母親一人で頑張って子供を育てている人として、シングルマザーがいます。シングルマザーは母子家庭とも呼ばれます。
「離婚によって県外へ引越しをしなければいけない」「特別な事情で実家を出る必要がある」など、母子家庭の人が引越しをする理由は異なります。
シングルマザーであると、通常の引越しに加えてやることが存在します。また、お金がないので節約しなければいけませんし、引越し先で新たな仕事を見つけなければいけません。母子家庭であると、引越しでさまざまな特別な手続きが発生するのです。
そこで、どのようなことをしなければいけないのかについて解説していきます。
もくじ
母子家庭に特有の手続きが存在する
引越しをする場合、行わなければいけない手続きが存在します。公共料金(電気・ガス・水道)や役所手続き(住民票の移動)などは多くの人が引越しに伴って行います。離婚するときであれば、離婚届を提出します。
ただ、そうした手続きとは別に子供を育てるシングルマザーだからこそやるべきものがあるのです。手続きをしていないと、金銭的な補助(支援)を受けられないので必ず行わなければいけません。
こうしたものとして、以下のようなものがあります。
- 児童扶養手当
- 児童手当
- 福祉医療証
- その他、自治体ごとの制度
基本的には、あまり聞きなれない制度ばかりだと思います。過去に手続きをしたことがあったとしても、既に忘れていることが多いです。そこで、どのような制度なのかについておさらいしながら確認していきます。
児童扶養手当の手続きは必須
離婚や死別などにより、母子家庭(または父子家庭)の人を対象にお金が支給される制度として、児童扶養手当があります。18未満の子供がいる母子家庭に対して、支給されます。
所得に応じて支給額は変動しますが、このときの支給額(満額支給の場合)は以下の通りです。
- 児童1人:月42,500円
- 児童2人:月52,540円
- 児童3人以上:1人につき、月6,020円を加算
非常に給料の高いシングルマザーのキャリアウーマンでない限り、満額支給になります。満額支給なら子供一人の場合でも年間52万円の支給になるため、非常に助かります。
ただ、児童扶養手当は自動的に支給されるわけではありません。また、過去にさかのぼって支給されることもありません。そのため、引越しによって市外(県外)へ移動したり、離婚したりしたとき、必ず行わなければいけない手続きになります。これだけで月の収入が4万円以上も変わるからです。
児童扶養手当の申請は住民票のある役所で行いますが、引越し後に新居の役所で手続きをするといいです。このとき、以下のようなものが必要になります。
- 戸籍謄本
- 所得証明書
- 預金通帳
- 年金手帳
- 印鑑
- マイナンバーカード
役所へ行けば必要な手続きを教えてもらえるため、まずは新居の役所で聞き込みをしてみるといいです。
児童手当は子供のいる家庭でもらえる
「児童扶養手当」と名前は非常に似ていますが、児童扶養手当と児童手当はまったくの別物です。そのため、区別して理解しましょう。
シングルマザーなどに対して支給される児童扶養手当とは異なり、子供のいる家庭であれば誰でもお金を支給される制度が児童手当です。住んでいる地域(=住民票のある市区町村)に児童手当を請求するため、引越しによって住所が変わったら申請し直さなければいけません。
自治体によって様式は異なりますが、以下のような書類を記入して提出します。どのように書けばいいのか分からないことがほとんどなので、これについても役所の窓口で聞くといいです。
中学生までの子供を持つ親が児童手当の支給対象になります。支給額は以下のようになります。
子供の年齢 | 支給額 |
0~3歳(3歳になる誕生月まで) | 子供一人につき月15,000円 |
3歳~小学校修了前(第1子・第2子) | 子供一人につき月10,000円 |
3歳~小学校修了前(第3子以降) | 子供一人につき月15,000円 |
中学生 | 子供一人につき月10,000円 |
※高所得者の場合、子供一人につき月5,000円の支給になります。
シングルマザーの場合、児童扶養手当とは別に児童手当まで受け取る必要があります。そのため、他県(旧居の市区町村外)へ引越しをした後は必ず申請するようにしましょう。
福祉医療証:ひとり親家庭医療証(マル親医療証)
離婚や死別などによって母子家庭(父子家庭)になってしまった場合、一人親家庭に対して医療費の助成を行う制度がひとり親家庭等医療費助成事業になります。これにより、保険医療費を負担してくれます。
役所で手続きをすることにより、福祉医療証を発行してもらえます。以下のような書類になります。
子供だけでなく、親である自分が医療機関を受診することも多いです。そうしたとき、医療費を抑えることができると非常に助かります。
福祉医療証についても、市区町村で管理されています。他県を含め、異なる市区町村へ引越しをする場合は役所で福祉医療証の手続きを済ませましょう。
その他、自治体ごとの制度
児童福祉手当、児童手当、福祉医療証の3つについては、必ず手続きするべきものになります。できるだけ早めに手続きをして、費用面を含め確実に支援してもらえるようにしましょう。
ただ、自治体によっては他にも支援制度を設けていることがあります。例えば、「上下水道基本料金減免の手続き」がある場合、母子家庭だと水道代が安くなります。
また、シングルマザーに対して福祉乗車券を交付してくれる場合、バスや市営地下鉄などの利用が無料になります。母子家庭等家賃助成により、家賃の補助をしてくれるケースもあります。母子家庭ではお金のないケースが多いからこそ、こうした支援制度が存在するのです。
契約するべき不動産と家賃
手続きについては理解できましたが、実際にはどのような順番でスケジュールを立て、進めていけばいいのでしょうか。これについては、以下のような手順になります。
- 住む場所を見つける(賃貸不動産の契約)
- 新居近くで仕事を探し、保育園・学校を考える
- 引越し
実家へ引越しをする人であれば、特に大きな問題はありません。そのまま何も考えず、引っ越しをすればいいです。ただ、実家ではなく「東京都内で賃貸マンションを借りる」「実家に頼れないため、自ら住む場所を探す」などの事情を抱えている人は多いです。
その場合、最初にやることは住まいを探すことがあります。仕事をしており、近くへ引越しをする場合であれば問題なく不動産契約できます。ただ、それまで専業主婦であったり、県外へ引越しをするために無職になったりする人の場合、不動産の審査に落とされる可能性があります。
こうしたときは連帯保証人を設定されることが多くなりますが、親族で連帯保証人になってくれる人がいない場合、保証会社を通す必要があります。
また、不動産物件によっては「外国籍OK」「生活保護OK」としていることがあります。不人気の賃貸マンションを含め生活保護の人でも問題ない場合、シングルマザーであっても問題なく受け入れてくれます。
例えば、以下のような賃貸マンションだと生活保護の人でも問題ないことがわかります。
参考までに、母子家庭の人が契約する賃貸マンション・アパートの月額平均は4~6万円になります。この中でも、5万円代の家賃が最も多くなります。ちなみに市営住宅や県営住宅となると、家賃が4万円代やそれ以下になることがあります。
仕事や子供の保育園・学校を考える
住む場所を決めた後、仕事や子供が通う保育園・学校について考え始めます。当然、契約できた新居の近くにある仕事場が望ましいですし、同様に新居近くの保育園・学校に通わせるのが適切です。
仕事については、特別な理由がない限りはほとんどの人が転職エージェントを利用します。例えば、「マイナビエージェント」などのような大手の転職サイトを利用するのです。ハローワークではなく、こうした転職エージェントを活用して就職するのが一般的です。
また、子供が小学生や中学生などであれば、地元の学校に通わせれば問題ありません。一方、保育園であると抽選があるなど大変です。地方ならわりと入れますが、東京都内など都市部になるほど保育園への入園が難しくなります。
そこで、保育園の場合は引越し先の市区町村が決まった段階で役所に電話し、認可保育園の空きがあるかどうかを確認するといいです。こうした事前作業を行うことで、スムーズに子供関係の引越し作業も行えるようになります。
シングルマザーの一般的な引越し料金
なお、引越し先の住所が決まったら、実際に引越し業者へ依頼して作業をしてもらうことになります。いくらお金がなくても、荷物の運搬を自分で行うのは現実的ではありません。そこで、引越し業者に依頼します。
このとき、どれくらいの料金相場になるのでしょうか。シングルマザーの場合、子供が加わるので2人暮らしや3人暮らしでの引越しになります。子供の荷物があり、一人暮らしの単身料金では引越しできません。少し金額は高めになります。
実際に必要なお金については、以下のような費用になります。二人暮らしによる引越しでの料金相場を示しています。
・一般的な荷物量での二人引越し
近距離(50km以内) | 中距離(200km) | 長距離(500km) | |
閑散期 | 6~7万円 | 8~9万円 | 10~12万円 |
繁忙期 | 8~9万円 | 10~12万円 | 14~16万円 |
参考までに、「東京-名古屋:約350km」「東京-大阪:約500km」です。引越しでは3月と4月が繁忙期であり、それ以外が閑散期になります。
引越しでは、意外とお金がかかります。さらに引っ越し先では、カーテンや新たな家具・家電製品を購入しなければいけません。支出が多くなるため、引っ越し代については必ず複数社に見積もりを取って比較するようにしましょう。見積もりを比較することが引越し費用を安くするコツになります。
・挨拶は必要ない
なお、引越しのときに「挨拶をしなければいけないのか?」と考える人は多いです。ただ、シングルマザーを含め引越し後に挨拶をする必要はありません。たとえ市営住宅などであっても同様です。
私はこれまで、何度も引越しをしましたが一度も近隣住民へ挨拶をしたことがありません。基本的に挨拶は不要だと考えてください。
母子家庭で引越しを行う
「離婚によって実家に帰る」「車が必要ない東京都内へ引越しをする」など、シングルマザーによって事情は異なりますが、引越しをしなければいけない場面があります。そうしたとき、母子家庭に特有の手続きをするようにしましょう。
手続きを忘れると金銭的な支援を受け取ることができないため、早めに手続きをするといいです。
また、引越しをするときに最初に考えるべきことが「住む場所」です。まずは、賃貸不動産を契約するのです。その後、仕事や子供関係のことを考えるようにしましょう。
ここまでした後、ようやく引越しになります。引越し業者への見積もり依頼は早めに行えばいいですが、引越しをする前までに賃貸不動産の契約や仕事、子供関係のことを行っておくと非常にスムーズです。
シングルマザーが引越しをするとき、独自のやることが存在します。また、子供がいるので引越し代金も単身引越しに比べると高くなります。
そこできちんと役所手続きを完了して補助をもらい、見積もりを複数社で比較して安い引越しを実現しましょう。そうすることで、費用面の負担を軽減しながら引越しできるようになります。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術
引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。
また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由
多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。