引越しには多大な労力とお金がかかります。引越しについて判断を誤ると、多くの時間とお金が無駄になるため、引越したい理由があっても引越しに踏み切れない人は多いです。
また引越しすることが決まっている場合であっても、実際に引越しするまでには物件選定や引越し業者など、さまざまな場面で選択を迫られます。引越しでは判断に迷う場面が非常に多いのです。
ただ、何に対して不安に思っているかを自覚して正しい対処法を理解すれば、引越しに対する迷いを払拭しやすくなります。そこでここでは、引越しについて迷った時の考え方を解説していきます。
もくじ
引越しを決断できない場合の対処法
引越しを考えているということは、引越しをしたい何らかの理由があることでしょう。ただ、このようなとき懸念されるのが引越しにかかる費用です。
引越しではさまざまな場面で多額のお金がかかります。そのため、引越し費用の総額が心配になって引越しを迷う人は多いです。
ただこのようなお金についての不安は、引越し費用の目安を知ることで緩和することができます。まず、引越しで必要となる初期費用は「物件の契約費用」「引越し料金」「家具家電の購入費」の3つに大別されます。
これらのうち、新居の契約費用は家賃の5倍が目安です。例えば家賃8万円の物件へ引越すのであれば、契約費用として40万円ほどかかるのが一般的です。
また引越し業者の利用料金については、荷物量が増えたり引越し距離が長くなったりするほど高額になっていきます。参考までに以下は、引越し業者の料金相場です。
短距離(50km以内) | 中距離(200km以内) | 長距離(500km以内) | |
単身 | 3~4万円 | 4~5万円 | 5~6万円 |
2人 | 6~7万円 | 8~9万円 | 10~12万円 |
3人以上 | 8万円~ | 11万円~ | 14万円~ |
さらに引越しによって家電などの買い替えが必要となると、十数万円ほどの費用負担が発生します。家電を買い替えない場合であっても、収納などの確保のために数万円ほどかかることを覚悟した方がいいです。
これに加えて、現在住んでいる賃貸物件の入居時に敷金やクリーニング費用を支払っていない場合、退去時に数万~十数万円の費用負担が発生するケースがあります。
入居時に敷金などを支払っていれば、退去費用はほとんどかからないケースが多いです。ただ、敷金を支払ったかどうかを忘れている人は多いです。予定外の退去費用請求で慌てないためにも、事前に契約書を確認しておきましょう。
初期費用を節約すれば、更新費用に少し上乗せした額で引越し可能
このとき中には、現在住んでいる賃貸物件が更新のタイミングであり、引越しを迷っている人もいるでしょう。更新料が必要な物件だと、部屋に住み続けるために家賃1ヶ月分以上の支払いが必要となります。このような費用負担をもったいないと感じる人は多いです。
それでは、更新料を支払って現在の賃貸物件に住み続けるのと引越しではどちらの方がお得なのでしょうか? 結論からいうと、基本的には更新料を支払って現在の物件に住み続ける方が費用の負担金額は少ないです。
前述のように、引越しでは賃貸物件の契約だけで家賃の5倍ほどかかります。更新料は高くても家賃2ヶ月分ほどであるため、基本的には、現在の賃貸物件の契約を更新して住み続ける方が安いです。
ただ引越しの初期費用は工夫次第で大幅に節約できるため、更新料にお金を少し上乗せするだけの費用で引越しできる可能性があります。
例えば賃貸物件の契約費用は、「敷金(家賃1ヶ月分)」「礼金(家賃1ヶ月分)」「前家賃(家賃2ヶ月分)」「仲介手数料(家賃1ヶ月分)」の4つに大別できます。
これらのうち、敷金と前家賃は「のちのち発生する費用の事前支払い」です。前家賃はその名の通り家賃の前払いですし、敷金は退去時の部屋修繕に充てられる費用です。
特に敷金は、部屋をきれいに使用すれば退去時に全額または一部返金があります。そのため、これら項目については「実質的な負担はない」と考えて問題ありません。
一方で礼金と仲介手数料については、引越し時に大家・仲介業者への報酬として支払いする項目です。そのため礼金と仲介手数料を支払うと、単純にあなたの所持金が減少することになります。
ただ、これら支払いは物件選びで減額が可能です。例えば以下は、不動産検索サイトで礼金なし物件を検索した結果です。
このように、礼金なしで借りられる物件は非常に多いです。礼金なし物件から引越し先を選べば、家賃1ヶ月分の初期費用を節約できます。
また不動産サイトでは、礼金だけでなく仲介手数料のかからない物件を検索することもできます。例えば以下は、「礼金なし・仲介手数料無料」で検索した結果の画面です。
このように、礼金と仲介手数料がない物件も多数存在します。このような検索を行えば、初期費用を安く抑えられる物件を簡単に見つけることができます。
これに加えて、賃貸物件の中には1~2ヶ月分の前家賃をカット(フリーレント)してくれるケースもあります。このような条件がそろった物件を探せば、いま住んでいる物件の更新費用とほぼ変わらない金額で新しい物件を契約できる可能性があります。
また引越し業者の利用料金についても、複数業者に見積もりを依頼するだけで数万円ほど節約できます。今住んでいる物件の更新時期が近づいて引越しを迷っているのであれば、初期費用を抑えられる物件を探して引越しすることを検討するといいです。
子供がいて引越しに不安を感じるときの対処法
一方で中には、費用面ではなく家庭の事情で引越しを迷うケースもあります。特に多いのが、子連れ引越しに対する不安です。
子供がいると荷物が多くなる上に、子育てしながら荷造りを行うことになるため、引越しでの作業負担が非常に重くなります。また、子供が新しい環境に慣れるかどうかが心配になる人もいるでしょう。
特に子供が小学生以上の場合、引越しによって転校することになります。学校が変わることは、子供にとって大きな環境の変化です。そのため「子供が新しい学校になじめるかどうか」「勉強についていけるのか」などと心配になる親は多いです。
ただ、これらの不安についても、事前に対策して工夫することで不安要素を減らすことができます。
例えば引越し作業については、子供がお片付けできる年齢なのであれば簡単な荷造りを任せることができます。「新しいおうちに行くから、自分の服をたたんでこの箱に入れて」「ここのおもちゃをこの箱に入れて」など具体的な指示を出せば、幼児であっても荷物をまとめることができます。
また子供の環境の変化が心配なのであれば、夏休みや冬休み、春休みのタイミングに引越し日を調整するのがおすすめです。
学習の詳細や進み具合などは学校ごとに異なるものの、公立の学校であれば新学期からスタートする学習内容は似た状況になりやすいです。
例えばかけ算は小学校2年生の2学期から始まる学校が多いですし、連立方程式は中学2年の2学期から始まるケースが多いです。そのため新学期に転校するスケジュールで引越しすれば、新しい単元を取り扱うタイミングで転入できるため、学習の遅れを生じにくいです。
また早めに教科書の種類と授業の進み具合を引越し先の学校に確認しておけば、長期休み中に予習しておくことが可能となります。事前に予習しておけば、引越し先での授業にもついていきやすくなります。
さらに、新学期は在校生も新しい環境を受け入れやすい状況です。そのため新学期からの転入だと、子供がクラスになじみやすい傾向にあります。
このように、引越しの段取りやタイミングを工夫すれば引越しによるあなたや子供への負担を減らすことができます。そのため子連れ引越しについて迷っているのであれば、事前に段取りやタイミングを調整して引越しを考えましょう。
近距離の引越しであれば学区外でも転校なしが可能なケースがある
なお、市町村内または東京都内での引越しであれば、学区外への引越しであっても転校しなくても済むケースがあります。この場合、指定校変更や区域外就学の手続きを行うことになります。
例えば以下は、東京・練馬区の公式ホームページに記載さている指定校変更の要件です。
ここには、「転居後も同じ学校への通学を希望しており、通学が可能な場合、指定校変更が可能」となっています。つまり、学区外となっても元の学校に通い続けることができるのです。
参考までに、私は仕事の関係で市内引越しをしたとき、子供が通っている学校の学区外となりました。子供が徒歩で通うには難しい距離ですが、車での送迎を条件に指定校変更が許可されました。転居が理由であれば、子供が徒歩で通えない距離であっても指定校変更が認められるケースがほとんどです。
指定校変更については住民票の移動手続きの後、教育委員会で手続きします。自治体によって手続きの詳細は異なりますが、おおむね書類に必要事項を記入するだけで手続き可能です。
引越しても学校が変わらなければ、子供への負担はかなり軽くなります。引越し先から現在の学校に送迎可能なのであれば、指定校変更や区域外就学の手続きを検討しましょう。
賃貸選びに迷っているなら、引越し後をイメージして考える
一方で中には、「すでに引越しすることは決まっているが、どのような賃貸物件にするべきか迷っている」という人もいるでしょう。特に賃貸物件は非常に多いため、探せば探すほど物件選びに迷いがちです。
このような場合、実際に暮らしてみた時の状況を具体的にイメージしてみましょう。
例えば引越し先物件を探しているうちに、「間取りや内装などが理想に近い一方で、家賃が予算を超えている物件」が気になってくるケースはよくあります。このような場合、予算よりも高い家賃で問題なく生活できるかどうかを具体的に計算してみるといいです。
家賃が予算よりも月1万円高い物件に住むのであれば、他の部分で月1万円削ることをイメージしてみましょう。例えば外食を減らしたり、固定費を下げたりなどです。月額1万円の節約が難しいようであれば、間取りや内装を魅力的に感じても家賃の高い家に住むのは避けましょう。
同様に、「内装・間取りが好みだが収納が少ない」と感じるのであれば、今持っている荷物を減らせるかどうかを検討しましょう。処分できる荷物がないようであれば、内装などを魅力的に感じても収納が少ない物件を諦めるのが賢明です。
複数業者に見積もりを依頼すれば、あなたに合った業者を選べる
また中には、引越し業者選びで迷う人もいるでしょう。引越し業者はかなり多く、サービス内容も多岐に渡ります。そのためどの業者が自分に合っているかを判断するのは難しいです。
そこで引越し業者選びに迷ったら、まずはあなたが引越し業者に求めるサービス内容を具体的に挙げてみましょう。例えば「とにかく引越しを安く済ませたい」「女性スタッフにお願いしたい」などです。その上で、前述の通り複数の引越し業者に見積もりを依頼しましょう。
複数の業者に見積もりを依頼すれば、それぞれの業者のサービス内容を比べることができます。
また引越し業者からしてみれば、契約が取れないと売り上げが立たないため、他の業者にも見積もりを取っていることがわかると値引きやオプションサービスの追加などの対応を行ってくれます。複数業者に見積もりを依頼するだけで、引越し料金が安くなるだけでなくサービス内容も良くなるのです。
このとき、訪問見積もりの際には営業スタッフから「今契約してくれれば最安値の〇円を出せます」などと交渉されます。引越し業者のキャンセル料金は引越し日の3日前まで発生しないので、金額を魅力的に感じたらその場で契約して問題ありません。
その後、他の業者の方が良い条件であれば、希望の業者と契約して最初の業者にキャンセルの連絡を入れましょう。「他の業者の方が安かった」と正直に伝えてもいいですし、角が立たない言い方を好むのであれば「会社の提携業者に依頼できることになった」「知り合いの紹介で他の業者に依頼することになった」などと言って断るといいです。
費用の節約やスケジュール調整などを行い、後悔しない引越しを行う
引越しにはお金と時間がかかります。そのため引越しをしたいと考えてはいるものの、実際に引越しするか否かを迷っている人は多いです。
このとき、現在住んでいる物件が更新時期で引越しを迷っているのであれば、礼金なしやフリーレントの物件を探すことで少ない負担金額で引越しすることが可能です。
一方で子供がいる場合、新学期や新学年時に引越しを行うことで学習の遅れなどの心配が少なくなります。引越し先によっては、指定校変更などで同じ学校に通い続けられるケースもあるので、子供への負担が少ない手段を選ぶといいです。
また引越し先の賃貸物件について迷っているのであれば、引っ越した後の状況を具体的にイメージしてみましょう。さらに、引越し業者については、複数業者に見積もりを依頼して、あなたに合った業者を安く契約しましょう。これらが引越しについて迷った時の考え方です。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。
また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
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多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。