県外への引越しをすることになったとき、まず「どのように現地調査をすれば、良い物件を探すことができるのか」などと悩みます。
県外の引越しと県内(近場)の引越しで一番異なる点は、物件探しと現地調査にかかる手間です。距離が離れている上、土地勘は無いため物件情報探しに時間を費やす必要があり、現地調査をしっかりと実施しなければいけません。
そうしたとき、事前にインターネットで現地の物件情報を集めておいて、部屋探しの日に段取りよく現地調査が行えるように準備しておく必要があります。その方法を理解すれば、効率よく優れた物件をみつけられます。
そこで物件探しや現地調査を含め、県外(遠距離)への引越しで失敗しないためのコツを説明します。
もくじ
何か月前から部屋を探すべきか
県外への引越しでは土地勘のない引越し先の物件情報探しが大切なため、「早めに部屋を探すほうがいい」と考えられがちです。しかし、賃貸物件には基本的に「借押さえ」という制度がありません。そのため、部屋探しを早めに開始しすぎても誰かに契約を先越されてしまいます。
そこで、部屋探しは入居予定日の約2か月前から開始するのがベストです。この時期から、理想に叶った物件をいくつかピックアップしておきましょう。
ちなみに引越し業者との内見(不動産見学)は1ヵ月前から可能です。このときは、実際に現地に出向いて見学し、良ければ契約します。この流れを理解した上で、2か月ほど前からインターネットなどで部屋を探し始めましょう。
最初の部屋探しはインターネットでピックアップしておく
県外への部屋探しのために、わざわざ何度も現地まで出向く人は少ないです。もちろん最終的には部屋の確認が必要になるものの、最初の部屋探しはインターネットを使って、引越し予定日の2か月ほど前から開始しましょう。
例えばペットを飼っている場合は「ペット可」の物件、部屋で楽器などを使用する場合は「防音」が外せない条件としてあるはずです。
「外せない条件」がある場合、特に以下のようなアプリを使用して「住める物件」を絞り出し、そこからさらに自分に合った物件を探すのがいいでしょう。例えば、以下のアプリでは「キーワードから探す」という欄に「ペット」と打ち込みます。
以下のような感じです。
そうすることで「外せない条件」に当てはまる物件を絞り出すことができます。以下の390軒の中から、さらに自分に合った物件を探していくことができます。
またLINEやチャットを利用して、さらに細かい条件に合った物件を探すこともできます。これらの機能を利用する場合は「ペット可」など分かりやすい条件ではなく、もっと細かい質問をすることができます。
例えば、以下のようなサービスを提供している会社もあります。
この、チャット形式のアプリでも以下のように「外せない条件」は必ず先に入力して理想の物件を絞り出していきましょう。
外せない条件を入力して物件を絞るのは、どの作業でも必須だといえます。しかし、チャットならではの細やかなサービスを提供しているところも多く、「コンセントの場所」「窓からの景色」など詳しい条件や有益な情報をアプリを通して得ることができます。
私も、実際にアプリを使用したところ以下のようなチャット形式で「仕事からの帰宅途中にスーパーがある物件」について質問することができました。
このように、チャット機能を利用することでも細かく調べることができるのは魅力です。特に、他県の状況は疑問に思ってもなかなか気軽に調べられないのでこのようなサービスは便利です。
ただ、このサービスは全国的に対応しているわけではないのが難点です。
気になっている部屋周辺の情報も調べておく
また、部屋探しには周辺の情報収集も欠かせません。気になっている部屋周辺の情報もあらかじめインターネットで調べておきましょう。
このときに便利なのがGoogle Mapや地元の口コミです。どれだけ理想的な部屋に住んでも、不便な場所であると快適な生活は送りにくくなります。例えば、気になっている引越し先の周辺はGoogle Mapを利用して以下のように調べておきましょう。
周辺情報で調査しておくべき内容としては以下の所在場所があります。
- スーパーの場所
- ドラックストアの場所
- 病院の場所
- 保育園、幼稚園、小学校の場所
それでは、なぜこうした場所の調査が必要なのでしょうか。
・スーパーの場所
自炊の有無に関わらず、スーパーが近くにないと生活は非常に不便です。コンビニエンスストアで代用できる場合もありますが、コンビニエンスストアよりスーパーが近くにあったほうが便利なのは当然です。
・ドラックストアの場所
スーパーに続いて、生活必需品を安くゲットできる場所がドラックストアです。また急に風邪をひいたり、体調を崩したりしたときに近くにあると便利です。
・病院の場所
定期的に病院にかかっている人は必ず確認しましょう。クリニックや歯医者も含め、毎月診察を受けている人は「自分が受けている科がある病院が近くにないか、またその病院の口コミはどうか」もチェックしましょう。
・保育園・幼稚園、小学校の場所
子供がいる場合は保育園・幼稚園、小学校の場所は近いに越したことはありません。特に子供が幼い場合、学校が遠すぎると子供の力のみで通うことは困難です。そのため、子供がいる場合は必ず場所をチェックしましょう。
賃貸を紹介するアプリでは、対象の賃貸物件の「住みやすさ」だけをアピールしています。そのため、不動産とは関わりがない情報源も必要です。県外に引越すとなると、なかなか現地の情報が分かりません。そのため、「引越す地域の周辺がどのような環境であるのか」についての情報は、不動産や賃貸業とは関わりがないツールも活用して入手しましょう。
インターネットで集めた情報はリスト化しておく
こうしてインターネットで県外の引越し先の情報を集めたら、リスト化しておきましょう。インターネットで収集した情報は必ず現地を訪れ、実際に目で見て確かめる必要があります。
しかし、休日などに時間をとって県外に出向き、見学をしているとチェックできる時間は非常に限られてきます。そのような場合に備え、収集した情報をチェックリストに入れることで見逃し防止に役立ちます。
近場の引越しなら、何度も行き来できます。ただ遠方での賃貸契約なので、1日だけ時間を作って現地に出向くのが一般的であり、その日のうちに賃貸契約まで完了できるように準備が必要なのです。
賃貸契約の物件では、必ず現地に向かい確かめる
私の経験上ですが、インターネットを使って新居を探しているときは、とてもワクワクします。気に入った物件を「お気に入り」に登録し、何回も眺めていると、「絶対にこの物件がいい」と思うような物件に出会うこともあります。
しかし、どんなに気に入った物件があっても必ず現地調査をするようにしましょう。気に入った物件ほど現地調査は念入りに行うべきだと考えたほうがいいでしょう。
なぜなら、インターネット上で魅力的な物件は「単に写真や宣伝が上手いだけ」という現実も多々あるからです。
そんな物件に引かれて、実物を見てみるとネット上の写真とは違っていたために、いまだに空室である物件もインターネット上には溢れています。
例えば私の体験談ですが、インターネット上ではお風呂が広そうに撮ってある物件がありました。しかし実際に確認すると、お風呂は狭くて小柄な人間が一人入るのでさえ窮屈な物件がありました。
また、写真上ではキッチンが広そうに見えても、実際に確認したとき使い勝手が悪い物件もありました。そのため、気になった物件は必ず目で見て確かめ、さらには周辺の環境も見てまわりましょう。
たくさん見学できるように不動産見学の始業時の朝いちばんに予約する
県外で魅力的な物件を探すためにはスピードも大切です。県外だと、休日を利用するなどしても見学できる時間に限りがあります。
県内(近場)の引越しとは状況が異なるので、県外での引越しでは限られた時間を有効活用できるようにあらかじめの段取りが必要です。
そのため、不動産会社には始業時の朝いちばんから行動できるように予約しておきましょう。このとき、1日かけて見学できる物件数は3~4件程度です。
一般的には以下のようなスケジュールになります。
- 予約した不動産会社を始業時に尋ねる
- 不動産会社の担当者から部屋の説明を受ける
- 実際に物件の見学に行く
- 物件の設備や内容を確認する(事前に調べた部分も確認する)
- 不動産会社に戻り、今後の部屋決めについて相談する
なお引越し先が遠すぎる場合は、前泊が必要になります。このようにして、時間をかけて物件を回りましょう。不動産会社の担当者に対し、事前にインターネットで調べた物件を提示し、さらには不動産会社からのおすすめ物件まで考慮したうえで当日の物件を見学します。
妥協できる点をハッキリしておく
そうしたとき、物件を選ぶときに個々の事情によって欠かせない点があると思います。先に述べた通り、ペットを飼っている人なら「ペット可」であることが必須であったり、楽器を弾く人なら「防音」がしっかりできている物件であったりします。
しかし、あなたの理想が高いほど物件は決まりにくくなります。そこで、あらかじめ妥協できるところをハッキリさせておきましょう。
例えば、「自炊をするためコンビニエンスストアはなくてもいいので、近くにスーパーがあればいい」などです。
また、同時にインターネットで調査した点についても当日の見学で確認しましょう。他県と近場の引越しの最大の違いは、他県のときは土地勘がないために事前調査が必要である点です。しかし事前調査だけでは不十分であり、実際に目で見て確かめるようにしましょう。
これは、物件の周辺情報も同じです。インターネットの写真やGoogle Mapで確認した周囲の利便性は実際に目で見てみると異なるケースも多々あります。例えば、近くにスーパーがあるから便利と思っていても、規模の小さいショボいスーパーであることは多いです。
県外の引越しの賃貸契約で必要なもの
ただ、せっかく物件を決めても、契約を締結しなければ借押さえはできません。そのため、他の人に先を越されてしまいます。物件選びには慎重になるべきですが、住む物件を決めたら契約は早めに済ませましょう。
県外や県内(近場)に限らず、賃貸の契約に差はほぼありません。引越し先が決まったら、賃貸の契約を締結するために一般的に以下の物が必要になります。
- 身分証明書(免許証や保険証のコピー)
- 住民票(家族全員)
- 印鑑・印鑑証明書
- 連帯保証人の書類
- 連帯保証人の承諾書
このうち、印鑑証明書の取得に必要な印鑑や身分証明書は事前に準備しておく必要があります。他の市区町村へ引越す際には、印鑑登録のやり直しが必要になります。
なお人によっては引越しのとき、事情によって先に住民票の転居届を出してしまうことがあります。ただ、転居届の提出と同時に印鑑登録が抹消されるため、先に印鑑登録証明書を取得しなければいけません。
印鑑登録証明書が必要なことを理解していないと、引越し先で住民登録した後でしか印鑑登録証明書を発行できず、面倒なことになります。
他県・遠方への引越しは事前の下調べにかかっている
他県への引越しと県内(近場)の引越しの最大の違いは引越し前の十分な下調べの有無です。そこで、事前に見に行く物件を正しい方法で調べ、魅力的な物件を絞り込むようにしましょう。
当然ながら、他県への引越しで理想の物件を何10件も見て周るのは不可能です。また物件の周辺情報は、インターネットを最大限に活用し、口コミサイトやGoogle Mapを利用しましょう。
そうして、実際に物件を自分の目で見ることで、優れた賃貸物件かどうか確認できます。また、不動産会社のおすすめ物件についても、プロの意見を取り入れながら参考にしましょう。
遠方への引越しでは、事前に考慮すべきポイントが存在します。これらを理解すれば、他県の物件選びで失敗することを避けられます。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術
引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。
また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由
多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。