地方公務員であれ国家公務員であれ、必ず転勤があります。しかも、公務員だと辞令による転勤がかなり頻繁にあります。

近くの地域へ転勤するのであればいいですが、人によっては遠方であったり他県へ引越しをしたりしなければいけないことがあります。こうした引越しを繰り返していると、引越し貧乏になってしまいます。

そこで、県庁・市役所勤務、教員、警察官、自衛官など公務員だからこそ引越しについては敏感にならなければいけません。引越し貧乏を避け、お金を節約することを考えないと転勤辞令が出るたびに大金が消えていくようになります。

そこで、地方公務員や国家公務員が引越し作業をするときに考えるべき事柄について確認していきます。

公務員は転勤が多い

一般企業であれば、転勤なしでずっと同じ場所で働き続けることが可能です。ただ、地方公務員や国家公務員を含めそうした人は稀です。県庁・市役所勤務、教員、警察官、自衛官とあらゆる公務員で転勤があります。

たとえ地方公務員で同じ市内で転勤がある人であっても、引越しを余儀なくされることは多いです。例えば、私の友人は教員採用試験に受かって教員(中学校の教諭)になりましたが、新卒採用では非常に田舎の学校が初任地でした。

その友人の場合、市に雇われた地方公務員ではあるものの、同じ市内であればどの地域であっても勤務地候補となります。ただ、市内は広く「市内の主要となる繁華街」から赴任先の学校までは車で2時間以上もの距離があったわけです。

新卒採用なのでへんぴな場所の勤務になったわけですが、彼は当然ながら赴任地の近くへ引越しをしました。そして5年後、辞令が出て繁華街の近くの学校へ異動になったとき、再び引越しをしたというわけです。

これが市職員・県職員ではなく、全国勤務ありの国家公務員である場合、県外への転勤は普通です。辞令が出るたびに全国各地へ引越しをすることになります。この場合、会社の転勤族と同じ生活を余儀なくされることになります。なかには2~3年おきに全国を転勤する人もいるため、そうなると引越しが大変になるのです。

このとき自腹を切ることが非常に多いため、引越し貧乏を避けるために事前に対策を考えなければいけません。

赴任旅費(引越し手当)の支給対象について

一般企業であれば、内示によって転勤するときは会社から引越し手当を出してもらえます。引越し代を全額負担してくれたり、上乗せして支給してくれたりします。これについては、公務員はどうなのでしょうか。

公務員についてはも、人事異動にもとづき転居する場合は引越し手当が出されます。これを赴任旅費といいます。

もちろん、「人事異動とは関係ない時期に勝手に住む場所を変えた」「結婚したため、引越しをした」などの場合に赴任旅費は支給されません。あくまでも、内示が出て他県など遠方へ引越しをしなければいけない場合に赴任旅費が支給されます。

注意点としては、「内示が出た後に転居する必要がある」ことです。人事異動が発表されて配属先が決まる前に賃貸マンション・アパートと契約した場合、引越し手当は支給されません。

既に公務員として勤めている人なら問題ありません。ただ、新卒採用で就職する人の場合、採用通知を受け取った時点で引越しをしても赴任旅費が出ると勘違いする人がいます。しかし、あくまでも赴任旅費が支給されるのは人事異動後の引越しである必要があるため、これについて理解しなければいけません。

赴任旅費の支給額はいくらなのか

気になるものとして、赴任旅費の支給額があります。いくらの額が支給されるようになるのでしょうか。

赴任旅費による補助内容としては、以下のものに分けられます。

  • 職員移転料(旅費交通費):職員の交通費。新幹線代、航空券代など
  • 移転料(引っ越し代):引越し業者への支払い費用など
  • 着後手当:賃貸マンションへの礼金・仲介手数料など

これらすべて含めて、赴任旅費が総額で支払われます。規定によって額が決まっているため、地方公務員から国家公務員を含め、金額は大きく異なると考えてください。

なお、人によって支払われる赴任旅費は異なりますが、赴任旅費はザックリと以下のようになります。

近距離(50km以内)中距離(200km)長距離(500km)
単身・独身5万円7万円13万円
家族あり10万円15万円27万円

※参考までに、「東京-大阪:約500km」「東京-名古屋:約350km」です。

一見すると、意外と支給されるように思います。ただ、これらの金額だと引越し業者に依頼するお金だけで費用金額をすべて食いつぶしてしまいます。

「賃貸マンション・アパートへ支払う敷金・礼金」「新居へ移動するための旅費交通費」などをすべて含めると、確実に赤字となってしまうのが公務員の実情です。

また、自衛官などでは公務員宿舎に住むことになりますが、敷金・礼金がない代わりに「公務員官舎の退去費用」が発生します。公務員宿舎の退去費用は、賃貸マンションの敷金や礼金、仲介手数料並みに高額なので、公務員宿舎であってもかなりの費用を請求されることになります。

新卒採用での就職であれ、人事異動による転勤であれ、公務員というだけで遠距離への転勤がある人は引越し貧乏に陥りやすいのです。公務員の採用試験で頑張ったのもつかの間、引越し費用で頭を抱えることになります。

お金を節約する公務員の引越し術

県庁・市役所勤務、教員、警察官、自衛官を含め、公務員である以上は定期的に人事異動となります。それでは、いつが引越し時期になるかというと、内示が出されるのは多くが3月末です。場合によっては、7~9月に辞令がでる公務員職種もあります。

ただ、いずれにしても3月末がほとんどです。しかも、2週間前に内示が出るなど直前になるのは普通です。

公務員である以上、非常に慌ただしく引越し作業をしなければいけません。しかし、3月や4月は引越しの繁忙期に当たります。この時期は新大学生や新社会人、一般企業の転勤など非常に多くの人が引越しをします。当然、全国の地方公務員・国家公務員も引越し作業に忙しいです。

そうしたとき、直前に人事異動命令が出る公務員は非常に不利です。引越しの繁忙期にも関わらず配属先の発表が直前なので、引越しを請け負ってくれる業者が非常に少ないからです。トラックが余っていないのです。

また、引越し業者を見つけたとしても価格は非常に高額になりやすいです。近距離の単身引越しであったとしても、3月や4月など繁忙期の引越しでは引越し代が5万円以上になるのは当然だと考えてください。

それでは、こうした引越し代が高騰するのを防ぎ、できるだけ引越し料金を割引してもらうための方法としては何があるのでしょうか。

一括見積もりを利用する

公務員が引越しをするとき、必須となる作業が一括見積もりです。複数業者に見積もりを依頼して、引越し代金を競わせるのです。

最もダメなのは一社だけに依頼することです。繁忙期ということもあり、一社だけの依頼ではありえないほどの高額な見積もりになります。引越し貧乏が加速しますし、一社だけでは競争原理が働かないので割引も期待できません。そこで、一括見積もりが必須なのです。

例えば、以下は4月頭に家族の引越しをしたときの見積もりの比較です。このような一番の繁忙期であっても、業者によって値段が違ってくるのです。

さらにいえば、公務員では特に引越しまでの日数が限られているため、対応してくれる引越し業者を探すだけでも大変です。そのため、どの公務員も一括見積もりを活用するようにしましょう。

繁忙期の引越しを避ける

最も引越し価格が高くなるのは3月末から4月頭です。ただ、3月と4月は繁忙期といっても、実際のところ4月頭と、4月末とを比べれば、4月末に引越しすることで代金が半額以下になることもあります。

それだけ、時期によって料金相場が大きく変動するのです。

多くの場合、内示が出たことで慌てやすいです。「できるだけ早く引越し業者を見つけ、準備を進めて新居へ移動しなければいけない」と考えてしまうのです。その結果、高額な引越し代を請求されてしまいます。

ただ、冷静に考えてみてください。本当に引越しは4月頭などの繁忙期でなければいけないでしょうか。4月の終わりごろの引越しではダメなのでしょうか。

例えば近距離での引越しが必要な場合、数週間は多少の通勤時間がかかるものの、頑張って通うようにしてみましょう。その後、4月終わりごろに引越しをするのです。

または、遠方への引越しであったとしても家族がいる場合、先にあなただけ赴任先に最低限の荷物だけを抱えて赴きます。新居は最初の数週間ほどガラガラの状態ではありますが、4月末に旧居にいた家族が荷物とともに新居へ引越しをすれば、引越し代は大幅に安くなります。

要は、知恵を絞れば必ずしも4月頭での本格的な引越しをしなくても良いことが分かるのです。

4月頭の引越しであれば、引越し業者は強気の見積価格を出してきます。ただ、「では4月末の引越しなら値段はどうなるのですか? 4月末なら他の業者でもトラックは余っていますし、いろんな業者を比較したうえで決めます」と伝えると営業マンは急に慌て始めます。こうして、値引き交渉を進めていきましょう。

新たな配属先から1ヵ月以内に引越し手続きをする

注意点として、いつまでに引越しをすればいいのかというと、新たな配属先に赴任して1ヵ月以内にしましょう。引越し手続きが遅すぎると赴任手当が出ないからです。

例えば、以下は高知県が出している教員の新規採用(教員への就職・転職)での赴任旅費についてです。

要は、就任日から1ヵ月以内に引越しをしなければ赴任旅費の支給対象にはならないということが書かれています。

そのため、例えば4月から新たな配属先に出向く場合、4月中に引越しを完了させるようにしましょう。4月1日から新たな場所で勤務する場合、ゴールデンウィーク開け(5月から)の引越しでは赴任旅費は支給されません。

なお、赴任旅費はいつが支給日になるのかというと、4月から赴任するのであれば一般的には5月に支給されることになります。ただ、赴任旅費の請求手続きが遅れた場合は6月の支払いになることもあります。

通常の引越し業者であれば、移転料の支払い対象になる

公務員が引越し準備をするとき、注意しなければいけないものとして、「一般貨物自動車運送事業など、許可を得ている業者に依頼しなければ、移転料の支払い対象にならない」ことがあげられます。

そのため、例えば友人に手伝いを依頼してトラックを借り、自力で引越し作業をしたとしても、移転料が支払われることはありません。引越し業者を使わなければ、赴任旅費は支払われません。引越し代を浮かせるために自ら頑張って作業をしてもいいですが、無駄に終わります。

また、同じように便利屋や個人事業主の引越し業者に依頼するのも考え直しましょう。こうした会社であると、先ほどの許可を得ていないことがあります。その場合、赴任旅費として移転料が支払われなくなります。

県庁・市役所勤務、教員、警察官、自衛官など、公務員である以上は移転料の支払い対象が厳格に決められています。これを知らず、とにかく安い引越しをしようとして自分で引越しをしたり、個人の業者を選んだりすると大損することになります。引越しは大手や中小の引越し業者に依頼するようにしましょう。

定期的な異動のある公務員は引越しが大変

ずっと同じ職場の地方公務員や国家公務員であれば問題ありません。ただ、現実的には定期的に異動があり、そのつど引越しが必要になる公務員は非常に多いです。転勤族として、全国をめぐる公務員もたくさんいます。

定期的に引越しをするからこそ、引越し代を補助する赴任旅費について理解しておくようにしましょう。

また、同時に引越し時期やタイミングについても検討しなければいけません。繁忙期以外で人事異動が出た場合は関係ありませんが、多くは3月末に内示が出されます。そこから、慌てて準備をしなければいけません。

しかし、3月末や4月頭の引越しは異常に高額です。トラックも見つかりません。営業マンは強気の見積もりを提示します。そこで、4月中旬か終わりに引越しできないかを考えましょう。できれば、4月末がいいです。これだけでも、引越し代が半額近くになることもあります。

引越しでの一括見積もりを実施し、引越しの候補日をいくつか挙げながら割引交渉をしていく必要があります。引越し貧乏を避けるため、業者との値引き交渉をしっかり行うようにしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

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