一般的な引越しでは、陸上輸送になります。たとえ鹿児島から北海道へ引越しをするときであっても、JRのコンテナを利用することによる陸上輸送が一般的です。本土から少し離れている島であっても、トラックごと船に乗せて移動させるのが普通であるため、陸上輸送とほぼ同じになります。
ただ、沖縄や離島などであるとそうした陸上輸送ではなく船便になります。このとき、海上コンテナを活用した引越しになるのが一般的です。
海上コンテナ輸送になると値段は高くなります。そのため、沖縄や離島での海上コンテナ便の料金相場はそれなりに高額です。
それでは、どれくらいの費用になるのでしょうか。また、注意点としては何があるのでしょうか。ここでは、沖縄や離島での引越し方法について解説していきます。
もくじ
沖縄や離島の引越しでは海上コンテナになる
一人暮らしの単身引越しでも、家族の引越しでも沖縄や離島の引越しは海上コンテナになります。
- 沖縄へ引越しをする
- 沖縄から関東(東京)へ行く
- 離島から関西(大阪)へ行く
これらを含め、沖縄などへ引越しをするときは海上コンテナ便を活用することになるのです。コンテナに荷物を載せ、船便によって海上輸送してもらいます。
海上コンテナ輸送は全国どこでも対応しています。沖縄本島に限らず、その周辺にある離島であっても問題なくコンテナ輸送することができます。
具体的にどのような場所への引越しで海上コンテナが必要になるのかというと、以下のような島になります。
- 沖縄本島と周辺の離島:石垣島、宮古島など
- 鹿児島の離島:屋久島、奄美大島など
- 東京の離島:小笠原諸島、八丈島など
こうした離島への輸送を考えるとき、海上コンテナになることを考えましょう。
もちろん、必ずしも海上コンテナでないこともあります。例えば、「福岡-屋久島」だとトラックに荷物を載せたまま陸上輸送し、鹿児島で普通のフェリーにトラックごと載せた方が効率的です。ただ、それ以外の都市からであると海上コンテナ輸送が良いことがあるのです。
※場合によっては、鹿児島港などJR貨物で離島に最も近い港まで向かい、そこから船便でコンテナを輸送するケースもあります。
コンテナ便の引越し料金が高くなる理由
沖縄や離島での引越しだと、なぜ値段が高額になるのでしょうか。これには、主に以下の2つの理由があります。
- 引越しでの工程が多い
- 提携業者に依頼する必要がある
以下で詳しく解説していきます。
・引越しでの工程が多い
通常の引越しであれば、トラックに荷物を詰めてそのまま運搬することになります。特にトラックから荷物を下ろすことはなく、そのままの状態で新居へ到着します。
一方で海上コンテナであると、以下のような経路をたどることになります。
- 旧居でトラックへ荷物を積む
- 陸送
- 旧居近くの港で、トラックから海上コンテナへ荷物を移動させる
- 海上輸送
- 新居近くの港で、コンテナからトラックへ荷物を移動させる
- 陸送
- 新居にトラックが着き、荷物の搬入を行う
まず、以下のような普通のトラックに荷物を積むようになります。
このトラックは最寄りの港へ行きます。このうち、国内の主要な港としては以下のようなものがあります。
- 関東:東京港、横浜港
- 愛知:名古屋港
- 関西:大阪港、神戸港
どれもコンテナの取り扱い個数が非常に多く、引越しについてもこれらの港を利用する確率が高いです。こうした港のほかに、沖縄または離島での最寄りの港(例えば、那覇市なら那覇港)が使われます。
これらの港へ移動した後、以下のようなコンテナに引越し荷物を移動させます。
その後、海上輸送にて目的の港まで運ばれていきます。新居近くの港へ荷物が到着した後、再び海上コンテナからトラックへと荷物を積み直す必要があります。荷物を移動させる必要があるため、その分だけ人件費が加算されるようになります。
そうして新居へ到着後、ようやく荷物を搬入することになるのです。
・提携業者に依頼する必要がある
海上コンテナ(場合によってはJR貨物)を利用することから、当然ながら別業者へ荷物を委託しなければいけない場面が発生します。
また、離島だと取り決めがあるので異なる提携業者を活用しなければいけないこともあります。すべて自社だけで作業を行うのは無理なため、その分だけ費用が加算されると考えてください。
沖縄や離島への引越し料金相場
それでは、実際のところ沖縄や離島への引越しではいくらの費用になるのでしょうか。ザックリとでもいいので、料金相場を知っておくことは重要です。
以下では、東京や横浜、千葉など関東から沖縄(または、沖縄から関東)へ引越しをするときの料金相場を載せています。
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 家族 |
閑散期 | 20~25万円 | 25~35万円 |
繁忙期 | 25~30万円 | 35~45万円 |
引越しでの閑散期は5月から翌年2月です。3月と4月は引越し料金が非常に高くなります。
なお、私の知り合いに東京から沖縄へ単身引越しをした人がいます。もともと沖縄出身の人だったのですが、仕事を辞めて那覇市に戻ることになったわけです。
そこで値段を聞いてみると、20万円でした。何社もの引越し業者に見積もりを依頼したのですが、金額は20~25万円辺りだったようです。
このときの荷物は非常に少なく、ワンルーム分の荷物です。ワンルームなので、以下のような必要最低限の荷物しかありません。
- ダンボール5箱
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- ベッド
- 電子レンジやタンスなど、そのほか最小限の家具・家電製品
そのときは9月だったので閑散期での引越しですが、このようにワンルームの単身引越しであったとしても、海上コンテナを利用する場合は値段が高くなります。
・大阪、神戸など関西での引越しも同じ値段
ちなみに、東京よりも沖縄に近い場所として、関西があります。このとき、大阪や神戸など関西での引越し料金は東京に比べて安くなるのかというと、船便の場合はほぼ同じです。料金相場が低くなることはありません。
もちろん、JR貨物を組み合わせての引越しになった場合、JRでの移動距離が短いほど値段は安くなります。ただ、船便の場合は大阪でも東京でもそこまで価格差はありません。
これは、「愛知・名古屋 ⇔ 沖縄」「広島・岡山 ⇔ 沖縄」の引越し料金も似た値段になります。
・北海道や仙台だと値段は高くなる
しかし、これが北海道・札幌や仙台などの引越しになると、「東京から沖縄(または、沖縄から東京)などに比べて値段が高くなります。
沖縄から北海道や仙台に引越しするときの料金目安は以下のような感じです。
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 家族 |
閑散期 | 30~35万円 | 35~45万円 |
繁忙期 | 35~40万円 | 45~55万円 |
北海道・札幌や仙台の場合、東京港や大阪港までJR貨物を利用して輸送し、そこから海上コンテナを利用するなど、複雑な経路をたどるようになります。そのため、これだけ値段が加算されるようになるのです。
沖縄本島以外だと、さらに高額になる
なお、先に示したのは沖縄本島への引越し料金です。沖縄への引越し(または、沖縄からの引越し)を考えている人の場合、当然ながら沖縄本島での引越しがメインになります。そのため物流が整備されており、値段は安くなりやすいです。
しかし、石垣島、宮古島、屋久島、奄美大島、小笠原諸島、八丈島など、その他の離島になると話は別です。
離島でトラックを手配するためには別業者へ委託したり、船便で輸送するために特別な提携業者へ依頼したりするため、金額が大きくなってしまうのです。実際、鹿児島港から屋久島へ引っ越し荷物を運搬するだけでも20~30万円以上の費用が必要になるのは普通です。
海上コンテナを含め、離島への引越しだと単身引越しでも料金相場が30万円以上になります。家族での引越しでは、50万円などの請求になることも珍しくありません。こうしたことを事前に理解するようにしましょう。
・沖縄本島から離島でも値段は高い
参考までに、沖縄本島から宮古島、石垣島などへ引越しをするときであっても、単身引越しで10万円以上の値段になるのは普通です。
東京だけの近距離引越しなら3万円などで可能ですが、船を利用する引越しだとどうしても引越し料金は高額になりやすいのです。
安い引越しに必要な見積もり比較
このように異常なほど値段が高くなりやすいのが、沖縄や離島での引越しです。沖縄・離島で海上輸送を利用する場合、引越し料金がどうしても高くなるのです。
そこで、必ず見積比較サービスを利用するようにしましょう。
家族の引越しであれば、「ある業者は37万円の見積もりであり、もう一方は70万円の見積金額が出される」などのように、非常に大きな価格差になるのは珍しくありません。引越し業者ごとに提携業者が異なり、利用する物流も違ってきます。そのため、値段がバラバラなのです。
いくらの費用になるのかについては、実際に訪問見積もりをしてもらわなければ分かりません。そこで、3~5社の引越し業者に見積もりを依頼するようにしましょう。
2社への依頼では少なすぎます。3社以上の見積もりは必須だと考えましょう。一括見積サービスなどを活用し、何社もの見積もりを提示してもらうといいです。
基本は大手引越し業者や専門業者を頼る
それでは、こうした船便を利用した引越しでは、どのような引越し業者へ依頼することになるのでしょうか。基本的には、大手引越し業者を利用することになります。これには、以下のような会社があります。
- アート引越センター
- サカイ引越センター
- アリさんマークの引越社
- ヤマトホームコンビニエンス(クロネコヤマト)
- 日通(日本通運)
クロネコヤマトや日通については、物流企業なので沖縄や離島への輸送サービスを問題なく行えることは理解できます。ただ、アート引越センターやサカイ引越センター、アリさんマークの引越社でも問題なく対応できます。
また、中小引越し業者でもアップル引越センターは沖縄や離島への引越しに対応しています。他にも、琉球トータル引越サービスなどのような、「沖縄を拠点にしているが、日本全国への船便輸送が可能な引越し業者」も存在します。
引越しでの一括見積であれば、200社以上の提携業者へ見積もり依頼が可能です。そのため、これら離島への引越しに対応できる業者へ一気に見積もり依頼を出すといいです。
・荷物を少なくする努力は必須
海上コンテナを利用するとはいっても、コンテナは大きさが決まっています。そのため、引越し準備のときはダンボールへの箱詰めを頑張るだけでなく、不要物の廃棄処分も積極的に行うようにしましょう。船便の利用を考えている人であれば全ての人が事前準備として荷物の断捨離が必要になるのです。
たとえ単身引越しであったとしても、混載便が可能です。混載便とは、「一つのコンテナの中に他人の荷物まで載せ、混載の状態で運搬する」ことを指します。コンテナの空いたスペースを有効活用するのが混載便です。
そのため、荷物量が少ないほど引越し金額は低くなります。
単身パックの利用も検討する
特に荷物量の少ない単身引越しの場合であれば、単身パックの利用も検討してみるといいです。単身パックでは、以下のような専用コンテナを活用しての引越しになります。
出典:三八五引越しセンター
専用コンテナにはみ出さないのであれば、好きなように荷物を載せることができます。洗濯機や冷蔵庫に加え、ダンボール数個など非常に荷物量が少ない場合、こうした単身パックを活用してみても問題ありません。
単身パックやクロネコヤマトや日通などの物流企業が主に提供しているサービスになります。引越しによる訪問見積もりを依頼するとき、ついでに「単身パックなら料金相場はいくらになるのか。また、どれくらいの荷物量を運搬できるのか」を確認するといいです。
ゆうパックを利用は可能か
中には、より荷物量が少ない人もいます。洗濯機や冷蔵庫、ベッドを含め大型家電・家具の運搬を考えていない場合、ゆうパックを活用するという手法もあります。
ダンボールを沖縄や離島へ送るのは、意外と料金は安いです。例えば、以下のようなサイズであると一箱2,000円ほどで東京から沖縄へ輸送できます。
ダンボールに服など必要な荷物だけを詰め、送るだけの引越しになります。他の不要な荷物はすべて廃棄処分し、ダンボールだけを送る引越しになります。
荷物の到着には1週間ほどの日数がかかる
通常の引越しであれば、長距離引越しであったとしても2日で引越しが完了します。福岡-東京の引越しであっても、荷物をトラックに積み込み、翌日に新居へ荷物が到着するのは普通です。
一方で船便を利用する場合、荷物の到着は遅くなります。海上コンテナ輸送を利用するための便が一週間に1~2回であることは多く、必ずしも毎日運航しているわけではありません。そのため、どうしても時間が必要になるのです。
このときの目安としては、1週間ほどの日数が必要になると考えてください。沖縄や離島の引越しでは、ある程度の余裕日数を確保した引越しが必要になります。
1週間の期間が必要になることから、荷物が到着するまでは「知人・親戚の家に居候させてもらう」「ホテル暮らしをする」などのようになります。これらを理解したうえでの引越しになります。
・航空便なら1日で引越し可能
なお、飛行機を利用した引越しも可能です。航空便を活用することによって、その日のうちに引越しを完了させることができるのです。
しかし、実際のところ航空便を活用する人はほとんどいません。料金相場が非常に高く、単身引越しでも一回の引越しで100万円以上になるのが普通だからです。
引越し業者であれば、飛行機による輸送にも対応できます。ただ料金相場は非常に高額なので、利用できるのは限られた一部の人になります。基本は船便にするのがおすすめです。
沖縄・離島の海上コンテナ引越しはコツがある
船便を利用しての引越しでは、単なる陸上輸送に比べて料金相場が高くなります。東京-沖縄であれば、単身引越しでも20万円ほどに費用になってしまうのです。
その中でも格安引越しを実現するため、複数社への見積もり比較は必須です。
さらに、運搬する荷物を事前に決めておき、引越し日までに不要なものをできるだけ廃棄処分して、少ない荷物量の引越しになるように準備することをおすすめします。そうすることで、引越し価格を安くするのがコツです。
このとき、引越し日数は1週間ほどになります。必ずしも、船便が毎日出航しているわけではないからです。ある程度の時間がかかることは認識しましょう。
沖縄や離島の引越しでは、注意点がたくさんあります。引越し金額も高いです。そこで、これらの注意点を理解したうえで引越しを実行するといいです。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
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