引越しにはたくさんの作業が発生するため、多くの労力・時間を要します。特に子供がいるとなおさらです。子供連れの引越しでは手続きがかなり多く、無計画に進めると作業もれが生じやすいです。
ただ、やらなければならないことを忘れたり手続きが遅れたりすると、子供の転園・転校が遅れたり、金銭的に損をしたりするリスクがあります。
それでは子供と一緒の引越しでは、どのような手続きが発生するのでしょうか？ また子供連れで引越す際には、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか？
ここでは子供連れでの引越しの流れと、子供と引越す際の注意点について解説していきます。
もくじ
子供連れでの引越しが決まったらすぐにするべきこと
引越しに限らず、確定しない情報・状況について話すことはトラブルの原因になりやすいです。そのため、引越すことが決まっても「引越し先の住所が決まってから、保育園や幼稚園、学校などに連絡しよう」と考える人はかなり多いです。
ただ転園・転校を伴う引越しの場合、すぐに子供が通っている保育園や幼稚園、学校に連絡するべきです。受け持ちの子供が転園・転校する場合、担任の先生には多くの手続き・作業が発生するためです。
子供が転園・転校する場合、担任の先生や園の責任者には、保護者へ渡す書類の発行や役所への書類提出などが発生します。
また小さい子供を受け持つ担任の先生だと、退園・転校に伴い、子供のお別れ会や思い出帳の作成などを行います。
そのため、保護者からの転園・転校を伴う引越しの連絡が遅くなると、短い期間でお別れ会などの準備をこなさなければならなくなります。
さらに小学校や中学校などでは、期末・年度末に次期・次年度の備品購入を行います。そのため転校の連絡が遅れると、必要のない備品を購入してしまいます。
いずれにしても、引越し日が確定してから転園・転校を先生に伝えるようにしてしまうと、先生の仕事に悪影響を及ぼします。そのため引越しによって子供が通う保育園や幼稚園、学校などが変わるのであれば、すぐに転出先の担任へ伝えましょう。
なお引越し先が近隣で転園・転校の必要がない場合、急いで引越し連絡をする必要はありません。ただ保育園や幼稚園、学校での住所変更手続きは必要となるため、引越し先住所が確定したら忘れずに伝えるようにしましょう。
保育園の転園に必要な書類を早めに入手する
また転園・転校を伴う引越しの場合、転出先の保育園や幼稚園、学校へ連絡を済ませると同時に、引越し先地域での手続きを進めていく必要があります。
特に仕事の都合などの事情によって空き期間なしで保育園に入園させなければならない場合、早めに手続きを進めないと、入園できない期間が生じてしまいます。保育園の入園には多くの書類が必要となるためです。
具体的には、引越し先自治体で認可保育園を利用するためには、申請書だけでなく在職証明書や旧居地域で発行した市町村民税の課税証明書などを入園希望月の前月半ばまでに提出しなければなりません。
これら書類のうち、課税証明書は役所へ出向けば即日発行してもらえます。そのため、保育園へ書類を送る直前に役所へ行っても問題ありません。
一方で、勤務証明書は勤務先に発行してもらわなければなりません。そのため本社と離れた地域で働いている場合、勤務証明書の入手に時間がかかるケースがあります。
例えば私の夫の勤務先は地方都市ですが、本社は東京にあります。そのため勤務証明書の発行申請をしてから入手するまで、最低でも2週間を要します。過去には書類の入手に1ヶ月ほどかかったこともありました。
これに加えて引越し先が遠方だと、保育園への入園手続きを郵送で行うことになります。そのため、送った書類に不備があると、手続きに多くの時間を要することになります。
このようなことから、空き期間なしで引越し先地域の認可保育園を利用するためには、必要書類の発行手続きを早急に行う必要があるのです。
したがって保育園の転園を伴う引越しが確定したら、すぐに勤務先へ勤務証明書の発行を依頼しましょう。また同時に引越し先の自治体へ連絡し、保育園の空き状況確認や書類の郵送依頼などを進めていきましょう。
幼稚園や私立の小中学校の転園・転校では、空き状況の確認をする
一方で幼稚園の転園は、いま通っている幼稚園で退園手続きを進めるとともに、引越し先地域の幼稚園の下調べを行います。通いたい幼稚園を見つけたら、空き状況を確認して願書を取り寄せて提出します。
そうして、引越しを終えたら願書を提出した幼稚園で面接が行われます。その後、入園金などを納入すれば入園手続きが完了となります。
また公立の小中学校の転校には、在学証明書と教科書給与証明書、入学通知書の3点が必要です。
これらのうち在学証明書と教科書給与証明書は、転出先の担任の先生に連絡すれば発行手続きを進めてくれます。また、入学通知書は新居地域の役所で受け取ることができます。これらの書類を転入先の学校に提出すれば、転校手続きが完了しとなります。
一方で私立の小中学校の場合は、これら書類に加えて願書が必要です。また公立の小中学校と異なり、受け入れ枠の空きがなければ転校できません。
そのため私立の小中学校への転校を予定しているのであれば、引越しが決まった段階で希望学校の空き状況を確認して、願書の取り寄せ手続きを進めましょう。
・子供会の退会手続き・挨拶も必要
なお引越しによって居住地の自治区が変わる場合、子供会での手続きも必要となります。子供会は自治区の管轄であるため、現在とは異なる自治区へ引越す場合は子供会を退会することになるからです。これは、子供会の役員・会長を担っている人であっても同様です。
このとき、異なる自治区への引越しが確定したタイミングで子供会への退会連絡を行うのが基本です。
ただ例外もあります。中には、隣接した自治区へ引越す人もいるでしょう。自治区が変われば子供会を退会するのが原則ですが、このような場合だと慣習的に子供会を退会しない地域・人もあります。
特に学区内で隣接した自治区に引越す場合、子供会を退会した後も学校で子供・保護者との関係性が続きます。そのため場合によっては、「役員職に就きたくないから退会した」などと噂され、学校での人間関係に支障をきたすケースがあります。
そのため学区内の引越しである場合、子供会での人間関係によっては退会せずに在籍を続けることを検討しましょう。このような場合、子供の進学に合わせて子供会を退会するといいです。
同級生へのプレゼント手配は早めに行う
また中には、転出先の保育園や幼稚園、小学校などで同級生にプレゼントを贈ることを考えている人もいるでしょう。
ただ保育園や幼稚園の中には、退園時の同級生や先生へのプレゼントを断っているケースがあります。そのためプレゼントの手配を始める前に、まずは「プレゼントを用意して問題ないか」を確認する必要があります。
また同級生全員にプレゼントを配るためには、同じ品を大量に用意しなければなりません。
このとき、店舗の在庫数には限りがあるため、手配が遅くなると最終登校日（登園日）までにプレゼントを用意できなくなる可能性があります。そのため転出先の学校・幼稚園でプレゼントを配りたいのであれば、なるべく早く品物を手配しましょう。
なお小学校や幼稚園など同級生へのプレゼントは、筆記用具などが一般的です。子供が小さい場合、歯ブラシや折り紙なども喜ばれやすいです。
引越し先の予防接種の助成内容を確認する
また遠方へ引越す場合に注意するべきなのが、予防接種の助成内容です。子供の予防接種には定期接種と任意接種の2種類があり、これらのうち任意接種は自費が基本です。
ただ自治体によっては、任意接種のワクチンに対して助成金を出しているケースがあります。そのため、任意接種ワクチンに対して助成金を出す地域から助成金なしの地域へ引越すと、全額自費で予防接種することになります。
反対に、助成金なしの地域から助成金が出る地域へ引越すのであれば、引越し後に予防接種を実施した方がお得となります。
そのため引越しによって居住する市区町村が変わるのであれば、旧居と新居の予防接種助成の状況について調べておきましょう。
子供連れ引越しのスケジュール
それでは、実際に子供連れでの引越し作業を進めるとなったとき、どのようなスケジュールで引越しをすればいいのでしょうか。
まず、賃貸物件の内見は引越しの1ヶ月前から可能となります。そのため賃貸物件に住む予定なのであれば、前述した転園・転校手続きと並行して、引越しの1ヶ月前までには通勤・通学路や治安、周辺環境などから居住エリアを絞るといいです。
また引越し業者の見積もりは、引越し先がおおよそ決まっていれば依頼することができます。そのため居住エリアが決まったら、その段階で引越し業者の見積もりを依頼しましょう。
このとき複数の業者に見積もりを依頼すると、業者が引越し料金を値引きしてくれるため、引越し費用を節約することができます。複数の業者から余裕をもって訪問見積もりを受けるためにも、引越しの1ヶ月前には引越し業者の選定を始めましょう。
引越しの2週間前に着手するべき内容
また引越し先が現在居住している市区町村外である場合、役所で転出届の提出や児童手当の廃止手続き（児童手当受給事由消滅届の提出）、子供医療証の返還などを行う必要があります。
このとき、児童手当廃止手続きを行わないと、引越し後の地域で児童手当の受給手続きができません。そうすると、児童手当を受給できない期間が生じるリスクがあります。そのため市区町村外に引越す場合は、現在住んでいる地域での児童手当廃止手続きを忘れないように注意しましょう。
また転出届は引越し日の14日前から提出可能です。そのため引越し予定日から2週間を切ったら、転出届や児童手当の廃止手続きなどの役所手続きを済ませましょう。
・子供連れ引越しでは、早めに荷造りを始める
なお単身の引越しであれば、1週間もあれば荷造りを終えることができます。ただ子連れの引越しだと荷物が多いため、余裕をもって引越しの2週間前には荷造りを開始した方がいいです。
このとき子連れ引越しの荷造りでは、子供の荷物は自分で荷造りさせるのが基本となります。ただ引越しでは断捨離するのが原則ですが、子供は自分の所有物を処分するのが苦手です。そのため、好きなように荷造りさせると荷物量が多くなりやすいです。
このとき子供に荷造りさせる際には、ダンボールの上限を決め、ダンボールに入る分だけ新居に持っていくように指示しましょう。
また学用品などは「毎日使う用のダンボール」に梱包し、通常の荷物と混在しないように注意する必要があります。子連れ引越しではすべての荷物を短時間で荷解きすることはできません。そのため毎日使う物を他の物と一緒に荷造りすると、引越し後に荷物を探す羽目になります。
事前準備で引越し当日の作業・負担を減らす
なお引越し前日までは、荷造りや掃除など子供と一緒に取りかかれる作業があります。一方で引越し当日に子供ができる作業はほとんどないため、子供が暇を持て余しやすいです。特に子供が小さい場合、部屋の中をウロチョロして引越し業者の邪魔になってしまいやすいです。
このとき、近くに親族や友人などがいるのであれば、引越し当日に預けられないか事前に相談しましょう。
また子供の預け先がない場合は、住居の1室を空にしておくといいです。そうすることで、引越し当日に子供が過ごせる部屋を確保し、引越し業者が作業をスムーズに進めることができます。また当日に子供が暇にならないように、いくつかの絵本やおもちゃを準備しておきましょう。
ただ子供が小さいと、絵本やおもちゃがあっても大人しく待てないケースがあります。このような場合、付きっきりで子供の面倒を見なければいけません。
そのため子供連れでの引越しでは、事前準備を念入りに行い、引越し当日の作業・負担を減らしておきましょう。例えば事前に荷物の搬入先の部屋を決めておけば、引越し当日にあたふたせずに済みます。
また、あらかじめ荷物に搬入する部屋を記しておくと、引越し当日に業者とやり取りしなくても、勝手に荷物の搬入を進めてくれるようになります。
参考までに、私は幼児2人連れの引越しを2度経験していますが、どちらのケースも子供の預け先がありませんでした。引越し当日には子供の面倒を見なければならなかったため、引越し業者とのやり取りを極力少なくする必要がありました。
そこで私は、新居の部屋にそれぞれ番号を振り、搬入する荷物に該当する部屋の番号を書いておきました。
そして引越し当日、新居の部屋に事前に割り当てた数字を書いた紙をそれぞれ貼っておきました。例えば以下のような状態です。
このように用意したことで、引越し業者と細かくやり取りしなくても、希望する部屋に荷物を運んでもらいました。
また引越し業者からしてみても、やり取り回数が少なくなったことによって作業時間を大幅に短縮できたようです。「スムーズに作業できてありがたい」と好評でした。
そのためあなたに小さな子供がいて、当日の預け先もないのであれば、引越し当日の負担を減らす工夫をしてみましょう。そうすることで、引越し当日の作業・負担が軽くなります。
・引越し前日と当日のご飯と飲み物の準備をする
他にも、引越し前日～当日は家で食事を作るのが難しくなります。そのため、お弁当や外食などの食事を簡単に済ませられる手段を考えておく必要があります。
特に引越し当日は、引越し先エリアで食事を取ることになります。地域によっては、ファミリーレストランが少なかったりスーパーの閉店時間が早かったりするケースがあります。このような地域へ下調べなしに引越すと、子供がお腹を空かせていてもすぐに食事できないという事態に陥りやすいです。
そのため引越し当日に子供の食事探しで右往左往しないように、子連れでも立ち寄れる飲食店やスーパーなどを事前に確認しておきましょう。
また、引越し当日は荷物の搬出などで自由な時間を取れません。そのため、子供の飲み物やおやつは事前に準備しておきましょう。
子供手当など、引越し後に行う手続き
引越し当日、荷物の搬入出を終えたら、その日のうちに毎日使う物だけでも荷解きしましょう。
また引越しを終えたら、住民票の変更や印鑑登録の再登録などの手続きを進めることになります。これに加えて子供がいると、市区町村外への引越しで児童手当や医療費助成などに関する行政手続きが発生します。
前述のように、児童手当の手続きは旧居のある市区町村での廃止手続きが必要です。これを終えているのであれば、引越し後の地域で受給申請を出せば児童手当の手続きは終わりです。
また子供の医療費を助成している自治体に引越しした場合、このタイミングで子供医療費助成の手続きも進めることになります。定期予防接種のチケットもここで受け取ることができます。
このとき基本的には、役所のこども課に出向けば引越し後に必要な手続きをまとめて案内してくれます。手続きをスムーズに進めるために、印鑑と家族全員のマイナンバーがわかる書類を持っていくといいです。
また子供がいると、引越しの手続きに多くの住民票が必要となります。そのため役所での手続きの際に、住民票を多めに発行しておくといいです。
・引越し後の保育園や幼稚園、学校の手続き
なお保育園・幼稚園を転園する場合、引越し前から手続きを進めていれば、引越し後は住民票などの提出と面談・面接を終えれば転園手続きが完了します。保育園の場合、子供が3歳未満だと慣らし保育からスタートするケースが多いです。
また転入先の学校が公立の場合、「転出した学校で発行してもらった在学証明書と教科書給与証明書」「新居地域で発行してもらった入学通知書」を学校に提出すれば転校手続きが完了します。私立の学校だと、これら書類の提出に加えて面接・試験が必要となります。
子供との引越しで気を付けること
このように、子供連れでの引越しでは多くの作業・手続きが発生します。そのため子供連れでの引越しが決まったら、やらなければいけないことをリスト化し、一つ一つの項目を着実に終わらせることを意識しましょう。
また、そもそも引越しには多くの作業・手続きが発生するため、子供がいない人であっても、スケジュール通りに引越し作業を進めることは難しいです。
特に子供がいる人は、予定通りに進まないと考えた方がいいです。子連れ引越しでは、スケジュールを前倒しで進めていくように意識しましょう。
可能であれば時期を調整し、子供のケアを考える
また子供連れの引越しでは、スケジュール通りに作業を進めるだけでなく、子供のケアにも気を配る必要があります。引越しによる環境の変化は、子供の気持ちに大きな影響を与えるためです。
子供は大人に比べて、狭い社会で生きています。そのため引越しによって保育園や幼稚園、学校などが変わると、人間関係が一新されて強いストレスを感じます。特に小学生以上になると、新しい人間関係に馴染むのに労力と時間を要します。
そのため転園や転校などを伴う引越しでは、子供のストレス軽減を考えることが大切です。
例えば学期途中で引越しをすると、引越し先での環境に馴染みづらくなります。また引越しまでの準備期間が短いと、友人との別れに割く時間が少なくなり、ストレスを感じやすいです。
そのため可能であれば、一時的な単身赴任・別居などを検討し、年度初めや夏休み、冬休みなどに時間的余裕を持って引越しできるように調整しましょう。
また引越し前の友達と連絡を取れるように配慮しておくことで、人間関係の変化によるストレスを軽減できます。具体的には、時間を決めて携帯電話の使用を許したり、オンラインで会話できる環境を整えたりするといいでしょう。
スケジュール管理と下準備で子供連れ引越しをスムーズに進める
子供連れでの引越しには多くの作業・手続きが発生します。特に転園・転校が必要な遠方引越しだと、スケジュールを前倒しして進めないと作業を終えられない可能性があります。
そのため転園・転校を伴う引越しが決まったら、まずは担任の先生に連絡しましょう。その上で、引越し先での入園・転校手続きを進めていくといいです。
また引越しによって居住する自治体が変更となる場合、児童手当や子供医療費助成などの手続きも必要となります。予防接種の助成状況も自治体によって異なるため、引越し前に制度内容を確認しましょう。
これに加えて、子供連れの引越しでは子供の気持ちのケアを考える必要があります。子供のストレスを軽減するため、引越し時期をずらしたり、子供の友人関係を継続できる環境を整えてあげたりしましょう。これが子供連れ引越しでの基本的な考え方です。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
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ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
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