引越しをするとき、いま住んでいる家が賃貸マンション・アパートである場合、必ず解約をしなければいけません。ただ、解約の手順や期間を間違えると二重家賃(ダブル家賃)が発生してしまうことがあります。

過去には、私も引越しのときにミスをして二重家賃が発生してしまい、ある月だけ賃料が異常に高くなってしまった経験があります。

そうならないためにも、住み替えで二重家賃が発生しないように引越しをする前には適切な手続きを取るようにしなければいけません。そのために必要な賃貸契約の見方や部屋探しのタイミング・期間について確認していきます。

住み替えで二重家賃が発生する理由

そもそも住み替えによって、なぜ二重で家賃がかかってくるのでしょうか。これは、不動産の賃貸マンションやアパートを解約するとき、「1ヵ月前など事前に解約することを通知する」などのルールがあるからです。

賃貸契約するとき、必ず契約書(賃貸借契約書)を結んでいるはずです。そこには、解約するためには何ヵ月前までに連絡しなければいけないのか明記されています。

例えば、退去の1ヵ月前までには解約通知しなければいけなかったとします。ここで、4/1から新社会人として働く大学生が3/31に退去するため、当日の3/31に大家へ解約の申し出をするとします。

しかし、契約書には1ヵ月前までの事前通告が必要だと明記されているため、3/31に部屋の解約の申し出をした場合、翌月4月分の賃料を支払う義務があります。必ず契約書の内容に沿う必要があり、支払わないという選択はできないため、たとえ4月に住む予定がなかったとしても家賃支払いが必要になります。

引越しをして4/1からは別の場所(新居)に住むことになるため、4月はダブルで家賃がのしかかってきます。このような状態が二重家賃です。

・事前に引越しを申し出ていないことが最大の原因

二重家賃が発生する一番の理由は「引越しをすることが決まっているものの、いま住んでいる家の大家や管理会社へ連絡していなかった」ことにあります。

既に退去することが決まっており、引越しを先延ばしにできないケースがあります。そうしたとき、早めに大家へ連絡しなければ二重支払いになってしまいます。

引越し手順を間違えると二重家賃となる

ただ、大家へ引越しのことを事前に伝えなければいけないことを理解していたとしても、二重家賃となることは多いです。これは、先に物件探しをしたときに発生します。

結婚や転職、転勤などにより、急に引越しが必要になることは多いです。そのとき、最初にどのような手順で新居を探すでしょうか。

多くの人は最初に賃貸不動産業者に連絡して、どの物件に住むのがいいか探し始めると思います。ただ、最初に賃貸マンションを探してしまうと、ダブル家賃の発生リスクが非常に高まります。

そうではなく、「大家や管理会社へ連絡して退去日(引越し日)を決め、その後に借りる不動産を探す」という流れにするといいです。つまり、「新居を探す → 引越し日を決める」ではなく、「大家へ連絡して退去日(引越し日)を決める → 新居を探す」という順番になります。

なぜ、こうした流れにする必要があるのかというと、一般的に賃貸物件は契約日から日割り計算で賃料が発生するからです。

契約した日から、日割り計算での家賃発生が一般的

解約時、旧居は1ヵ月前など事前通告が必要になるものの、新居を契約して新たに住む場合、契約日から日割り計算で家賃が発生してしまうのが普通です。その結果、住み替えのタイミングで二重家賃となります。

例えば、引越しをすることが決まって賃貸不動産の仲介会社を介して新居を探し、気に入った物件を見つけることができたとします。このときは一週間ほどの「あなたの信用調査」などの審査期間が必要になります。

その後に契約となりますが、「審査が通って無事新居が決まり、確実に気にいた物件へ入居できるとわかった状態でいま住んでいる不動産へ連絡する」となると、二重家賃のリスクがあります。

新居への入居(契約)を1ヵ月ほど待ってくれるのであればいいですが、「契約(家賃支払い)を待つのは審査後2週間まで」などのように縛りがあることはよくあります。

申し込みをして、例えば5/1に新居の審査が降りたとします。そのあとすぐ、同じ日の5/1にいま住んでいる賃貸アパートの管理会社へ電話して解約することを伝えた場合、1ヵ月は解約できないので退去予定日は6/1になります。

ただ、新居の大家または管理会社から「私の物件では審査が通って2週間以内(この場合は5/15まで)に契約・家賃支払いというルールになっている」といわれることがあるのです。その場合、5/15~5/31までは二重家賃となります。

このように、先に不動産の賃貸仲介会社に頼んでマンション・アパートを探すとダブル家賃となることがあるのです。なお、今回の場合、入居日は5/15~6/1であればいつでも問題ありません。旧居、新居ともに家賃を支払っているからです。

住み替えで私が二重家賃を支払うことになった経緯

冒頭で述べた通り、過去には私も二重家賃となってしまったことがあります。このとき、まさに最初に新居の賃貸物件を決め、その後にいま住んでいる賃貸マンションに解約の申し出をしたケースでした。

解約をするとき、家賃支払いの縛りは一般的に1ヵ月ですが、中には「2ヵ月前や3ヵ月前に申し出なければいけない」と契約書に書かれているケースがあります。私がこのケースでした。

「途中解約では何ヵ月前までに通知しなければならない」というのは、契約書に書かれています。私の場合、以下のように2ヵ月前までの通告が必要でした。つまり、どのように頑張ってもあと2ヵ月は賃料が発生してしまいます。

ただ、これから住む賃貸物件を見つけており、既に申し込みもしています。そこで賃貸不動産の仲介会社に確認したところ、「新居の家賃支払いを先延ばしにすることは可能だが、最大でも1ヵ月先までです」といわれました。

そこを何とか頼み込み、40日先まで支払いを伸ばしてもらうことに成功しました。しかし、「60日(約2ヵ月) - 40日(支払いを待ってもらえる日数) = 20日」はダブル家賃となります。私の場合、20日も二重家賃を発生させてしまったのです。

こうした経験から、いまでは必ず先に退去日を決めて、そこから逆算して引越しするようにしています。

すぐに入居可能な物件だと二重家賃が発生しやすい

私の場合、新居を決めるときは必ず内見(ないけん)をするようにしています。つまり、どのような部屋なのか事前に確認しておくのです。自分が住む部屋であるため、内見しなければ使い勝手がわからないからです。

もし、内見をせずに入居を決めて契約してしまった場合、後になって使い勝手が悪かったり騒音があったりしては後悔します。それを避けるための内見をします。

ただ、内見できる物件というのは、いま現在住んでいる人がいないことを意味します。つまり、すぐに入居可能な物件だといえます。

こうした物件の場合、新居の不動産オーナーとしては「早めに住んでもらって家賃を素早く受け取りたい」と考えるのが普通です。もし、入居まで長引くのであれば、すぐに住んでくれる他の人を受け入れた方がいいです。そのため、申し込みをした後は長くても1ヵ月ほどしか待ってくれないのです。

基本的には内見をするべきですが、「内見可能な物件=いますぐ入居可能な賃貸不動産」となるので二重家賃の発生リスクが非常に高くなることは理解しておくといいです。

二重家賃を回避するための対処法

先に新居となる賃貸不動産を決め、その後に入居日(引越しする日)を決める人は多いです。ただ、このケースだと二重家賃のリスクが大きいです。

二重家賃を回避して1円でも無駄なお金を支払いたくない場合、この順番を逆にする必要があります。既に述べた通り、先に旧居の退去日を決め、その後に新居を決めるようにするのです。

もちろん、先に退去日を決めるのは不安があると思います。退去を申し出た場合、基本的には取り消すことができません。大家によっては柔軟に対応してくれることもありますが、退去を告げると大家や管理会社は次の宿主を探す手続きに入るので取り消しが難しくなるのです。

ただ、二重家賃を回避するためには、先に引越しすることをいまの大家・管理会社へ告げて先に退去日を決定してしまうのが確実です。いつまでに解約を申し出るべきなのかというと、契約内容にもよりますが遅くても引越しをする1ヵ月前だといえます。

もし、先に部屋探しをして入居日を決めた後(入居の審査が通った後)に解約を申し出たい場合、ダブル家賃となるリスクがあることは覚悟する必要があります。

しかし、実際のところ「新居を決める → いま住んでいる不動産の解約を申し出て入居日(退去日)を決める」というケースは多いです。そうしたとき、少しでも二重家賃を少なくする方法や交渉術について確認していきます。

申し込むときに賃料発生日を遅らせるよう交渉する

最も簡単な方法としては、新居へ申し込むときに賃料発生の日をできるだけ遅らせてもらうことがあげられます。

新居を探すとき、よほどのことがない限りは賃貸不動産の仲介会社にお願いすることになります。仲介会社は基本的にあなたの味方であり、大家や管理会社との交渉をすべて引き受けてくれます。そこで、仲介会社の営業マンに賃料発生日を遅らせてもらうように交渉してもらいましょう。

仲介会社の人が関わるのは、新居を決めてあなたが入居するまでになります。あなたの代わりに交渉してくれるため、フル活用するといいです。

もちろん、賃料発生日を遅らせるように交渉するためには、いま住んでいる賃貸物件の退去日(いつまで契約が残っており、いつから家賃支払いが必要なくなるのか)に関して事前に把握しておく必要があります。

そのため、審査が通って問題なく新居に住めるとわかった時点で、現在住んでいる物件の大家・管理会社へ電話し、いつまでの家賃支払いが必要であるのか確認しましょう。このときは賃貸契約書を確認しても問題ありません。その後、すぐに新居の仲介会社へ連絡して、賃料発生日を遅らせる交渉に入るのです。

前述の通り、私はこの方法で賃料発生を10日遅らせることができました。日割り計算で家賃が発生するため、10日遅らせるだけでもその額は大きいです。

完成が先の新築物件やまだ入居者のいる物件を探す

完成が先の新築物件であれば、まだ工事中の段階から入居者を募集しているのが普通です。この場合、住むことを決めたとしても実際の入居日は何ヵ月も先になります。かなり先の入居日になるため、余裕をもっていま住んでいる不動産を解約でき、二重家賃をゼロにすることができます。

同じことは、まだ入居者のいる物件についても同様です。入居者がまだいるものの、いま住んでいる人が引っ越す予定であるとき、先に入居募集をかけておくのが普通です。

この場合についても、実際の入居日はかなり先になるため余裕をもって旧居の解約が可能になります。

ただ、この方法には大きなデメリットがあります。それは、内見できないという点です。部屋探しのとき、事前に賃貸物件の部屋を見ることができず、外観しか見ることができないのです。入居初日に後悔することもあり、あまりお勧めできる方法ではありません。

フリーレント物件を探す

場合によっては、フリーレント物件という方法もあります。フリーレント物件とは、1~3ヵ月ほどの家賃が無料になる形態の物件を指します。これであれば、ダブル家賃になることはほぼありません。

ただ、フリーレント物件にはデメリットもあります。これには、以下のようなものがあります。

・途中解約で違約金が発生する

・家賃が相場よりも高め

・物件数が少ない

家賃相場が高めであることを考えると、二重家賃を発生させる方が長い目でみると安くなることがあります。そのため、フリーレント物件を活用するときは総合的に考えるといいです。

転勤の場合は会社と交渉する

場合によっては、転勤によって引越しをすることがあります。会社の内示が遅れ、急に引っ越すようになるサラリーマンは非常に多いです。その場合、例えば「3/15に内示が出て、慌てて4/1に引っ越す」などのことがあります。

このケースであると、賃料支払いが最低でも1ヵ月は発生するため、4/15までの家賃支払いが発生します。4/1~4/15まで住んでいないにも関わらず、賃料だけは支払わなければいけません。

転勤での二重家賃は会社の内示が遅れたことが原因です。そこで、会社と交渉するといいです。会社によって対応は異なりますが、人事に連絡することで二重家賃分を負担してもらえることがあります。その反対に福利厚生が薄い会社であると、ダブル家賃の部分を負担してもらえないこともあります。

なお、単身赴任していた人が戻る場合も同様です。二重家賃ではありませんが、少なくとも無駄な家賃支払いが発生します。先ほどと同じように3/15に内示が出て4/1に単身赴任が終わって帰る場合、4/1~4/15までは無駄な家賃支払いが日割りで発生します。これについては、会社と交渉しましょう。

平均で1~2週間ほどの二重家賃がある

ここまで、ダブル家賃が発生する原因や回避方法、交渉方法について確認してきました。一般的には、平均して1~2週間ほどの二重家賃が発生するのが普通です。私の場合、先に示した通り3週間のダブル家賃となったことがあります。

ただ、方法によってはできるだけ二重家賃を減らすことができます。まずは契約書を確認したり大家・管理会社へ電話したりして、「契約上いつから退去できるのか(解約通知して何ヵ月後に引越しできるようになるのか)」を確認するようにしましょう。

その後、賃貸物件を探すようにするといいです。一番いいのは、先に管理会社へ引越しすることを伝えて退去日を決定し、新居を探す方法です。これなら、ほぼ確実に二重家賃を避けられるようになります。いまの私はこの方法にしています。

ただ、そうした方法が不安な場合は二重家賃のリスクがあることを理解したうえで、「入居日を先延ばしにしてもらう」などの交渉をするようにしましょう。できるだけ二重で賃料発生する日を減らさなければいけません。

しかし、転勤(または単身赴任)で内示が遅れた場合など、無駄な家賃支払いを避けられないケースもあります。このときは大家や管理会社ではなく、会社側と交渉するといいです。

これらの交渉を重ね、二重家賃をできるだけ回避することで無駄なお金の支払いを減らすことができるようになります。方法によっては、平均で1~2週間ほどは発生するといわれるダブル家賃を、より少なくすることができるようになります。


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