチップを装着しているのであればマイクロチップの引越し手続きが必要です。インターネットサイトで簡単に手続きできるので、忘れずに変更しましょう。

なおワニや毒ヘビなどの特定動物を飼育している場合、引越し前に新居地域での飼育許可を取得する必要があります。書類不備があると引越しまでに許可取得が間に合わない恐れがあるので、事前に必要書類を確認した上で手続きを行いましょう。これらがペットの引越し手続きの基本です。


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