引越しによって荷物の運搬をお願いするとき、迷うものとして大手企業に依頼すべきなのか、中小企業を活用するべきなのかというものがあります。
大手引越し業者であると、多くの人が名前を知っています。そのため、安心して依頼することができます。ただ、必ずしも大手だから良いというわけではありません。料金相場のことを考えると、中小企業の方が優れていることはよくあります。
それでは、大手と中小ではどのように引越し費用やサービス内容が違うのでしょうか。
引越し業者によって特徴は大きく異なります。ただ、その中でも「大手と中小の違い」に着目して確認していきます。
もくじ
大手と中小では、どういう業者があるのか
まず、大手の引越し業者としてはどのような会社があるのでしょうか。CMなどを流して、多くの人が知っているのが大手引越し業者です。
こうした引越し業者としては、以下のようなものがあります。
- アート引越センター
- 日通
- サカイ引越センター
- アリさんマークの引越社
- ヤマトホームコンビニエンス(クロネコヤマト)
- ハトのマークの引越センター
- アーク引越センター
- ハート引越センター
それに対して、中小の中でもわりと名前の知られている引越し業者には以下のものがあります。
- ベスト引越サービス
- 引越のプロロ
- ファミリー引越センター
- カンガルー引越便
- SGムービング
- エイブル引越サービス
- アップル引越センター
他にも、地域密着型の引越し業者を含めると無数に存在することになります。引越し業者は非常に数が多いと考えてください。
なお、実際に引越しをするときはそれぞれのサービスの違いについて理解しなければいけません。大手企業と中小企業では、ザックリと以下のような違いがあります。
ブランドや独自サービスは大手が上
当然ながら、大手では多くの人が知っているのでブランドがあります。名前が知られているため、安心して作業を依頼できます。
また、独自サービスは大手の方が優れています。中小企業では一律の引越サービスとなりますが、大手ならその企業でしかお願いできない独自のサービスが存在するのです。
そこで、大手ならではのサービスについて細かく確認していきます。
・梱包用の資材
具体的にどのようなサービスがあるかというと、例えばアート引越センターであれば食器類を荷造りするための専用梱包ボックスを用意してくれます。エコ楽ボックスというものですが、以下のようになります。
引越しの荷造りで最も面倒なものが食器類の梱包です。エコ楽ボックスがあれば、食器の荷造りが非常に楽です。
通常、こうした食器類専用のボックスは用意してくれません。中小の引越し業者では、食器用のボックスは存在しないので自ら頑張ってダンボールへ詰める必要があります。
・保証サービスの充実
大手の引越し業者であると、必ず引越しに関する保険に加入しています。そのため、引越し後に家財が破損していたり、家電製品が故障していたりした場合に補償されます。
また、引越し業者によってはより手厚い保証サービスを用意していることがあります。例えばサカイ引越センターの場合、以下のような安心保証サービスへ加入することができ、これに加入すればあなたが荷造りで梱包・輸送しているときに家具が破損した場合であっても補償されるようになります。
保証サービスの点では大手引越し業者の方が手厚いです。中小の業者であると補償してくれないことも多いため、安心して引越し作業を完了させたい場合は大手が適しています。
・オプションが多い
望んでいる引越しは人によって異なります。そうしたとき、大手引越し業者であれば依頼することであらゆる作業を代行してくれます。オプションが非常に多く、「造園サービス」「ハウスクリーニング」「新聞の手配」など対応できるオプションが多岐にわたっているのです。
引越しをするとき、やることが多くなります。オプション代は別に必要となりますが、そうした面倒な作業を代行してくれるのです。
ただ、「旧居から新居へ荷物を運ぶ」という一般的な引越しをしたいのであれば、そこまでオプションの多さは重要ではありません。
・特殊なパックサービスが存在する
大手であると、特別なプランが存在します。例えばアート引越センターであれば、女性スタッフのみの引越し作業を実現するレディースパックがあります。レディースパックは非常に珍しく、大手の中でも確実に女性スタッフのみを実現できるのはアート引越センターくらいになります。
また、物流業との兼業で引越し業をしている大手会社として日通やヤマトホームコンビニエンス(クロネコヤマト)があります。
こうした「物流会社の引越し業者」には単身パックが存在します。コンテナに荷物を入れ、他の荷物と一緒に輸送することで引越し料金を大幅に安くできるというものです。「旧居 → 物流センター → 新居」という経路になるので当日引越しは無理ですが、荷物が少ないときは価格面でのメリットが大きくなります。
地域密着の中小企業であると、こうした特殊な引越しプランは存在しません。単に旧居から新居への引越しを手伝うことになります。
低価格の引越し、柔軟な対応は地元の中小企業が上
大手の引越し業者であればこのようにサービスや保証内容が充実しています。それに対して、地元で地域密着型のビジネスをしている中小企業はどのような引越し内容になるのでしょうか。
大手に比べると規模の小さい中小企業ですが、地元で活躍しているからこそ実現できることもたくさんあります。
・柔軟な対応が可能
大手の引越し業者であると、社内規定で対応が決まっています。例えばアート引越センターだと、粗大ごみの廃棄処分を代行してくれません。
また、「ここまでは無料で行えるが、そこから先は有料」などのような決まりが存在します。厳格な社内規定があるため、そこからはみ出すことはできません。
一方で中小企業であれば、明確な社内規定が存在するわけではありません。そのため、「引越し先で吊り上げ作業が発生するかもしれないが、無料にならないか?」「新居にエレベーターはないが、割増なしで運搬できないか」など、何でも聞いてみるようにしましょう。
大手の引越し業者では、「この場合はオプション料金が必要になる」などの決まりが存在するものの、中小企業では営業マンのさじ加減で柔軟な対応が可能になっています。
・料金相場は中小の方が安い
また、引越し費用の面でいうと中小企業の方が安いです。大手引越し業者であると、CMや広告宣伝費に多くの金額を投入しています。そのため、引越しの料金相場は高めになります。
一方の中小企業となると、広告宣伝費は使っていません。そのため大手よりも料金相場は安く、訪問見積もりのときに「これだけ安くて本当に大丈夫か?」と思ってしまう値段のことは多いです。
広告費がない分だけ、中小企業では格安引越しを実現できると考えてください。
・中小企業は長距離引越しに弱い
なお、引越し価格は大手以外の方が安くなりやすいとはいっても、これは近距離引越しについてです。中距離や長距離の引越しとなると、話が違ってきます。
大手の引越し業者であると、全国展開しています。一方の中小企業であると、全国に支店を置いていないことが多いです。「関西エリアのみ支店がある」などのように、地域密着型なので特定の地元に対応しているのです。
地元での引越しに強いため、中小の会社は近距離引越しで金額面でのメリットが大きいです。ただ、長距離引越しでは料金相場が高くなる傾向にあり、弱くなります。
大手の業者であれば、長距離引越しで「福岡 → 東京」へ引越しをした後、引越し依頼が多いので「東京 → 福岡」への引越しを考えている別のお客様の荷物を載せて帰ることが可能です。つまり、帰りのときも荷物を載せることができるため、人件費や交通費、ガソリン代に無駄がありません。
ただ、中小ではこれができません。そのため、長距離引越しでは大手の方が値段が安いことはよくあります。
ただ、地元に根付いている引越し業者は得意エリアが異なるため、一概に「大手以外だと長距離引越しがダメ」というわけではありません。例えば、以下の中国地方に根付いた引越し業者は広島本社であり、中国地方にいくつもの支店をもっています。
また、同時に福岡や兵庫(関西)にも支店があります。そのため、「福岡-大阪:約600km」の長距離引越しであっても問題なく対応できます。
どのエリアに支店があるのかによって、得意とする地域が違ってきます。大手以外の企業であったとしても、得意エリア内での長距離引越しであれば安い金額を引き出すことができます。
依頼してはいけない地元の引越し業者の特徴
ただ、大手以外の引越し業者に依頼するとき、気になるものとして引越しの作業があります。
大手引越し業者であれば、基本的にはどの業者もしっかりとした引越し作業を行ってくれます。以下のように、大型家具や家電製品を丁寧に梱包したうえで運搬してくれるのです。
ただ、大手以外の中小企業では、業者によってはこうした梱包がなく養生すらしないことがあります。要は、引越し内容が雑になって残念な引越しになってしまうことがあるのです。実は私も過去にそうした引越しを経験したことがあります。
ただ、安い料金であったにも関わらず、優れた引越し作業をしてくれた中小企業も存在します。そうして実際にいくつもの引越しを経験する中で、ダメな引越し業者に共通するものが分かってきました。
具体的には、以下のどれか一つでも当てはまった場合、いくら値段が安かったとしても絶対に引越しを依頼しないようにしましょう。
- 資材や養生が有料
- 訪問見積もりをしない
- どこに支店があるのか不明
- 公式サイトが微妙
- 対応が遅い
特に「資材や養生が有料」「訪問見積もりをしない」という業者は要注意です。中小企業であっても、しっかりしている業者は必ず養生があります。家具を運んでいるとき、壁が傷ついては大変だからです。
また、訪問見積もりをすることで正確な引越し費用が分かるようになります。訪問見積もりをしないと引越し代を算出するのは不可能に近いのです。
そのため、資材・養生がなかったり訪問見積もりなしだったりする地元の企業に依頼した場合、壁や床が傷ついたときに補償がなかったり、引越しをするときにあなたが手伝う必要があったりするのは普通です。
それどころか、引越し当日にオプション代を請求されて結果的に高額な引越しになってしまうこともよくあります。
・資材についても確認
なお、資材については「ダンボール、ガムテープ、布団袋、ハンガーボックス」が無料で付いてくるかどうかを確認するといいです。
公式サイトにない場合、訪問見積もりのときに確認するようにしましょう。例えばハンガーボックスであると、以下のようになります。
地元の企業でも、きちんとした引越し業者であればこうした資材類を用意してくれます。
引越しに失敗した体験談
そこで、私が友人の引越しを手伝ったときの体験談について記したいと思います。東京・上野を拠点に活動しているかなり小規模の引越し業者に彼は依頼していました。
彼が依頼した引越し業者は訪問見積もりをしない会社であり、値段の安さにつられてその業者を使って引越しをすることを決めました。他の業者では32,400円の見積もりだったものの、その業者では25,000円の見積もりでした。
ただ資材類の提供がなく、ダンボールを自分で調達する必要がありました。養生もありません。さらに連絡が遅いなど、ダメな引越し業者の条件をほぼ満たしていました。
そうして、引越し日の当日を迎えます。業者が来て、第一声は「荷物量が多いので大きめのトラックを呼ばないといけません」ということでした。大きいサイズのトラックは33,000円です。この時点で他の業者よりも値段が高くなってしまいました。
また、引越し日に新居で作業していると管理会社から「養生必須の賃貸マンションなので、必ず養生をしてください」と忠告を受けました。引越し先のマンションと管理会社が非常に近かったため、引越しで養生をしていないのが見えたのです。養生の追加料金は15,000円です。
さらに、訪問見積もりをしなかったため、トラックのサイズを大きくしてもすべての荷物が乗りませんでした。そこで、旧居と新居を往復するなどのもトラブルも発生し、追加料金が大きく膨らみます。
それだけでなく、引越し業者の作業も遅く結局は自家用車を出して自分たちでも荷物を運搬することになりました。
引越し日の当日、トラックを大きくしたり、養生代・往復代などさまざまな料金が上乗せされたりした結果、引越し費用は71,000円となってしまいました。
本来なら、32,400円できちんとした引越し業者に依頼すれば、資材は無償提供されて養生も最初からあります。引越し作業はすべて業者側が行い、こちら側は基本的に指示するだけになります。しかし、粗悪な引越しにも関わらず引越し代が相場料金の2倍以上に膨れ上がったのです。
こうした失敗を避けるため、地元に根付いた中小企業へ引越しを依頼するにしても、資材提供や養生がきちんと行われ、訪問見積もりを実施し、公式サイトがしっかりしている業者を選ぶようにしましょう。
一括見積もりで大手や中小へ見積もりを依頼する
ここまで述べてきたことを踏まえたうえで、複数業者へ見積もりを依頼するようにしましょう。
大手と中小では、特徴が違います。大手ではサービスや保証内容に優れており、中小では格安引越しを実現できます。ただ、大手以外に依頼するにしても、ダンボールなどの資材提供や養生作業を含め、最低限のサービスが含まれている企業が適切です。
地元密着型の引越し業者の中には、見積もり金額だけ異常に安くして、当日の引越し代を大きくする悪徳業者が存在します。ただ、ここで述べた注意点を確認すればそうした悪徳業者は避けられるようになります。
また、地元にある中小の優良引越し業者がどこにあるのか知っている人はほとんどいません。そこで、ネット上の一括見積もりサイトを活用しましょう。
大手や中小を含め、一括見積もりサイトであれば一気に複数業者へ見積もりを出すことができます。いくつもの見積もりを取り、その中から良い提案をしてくれる業者に仕事を依頼するようにしましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。