引越しの際に発生する手続きのほとんどは、役所で済ませることができます。一方で運転免許証の住所変更だと、役所での手続きはできないため後回しにしがちです。中には、手続きを面倒くさがって故意に住所変更をしない人もいます。

ただ、運転免許証の住所変更を行わないと、金銭的な損害が発生するリスクがあります。場合によっては、運転免許を失ってしまう可能性もあります。

それでは、引越し後に運転免許証の住所変更を行わないと、どのようなリスクがあるのでしょうか? また、運転免許証の住所変更はどのような流れで行うのでしょうか?

ここでは、引越し後に運転免許証の住所変更を行うべき理由や、住所変更手続きに必要な書類などについて解説していきます。

免許証の住所変更をしないとどうなるのか?

運転免許証は代表的な身分証明証の一つです。運転免許証には顔写真が記載されているため、1点を提示するだけであなたの身分を証明することができます。

ただ当然ながら、引越し後の住所変更手続きを行わないと現住所と免許証の表記住所が一致しなくなるため、身分証明書として利用できなくなります。

しかし、マイナンバーカードなど他の書類を身分証明書として活用している人だと、運転免許証の住所変更を行わなくても問題なく生活できます。そのため、このような人は運転免許証の住所変更を忘れたり、面倒くさがって手続きを怠ったりするケースが多いです。

このとき、「運転免許証に記載されている内容に変更があった場合、速やかにそれを申し出ること」が法律で定められています。これを破ると、2万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

ただ、運転免許証の住所変更期限は明確に定められていません。また、運転免許証の住所変更を長期間忘れていたからといって、実際にこの罰則が適用となるケースはほとんどありません。

まず、運転免許を管轄する都道府県の公安委員会は役所と情報共有していないため、免許保有者からの申し出がないと住所が変わったことを知ることができません。

また、駐車違反で情報の照会が行われると登録住所と現住所の相違が見つかるものの、悪質だと判断されなければ罰則が適用されないケースが多いです。運転免許証の住所変更を忘れていても、罰則が適用されるケースはほとんどないのが実態です。

更新ハガキが届かず、免許を失効する恐れがある

ただ、運転免許証の住所変更は引越し後なるべく早く行うべきです。運転免許証の住所変更をしないと、免許の更新ハガキが自宅に届かなくなるためです。

更新ハガキが自宅に届かないと、免許の更新時期が来たことに気付きません。その結果、知らない間に更新時期が過ぎてしまい、運転免許証が失効するリスクがあります。

当然ながら、運転免許証の有効期限が切れると車を運転できる資格を失います。この状態で車を運転すると無免許運転となります。また、失効した免許は身分証明書として利用することができません。

さらに免許が一度失効すると、再交付などに余計なお金がかかることになります。

例えば、更新期限から6ヶ月過ぎていると、仮免許からやり直さなければなりません。また更新期限6ヶ月以内であれば適性試験のみで免許を再取得できますが、申請・交付手数料などで2,000円ほど損することになります。

さらに過去無事故・無違反であっても、住所変更忘れによる更新期限を過ぎてからの免許再取得では、ゴールド免許を取得できません。ゴールド免許だった人は、ブルー免許に格下げとなります。ブルー運転になると、ゴールド免許に比べて自家用車の任意保険料が高くなります。

なお更新期限から1年以上過ぎてしまうと、免許の再交付手続きを行えなくなります。運転免許証を取得するためには、教習所に通い直さなければなりません。運転免許証の住所変更を怠ると、免許を失ってしまうリスクがあるのです。

混んでいなければ、免許の住所変更は10分ほどで手続きを終えることができます。そのため引越しをしたら、忘れないうちになるべく早く運転免許証の住所変更を行いましょう。

免許証の引越し手続きができる施設

それでは、運転免許証の住所変更手続きはどこで行えるのでしょうか?

まず、代表的なのは警察署です。警察署は町の中心部にあるケースが多く、住んでいる場所に関わらず行きやすい傾向にあります。そのため、まずは引越し後に地域の警察署に出向くことを検討するといいです。

また警察署以外だと、免許センターや運転免許の試験場などがあります。これらは住所変更の対応について地域差があるため、「住所変更手続きが可能かどうか」を事前に確認してから出向くようにしましょう。

免許の住所変更は交番でもできるのか?

このとき、中には駐在所を含め地域の派出所(交番)で住所変更を希望する人もいます。最寄りの交番であれば徒歩で行ける範囲にあるケースが多いため、住所変更の手間を減らすことができます。

たしかに、ごく一部の交番では運転免許証の記載住所を変更することが可能です。ただ、警察署から距離が遠い地域などに限られており、ほとんどの交番では住所変更手続きを受け付けていません。

また交番で住所変更手続きをしたとしても、結局は警察署などに出向くことになります。交番だと運転免許証に内蔵されているICチップ情報の書き換えを実行できないためです。

交番で運転免許証の住所変更を依頼すると、免許証裏面の備考欄に新住所が記載されます。参考までに、以下は私が結婚で引越したときに住所変更手続きを行った免許証の裏面です。

このように免許証の住所変更を行うと、引越し後の住所が裏面に記載されます。交番での住所変更手続きでは、このようにして「記載住所の変更」が行われ、運転免許証を身分証明書として利用できるようになります。

ただ、このように免許に新住所が記載されても、内蔵されているICチップには古い住所が登録されたままとなります。そのため交番で住所変更手続きを行っても、結局は警察署に出向いてICチップの情報書き換えを行わなければなりません。

そのため早急に身分証明書が必要となった場合を除き、基本的には警察署で住所変更手続きを済ませるほうが効率は良いといえます。

平日に時間が取れない場合、運転免許センターなどで手続きする

ただ、警察署は基本的に平日の日中しか開庁していません。そのため平日に仕事をしている人だと、警察署で住所変更手続きをするのは難しいです。

このような場合、運転免許センターや運転免許試験場などで住所変更しましょう。これらの施設であれば、日曜でも住所変更手続きが可能です。

ただ、運転免許センターや運転免許試験場であっても、土曜日と祝日は開庁していないケースがほとんどです。例えば以下は、大阪にある運転免許試験場の手続き受付日についてです。

この運転免許試験場は土曜日と祝日、年末年始に業務を行っていません。日曜は可能だが、運転免許センターや運転免許試験場であっても、土曜と祝日は住所変更手続きできないのです。

そのため平日の仕事などによって警察署で住所変更手続きするのが困難な人は、日曜に時間を作って運転免許センターや運転免許試験場で手続きをしましょう。

免許証の住所変更手続きの流れ

なお、運転免許証の住所変更に必要な書類は運転免許証新住所を確認できる書類の2つのみです。また、手数料はかかりません。新住所を確認できる書類として利用できるのは以下になります。

  • 住民票(マイナンバーが記されていないもの)
  • マイナンバーカード
  • 健康保険証
  • 新住所に届いた本人宛の郵便物(消印がついているもの)
  • 新住所が記載された公共料金の領収書

上記のうち、どれか1つを持参すれば手続き可能です。また書類は住所の確認にのみ利用するため、提出する必要はありません。以下に、それぞれの書類について解説していきます。

・役所で入手できる新住所の証明書類

新居への引越し後、最初に行うのが役所での転居届・転入届の提出です。この手続きを終えれば、新住所の住民票を発行できるようになります。

新住所の住民票は引越し後のさまざまな住所変更手続きで利用できます。そのためこれから手続きするのであれば、何部か発行してもらっておくといいです。

また、マイナンバーカードと国民健康保険の住所変更も役所で行います。これらを持っている人は転居・転入届の提出の際に一緒に住所変更すれば、運転免許証の引越し手続きに利用できるようになります。

・健康保険証

一方で、役所に行く予定のない人やマイナンバーカード・国民健康保険証を持っていない人は、社会保険の健康保険証を持参するといいです。

社会保険の健康保険証は、裏に住所を手書きで記入します。旧居の住所を二重線で消して新居の住所を書けば、新住所の証明書として利用できるのです。参考までに以下は、私の健康保険証の裏面です。

健康保険証を新住所の証明書として利用すれば、書類を入手するために役所へ出向く必要がなくなります。また、住民票の発行手数料もかからないのでお得に住所変更できます。

・新住所に届いた本人宛の郵便物

郵便物で新住所を証明する場合、注意が必要です。郵便物によっては、新住所の証明書類として利用できないためです。

新住所に届いた郵便物は、手紙を出したときなどに押される「消印があるもの」と料金後納郵便など「消印がないもの」の2種類に大別できます。

これらのうち消印のない郵便物は、新住所の証明書としては利用できません。消印なしの郵便物には郵便局で取り扱った日付が記載されないため、現在の住所に届いた郵便物なのかどうかが明確ではないからです。

一方で消印の押されている郵便物だと日付が記載されているため、「最近届いた郵便物を持っている(=現在この住所に住んでいる)」ことを証明できます。以下は、消印が押された実際の郵便物です。

このように日付入りの消印が押されている郵便物であれば、運転免許証の住所変更に利用できます。

ただ、現在では公共機関からの郵便物に消印が押されることはほとんどありません。そのため基本的には、郵便物以外の書類で新住所の証明を考えたほうがいいです。

・公共料金の領収書

なお、公共料金の領収書も手元にない人が多いです。公共料金を引き落としやクレジットカードで支払っている場合、氏名と住所、日付が揃った領収書をもらえないケースが多いためです。

一方で水道や電気などの公共料金を払込用紙で支払っている場合、住所と氏名が記載された領収書を受け取ることができます。また公共料金の払込用紙を利用して支払うと、日付入りの領収印を押してもらうことができます。例えば以下のようになります。

この領収書には、住所と氏名が記載されており、日付を含む領収印が押されています。

郵便物と同様に、住所と氏名、日付が記載されている領収書であれば、新住所の証明書として利用できます。現在の住所であることを証明するため、なるべく日付の新しい領収書を持参しましょう。

代理人が手続きする場合の必要書類

なお、運転免許証の住所変更は、本人だけでなく代理人でも行うことができます。代理人が手続きする場合、前述した書類に加えて代理人の本人確認書類などが必要となります。

具体的にいうと、運転免許証の本人と同居している親族が代理人になる場合、本人と代理人が併記された住民票を提示します。また同居親族以外が手続きする場合、委任状を用意する必要があります。

なお、代理人として認められる間柄は地域によって異なります。委任状があれば友人でも手続き可能な地域もあれば、同居家族しか代理人として認められない地域もあります。

そのため運転免許証の住所変更を自分で行うのが困難な場合、「どのような間柄の人であれば代理人として認められるのか」を新居地域の警察署に問い合わせて確認してから手続きに進みましょう。

免許更新と住所変更を同時に行う際の必要書類

このとき、中には「免許証の住所変更について、免許の更新と一緒にしたい」と考える人もいるでしょう。これらの手続きを一度に済ませれば何度も警察署などに出向く必要がなくなるため、手間を省くことができます。

結論からいうと、免許の更新時に住所変更を行うことは可能です。この場合、更新ハガキと新住所を証明できる書類を持参すれば手続きできます。

ただこのとき、免許の更新ハガキは新住所の証明に利用できない点に注意が必要です。更新ハガキには消印が押されていないためです。

また免許の更新と同時に住所変更を行う場合、時間に余裕を持って現地に出向くようにしましょう。講習前の手続きに時間がかかり、講習の開始時間に間に合わない可能性があります。

必要書類を理解して、引越しによる運転免許証の住所変更を行う

運転免許証の住所変更を行わないと、2万円以下の罰金が科せられる可能性があります。ただ実際には、住所変更をしていないという理由で罰金を課せられることはほぼありません。

しかし、運転免許証の住所変更を行わないと身分証明書として利用できないだけでなく、免許の更新ハガキが届かなくなります。その結果、気付かない間に免許を失効するリスクがあります。

運転免許証の住所変更には、「免許証」「新住所の証明書類」の2つで手続きできます。新住所の証明は住民票やマイナンバーカード、健康保険証などを利用できます。

また免許の住所変更手続きは警察署のほか、運転免許センターや運転免許試験場などで行うことができます。運転免許センター・運転免許試験場であれば日曜でも手続きできるので、平日に時間が取れない人はこれら施設に出向きましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

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