近距離の引越しをすることがあれば、県外を含め遠方への引越しをすることもあります。近場の引越しであると楽ですが、遠い場所への引越しとなると準備するべき項目が必然的に多くなります。また、引越し代金も高額になりやすいです。
それでは、県外への引越しをするときはどのような準備をすればいいのでしょうか。
ここでは、県外へ引越しをするときにやるべきことや役所手続き、費用相場についても確認していきます。
もくじ
役所手続きは意外と面倒
同じ市内(区内)で引越しをする場合、役所(市役所、区役所など)で行う手続きは比較的少ないです。書類を提出するにしても、管轄している一つの役所内で書類を出せばいいだけであったり、書類の提出すら必要ない場面があったりします。
一方で県外となると、必然的に別の市役所(区役所)の管轄へ移動することになります。そうなると、役所で行うべき作業が多くなります。面倒なのは、「旧居と新居でそれぞれ手続きが発生する作業」が存在することです。
そのため、遠方へ引越しをする場合はどのような作業が必要になるのか事前に理解しておかなければいけません。
なお、引越しでは「郵便局での転送設定」「ライフライン(電気・ガス・水道)の手続き」「子供がいる場合は転校手続き」など、必要な手続きが存在します。ただ、引越しですることの中でも、以下では一般的なことではなく県外への引越しで必要な手続きについて確認していきます。
住民票を移動させるケース:住所変更
引越しをするとき、最初に考えるのは住所変更です。つまり、住民票を移すことがあります。教科書的なことをいえば、引越しに伴って住民票を移さなければいけません。しかし、実際のところ住民票を移さない人は多いです。郵便物などを管理してくれる人物が実家や持ち家にいる場合、何とかなるからです。
「大学生になるため、引越しをする」「転勤で引越しをする」など、数年で再び引越しをすることが分かっている場合、実家や持ち家に住民票を置いたままにしておく人が大多数です。
これは結婚の場面でも同様であり、私は既婚者ですが、私と妻の両方とも結婚して何年も住民票の住所は別々でした。一緒に住んでいて籍は入れているものの、住民票は違う場所にある状態だったのです。ただ、これで困ったことはありません。
住民票を移動させる場合、印鑑を新たに登録したり、運転免許証の住所を更新したりする必要があります。非常に面倒であるため、できるだけ住民票は移動させないようにしましょう。面倒な手続きが増えるだけです。
ただ、「子供の関係で住民票を移さないといけない」「持ち家を新たに購入した」などの場合は住民票を移す必要があります。しかし、それ以外では住民票の移動手続きをしない方が適切です。
・住民票の移動手続き
なお、県外への引越しによって住民票を移動させる場合、旧居と新居の役所で手続きが必要になります(教科書的に考えた場合、県外への引越しではもちろんですが、県内への引越しでも市町村が変われば住民票の移動は発生します)。まず、旧居の市役所や区役所などへ出向き、転出届を提出するようにしましょう。
役所の窓口には、必ず以下のように転出届が置かれてあります。わからなければ、役所の窓口の人に聞けば問題ありません。引越しの2週間以内で提出できます。
その後、引越しをして2週間以内に新居の役所で転入届を出します。転入届を出した時点で住所変更が完了され、住民票が新住所に移るようになります。
基本的に住民税は住民票のある場所で払います。住民票をそのままにする場合、旧居の市区町村や県へ税金を払うことになるのです。一方で住民票を移した場合、次回からは新居の住所を管轄する役所から住民税(市民税、県民税など)の催促が来るようになります。
住民票の移動に伴い、発生する作業
住所変更すると面倒な作業をたくさんしなければいけません。そのため、前述の通り住所変更しないことをおすすめします。特に役所は土日が閉まっていることがほとんどであり、仕事のある人は平日に手続きをする必要があります。
ただ、それでも住民票を移動させたとき、住所変更に伴って発生する「やること」について確認していきます。
・運転免許証の更新
運転免許証には住所が書かれています。この住所は住民票に記載されている住所になります。住所変更した場合、運転免許証を更新しなければいけません。
警察署または運転免許センターへ出向き、住所変更を済ませるようにしましょう。
・国民健康保険証
サラリーマンであれば関係ないですが、個人事業主やフリーター、無職などであると、国民健康保険証をもつことになります。ここには、住民票の住所が書かれています。
住所変更する場合、国民健康保険証を更新しなければいけません。そのため、住民票を移した後に役所で手続きをするようにしましょう。
以下のように、国民健康保険証の手続きが可能な窓口へ出向くといいです。注意点として、国民健康保険証は旧居と新居のそれぞれ2つの役所で手続きが必要なことがあります。
ちなみに、住民票の移動がない場合は国民健康保険証の手続きは不要です。
・国民年金
国民健康保険証とは異なり、国民年金の手続きについては「新居の役所」だけで問題ありません。県外へ引越しをして住民票を移した場合、自営業の人は国民年金の手続きを役所で行うようにしましょう。
・印鑑登録、マイナンバーなどその他手続き
住民票を移動させた場合、自動的に印鑑登録が抹消されます。そのため、同時に印鑑登録を同じ役所で済ませておくようにしましょう。印鑑登録証明書を利用する場面はそこまで多くありませんが、早めに登録を済ませておくと後で困ることがありません。
また、マイナンバーの住所変更も必要です。裏面に新住所を記載してもらうように手続きが必要になります。
・車庫証明、車のナンバープレート
自動車を保有している場合、車庫証明を変えたり、車のナンバープレートを交換したりします。この作業は非常に面倒ですが、警察や陸運局で手続きが必要になります。
キモは住民票の移動にある
県外に引越しをするからといって、実は特別な作業が発生するわけではありません。このときのキモも住所変更をするかどうかにあります。
住民票を移動させる場合、上記に挙げた項目を一つずつ行う必要があります。基本は平日での作業なので、仕事がある人は大変です。しかし、住民票を移さない場合はこれらの作業が不要なのでライフライン(電気・ガス・水道)の整備や郵送設定など、必要最低限の作業だけで大丈夫です。
子供がいるので住民票の移動が必要など、どうしても住民票の移動が必要なときだけ住所変更するようにしましょう。そうでない場合、県外への引越しであっても住民票を移す必要はありません。面倒な作業が増えるだけです。
結婚の場面であっても住民票の移動が必要ないことを考えると、県外への引越しで住所変更をする場面は意外と少ないです。
県外へ引越しをするときの料金相場
県外・遠方へ引越しをするとなると、一般的には遠距離での引越しとなります。県外であっても近距離引越しになるケースはあるものの、ここでは遠距離引越しを考え料金相場を考えていきます。当然、長距離の引越しであると、一人暮らしの単身引越しであっても料金相場は高めになります。
近距離であると、旧居から新居への引越しは一日で完了します。一方で遠距離引越しであると、2日以上に分けて作業をしなければいけません。「旧居の荷物をトラックに詰め込む」「新居で荷物を降ろす」という作業を2日に分けるのです。
日数が必要なのでその分だけ人件費がかかりますし、ガソリン代や高速道路代も必要になります。一般的には、以下のように料金が上がっていきます。
・近距離(50km以内)の引越しを依頼した場合の価格相場
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 2人 | 3人 | 4人 |
部屋サイズ | ワンルーム~1K | 1LDK~2LDK | 2LDK~3LDK | 3LDK |
閑散期 | 3~4万円 | 6~7万円 | 8~9万円 | 10~12万円 |
繁忙期 | 5~6万円 | 8~10万円 | 11~13万円 | 14~17万円 |
・中距離(200km)の引越しを依頼した場合の価格相場
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 2人 | 3人 | 4人 |
部屋サイズ | ワンルーム~1K | 1LDK~2LDK | 2LDK~3LDK | 3LDK |
閑散期 | 4~5万円 | 8~9万円 | 11~13万円 | 15~17万円 |
繁忙期 | 7~8万円 | 10~12万円 | 15~18万円 | 21~24万円 |
・遠距離(500km)の引越しを依頼した場合の価格相場
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 2人 | 3人 | 4人 |
部屋サイズ | ワンルーム~1K | 1LDK~2LDK | 2LDK~3LDK | 3LDK |
閑散期 | 5~6万円 | 10~11万円 | 13~15万円 | 17~20万円 |
繁忙期 | 9~10万円 | 12~14万円 | 19~22万円 | 27~30万円 |
※繁忙期は3~4月です。
「東京-大阪:約500km」「東京-名古屋:約350km」「大阪-名古屋:約200km」が目安となります。もちろん、単身ではなく家族での引越しなどで荷物の量が増えると、値段は高くなります。
県外への引越しであると、中には近距離引越し(50km)もあるものの、一般的には中距離や長距離での引越しになります。そのため、これだけの費用が必要になると考えてください。
長い距離の引越しで重要な業者選び
これから県外へ引越しをするのであれば、引越し業者選びを慎重に考えなければいけません。距離が遠く値段相場も高いことから、より格安で引越しを実現するためにも安い金額で引越し可能な業者を選ぶ必要があります。
安い引越しを実現するとき、まずは平日での引越しを検討するようにしましょう。
県外で遠方への引越しとなると、前述の通り引越し日数は2日にわたります。この場合、たとえ会社勤めのサラリーマンであったとしても、転勤での引越しであれば平日での作業について理解してもらえるはずです。
有給休暇を取ってもいいので、平日に引越し作業をすればそれだけでかなりの金額を節約できます。休日よりも、平日の方が引越し料金は安いからです。一人暮らしの単身引越しであったとしても、平日を指定することで1万円以上は安くなるのが普通です。
役所での手続きは平日が基本ですし、引越し作業が完了した後(または作業前)に同時に役所での手続きも済ませておくと効率的です。
これに加えて、見積もりをもらうときは複数業者に依頼するようにしましょう。いくつもの業者に見積もりをもらい、金額を競わせることで適正価格での引越しを実現できます。業者によっては、荷物量が少ない場合は単身パックを利用した格安引越しを提案してくれることもあります。
県外への引越しでは料金相場が高いからこそ、格安引越しを実現するために一括見積もりなどを活用し、安い金額での引越しを考える必要があります。
県外引越しの流れや手順を理解する
ここまで、県外など遠距離へ引越しをするときの流れや手順、やることについて確認してきました。
県外へ引越しをするとなると、役所手続きが非常に多いように思います。ただ、住民票の変更をしない場合、市役所や区役所などでの手続きはほとんどありません。
ただ、遠方への引越しに関わらず住民票を移す場合は非常に煩雑な作業が待ち構えています。県外へ引越しをするとき、ポイントは「住所変更をするかどうか」にあります。住民票の移動は非常に面倒なので、この点を十分に理解したうえで役所での手続きを進めるようにしましょう。
また、格安で引越しをする方法についても確認してきました。引越し日を平日にしたり、複数業者に見積もりを依頼したりするだけでも安い引越しが可能になります。これらを理解したうえで、県外への引越しをするといいです。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術
引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。
また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由
多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。