引越しには多大なお金がかかります。引越し後の生活を快適にするためにも、引越し費用はなるべく節約したいところです。

このとき、格安の引越し契約の中には「積み切りプラン」と呼ばれるものがあります。積み切りプランで契約すると、通常に比べて数万円ほど料金が安くなるケースが多いです。そのため引越し費用を節約したい人の中には、積み切りプランの利用を検討している人もいるでしょう。

それでは引越しの積み切りプランとは、どのような引越しサービスなのでしょうか? また積み切りプランでの引越しで荷物をトラックに積み切れなかった場合、どのように対処したらいいのでしょうか?

ここでは積み切りプランのメリット・デメリットについて解説し、積み残しが発生した場合の対処法についても解説していきます。

積み切りプランにはデメリットが多い

引越し業者と契約する際には、営業スタッフによる訪問見積もりが行われます。これによって業者が荷物量を把握し、利用するトラックの種類が決まります。

このとき通常の引越しプランでは、実際の荷物量に対して少し大きめのトラックを手配するのが一般的です。トラックに荷物を積み切れないと、トラックの再手配や往復などが必要となり、引越しスケジュールが大幅に狂うためです。

これに対して積み切りプランは、あらかじめ設定した大きさのトラックに載せられるだけの荷物を運ぶ引越しプランです。積み切りプランだと「荷物がぎりぎり載るであろうトラック(=通常よりも小さめのトラック)」が手配されることになるため、引越し料金が低くなりやすいです。

積み残しには自力で対応しなければならない

ただ、積み切りプランでは、トラックに載せられる分だけしか荷物を運べません。つまり、引越し当日にトラックへ積み切れなかった荷物は、旧居にそのまま残されることになります。

このとき一般的な引越しプランであれば、荷物の積み残しに対して往復やトラックの再手配などを無料で対応してもらえます。トラックに荷物を積み切れなかったのは、営業スタッフの見積もりミス(=引越し業者の過失)であるためです。

これに対して積み切りプランで契約した場合、積み残し対応を無料で行ってもらうことは不可能です。場合によっては、まったく対処してもらえないケースもあります。

このようにして旧居に残った荷物については、あなた自身で対応しなければなりません。積み切りプランでの引越しには、積み残しによる追加費用や余計な手間が発生するリスクを伴うのです。

素人に最適なサイズのトラックを指定するのは難しい

また、そもそも一般的な引越し業者は積み切りプランでの契約を積極的に推奨しません。積み残しによる顧客トラブルが発生するリスクが高いためです。そのため積み切りプランを利用するためには、あなた自身がトラックサイズを指定する必要があります。

ただ、引越し荷物の量は人それぞれ大きく異なります。引越し業者のホームページなどで「2tショートは単身向け」「2tロングは家族2人分」など、トラックに積める荷物量の目安を確認できますが、あなたの荷物量がこの基準に合っているとは限りません。

また、トラックに積載できる荷物量は積み方にも左右されます。特殊な形状の荷物が多いと、荷物量が少なくてもトラックに積み切れない可能性があります。トラックに荷物を積んだ経験のない素人が適切な引越しトラックのサイズについて適切な判断を下すのは難しいのです。

そのため引越し料金を安く抑えたくても、すべての荷物を新居に運びたいのであれば、積み切りプランを指定して引越しをするのは避けましょう。

積み切りプランでメリットがある人

このように、積み切りプランはデメリット・リスクが大きい引越しプランです。ただ中には、積み切りプランを選んでも問題ないケースもあります。

例えば市内など近場引越しの場合、旧居に荷物が残っても自力で運びやすいです。特に大きめの自家用車を所持している場合、1度の往復で多くの積み残し荷物を運ぶことが可能です。このような場合、積み切りプランを利用して引越し費用を抑えても問題なく引越しを完了できます。

また実家からの引越しなど旧居に人が住み続ける場合、退去の手続きが発生しないため、部屋を空にする必要がありません。そのため積み残し荷物が発生しても旧居に置いておくことができますし、後から家族に送付してもらうこともできます。

したがって旧居に家族が住み続ける場合も、積み切りプランでの引越しで費用を節約できる可能性があります。

引越し費用節約のコツ

ただ積み切りプラン利用でメリットがある人でも、最初から積み切りプランを選択するのは避けた方がいいです。積み切りプラン以外にも引越し料金が安くなるケースが多数存在するためです。

例えば荷物を運び終わって営業所へ帰るトラックを利用する「帰り便」と呼ばれるプランだと、本来であれば帰るだけ(=売り上げが発生しない)のトラックを利用できるため、格安で引越しを依頼することができます。また近距離で荷物の少ない引越しの場合、他の引越し契約の隙間時間(昼以降など)に作業してもらうことによって費用を抑えられるケースもあります。

他にも、「引越し業者にとって都合の良い日時での作業」というプランで契約すると、引越し料金がかなり安くなります。引越し業者からしてみれば、スケジュールの空き(=売り上げが立たない日)を埋められるため、このような契約だと引越し費用をかなり安くしてくれるのです。

このように、引越し料金が安くなるプランは多数あります。これらプランのうち、どれが最安値となるのかは業者の空き状況などによります。つまり、必ずしも積み切りプランが最安値となるわけではないのです。

そこで引越し料金を節約したいのであれば、あらかじめプラン内容を決めるのではなく、複数業者に見積もりを取って料金やサービス内容を比較しましょう。

複数業者に見積もりを取れば、希望の日程・サービス内容で最安値となる業者・プランで契約することができます。また引越し業者からしてみれば契約が取れないと売り上げが立たないため、「複数業者に見積もりを取っている」と伝えると値引きを受けられます。見積もりを取る会社を増やすだけで引越し料金が安くなるのです。

引越し費用を節約したいのであれば、積み切りプランでの引越しにこだわらず、複数業者に見積もりを取って料金とサービス内容を比較検討しましょう。

積み切りプランで積み切れなかったときの対処法

ただ、中にはすでに積み切りプランで契約し、不安に思っている人(または、既に荷物を運びきれず困っている人)もいるでしょう。このような場合、どのように対応すればいいのでしょうか。

まず、訪問見積もりなどの際に営業スタッフから「荷物が増えなければ運びきれる」などと言われているのであれば、その旨を現場のスタッフに伝えましょう。基本的には、営業スタッフとの口約束で証拠がなかったとしても、積み残し対応をしてもらえるケースが多いです。

ただ営業スタッフにしらばっくられたり、事前に「運べる分だけ運ぶ」などと言われていたりした場合、業者に積み残し対応をしてもらうことはできません。旧居に残った荷物については、以下のような手段で対処しましょう。

近距離引越しの場合、自分で運ぶのがもっともお得

近距離引越しで積み残しが発生した場合、もっとも金銭面でお得になりやすいのが自力での運搬です。

まず自家用車を所持している場合、小形の荷物であれば往復することによって積み残し荷物を運びきることができます。そのため、自家用車に載らないサイズの家具や家電を業者に運搬してもらっておけば、往復のガソリン代のみで積み残し対応が可能となります。

また車を所有していなかったり、自家用車に荷物を積むのが難しかったりするのであれば、軽トラを借りて荷物を運搬するのがお得です。軽トラだと半日のレンタル料金・約5,000円+ガソリン代で荷物を運ぶことができます。

また軽トラだと、一般的な自家用車よりも多くの荷物を積み込むことができるため、往復回数を減らすことができます。往復回数が減ればその分だけ作業時間が短くなるだけでなく、ガソリン代を浮かせることができます。そのため積み残し荷物の量が多い場合も、軽トラのレンタルを検討しましょう。

自分で車を運転できないのであれば、赤帽を利用する

ただ中には、運転免許証を所有していないなど、車の運転が難しい人もいるでしょう。このような場合、赤帽を利用して積み残しを新居へ運ぶ手段があります。

赤帽は2時間以内20km未満の作業だと1万5,000円未満で利用することが可能です。また免許を持っていなくても赤帽スタッフが軽トラを運転してくれるため、自分で運転できなくても軽トラに載る分だけの荷物を運ぶことができます。

ただ赤帽は原則としてスタッフ1名が作業に当たるため、あなた自身も荷物の運搬を行う必要があります。また、運搬や作業に時間がかかると料金が高くなるので注意しましょう。

引越し先が遠い場合、引越し業者の単身パックなどを利用する

一方で中距離~遠距離の引越しだと、旧居と新居を往復することが難しいです。そのため残った荷物の量によっては、自力で積み残し荷物を運びきることができません。

そこで中距離~遠距離での引越しでの積み残し荷物が出た場合、引越し業者の単身パックを利用して新居へ送りましょう。単身パックであれば急な引越しでも対応してもらえるケースが多いですし、固定料金で決まった量の荷物を運搬してもらうことができます。例えば以下は、ヤマト運輸の単身パックで運べる荷物量です。

単身パックであれば、このボックスに入りきる量の荷物を通常の引越しよりも安く運搬できます。そのため自力で荷物を運べない距離への引越しで荷物が残ってしまったのであれば、引越し業者の単身パックで荷物を発送しましょう。

積み残し荷物を運びきれないようであれば、不用品業者を手配してまとめて捨てる

ただ場合によっては、自家用車や単身パックなどを利用しても運びきれない量の荷物が残るケースもあるでしょう。退去日までには部屋を空っぽにしなければならないため、積み残した荷物を何日もそのままにはしておけません。このような場合、荷物をすべて運ぶためには新たに引越し業者に運搬を依頼しなければなりません。

ただ、当日や翌日などの急な引越しに対応してくれる引越し業者はかなり少ないです。またすぐに対応してくれる業者が見つかったとしても、費用がかなり高くなることを覚悟しなければなりません。

そこで積み残しの荷物量が多く、退去日までに荷物を運び出せないようであれば、荷物の取捨選択を行い、不要な荷物を不用品回収業者に処分してもらいましょう。

不用品回収業者を利用すれば、軽トラ1台分の荷物を1万円ほどで処分できます。また不用品回収業者であれば、即日・翌日の対応をしてくれる業者を見つけやすいです。そのため積み切りプランによって旧居に大量の荷物が残ってしまった場合、不要な荷物を処分することを考えましょう。

積み切りプランのデメリットと積み残しの対処法を理解する

格安の引越しを考える人の中には、「トラックサイズを指定して載せられる荷物だけ運ぶ(=積み切りプラン)」を検討している人もいるでしょう。積み切りプランだと一般的な引越しよりも小さめのトラックを手配することになるため、引越し料金を安く抑えることができます。

ただ積み切りプランでの引越しでは、トラックに載りきる量しか運搬してもらえません。旧居に荷物が残った場合、自家用車やレンタカー、単身パックなどを利用して自力で対処する必要があります。場合によっては、通常の引越しプランよりも料金の総額が大幅に高くなるリスクもあります。

また、格安の引越しプランは積み切り契約だけではありません。引越し業者のスケジュール次第では、格安ですべての荷物を運べるプランを利用できるケースがあります。

そこで引越し費用を安く抑えたいのであれば、積み切りプランにこだわらず、複数業者に見積もりを取って価格とサービス内容を比較しましょう。そうすることで積み残しリスクを伴うことなく、引越し費用を節約できます。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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