引越しをするとき、多くの人は専門の業者にお願いします。自分でレンタカーや軽トラックを借りて引越しをするのは非常に大変です。場合によっては賃貸マンション・アパートの壁を傷つけてしまい、非常に高額の費用になってしまうこともあります。

ただ、一度は引越し業者に依頼したものの、「日程が悪くなったのでキャンセルしたい」「他の引越し業者に頼み直したい」「日程を延期したい」という場合があると思います。

そうしたとき、契約後いつまでならキャンセル料を支払わなくてもいいのでしょうか。また、違約金が必要になる場合、どれだけの値段相場になるのでしょうか。中には既にダンボールなどの資材を受け取っている人もいるため、これらの資材代は払う必要があるのでしょうか。

引越しの際、キャンセルをするときは疑問が多いです。そこで、引越しでの解約方法について確認していきます。

2日前までのキャンセル・延期では違約金が発生する

引越し業者に申し込みをした後、引越し当日の 何日前から違約金が発生するのでしょうか。これについては、2日前からになります。このときのキャンセル料の料金相場は引越し業者の間で明確に決められています。

これは国土交通省が記している「標準引越運送約款」に明記されています。具体的には、以下のようになります。

  • 前々日(2日前)に解約や延期:見積書記載の額の20%
  • 前日(1日前)に解約や延期:見積書記載の額の30%
  • 当日に解約や延期:見積書記載の額の50%

引越し業者のパンフレットや公式サイトにも、違約金の明確な値段(料金相場の割合)や何日前から発生するのかが記載されています。

前々日や前日、当日に予約のキャンセル料が発生することから、3日前までであればキャンセル料は発生しないことになります。そのため、もし都合が悪くなった場合は早めに引越し作業の辞退を申し出るようにしましょう。

個人事業主でない限り、ほぼすべて引越し業者が標準引越運送約款に準じています。「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」などの大手を含め、中小の引越し業者も同じ条件です。そのため、3日前までなら引越し代金分の違約金は発生しません。

どういう理由でキャンセル・延期が必要になるのか

通常、キャンセルや延期(日程変更)をすると違約金が発生します。それでは、どのような理由でキャンセル・延期をするのでしょうか。

これには、以下のような理由があります。

・天候が悪い

外が大雨など、天候が悪い日であると荷物を運搬するときに荷物が濡れてしまいます。こうしたとき、キャンセルはしなくても、引越しの延期をすることがあります。

また、台風が近づいている場合、天気予報である程度の進路を予測できるので「どうしてもその日の引越しでなければいけない」というケース以外は引越しを延期します。

・依頼したい業者が変わる

一度は依頼することが決まったものの、他の引越し業者に変更することはよくあります。これについては、私も経験があります。

引越しのとき、訪問見積もりをもらってその場で即決してお願いすることを決めました。ただ、他の業者の訪問見積もりも頼んでいたため、ひとまずそれらの見積もりと比べてみることにしたのです。

そこで後日に他の業者に見積もりをもらったら、以前の業者(契約した業者)よりも良い条件を提示してくれたため、最初に契約した会社をキャンセルし、後の引越し業者に乗り換えることにしました。理由はさまざまですが、依頼する業者が変わることはよくあるのです。

また、引越し自体が無くなった場合も同様に引越し業者へキャンセル依頼をすることになります。

キャンセル時、業者へ連絡する手続き方法

それでは、申し込みのキャンセルをするにしてもどこに連絡すればいいのでしょうか。キャンセル手続きの方法については、見積書に記載されている電話番号に電話をかけるようにしてください。「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」など、見積書には必ず電話番号が書かれています。

全国対応のコールセンターに電話してもいいですが、基本的には「訪問見積もりで金額を出してくれた担当営業マンが所属する営業所」に電話するようにしましょう。見積書には担当営業所と担当者名、そして営業マンの名前が記載されているはずです。

例えば、以下はアート引越センターの見積書です。

また、以下はアリさんマークの引越社の見積もりです。

このように、営業所の電話番号が書かれているため、予約をキャンセルしたい場合はこうしたところに電話をかけるといいです。

営業所に電話するとはいっても、訪問見積もりをしてくれた営業マンが電話口に出るわけではありません。通常、営業所の事務担当が電話に出ます。電話口で営業をされることはないため、例えば「見積もりをもらったが急な用事ができて解約したい」などと申し出れば大丈夫です。

なお、特別な理由があって電話ではなくメールでキャンセルの申し出をした場合、「〇〇(会社名) 引越し 問い合わせ」で検索するといいです。例えば、「クロネコヤマト 引越し 問い合わせ」「アート 引越し 問い合わせ」などです。

そうすると、ウェブから問い合わせするためのページ(問い合わせ入力フォーム)が出てきます。

ウェブ上から問い合わせをするとき、注意点があります。それは、「全国対応なので、あなたが一体誰かが分からず、どの問い合わせをキャンセルしてよいのか把握するのが難しい」ことです。

そこで、見積書に記載されているお客様番号(または受付番号など)と共に名前や連絡先(メールアドレス)、訪問見積もりしてもらった営業マンの名前、営業所名などを記載するとキャンセルがスムーズになります。

どの引越しをキャンセルしたいのか分かるようにするため、お客様番号などあなたの引越しであることを判別できる情報を必ず入力し、メールフォームから送信するといいです。

ダンボールなど、資材を受け取っている場合の対処法

見積書にサインした場合(成約後)であっても、このように引越し当日の3日前までなら違約金なしでキャンセルすることができます。ただ、いくらキャンセル料が必要ないとはいっても、既にダンボールなどの資材を受け取っている場合は話が違ってきます。

引越し業者から受けとったダンボールやガムテープなどの資材については、そのまま引越し業者を利用するのであれば無料です。ただ、契約後に引越し業者をキャンセルするとき、既に資材を受け取っている場合は「ダンボールなどの資材代を支払って買取する」または「資材の返却」をしなければいけません。

つまり、見積書に書かれている金額すべてを支払う必要はないものの、ダンボールやガムテープなどの資材代は支払わなければいけないのです。こうした費用については、見積書に必ず記載されています。

ただ、キャンセルして他社に依頼したり引越し自体が無くなったりした場合、ダンボール代を支払うのは馬鹿馬鹿しいです。新たに依頼する引越し業者が無料でダンボールを贈呈してくれますし、引越しがなくなった場合ダンボールは単なるゴミでしかありません。

ダンボールを返送する送料代はあなたの自己負担になる

そのため多くの人は買取ではなく、ダンボールの返却を考えます。ただ、訪問見積もりしてくれた業者があなたの家まで出向いてダンボールなどの資材を無料で回収してくれるわけではありません。ほとんどの場合、あなたが送料を負担して返送することになります。

こうしたことから、ダンボールを既に受け取っていてキャンセルするときはトラブルになりやすいです。「引越しを頼んでいないのに、何でダンボール代を支払わなければいけないのか」と考えてしまうのです。

しかし、ダンボールを引き取るために人を仕向けるためには、それだけ人件費が必要になります。そのため、キャンセルしたときは依頼者が買取をするか、キャンセルした引越し業者の営業所まで返送するかのどちらかが基本になります。

仮に、あなたの家まで引越し業者に資材を引き取りに来てもらうにしても、そのための人件費が請求されます。これについては、引越し業者のサイトでも明記されています。

・サカイ引越センター

引越し業者はサービスでダンボールをあなたに提供しているわけではありません。トラブルになりやすいダンボールの買取や返送ですが、自己負担になるのは普通のことだと考えましょう。

資材代は意外と高額になる

なお、ダンボールやテープなどの資材を買取するとなると、意外と高額になります。引越し業者のサイトにも明記されていますが、例えばハート引越センターで買取するときの値段は以下のようになります。

  • ダンボールSサイズ:1枚300円
  • ダンボールMサイズ:1枚350円
  • ガムテープ:300円

もし、ダンボールのSサイズとMサイズをそれぞれ20枚ずつ受け取った場合、合計金額は13,000円になります。これにガムテープ代が加わると、13,300円です。

ダンボール代などの資材の買取では、このように無駄な費用がかかってしまいます。

契約前のダンボール受取は考えるべき

このように考えると、契約前にダンボールの受取をするのは避けた方がいいです。

引越し業者の営業マンとしては、「早めに荷造りをした方がいいため、ダンボールを渡しましょうか」などのように提案してきます。ただ、これはダンボールを受け取ることでキャンセルしにくくなるという効果があるからです。

ダンボールを受け取ってしまった場合、返却するのは非常に面倒になります。買取も高額なので、トラブルに発展する可能性があるのであれば、最初に頼んだ引越し業者へ渋々依頼することになるのです。

そのため、もし強引に契約の即決を迫られたとしても契約は控え、その場でのダンボール受取は絶対にしないようにしましょう。必ず複数の業者から相見積もりをもらい、正式に契約書にサインした業者からダンボールなどの資材を送ってもらうようにするといいです。

無料でダンボールを送り返す方法

ただ、それでも受け取ったダンボールを返送するための送料をこちらで負担するのは嫌です。そうしたとき、必要なくなったダンボールを無料で送り返す方法が存在します。

それは、「新たに契約した引越し業者の営業マンにお願いして、ダンボールを他社の営業所まで届けてもらう」という方法です。

当然ながら、営業マンは多くの契約を取りたいと考えています。これが3月や4月などの繁忙期ではなく、それ以外の閑散期ならなおさらです。そうしたとき、他社の営業所にダンボールを持っていく程度の労力で新規契約を取れるのであれば、営業マンは喜んで引き受けてくれます。

また、引越し業者の営業マンは他社の営業所に出向いてダンボールなどの資材を返却した経験がある人ばかりです。もし、近くに営業所がなかったとしても、依頼者(あなた)の名義で営業マンが代わりにダンボールを返送してくれます。

資材の返却は珍しいことではないため、新たに契約する引越し業者の営業マンに相談するようにしましょう。

引越し自体を取りやめる場合は使えない手法ですが、依頼したい引越し業者を変更した場合は非常に有効です。業者間でやり取りするので無駄なトラブルなく、引越しの準備を進めることができます。

契約してもダンボールはその場でもらわない

引越しをするとき、複数社から見積もりをもらう必要があります。私も毎回、何社からも見積もりをもらって業者を決定するようにしています。

このとき、即決を迫られたとしてもまずは契約してしまえば問題ありません。予約後にキャンセルすることは普通です。最初の契約後、その場でダンボールをもらわなければいいのです。

ダンボールは後日に送られてくるように交渉しましょう。他の業者がより良い条件を提示した場合、ダンボールが送られてくる前に契約した業者へキャンセルの電話をかけ、新たな業者の契約書にサインをして乗り換えるようにするといいです。

前々日や前日、当日などの直前すぎる日程でなければ、引越しでのキャンセルで違約金はかかりません。ただ、ダンボールを受け取っていると費用が発生するため、契約の場でのダンボール受取はやめるようにしましょう。

予約のキャンセル自体は簡単ですが、ダンボールが既に送られていると非常に面倒です。こうしたことを理解したうえで、引越し業者のキャンセル依頼をするといいです。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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