引越しをするとき、誰もが費用を安く抑えたいと考えます。このとき、単身でなおかつ運搬すべき荷物がすべてダンボールに収まっている場合は、郵便局の配送サービスである「ゆうパック」を利用したほうが安くなるケースがあります。

ただし運搬できるダンボールの大きさと重さに制限があります。さらにはダンボールの個数が多いと、メリットどころか逆に値段が高くなります。このためゆうパックを利用する場合、事前に費用やサービス内容を把握することが必要です。

そこで今回は、「どのようなケースだと、ゆうパックによる引越し費用がお得になるのか」について、詳しく解説します。

ゆうパックの荷物の大きさと重さには、制限がある

ゆうパックを利用するとき、ダンボールの大きさと重さについて、以下のような制限があることを知っておきましょう。

【ダンボールの大きさと重さ】

ダンボールの大きさは3辺の合計が170cm以下で、重さは25kg以下(重量ゆうパックだと30kgまで)でなければなりません。ダンボールの大きさと重さが規定の範囲内であれば小型のテレビや冷蔵庫、折りたたみ自転車、布団などは送ることができます。

同じようにカラーボックスなどの家具も折りたためば運搬できます。ただしダンボールの数が多かったり、洗濯機やエアコンなどの大型家電やソファー、タンスなどを別搬送したりする場合は引越し業者の利用の方が安いです。

したがって、ゆうパック利用での引越しは引越し荷物がダンボールに収まり、なおかつ荷物が少ない単身者向きであるといえるでしょう。

宅配業者とゆうパックの運送代に大差はない

ではゆうパックの費用はどれほどなのでしょうか。ヤマト運輸などの宅配業者に比べて安くなるのでしょうか。参考までに、東京都内から都内(近距離)へゆうパックを送った場合で考えてみましょう。

【東京都内から都内へゆうパックを送った場合】

※出典:郵便局

このとき同じサイズのダンボールを使用すれば複数割引となり、ダンボール1個に付き60円ほど安くなります。仮に160サイズのダンボール(20V型テレビや電子レンジなどの家電が入る大きさ)でゆうバックを利用するとひと箱1,950円です。

そのほか荷物を郵便局に持ち込むと、さらにダンボール1個に付き120円ほど安くなります。

ただダンボールを郵便局(または一部のコンビニ)に運びこむのは手間がかかるため、ここでは郵便局に電話をして集荷してもらうサービス(無料)を利用する方法がおすすめです。郵便局では、以下のような集荷用の車があります。

ゆうパックでの引越し費用は、単純に「ダンボール1個あたりの値段×個数」で決まります。このとき引越し業者利用では時期(土、日、祝、日柄)によって費用に変動があるのに比べ、ゆうパックは一律です。

ちなみに同じサイズのダンボールを同じ条件で配送した場合、ヤマト運輸(キャッシュレス)や佐川急便は共に2068円となり、郵便局の配送料金のほうが100円ほど安いです。

ただし宅配業者ではクレジットカードや電子マネーを使うことができます。例えばヤマト運輸だと無料で登録できる「クロネコメンバーズカード」の電子マネーを使えば、送料が最大15%引きになります。

このようなサービスも考慮すると、宅配業者とゆうパックの宅配料に大差はないといえます。

ダンボールが15個以内であれば、ゆうパックも検討する

一方で、引越し専門業者の料金相場はどれほどなのでしょうか。単身引越しの相場は、以下の通りです。

近距離(50km以内)中距離(200km)長距離(500km)
閑散期3~4万円4~5万円5~6万円
繁忙期5~6万円7~8万円9~10万円

東京から都内の近距離だと、3〜4万円が相場です。実際に以下は、私が近距離引越し(50km以内)をしたときの領収書です。

このとき、3万円(引越し業者の相場) ÷ 1,950円(ゆうパック160サイズのダンボールひと箱の値段) = 約15個となるため、このサイズのダンボールのみの引越しで個数が15個以内に収まるようであればゆうパックを検討してみるといいです。

ちなみに単身の場合、引越しの荷物はおよそダンボールに10〜15個以内に収まることが多いです。大型の荷物がなく、ダンボールに収まるようであればゆうパックの利用もいいでしょう。

このときゆうパックの値段について「中距離なら4万円以内」「遠距離であれば5万円以内」に収まるかを基準にして、ゆうパックの利用を考えるといいです。

ゆうパックでの引越しは、自分でダンボールを調達する

ただ、引越し業者に依頼すると無料でもらえるダンボールですが、ゆうパックの場合は自分で調達しなければなりません。

ホームセンターやインターネットでも購入できますが、少しでも費用を節約したい場合はスーパーで無料で手に入れるといいです。

大抵のスーパーには購入したものを運搬するためのダンボールがまとめて店の片隅に置かれており、ここから自由に調達可能です。

引越しが決まったときから、少しずつダンボールを集めて荷造りすれば、計画的に引越し作業を進めることができます。ただしゆうパックの複数口割引(1個に付き60円引き)は同じサイズのダンボールでないと適用されないことに注意しましょう。

ダンボール以外の荷物があれば、単身パックがおすすめ

このように単身の方がダンボールのみで引越す場合、ゆうパックを利用すると安くなるケースもあります。ただ実際のところ、本当に安くなるかどうかは荷物の個数や大きさを把握してからでなければわかりません。

例えば10個の荷物のうち、9個は規定の大きさに収まったものの、一つだけ大きい荷物となってしまった場合、その荷物のみヤマト運輸などの運送業者に別口で依頼する必要が出てきます。

そうすると結局、「引越し業者の単身パックを使ったほうが良かった」となるケースもあります。ちなみに単身パックとは、以下のような専用ボックスを使って荷物を運搬する仕組みです。

引用:ヤマトホームコンビニエンス

1つのボックスには、およそ以下のような荷物が入ります。

  • 収納ケース3つ
  • ダンボール15個
  • 布団
  • カラーボックス

このときヤマトホームコンビニエンスの場合、同一市区内だと料金は17,000円です。

このようにダンボールに収まらない荷物がある場合は、単身パックのほうが安くなることも知っておくといいです。

ゆうパックを利用する場合は、あなたの荷物が何箱程度に収まるのかを正確に把握したほうがいいです。そのうえでゆうパックを使う場合の金額と共に、引越し業者へ見積もりをした金額と照らし合わせて、最終的に安い方を利用するようにしましょう。

ゆうパック送り状の書き方と利用方法

なお荷物の梱包を終え、実際にゆうパックで荷物を送るとき、送り状を書く必要があります。このとき送り状には2種類あり、青色が着払い、赤色が元払い(事前支払い)です。

着払いにすると1個に付き21円の手数料がかかるので、元払いがおすすめです。元払いの場合、現金のほかに切手も使うことができます。ただしクレジットカードは使用できません。

ちなみに送り状は郵便局の窓口、もしくは提携コンビニ(ローソン、ミニストップ、セイコーマート、ローソンストア)に行けば、必要な枚数をもらえます。

この送り状にあなたの現在の住まいと引越し先の郵便番号、住所、名前、電話番号、品名、配達希望日、配達時間帯を記入すればいいです。このとき配達希望日は、配達予定日(翌日、あるいは翌々日)から10日以内で指定することができます。

したがって引越しの10日前ほどから、少しずつ荷物を郵便局に集めてもらってもいいです。このときヤマト運輸や佐川急便では配達指定は「荷物を発送した日(当日)から、7日以内」となっており、指定可能期間はゆうパックが一番長いです。

集荷を申し込み、楽に荷物を運び出す

なお荷造りが完了して荷物を出すとき、ゆうパックは郵便局のほか提携コンビニへも運び出すことができます。しかし引越しの荷物の場合、個数が多かったり重量もあったりするため、基本的には集荷してもらうほうがいいでしょう。

集荷予約のやり方は、インターネット予約と電話予約の2パターンがあります。

【インターネットでの集荷申し込み方法】

検索エンジンに「郵便局 Web集荷サービス」と入れると、集荷申し込み画面が出てきます。この中の「今すぐ集荷を依頼する」をクリックします。

そうすると、個人情報などを入力する画面がでてきます。

上記に以下の情報を入力します。

  • 区分(個人か法人か)
  • 電話番号
  • 名前
  • 郵便番号
  • 住所
  • 集荷希望日(1週間以内)と時間帯(午前中及び、12時〜2時間単位で21時まで可)
  • 商品(ゆうパックを選択)
  • 重量ゆうパックの有無
  • ラベル(送り状)用意の有無
  • 梱包資材(ダンボール)必要の有無
  • 会員登録の要不要

【電話での集荷方法】

または、電話で集荷することもできます。検索エンジンに「ゆうゆう窓口」あるいは、「郵便局 連絡先」などと入れると以下のようなページに行きます。

ここで郵便局名または郵便番号を入れると、担当郵便局の連絡先を知ることができます。もしくは集荷専用電話番号0800−0800−111(無料)に電話し、自宅の郵便番号7桁を入力すると、近くの郵便局につないでもらえます。このときダンボールや送り状が必要であれば、伝えておきましょう。

ちなみに集荷数に限りはなく、日曜や祝日もやってくれます。ただし、電話でつながる時間帯は地域によって違います。

取り扱いシールを活用して、安全に運搬してもらう

集荷してもらうとき、荷物の中に壊れやすいものがあれば伝えるといいです。そうすると、注意を促すシールを貼ってもらえます。具体的には「こわれもの用」「なまもの用」「ビン類用」「逆さま厳禁用」「下積み厳禁用」のシールがあります。

実際に私がゆうパックの区分けアルバイトをしていたとき、それらのシールが貼ってあるとやはり目に止まりました。繁忙期でも、こわれもののシールが貼ってある荷物が下積みされることは、まずありません。ちなみにこわれものは奥に詰めたり、専用ボックスに入れたりしていました。

ただし荷物が多いとパレットの隙間にも詰め込むケースもあるため、逆さまになっては困るものは逆さま厳禁用のシールをはるといいです。

またシールはなくとも、ダンボールに「品名と大事に取り扱ってほしい旨」を書いても問題ありません。

ただ私の印象では、「ゆうパックの荷物は基本的に丁寧に扱われ、管理システムもしっかりしている」と感じました。例えば荷物をパレットに詰め込んだ後も、誤区分点検の時間を取り、荷物を整頓する時間が必ず設けられています。

したがって、荷物の破損等を過剰に心配する必要はありません。それでも万が一荷物が破損するようなことがあれば、原則として30万円までは賠償されます。

さらに荷物の中に30万円以上の高額なものがあったり、どうしても心配で補償額を上げたかったりする場合は、「セキュリティーサービス」をオプションでつけることもできます。このときかかる費用は、運搬費+370円です。

一方で梱包する側の不注意で、ガムテープが剥がれかかった荷物もバイトのときに何度か見かけました。ゆうパックの荷物は、引越し業者の運送と違い何度か積み下ろしが行われるため、ダンボールの底や開け口はしっかり閉めておくことをおすすめします。

また本など重量があるものを大きなダンボールに詰め込むと、重量が増して抱えにくくなります。そのようなときは「小さな箱を利用する」「本を敷き詰めた上に軽いものを入れる」などして、バランスを取ることも大事です。

ちなみにゆうパックでは「危険物や毒物」「病原体があるもの」「法令により禁止されたもの」「危害を与えるおそれのある動物」「個人情報を含むもの」「現金」は送ることができません。しかし魚介類(海老、カニ、貝、金魚など)、爬虫類(カメ、とかげなど)、昆虫類(カブトムシ、クワガタ、鈴虫)、鳥類(鳩、インコ)などは輸送が可能です。

ただし生き物は「健康体であり、手当てを要せず、悪臭がしないこと」「死亡する恐れについて了承している」「特別な扱いをしないこと」が条件です。実際にゆうパックの仕分けをするとき、鳩、メダカ、蜂が特別な扱いはされず、他の荷物と一緒に区分けされているのを見ました。

送り状を持っておくと、荷物の追跡ができる

そうして集荷してもらい、支払いが済むと送り状の控えがもらえます。この控えの右上にある「お問い合わせ番号」(12桁)を元に、荷物がどこまで運送されているかを知ることができます。

「郵便局 問い合わせ番号」あるいは「追跡サービス」と検索エンジンに入れると、以下のような画面が出てきます。

このとき引越しの荷物は複数であるため、「連続番号検索」をクリックします。連続番号検索をすることで、1つ1つの荷物の番号を入力しなくて済みます。

引越しの荷物は複数になるため、荷物の行方が気になることも多いです。そのようなとき、追跡サービスで確認すると安心です。

引越しの荷物を把握して、ゆうパックの利用を考える

荷物が少なく、大型の荷物がない場合はゆうパックを使うと安くなるケースがあります。ただし後から大型の荷物が出た場合、別の宅配業者に依頼することになり、費用もかさむため注意が必要です。

また場合によっては、引越し業者の単身パックのほうが安くなることも多いです。このようにどのような荷物がどれだけあるかによって、「ゆうパックを使ったほうが良いか」が決まってくるため、自分の荷物を把握することが大事です。

具体的にはダンボール15個以内に収まるようであれば、ゆうパックでの引越しも検討するといいです。ただし、それ以上になれば単身パックのほうが安い可能性が高いです。

このように値段を比較するには、比較サイトを使うのが手っ取り早いです。「引越し業者の一括見積もりサイトで出てきた最安値とゆうパックのどちらが安いか」で最終的に選ぶと、最安値での引越しを実現することができます。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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