車を持っている人が引越すとき、駐車場付きの部屋を探すのは基本です。ただ場合によっては、希望条件を満たす部屋に駐車場がついていないケースがあります。中には、予算の都合で物件付属の駐車場を契約できない人もいるでしょう。
ただ車を保有している人の場合、自家用車の駐車場を確保しないことは違法行為に該当します。そのため引越し先の駐車場を利用できない場合、他に駐車場を確保することを考えなければなりません。
そこで、賃貸物件に付属している駐車場を引越し時に利用できないときの対処法や、駐車場を探す際の注意点、車庫証明の取得方法などについて解説していきます。
もくじ
引越し先の賃貸物件に駐車場がないときの選択肢
物件選びでは、駐車場以外にも家賃や間取り、立地などのさまざまな条件で部屋を探さなければなりません。駐車場が付いているからといって、予算よりも高い家賃の部屋に引越すと家計を圧迫してしまいます。
また、気に入らない間取り・内装の部屋を選んでしまうと、引越し後の生活を楽しめなくなります。そのため、駐車場の有無だけで部屋を決めることはできません。
このとき「自家用車の駐車場は自宅になければならない」と思っている人は多いです。ただ実際には、自宅から半径2km以内の駐車場であれば、自家用車の車庫とすることができます。自家用車の駐車場は自宅でなくても問題ないのです。
駐車場を実家のままにしておく
このとき、実家が半径2km以内にあるのであれば、実家の駐車場に車を置いておくという選択肢があります。
月極駐車場を契約すると、安くても月5,000円ほどの負担がかかります。地域によっては月額1万円ほどかかるケースもあります。実家に車を置いておけば、このような月極駐車場の利用料金を浮かせることができます。
また実家に車を置いておけば、家族が車を使えるメリットもあります。家族との関係性によっては、金銭的に得するケースもあります。
さらに、実家だと家族の目の届くところに車を置いておけるため、悪天候時のトラブルやいたずらを受けるリスクも低くなります。そのため実家が半径2km以内にあるのであれば、実家に車を置いたままにすることを検討するといいです。
月極駐車場を選ぶコツと注意点
一方で実家が半径2km以内にない人や自宅の近くに駐車場を用意したい人は、月極駐車場を借りることになります。
一般的な月極駐車場には、大きく分けて平地駐車場とシャッターガレージ、立体駐車場の3種類があります。また中には、賃貸物件の駐車場を月極駐車場として借りられるケースもあります。
基本的には自宅周辺で駐車場を探すことになりますが、いくつかの候補が出たときのためにそれぞれの特徴を理解しておきましょう。以下に、タイプ別の特徴について詳しく解説します。
・平地駐車場
平地の駐車場にはコンクリート舗装タイプと砂利・砕石敷きタイプがあります。砂利・砕石敷きの駐車場だと、車の稼働時に小石が跳ねて車体や車などに傷が付くリスクがあります。例えば以下のような駐車場です。
また平地駐車場には屋根がないケースが多く、車が雨などの影響を受けます。特に積雪地帯だと、冬の乗車時に雪下ろしなどの時間を取られることになります。
なお平地駐車場の利用料金は、駐車場の立地によって異なります。具体的には、街の中心部になるほど月額料金が高くなります。一方で郊外や住宅街の平地駐車場だと、街中の半分ほどの価格で借りられるケースが多いです。
・シャッターガレージ
シャッターガレージの駐車場は郊外にあるケースが多いです。立地が郊外なため街中心部の駐車場より月額費用が安い一方で、同じ地域の平地駐車場に比べると高めな傾向にあります。
シャッターガレージの駐車場は天候の影響を受けないだけでなく、いたずらを受けるリスクをほぼゼロにできるメリットがあります。一方でシャッターの高さを超える車は停められないため、全高の高い車だと利用できないケースがあります。
・立体駐車場
立体駐車場は街の中心部に多いタイプです。月額料金は高めですが、雨や風など天候の影響を受けません。車が汚れる心配がないのが大きな魅力です。
立体駐車場もシャッターガレージ同様、全高の高い車を停められないケースがあります。また機械式タイプの立体駐車場だと、車の出し入れに数分ほど時間がかかるデメリットがあります。
・賃貸物件の駐車場
駐車場付きの賃貸物件に住んでいる人が車を持っていない場合、空き駐車場を月極で貸しているケースがあります。この場合、利用できる駐車場のタイプは賃貸物件によって異なります。
例えば、賃貸アパートの駐車場だと平地駐車場が多いです。一方でマンションの駐車場だと、屋根付き駐車場を借りられるケースがあります。
賃貸料金は物件によって異なりますが、屋根付きやシャッターガレージなどになると価格が高くなる傾向にあります。
このように月極駐車場にはいくつかのタイプがあります。これら特徴を理解して借りる駐車場を絞り込んでいきましょう。
駐車場の区画や出入り口が狭いと出庫・入庫に苦労する
このとき月極駐車場を探す際には、駐車場のタイプ以外にも気を付けなければいけないポイントがあります。例えば駐車場の区画や出入り口が狭いと、車の出し入れに苦労することになります。
特に自家用車が大きいと、出庫・入庫時に車をぶつけてしまうリスクが高くなります。また、出し入れの際に何度も切り返さなければならないと、駐車に時間がかかるだけでなくタイヤの消耗が激しくなります。
そのため車が大きかったり運転技術に自信が無かったりする人は、狭い月極駐車場を避けるべきです。
また同様に、駐車場の端の区画は駐車が難しいです。隣の区画を利用する人のマナーが悪いと、車を停めるスペースが足りなくなる可能性もあります。そのため端の区画しか駐車場の空きがない場合、契約を考え直すことをおすすめします。
運転に自信がない人は混雑する道路に面する駐車場を避ける
また月極駐車場を選ぶ際には、駐車場の出入り口が面している道路にも着目する必要があります。
例えば出入り口の面している道路が一方通行の場合、目的地に向かったり帰ってきたりする際に遠回りしなければなりません。道路状況などによっては、5~10分のロスが発生する可能性があります。
また駐車場に面している道路の交通量・人通りが多い場合、時間帯によっては駐車場から出るまでに時間がかかるケースがあります。通勤に車を利用している場合、出庫に手間取ると遅刻してしまう危険性があります。
さらに朝の通勤時に出庫できずにいると、駐車場内で出庫の列を作ってしまいやすくなります。そうすると焦って道路に出てしまい、事故を発生させるリスクもあります。
そのため車の運転に自信がない人は、交通量の多い道路に面した駐車場も避けた方がいいです。
月極駐車場の契約をする流れ
これらのポイントを意識して駐車場を選ぶようにしましょう。なお月極駐車場の契約は、賃貸物件と同じような流れで行います。
具体的にいうと、まず借りたい駐車場のオーナー・管理会社に問い合わせ・連絡をします。希望する駐車場の空き区画を確認し、契約の意思が固まったら申込書を提出します。その後、オーナーの審査を受けて承認されたら契約となります。
このとき基本的には、オーナーによる確認のみで契約に進みます。ただ、まれに契約時に保証会社による信用審査が行われるケースがあります。この場合、駐車場を借りられるまでに1週間ほどかかります。
また月極駐車場の契約時には、賃貸物件のときと同様に初期費用が発生します。必要となる初期費用は以下の通りです。
- 保証金(敷金):賃料1ヶ月分
- 契約料:賃料1ヶ月分
- 前賃料1~2ヶ月分
- 仲介手数料:賃料1ヶ月分(仲介業者を利用した場合)
このとき中には、契約時に半年~1年分の賃料を前払いするように求めるオーナーもいます。また半年や1年など、最低契約期間が定められているケースもあります。
なお、保証金は駐車場の賃料不支払いの際に充てるお金であるため、毎月きちんと賃料を払っていれば駐車場解約時に返金されるのが基本です。
保管場所使用承諾証明書を発行してもらい、車庫証明を取得する
このようにして月極駐車場を契約したら、駐車場オーナーに保管場所使用承諾証明書に署名・捺印してもらい、自家用車の車庫証明を取得します。保管場所使用承諾証明書の発行には、賃料1ヶ月分の手数料を請求されるケースが多いです。
このとき駐車場を不動産業者などが管理している場合、車庫証明を取得することを伝えれば業者側で書類を手配してくれるのが基本です。ただ個人オーナーの駐車場だと、自分で用意するように言われるケースが多いです。
この場合、地域の警察署窓口や警視庁のホームページでダウンロード・印刷をして入手しましょう。また二度手間にならないように、駐車場の問い合わせ時に保管場所使用承諾証明書が必要かどうかを確認するといいです。
なお、保管場所使用承諾証明書は以下のような書式の書類となります。
この書類のうち、オレンジの枠部分をオーナー自身に記入してもらいます。それ以外の部分は、オーナーに書いてもらっても構わないですし、あなたが記入しても問題ありません。自分で記入する場合、以下を参考にしてください。
この画像のうち、青枠の部分には駐車場の住所や駐車場名、使用する駐車場の区画番号などを記入します。オレンジ枠の部分は、あなたの住所氏名を記入します。下部の「保管場所の契約者」は「上記に同じ」と記入すればいいです。
また緑枠の使用期間は、駐車場の契約期間を記入します。契約満了日が決まっていない場合、契約日から1年間を使用期間とするのが通例です。実際の車庫の利用期間に関わらず、このように記載しましょう。
なお駐車場の契約書に駐車場情報がある場合、契約書の提示で車庫証明を取得できるケースもあります。オーナーから契約書で車庫証明を取得できる」と言われたら、契約書のコピーを警察署に提出しましょう。
車庫証明を取れない場合どうしたらいいのか?
ただ中には、保管場所使用承諾証明書の発行を受けられない(=車庫証明を取得できない)ケースもあります。例えば、「貸している駐車場の車庫証明について、オーナー自身が取得しておきたい」という事情がある場合です。これは個人の駐車場オーナーに多いケースです。
また前に駐車場を借りていた人が短期間で解約していた場合、保管場所使用承諾証明書を発行してくれないケースが多いです。前の借主が申請した車庫証明の有効期限が残っている場合、車庫証明を取得できないためです。
このとき前の借主が車庫の住所変更手続きを行えば、車庫が空いた(=車庫証明を取得できる)状態となります。ただ、車庫証明の住所変更を行う人は少ないのが実態です。そのため前の借主が短期間で駐車場を解約していた場合、駐車場を借りられても車庫証明を取得できないケースがあるのです。
どのような事情があったとしても、借りている駐車場で車庫証明を取得できなければ車庫飛ばし(本来の位置とは異なる場所に駐車している状態)と見なされます。そのため、オーナーが保管場所使用承諾証明書を発行してくれないようであれば別の駐車場を契約しましょう。
駐車場なし物件では、月極駐車場を契約して車庫証明を取得する
引越し先の物件に駐車場がない場合、自宅以外に車を保管することになります。このとき実家が半径2km範囲内なら、車を実家に置いておくことを検討するといいです。
一方で実家が近くにない場合、月極駐車場を契約することになります。月極駐車場は立地だけでなく、駐車場のタイプや区画・出入り口の広さ、前面の道路などに着目して選びましょう。特に運転技術に自信がない人は、入出庫が容易な駐車場を選ぶ必要があります。
このとき、中には車庫証明を取得できない月極駐車場もあります。車庫証明を取得できないと、駐車場を確保していても車庫飛ばしと見なされるリスクがあります。
そのため契約を希望する月極駐車場の空き状況を確認する際に、まず「車庫証明を取得できるか」をオーナーに確認しましょう。こうして車庫証明を取得できる月極駐車場を契約すれば、駐車場のない賃貸物件へ引越しても問題なく車を使用することができます。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。