一人暮らしを始めるために多額の費用がかかることは明白です。ただ学生や社会人などで一人暮らし未経験の人だと、実際にどれくらいのお金が必要か想像つかないでしょう。
また一人暮らしを始めると、家賃や光熱費、通信費などの固定費が発生する上に、食費や日用品費用などにもお金がかかります。そのため、一人暮らしの初期費用はなるべく抑えたいところです。
それでは、一人暮らしを始めるためにはどれくらいのお金が必要なのでしょうか? また引越しの初期費用を抑えるためには、どのようにしたらいいのでしょうか?
ここでは、一人暮らしを始めるために必要な費用と引越しの初期費用を抑えるコツについて解説していきます。
もくじ
一人暮らしの引越しでかかる初期費用の相場・目安
引越しをする際には、引越し業者を利用して荷物を運搬するのが基本です。このとき一人暮らし未経験の人の中には「引越し業者の利用には、15~20万円以上の費用がかかる」と思っている人が多いです。
ただ一般的な単身引越しだと、引越し業者の利用料金はそれほど高くありません。荷物の量が少ないためです。具体的な単身引越しの価格相場は以下のようになります。
近距離(50km以内) | 中距離(200km以内) | 長距離(500km以内) | |
閑散期 | 3~4万円 | 4~5万円 | 5~6万円 |
繁忙期(3~4月) | 5~6万円 | 7~8万円 | 9~10万円 |
このように閑散期の近距離引越しであれば、3~4万円を目安で引越しすることができます。また繁忙期の長距離引越しであっても、単身だと10万円以下で抑えられるケースがほとんどです。引越し荷物の運搬費用は、それほど高くないのです。
賃貸物件の契約時には家賃の5倍以上のお金が必要
ただ一方で、一人暮らしを始める際の初期費用では、賃貸物件の契約など「荷物の運搬以外の費用」が高額になりやすいです。
例えば賃貸物件の契約に敷金・礼金の支払いが生じることは有名です。これらはそれぞれ家賃1ヶ月分が基本であるため、「家賃3ヶ月分のお金を用意すれば、賃貸物件を契約できる」と思っている人は多いです。
ただ、このような認識で一人暮らしの初期費用を算段すると、準備金が足りなくなる可能性が非常に高いです。賃貸物件の契約には、敷金・礼金以外にも支払わなければならない初期費用項目があるためです。
具体的にいうと、賃貸物件を契約する際には少なくとも以下の費用がかかります。
- 敷金(家賃1~2ヶ月分)
- 礼金(家賃1~2ヶ月分)
- 仲介手数料(家賃1ヶ月分)
- 前家賃(家賃1~2ヶ月分)
- 火災保険料(1万円未満)
これに加えて、賃貸物件や仲介する不動産業者などによっては鍵交換費や物件のクリーニング費用などが発生するケースがあります。また基本的に賃貸物件の契約には保証人が必要ですが、保証人を立てられない場合、保証会社の契約料金がかかります。
このように、賃貸物件の契約には敷金・礼金以外にもさまざまな支払い項目があります。そのため賃貸物件の契約では、家賃の5倍ほどの初期費用がかかるのが普通です。
新品の家電一式の購入には数十万円かかる
また一人暮らしを始める際、寝具や収納、食器などは実家から自分の持ち物を運び入れることができます。そのため欲を出さなければ、家具などの費用はそれほどかかりません。
一方で実家暮らしだと、自分専用の生活家電はほとんどそろっていません。そのため一人暮らしを始める際には、家電一式をそろえる費用が必要となります。
具体的な家電を挙げると、冷蔵庫やレンジ、洗濯機は用意するのが基本です。また、炊飯器やトースター、掃除機も持っていた方がいいでしょう。炊飯器・トースターがあれば自炊で食費を抑えることができますし、掃除機があればカーペットやソファなどの掃除が簡単です。
またテレビを設置するのは普通ですし、人によってはテレビ番組を録画できるレコーダーが欲しいと考えるケースもあります。
これらをすべて新品でそろえると、安くても数十万円はかかります。一人暮らしを始める際には、家電一式をそろえるために多くの費用がかかるのです。
一人暮らしの初期費用を抑えるコツ
ただ、このようにさまざまな一人暮らしの初期費用は、工夫次第で節約することが可能です。例えば引越し業者の利用料金は、複数の業者に見積もりを依頼するだけで減額できます。
引越し業者からしてみれば、引越しの依頼が入らなければ売り上げが立ちません。そのため複数の業者に見積もりを依頼すると、他社に契約を取られないように引越し料金を値下げして自社を選んでもらおうと努力します。
実際、引越し業者の訪問見積もりを受けると、営業スタッフから必ず「他の業者の見積もりを受けているか」と尋ねられます。このとき、他業者の見積もり日程や見積もり金額を伝えると、見積もり当初よりも安い金額を提示されるケースがほとんどです。
参考までに私が過去に10kmほどの距離で単身引越しをしたとき、引越し業者の見積もりを複数社に依頼したことで、相場よりかなり安い金額である2万円ほどで契約することができました。
そのため引越しする際には必ず複数社から見積もりをもらい、値段が安かったり条件が良かったりする引越し業者を選びましょう。
なお単身引越しであっても、荷物が多いと引越し料金が高くなります。荷物の運搬のためにトラックのサイズを大きくしなければならないためです。
そのため引越し費用を抑えたいのであれば、断捨離を実行して新居に運ぶ荷物を少なくすることも大切です。
近距離で自力や赤帽での引越しで節約可能か?
このとき中には、一人暮らしにかかる初期費用を節約するために、自分で荷物を運んだり赤帽などの個人事業者を利用したりすることを検討する人がいるでしょう。
確かに近距離の単身引越しであれば、自力や赤帽などによって引越し費用を抑えることができます。具体的な費用は、車のレンタル費用や梱包資材などを含めて合計で1万5,000円~2万円ほどが目安となります。
ただ赤帽だと、高速道路の利用料金や作業代が必要になります。そのため距離が長くなったり作業に時間がかかったりする引越しでは、引越し業者よりも赤帽の方が高額になりやすいです。
また自力引越しであっても、長距離になるとガソリン代や高速料金などで引越し費用が高くなります。また引越しに時間がかかると、その分だけ車(軽トラなど)のレンタル料金が高くなるため、引越し業者を利用した場合と同程度の費用がかかるケースが多いです。
そのため自力や赤帽での引越しは、短距離で荷物の少ない単身引越しでは費用を節約できるものの、中距離または長距離の引越しでは費用が安くならないことを覚えておきましょう。
敷金礼金なしの物件を選び、初期費用の減額交渉を行う
また賃貸物件の契約費用も、初期費用の安い物件や不動産業者を選ぶことで節約が可能です。
例えば賃貸物件の契約費用のうち、礼金は賃貸物件によって金額が大きく異なる項目です。例えば以下は、不動産業者のインターネットサイトに掲載されている物件情報です。
この物件を契約するためには、合計で家賃2ヶ月分の敷金・礼金が必要となります。これに対して以下は、同じ地域にある物件の情報です。
この物件だと、敷金礼金なしで契約することが可能です。このような物件を選べば、一人暮らしの初期費用を大きく抑えることができます。
また基本的に、不動産業者を利用して賃貸物件を契約すると家賃1ヶ月分の仲介手数料が発生します。ただ中には、仲介手数料を半額や無料にしている業者もあります。このような不動産業者を利用すると、初期費用のうち家賃半月~1ヶ月分を浮かせることができます。
そのため一人暮らしの初期費用を抑えたいのであれば、仲介手数料や礼金などの初期費用が安い不動産業者・物件を中心に部屋探しを行いましょう。
契約費用の内訳を確認して値下げ交渉する
また賃貸物件の契約にかかる初期費用は、値下げ交渉が可能です。特に礼金は、契約の意思を伝えればゼロにできるケースがよくあります。
オーナーからしてみれば、礼金をゼロにしたとしても、持ち物件に入居してくれれば安定した収入を得られます。そのため、ほとんどの物件では「礼金なしであれば、この物件を契約したい」と伝えることで礼金の値下げを実現できます。
また物件の契約費用のうち、鍵交換費や消毒費などは必須契約ではありません。そのため賃貸物件を契約する際には契約書などを確認し、その他費用の項目にこれらの項目が計上されていたら、不要であることを伝えて費用を節約しましょう。
例えば私の場合、以下のメールが来たときに鍵交換費用を拒否することで、42,000円を浮かせることができました。
これに加えて、物件の空き状況やオーナーの意向などによっては、前家賃の一部を無料にしてくれるケースがあります。例えば月半ばで入居が決まった場合、本来であれば日割りで発生する家賃をサービスしてくれます。
このような値下げ交渉は、入居希望者が少ない閑散期ほど成功しやすくなります。そのため可能であれば、3~4月の引越し繁忙期を避けて物件を探すといいです。新卒学生や新社会人など3~4月を避けられない場合は無理ですが、そうでない場合は可能です。
年式・機能にこだわらず、家電セット・中古品を買う
なお、初めての一人暮らしで自分のための家電を選ぶとなると、高機能・おしゃれな新品の家電が欲しくなります。確かに新しめの家電は省エネであり、魅力的な機能がついているものが多いです。
ただ一般的に、家電は機能やデザインなどの付加価値が多くなるほど値段が高くなります。例えば以下は、「焼き立てのパンが楽しめる」という付加価値が付いた高機能トースターです。
一般的なトースターが2,000~3,000円であるのに対して、このトースターの値段は2万5,850円と10倍近く高額です。家電選びにこだわると、一人暮らしの初期費用がかなり高くなるのです。
また一人暮らしだと、省エネ・高機能の新品家電を買う恩恵は低いです。まず、仕事や学業などで家を空けている時間が長いと、省エネ家電による生活費の節約効果が低いです。
また在宅時間が短いと、家電を使う機会そのものが少なくなります。特に、一人暮らしを始めた直後は一人で生活することに慣れていないため、高機能家電を使いこなす余裕がないケースが多いです。
そのため一人暮らしの初期費用を抑えたいのであれば、年式や機能などにこだわらず、必要最低限の機能を持つ家電を選ぶようにしましょう。その上で、一人で暮らすことに慣れて経済的に安定してきたら、少しずつ家電を買い替えていくことをおすすめします。
このとき新生活シーズンだと、家電量販店やホームセンターなどに「一人暮らし用の家電セット」が売られています。このような家電は特別便利な家電ではないですが、一人暮らしするには十分な機能を備えています。
家電セットを買うと、それぞれを単品で買うよりも費用が安く済みます。そのため一人暮らしの家電費用を抑えたいのであれば、家電セットを購入するといいです。
また予算によっては、家電を中古品でそろえることも視野に入れましょう。中古の家電は新品よりもエネルギー効率が低く機能も劣りますが、前述のように一人暮らしであればそれほど問題はありません。
また一般的なリサイクルショップは状態の良い家電しか買取していないため、購入後すぐに壊れる心配も低いです。いずれにせよ、一人暮らしの初期費用を抑えたいのであれば、家電の年式・機能にはこだわらないことが大切です。
一人暮らしの初期費用を払えない場合の対処法
なお当然ながら、初期費用を用意できないと一人暮らしを始めることはできません。ただ中には、就職や入学などで期日までに引越ししなければならない人もいるでしょう。
それでは、引越ししなければならない事情があるにも関わらず、一人暮らしの初期費用を準備できない場合はどのようにしたらいいのでしょうか。
賃貸費用は出さなければいけないものの、それ以外については、布団など「寝るための道具だけ送る、または買う」ようにしましょう。例えば以下は、ヤマト運輸を利用して北海道から東京へ荷物を送るときの料金表です。
このようにもっとも大きい160サイズ(3辺の合計が160cm未満の荷物)であっても、2,510円で送ることができます。そのため布団など生活に必要な最低限の物だけであれば、引越し運搬費用は数千円で済みます。
家電購入にこだわらなければ費用を浮かせられる
また家具・家電に関しても、工夫次第で買わずに暮らしていくことは可能です。
参考までに、私が初めて一人暮らしを開始したとき、予算がかなり少ない状態で引越ししなければなりませんでした。引越しと同時に家電を買いそろえる余裕がなかったので、実家から持ってきたカセットコンロと数千円で購入した中古の電子レンジだけで一人暮らしを始めました。
このとき、私は仕事や友人との約束などで家にいないことが多かったため、生活家電がなくても不便を感じませんでした。家にいるときの食事は総菜やレトルトで済ませ、洗濯物は休みの日にまとめてコインランドリーで洗えば問題ありませんでした。
その後、会社の同僚から不要な家電製品を少しずつもらい、半年後には一般的な家電をすべてそろえることができました。一人暮らしであれば、家電をそろえなくても生活可能なのです。
当然ながら、お金があるのにあえて家電なしで生活する必要はありません。ただ、引越し予算が少ないのであれば、家電の購入を見送ることを視野に入れるといいです。
なお新品へのこだわりがないのであれば、コミュニティサイトや地域のリサイクル掲示板などで、家電を無料で譲ってくれる人を探す手段もあります。実際に以下は、大手の地域コミュニティサイトです。
このように、コミュニティサイトには洗濯機などの生活家電を無料で譲っている人がいます。家電は捨てる際にお金と手間がかかるため、「無料でもいいから誰かにもらってほしい」と考える人は多いのです。
特に3~4月の新生活シーズンでは、引越し荷物を減らすために不要な家具・家電を早急に処分したい人が増えます。そのためこの時期には、無料での家具・家電の出品が多くなります。
このようなリサイクルシステムを活用すれば、家具・家電を無料で手に入れられる可能性があります。基本的に古い物が多いですが、一人暮らし開始後、資金に余裕が出れば買い替えるといいです。
どうしても必要な初期費用は親から借りる
一方で物件の契約費用などは、安く抑えることはできるもののゼロにはできない必要経費です。これを用意できなければ、住む家を確保できないため一人暮らしを始めることは不可能です。
このような場合、まずは親に初期費用を借りることを検討しましょう。特に新社会人の場合、遠方への就職で入居先を確保できないと勤務先へ通うことができません。そうなると、仕事を失ってしまうことになります。
このような状況は、親としても避けたい事態です。そのため就職先が遠方の場合、相談すれば引越し費用の援助をしてくれるケースがほとんどです。
ただこのとき、学生時代にバイトをしていたり既に社会人であったりする場合、引越し費用を捻出できない状況が「無計画である」と思われてもおかしくありません。そのため、親であってもお金を返す意思を見せることが大切です。
単身引越し費用の相場・目安を知り、安く引越す
一人暮らしを始めるためには多くのお金が必要です。引越に伴う荷物の運搬料金だけでなく、家賃5ヶ月分の契約費用や家具・家電の購入費用がかかります。引越での一般的な費用相場・目安は高額なのです。
ただ、一人暮らしの初期費用は工夫次第で節約が可能です。敷金礼金や仲介手数料のかからない物件を選べば家賃の2~3ヶ月分が浮きますし、交渉次第で前家賃を減額してくれるケースもあります。家電も、年式や機能にこだわらなければ購入費用を大きく抑えることができます。
引越し業者の費用にしても、複数の業者に見積もりを依頼するだけで減額が可能です。利用する業者や時期などによっては、相場よりもかなり安い金額で引越しできるケースもあります。
そのため一人暮らし開始の予算が足りない場合は、まずは初期費用の節約方法を実践してみましょう。その上で、どうしても費用が足りないときに親に借りることを検討するのが正しい考え方です。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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