引越しをするとき、ピアノを持っている人だと運送に困るようになります。ピアノは非常に扱いが繊細であるため、他の荷物と一緒に運搬することができないからです。ピアノを保有しているだけで、引越しのときの料金相場が高くなります。
これはどの種類のピアノでも同じです。グランドピアノからアップライトピアノ、電子ピアノ、エレクトーンといろいろ種類はありますが、基本的にピアノ類は繊細なので専門業者が運搬することになります。別にピアノに限らず、大型楽器については一般的な引越し業者ではなく楽器の引越し専門業者が行うことになります。
それでは、費用相場はいくらになるのでしょうか。また、どのような感じでピアノが運搬されていくのでしょうか。
ネット上の口コミや評判では分からないことが多いです。そこで、実際のピアノ引越しを体験した経験から、口コミなどでは分からない部分を含めて詳細に解説していきます。
もくじ
ピアノは専門業者が運搬する
世の中には多くの引越し業者が存在します。大手であると、「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」などが知られています。
見積もりを依頼するとき、こうした業者にピアノの運送をお願いすることが可能です。ピアノであっても、問題なく見積もりを取ってくれます。
ただ、実際のピアノ運搬は別の運送会社になります。依頼した引越し業者がピアノを移動させるわけではありません。これは、ピアノなどの大型楽器は非常に繊細であり、少しの振動であっても音が狂ってしまうからです。
つまり、ピアノの引越しでは「あなたが依頼する引越し業者」とは別に、楽器専門の引越し業者が来ることになります。このとき、ピアノの梱包や運搬だけを行うためだけに作業をするのです。
専門業者が必須であることから、自分でピアノを運ぶことはできません。自力で頑張ってもいいですが、高確率でピアノを壊すことになります。非常に重たい楽器であることに加え、繊細であることから、自分での引越しではなく必ず専門業者に依頼するようにしましょう。
ピアノ引越しを依頼するときの金額の目安
専門業者を利用するため、ピアノの引越しはそれなりに値段が高くなりがちです。それでは、いくらくらいの料金相場になるのでしょうか。
このとき、ピアノの種類や移動距離、搬入経路によって大きく値段が異なります。ピアノの運搬価格を決める要素としては、以下のようなものがあります。
- ピアノの種類:グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ、エレクトーンなど
- 移動距離:長距離になるほど値段は高くなる
- 搬入経路:階段があると値段が上乗せされる
- 特殊作業:吊り上げ、クレーン、解体など
これらの項目を理解したうえでピアノの移動を依頼しなければいけません。そこで、具体的にどのような引越し代になるのかについて、より詳しく確認していきます。
ピアノの種類、移動距離ごとの値段の違い
ただピアノを移動させるだけの場合、近距離であれば思ったほど値段は高額にはなりません。意外と安い費用になります。ただ、移動距離が長くなるとそれに応じて基本価格は高額になります。
グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ、エレクトーンなどによって値段は異なりますが、一般的には以下のような基本料金となります。
移動距離 | グランドピアノ | アップライトピアノ | 電子ピアノ・エレクトーン |
50km以下(同一市内) | 30,000円 | 18,000円 | 13,000円 |
300km(中距離) | 80,000円 | 40,000円 | 30,000円 |
500km(長距離) | 90,000円 | 50,000円 | 40,000円 |
距離が長くなると、同じ日のうちに搬入することができないためどうしても費用は高くなってしまいます。参考までに、「東京-大阪:約500km」「東京-名古屋:約350km」となります。
ただ実際のところ、こうした基本料金だけでピアノの運搬が終わることはほぼありません。ここに、搬入経路に応じた加算や特殊作業の費用が上乗せされるようになります。そのため、こうしたことまで考慮したうえで金額が算出されます。
・海外輸送は異常なほど高額
参考までに、人によっては海外への移動を考える人もいます。ただ、海外だと異常なほど高額になります。小さいダンボールを10個ほど送るだけでも、15万円ほどの値段となります。
これが大型楽器のピアノとなると、60~90万円以上の値段は考えるようにしましょう。
搬入経路・特殊作業ごとに料金は細かく分かれる
ピアノの引越しでは旧居から搬出したり、新居へ搬入したりしなければいけません。このとき、繊細な大型楽器を運ぶことになり、以下の場合に作業料金が加算されるようになります。
- 窓から搬入:9,000~11,000円
- 階段1Fごと:5,000~8,000円
- フェンスなどを乗り越える:15,000~20,000円
- エレベーター作業:4,000~6,000円
- 吊り上げ:10,000〜30,000円
- クレーン:20,000〜50,000円(クレーン車の大きさにより異なる)
- 分解(解体)・組立:15,000~30,000円
- クリーニング:60,000円~
- 保管(ピアノ預かり):月7,000円~
引越しではオプションが存在し、特にピアノでは細かく料金設定が決められています。
通常の荷物を運搬する場合、窓から搬入するにしても特にオプション代は必要ありません。エレベーター作業があるのは普通です。ただ、ピアノの場合はこれらがすべて別オプションとなってしまうのです。例えば、アリさんマークの引越社であれば、以下のようにピアノ移動の費用が細かく設定されています。
ピアノの場合、玄関から搬入することの方が少ないです。玄関からでは、単純に狭くて入らないからです。そこで狭い玄関を避け、窓から搬出・搬入します。
また、家の2階以上にピアノが置いてあることは多いです。新居についても、マンションの2階や3階など、窓から搬入しなければいけないケースがたくさんあります。そうしたとき、吊り下げ・吊り上げ作業をしたり、クレーンが必要になったりします。当然、こうした作業は高額になりやすいです。
他にもグランドピアノをそのままの状態で運ぶことはできないため、分解(解体)・組立の作業代が必要になります。預かりサービスを利用して一時保管したい場合、保管料が必要になります。これら搬入経路や特殊作業をすべて含めて、ピアノの運送料金が算出されます。
実際のところ、いくらの値段になるのか
それでは、ピアノの引越し代金はいくらになるのでしょうか。具体的な運送料金を事前に知りたいと考える人は多いです。
私の友人は家にグランドピアノを保有しており、実際に引越しをしたことがあります。このときの引越し条件は以下のようになります。
- グランドピアノの運送
- 引越し場所は超近距離(5km以内)
- ピアノの場所は旧居3階、新居5階なので大型クレーン作業
ピアノの専門業者に依頼したところ、見積額は129,600円とかなり高額になりました。
マンション5階への搬入であり、大型クレーンが必要になることからクレーン代が非常に高くなり、その分の費用が上がってしまいました。
ちなみに、同じグランドピアノの運送であっても、単に窓から搬入するなど吊り上げやクレーンが必要ない場合だと50,000~80,000円ほどの価格になるようです。なお、これにはクリーニング代や調律代などは含まれていません。クリーニングや調律を依頼すると、より値段が加算されていきます。
また、もちろんグランドピアノではなくアップライトピアノだと金額は安くなります。電子ピアノやエレクトーンだと、分解・解体が必要ないのでさらに値段は安くなりがちです。ただ、いずれにしてもこうした費用が必要になります。
引越し前の準備
実際にピアノの運搬を考えるとき、専門業者と事前の打ち合わせが必要になります。具体的には、以下のような内容になります。
- ピアノの運搬日:引越しとは別の日に、ピアノだけ作業しても問題ない
- ピアノの種類:グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ、エレクトーンなど
- 搬出・搬入の方法:フェンスはあるか、クレーンは必要かなど
- 新居の様子:どの場所にピアノを置くかなど
値段だけを考え、激安業者に依頼するとこうした打ち合わせがありません。ただ、そうした激安業者だと引越し日の当日になって「階段作業が必要になるのでオプション代が必要になります」などと費用を上乗せされ、結果的に高額な引越しになります。また、大切なピアノも粗雑に扱われます。
そのため、事前の打ち合わせを含めてきちんと対応してくれる業者に依頼するようにしましょう。なお、打ち合わせとはいっても電話打ち合わせになることは多いです。
ピアノ引越しの様子
実際の引越しについては、作業員が到着してすぐ搬出というわけではなく、事前にチェックするポイントがいくつもあります。今回の引越しでは、以下のグランドピアノを運搬することになりましたが、中身のチェックを含めて確認作業を進めていきます。
考えてみれば、こうした作業が必要なのは当然です。引越し業者にとってみれば、引越し後に「ピアノが故障して音色がおかしくなった」と言われたら大変です。そのため、専門業者は事前のチェックを行うのです。
また、それと同時にクレーンも到着します。クレーン車は荷台付きであり、窓から搬出した後に新居へ出向き、同じくクレーンで搬入できるようになっていました。
グランドピアノの確認作業が終わった後、実際の運送作業に移ります。グランドピアノでもアップライトピアノでも、そのままの状態で運搬することはほとんどありません。分解・解体を旧居で行い、新居で組み立てをします。
分解・解体がないのは電子ピアノやエレクトーンくらいになります。今回はグランドピアノであったため、専門業者が分解をしていきました。
そうして分解後、ピアノを専用の梱包材で包みます。繊細な楽器であるため、丁寧に梱包した後は運搬しやすいように横倒しにされました。
今回は窓からクレーンでグランドピアノを搬出します。そのため、窓まで移動させた後にクレーンにひもを括り付け、ゆっくりとピアノを持ち上げることになりました。
トラックにピアノを乗せた後は新居へ移動します。荷台があるため、ピアノをそのままトラックに載せて運搬するだけになります。
そうして新居に到着後、再びクレーンを使って搬入します。2階ではなく、マンション5階なのでクレーンで運べるギリギリの高さでした。
最後は分解・解体されていたグランドピアノを元通りに戻して終了になります。自分で行うのは不可能ですが、専門業者なので安心して任せることができます。
なお、人によってはクリーニングや調律などの作業が必要になります。特にクリーニングだと、ピアノが届くまでに時間がかかるため、引越し日数が数日に渡るようになることは理解しましょう。
調律については、ピアノの引越しが終わった後に専門の人に作業してもらうことになります。これについては、ピアノの業者と相談するようにしましょう。
引越し代を安くする秘訣
ここまで述べた通り、ピアノの引越しはかなり特殊ですし、窓からの搬入を含め経路ごとにオプション代が細かく決められています。そのため、価格は高くなりがちです。
ただ、当然ですがどうせなら格安で引越しをしたいです。激安すぎてアフターフォローのない業者だと微妙ですが、きちんとした業者に依頼しつつも安く引越しをすることを考えましょう。
このとき必須となるのが一括見積もりです。「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」など一般的な引越しのとき、ほとんどの人がネットからの一括見積もりを利用します。これと同じことをピアノの引越しでも行うのです。
たとえピアノしか運搬しない場合であっても、一括見積もりを活用すれば「ピアノ専門業者からの見積もりをいくつも比較できる」ようになります。見積もり比較サイトは全国のピアノ運送専門業者とも提携しているからです。
なお、ヤマハやローランドなどのメーカーではなく、あくまでもピアノ専門の運送業者に運んでもらう必要があります。
引越しでは定価が存在しないため、一社だけに依頼する場合は確実に高額な見積もりになります。そこで、安い引越しを実現するため、何社もの見積もりを取ることで、ようやく格安引越しを実現できるようになります。
・インシュレーターは自ら購入する
なお、引越しのときにインシュレーターを勧められることがあります。インシュレーターは、地震のときなどにピアノが動いたり転倒したりしないようにするための土台になります。ピアノの脚に付けるのがインシュレーターです。
引越し業者から勧められるインシュレーターは2万円以上と高いです。ただ、ネット上で購入すれば4,000円ほどなので、事前にネット注文しておくといいです。新居に移動した後、専門業者にネット注文したインシュレーターを付けてもらうようにしましょう。
・引き取りまで視野に入れる
なお、そもそもピアノを新居に移動させる必要があるのかどうかを検討するようにしましょう。どうしてもピアノが必要な人は引越し対象として問題ありませんが、何年もピアノに触っていない人であるなら、ピアノの引き取りを検討するといいです。つまり、ピアノの買取を依頼するのです。
ピアノの買取業者はいくつも存在します。買取り・下取りをお願いすれば、無料でピアノを引き取ってくれます。また、いくらかのお金が戻ってくることもあります。こちらがお金を出す必要はありません。
ピアノが必要ないのであれば、引き取ってもらうようにしましょう。そうすれば、高額なピアノ運送代を節約することができます。
ピアノ運送の注意点を理解し、引越しを行う
ここでは、実際のピアノ引越しの体験からネット上の口コミや評判では分からないことを含めて述べてきました。
通常の引っ越し業者では対応できない家具がピアノです。グランドピアノからアップライドピアノ、電子ピアノ、エレクトーンを含め、ピアノ専門の引越し業者でなければ運搬できないという注意点があります。実際、大手の引越し業者に依頼したとしても、実際の運搬は他のピアノ専門業者になります。
ただ、多くの場合でピアノは非常に大きな楽器であるため、玄関からは狭くて入らないです。そこで窓から搬出・搬入するのですが、ほとんどのケースでオプション代が必要になります。そんため、ピアノの運送代は高くなりがちです。
そこで格安引越しを実現するおすすめの方法として、複数社の見積もりがあります。ネット上の一括見積もりを活用すれば、ピアノの専門業者であっても問題なく見積もりを比較できます。そのため、非常に人気のサービスになっています。
「単身でピアノをもっているが、結婚することになった」「子供がピアノを習いたいといいはじめ、実家にあるピアノを持ってくることになった」など、人によってピアノの引越しをしたい理由は異なります。ただ、ピアノの引越しは料金が高くなりがちだからこそ、安い引越しを実現する方法を考えるようにしましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
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ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。