引越しにはお金がかかります。特に引越しを機に家具家電を買い揃えなければいけない場合、引越しにかかる初期費用が高額になりやすいです。

このとき賃貸物件の中には、生活に必要な家具家電が部屋に備え付けられているケースがあります。このような住居を選べば、家具家電の購入費用がかかりません。そのため、インテリアや家電の機能などにこだわりがないのであれば、家具家電付きの部屋を選んだ方がお得に思えます。

それでは、手持ちの家具家電がない場合、家具付きの賃貸物件に住んだ方がお得なのでしょうか? また家具付き賃貸に住む際には、どのような点に注意したらいいのでしょうか?

ここでは、家具付き住居のメリットや注意点などについて解説していきます。

家具家電付き物件が向いている人は限られる

冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどは生活に欠かせない家電です。またカーテンやテーブルなどの家具がなければ、生活がかなり不便になります。そのため一般的な賃貸物件へ引越す際には、これらの家電・家具を揃えなければなりません。すべて新品でそろえようとすると、数十万円はかかります。

このとき家具家電付きの部屋に引越せば、家具家電の購入費用を浮かせることができます。そのため家具家電付きの住居だと、少ない予算で引越しできるのは事実です。

ただ基本的には、一人暮らし開始の初期費用を抑える目的で家具家電付きの部屋を選ぶと、最終的には損するケースがほとんどです。

まず、家具家電付きの住居は通常よりも家賃が高めな傾向にあります。家具家電の購入・管理費を家賃に上乗せしているためです。具体的には、家具家電付きの部屋は「家具家電以外の条件が同じ物件に比べて、家賃が2~3割ほど高い」というケースが多いです。

また家具家電付きの部屋を選んで一人暮らしの初期費用を抑えたとしても、通常の他の物件へ引越す際には家具・家電をそろえなければなりません。つまり、一人暮らし開始にかかる初期費用を次の引越しに持ち越しているだけです。

このようなことから、引越しの初期費用を抑えるだけが目的なのであれば、家具家電付きの部屋がお得とはいえません。むしろ、長い目で見ると損をすることになります。

単身赴任や短期間の一人暮らしだとお得

一方で、短い期間のみ一人暮らしすることが確定しているのであれば、家具家電付き住居の方がお得になりやすいです。

例えば、家電や家具などの生活必需品を一通り揃えようとすると20~25万円はかかります。

このとき、家具家電の購入費が25万円かかると仮定すると、相場より2万円家賃が高くても、1年以内に引越すのであれば家具家電付き物件のほうがお得です。家賃が1万円高い家具家電付き物件なら、2年暮らしても損になりません。

特に単身赴任や短期間で実家に戻る予定のある学生だと、一人暮らしの際に家具家電を揃えても、家族のいる家に戻る際には不要となります。家具家電を処分しようとすると、さらにお金がかかります。

そのため短い期間のみ一人暮らしをする予定であり、自分だけの家具家電を持つ必要がないのであれば、家具付き部屋を選ぶ経済的なメリットは大きいです。

家具付きの賃貸物件に住むメリット

また他にも、自分だけの家具家電を持つ必要がない人であれば、家具家電付き住居に住むことにはさまざまなメリットがあります。

例えば、引越し業者の荷物運搬料金は荷物が多くなるほど高額になります。そのため、引越しの際に家具家電がないと引越し費用が安く済みます。

特に、ベッドや冷蔵庫、洗濯機などの大型家具・家電がなければ、格安の単身パックプランを利用できます。例えば以下は、大手引越し業者の単身パックです。

このプランはトラック1台を貸切るのではなく、専用ボックスを使用して荷物を運びます。このようにすると1台のトラックで何人もの引越し荷物を同時に運ぶことができるようになるため、運送コストを抑えることができます。

そのため、単身パックは通常の引越しプランに比べて料金がかなり安いです。家具家電付き物件を選ぶと、引越し費用を大きく抑えることができるのです。

家具家電が壊れても急な出費が発生しない

また自分で持っている家具・家電だと、壊れたら買い替えなければいけません。

家具・家電は前触れなしに壊れることが多いため、所有している家電が壊れると急にまとまったお金が必要となります。特に冷蔵庫や洗濯機などが壊れると、生活に支障をきたすため早急に買いに行かなければなりません。

これに対して家具・家電付きの住居だと、日常的な使用によって備え付けの家具・家電が壊れた場合、修理や買い替えの費用はオーナー負担となります。

つまり、家具・家電が壊れても急な出費が発生しないのです。そのため家具家電付き物件に住めば、急な出費で生活に支障をきたす心配がなくなります。

急な引越しでも、入居後すぐに生活できる

また、家電や大型家具などを自分で買い揃えるには手間と時間がかかります。

例えばベッドや冷蔵庫などの大型の物だと、引越し先の間取りを確認し、置く予定の場所の寸法を測らなければなりません。その後、サイズや機能などを考えながら購入する商品を吟味することになります。

時間をかけられない引越しの場合、このようにして新居に合う家具・家電を自分で買いに行くことは難しいです。

また、新居にぴったりの良いサイズ・機能の商品を見つけたとしても、即日持ち帰り・配送できないケースは多いです。そのため急な引越しだと、家具・家電の手配が間に合わず入居後しばらく不便を強いられるケースは多いです。

このとき家具家電付きの物件に引越す場合、日用品さえ揃えれば問題なく生活できます。家具家電付き物件であれば、急に引越しが決まっても、すぐに快適な暮らしを始めることができるのです。

家具家電付き物件には何がついているのか?

なお、家具付き物件に備えられている物はオーナーが選定して買い揃えている物です。そのため同じ家具家電付き物件であっても、備えつけられている家具家電は物件によって異なります。

ただ基本的に、家具家電付きを提示している物件は「何も持たずに入居しても、すぐに暮らせる部屋」を売りにしています。そのため「家具家電付き」と提示されている物件には、生活に必要不可欠な家具家電はすべて備え付けられているのが基本です。

具体的には、以下のような家具家電が備え付けられている物件がほとんどです。

  • ベッド
  • テーブル
  • テレビ台
  • カーテン
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ
  • テレビ
  • 照明器具
  • エアコン

これに加えて、中には収納棚・ソファなどの家具や炊飯器、電気ケトルなどの小型家電が備え付けられている物件もあります。また、これら小型家電が備え付けられていない物件の場合、レンタルにて希望すれば貸してくれるケースがあります。

備え付けの家具家電がいらない場合、撤去してもらえる?

このとき、中には備え付けられている家具・家電の一部を所有しているケースもあるでしょう。当然ながら、ベッドや冷蔵庫、洗濯機などは2つもいりません。そのため備え付けの家具家電を所有している場合、重複する家具・家電を撤去してもらいたいと考える人は多いです。

このとき、備え付けられている家具家電を撤去すれば、入居者の使用による破損・消耗が発生しなくなります。そのため、家具家電の撤去はオーナー側にとっても都合のいいことのように思えます。

それでは、重複する家具・家電をオーナーに撤去してもらうことはできるのでしょうか?

結論からいうと、備え付けられている家具家電の中に利用しない物があったとしても、対応してもらえないケースがほとんどです。備え付けられている家具家電を撤去すると、オーナーに経済的負担がかかるためです。

まず、冷蔵庫や洗濯機、ベッドなど大型の家具家電は個人で運搬・運送することが困難です。そのため、これを撤去するためには専門業者に依頼する必要があります。

当然ながら業者を利用すれば、その分だけお金がかかります。また、運搬・運送することによって家具家電が破損すると、買い替え費用が発生することになります。

さらに、撤去した冷蔵庫やベッドなどを保管するためには広いスペースが必要です。ただ、オーナーは家具家電を保管するだけのスペースを確保していません。このような状況で持ち物件に備え付けている家具家電を撤去すると、スペースを借りる倉庫費用がかかります。

これに加えて家電の多くは、一度使い始めたら継続して使うことを想定して設計されています。そのため、使い始めた家電を長期間保管しておくと故障しやすくなります。

このようにオーナーからしてみれば、備え付けている家具家電を持ち物件から撤去することにはデメリットが多いです。そのためオーナーに備え付け家具家電の撤去を依頼しても、基本的には断られます。

部屋に備え付けられている家電を既に所有している場合、新居へ持っていかずに実家などに置いていきましょう。また保管しておくことが困難なら、処分したり物件を選びなおしたりすることをおすすめします。

家具付きの賃貸物件に住む注意点

なお家具家電付き物件の中には、入居率を高めるためにおしゃれで新しい家具・家電を揃えているケースがあります。このような部屋だと、入居後すぐにモデルルームのような環境で暮らすことができます。

ただ、このような物件は家賃が高額で人気も高いです。そのため一般的な家賃の家具家電付き物件は、型の古い中古品の家具家電が多いことを覚悟する必要があります。

場合によっては、ベッドのマッドレスが劣化していたり家電が壊れかけていたりするケースもあります。壊れたら修理交換してもらえますが、まだ使える場合だと不便でも使い続けなければいけないのが基本です。備え付けの家具家電に性能・品質は期待できないのです。

また、家具家電付き住居のほとんどは一人暮らし向け物件であるため、冷蔵庫やテレビ、テーブルなどは必要最低限の大きさなのが基本です。そのため自炊したり大きなモニターでテレビを見たりしたい人には不便に感じる可能性があります。

不注意で破損すると退去時の原状回復費が高くなる

また、備え付けられている家具家電が壊れた場合、基本的にはオーナー負担で修理・買い替えを行うことになります。

ただこれは、一般的な使用によって破損した場合のみです。借主であるあなたの不注意によって壊れた場合、故意でなくても弁償しなければなりません。賃貸物件の借主には原状回復義務が課せられており、部屋を入居前の状態に戻してオーナーに部屋を返す(退去する)必要があるためです。

例えば一人暮らし用の冷蔵庫だと、冷凍庫に自動霜取り機能が付いていない物が多いです。このような冷蔵庫を使用する場合、定期的に霜取りしなければなりません。霜が過剰に溜まると冷却機能が落ちるだけでなく、故障しやすくなるためです。

ただ、冷蔵庫に霜がついても、しばらくは問題なく使うことができます。そのため霜取りをつい後回しにしてしまい、故障するケースが多いです。

また洗濯機で服を洗う際には、ポケットの中身などをすべて取り出すのが基本です。ただ場合によっては、ポケットに物を入れたまま誤って衣服を洗ってしまうケースは非常に多いです。その結果、洗濯物に混ざった異物によって洗濯機が壊れるケースがあります。

例えば私は仕事の制服ポケットにハサミが入っていることに気付かず、そのまま洗ってしまったことがあります。その結果、ハサミが内槽の隙間に刺さってしまい、洗濯機を買い替える事態に陥りました。

こうした注意不足や怠慢によって家具家電を壊してしまった場合、あなたが家具家電の修理・購入費用を負担することになります。余計な出費を生じさせないためにも、備え付けられている家具家電はあくまで借りている物という意識を持ち、大切に使いましょう。

・弁償費用を請求された場合は金額が適切かを確認する

このとき、借主に課せられているのは「部屋を入居前の状態に戻すこと」です。そのため入居直後に備え付けの新品家具家電を壊した場合、高額の修理・購入費用を請求されても仕方がありません。

ただ中には、年季が入っていたり格安だったりする家具家電を備え付けていたにも関わらず、高額な弁償費用を請求する悪質なオーナーもいます。当然ながら、部屋に備え付けられていた家具家電の価値以上の金額を支払う必要はありません。

また新品の家具家電が備え付けられている部屋に入居したとしても、入居年数が経過していれば弁償費用を全額負担する必要はありません。原状回復の基準には経年劣化が加味されており、年数を重ねるごとに価値(弁償費用)が低下していくためです。

そのため備え付けの家具家電を過失によって壊してしまった場合、まずは壊してしまった物の相場を調べましょう。そうすることで、相場を超える金額を請求された際に減額交渉することができます。

短期間の一人暮らしだと、家具家電付きの賃貸物件はメリットが多い

単身赴任だったり実家に戻る予定があったりする場合、引越しの際に家具家電を揃えてしまうと、その分だけ処分費用が発生します。そのため相場より高い家賃であっても、家具家電付き物件を選ぶほうがお得です。

また家具家電付き物件だと、急に引越しが決まっても入居後すぐに生活することができます。さらに、備え付けの家具家電が壊れてしまっても、急な出費が生じることもありません。

ただ不注意で備え付けの家具家電を壊してしまった場合、修理・購入費用をあなたが負担することになります。賃貸物件の借主には、部屋を入居前の状態に戻して退去する義務(原状回復義務)があるためです。

しかし中には、壊れた家具家電の価値を超える金額を弁償費用として請求する悪質なオーナーがいます。そのため不注意で備え付けの家具家電を壊してしまったら、必要以上の弁償費用を負担しないために品物の相場を調べましょう。これが、家具家電付き物件へ引越す際の基本的な考え方です。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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