引越しをするとき、必須となるものに養生があります。中には「引越しで養生しないという選択は可能なのか」「自分で養生できるのか」などのように考える人もいます。
ただ、養生をしないとトラブルに発展する可能性があります。また、養生しない方が総合的に値段は高くつきます。
また、引越し業者を利用するにしても、個人事業主の引越し業者だと養生代が含まれていないことはよくあります。その場合、オプションで養生代が加わって非常に高額な引越し代になってしまいます。
それでは、なぜ養生が必須なのでしょうか。また、養生なしだとどのようなトラブルに巻き込まれるのでしょうか。今回、引越しで必要な養生について解説していきます。
もくじ
引越しで養生は必要なのか
これから引越しをするとき、気になるものとして養生があります。養生とは、養生シートという引越し専用の資材を活用することで、建物の壁や床を守ることを指します。
以下は引越しのときに養生されている様子です。
こうしたことをすることで、家電製品や家具を持ち出したり搬入したりするとき、壁の傷を防ぐことができます。また、壁や床の汚れを防げるようになります。
特に大型の家電製品や家具を運搬するとき、そのままの状態では高確率で壁を傷つけることになります。そのため、養生しなければ結果的に引越し費用が非常に高くなります。
例えば、以下は養生せずに引越しをしてしまったため、賃貸マンションの壁を傷つけてしまったケースです。
賃貸マンションを出るとき、必ず原状回復をしなければいけません。原状回復とは、住んでいるうちにできた傷を修復して元(入居前)の状態に戻すことです。
通常、賃貸マンションに住むときは敷金を預けます。このときの敷金から原状回復費用を出します。敷金は後で返ってくるお金とはいっても、原状回復費用を差し引いたお金が返金されます。原状回復費用が高くなれば返金額は少なくなってしまいます。
上記の写真のような小さな傷を直すだけでも、工事をする必要があるので原状回復に1ヵ所2~3万円ほどかかります。つまり、養生しなかったために少しでも壁や床を傷つけてしまうと、その瞬間に2~3万円の原状回復費用が上乗せされると考えてください。
賃貸マンションでなく持ち家(一戸建て)であったとしても、養生しないために壁を傷つけてしまうと大きなショックを受けます。いずれにしても、引越しでは養生が必須です。
養生を自分一人で行うのは無理
それでは、どのようにして養生をすればいいのでしょうか。自ら養生シートを購入して壁に貼り付ければいいのでしょうか。また、養生シートをレンタルすればいいのでしょうか。
残念ながら、あなたが引越し業者に何年も勤務した経験がない限り、自分で養生をするのは現実的ではありません。
養生するとはいっても、以下のようにかなり多くの箇所に養生シートを使わなければいけません。
また、すべての壁を保護するわけではなく「養生するべき箇所」を理解したうえで養生していくため、素人が見極めるのは無理です。さらに、養生するべき場所は家の中だけでなく、階段やエレベーター、ろうかなどの共用部分も含みます。
しかも、養生用のベニヤ板(養生ボード)をレンタルするにもかなりの費用が必要になるため、自分で作業を進めると結果的に高額になるというデメリットがあります。
大手や中小の引越し業者に頼むべき
そこで、引越しをするときは必ず大手または中小の引越し業者に依頼するようにしましょう。こうした業者であれば、引越しのときに必ず養生してくれます。養生の方法を調べなくても、引越し料金の中に養生サービスが最初から組み込まれており、何も言わなくても養生をしてくれます。
「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」を含め、これらの引越し業者であれば養生のことを心配する必要はありません。
ただ、注意点があります。それは、引越し業者の中でも個人事業主に頼む場合です。赤帽を含め、個人事業主の引越し業者では養生をしてくれません。養生をお願いする場合はプラス料金となり、大手や中小の引越し業者のように無料では養生をしてくれません。
前述の通り、養生をしなければ壁を傷つける可能性が非常に高いです。
通常、引越しをするとき行われるのは「壁の養生」だけではありません。以下のように、大型の家電製品や家具を専用の毛布・資材で梱包したうえで運搬します。養生に加えてこうした梱包をするで、大手の引越し業者にお願いする場合は何も問題なく作業が進んでいきます。
以下は冷蔵庫を運んでいるときの様子ですが、養生に加え、冷蔵庫を専用資材で梱包しているため、壁だけでなく家電製品・家具の傷も防げるようになっています。
ただ、個人事業主では壁や床の養生がないだけでなく、家電製品や家具類の梱包作業すらないことが多いです。そのため、荷物の運搬時にどうしても傷がついてしまうのです。
養生について管理会社から注意さえることは多い
なお、引越しをするとき「必ず養生をするように」と賃貸マンション・アパートの管理会社から警告を受けることは多いです。引越しのとき、エレベーターやろうかなどの共用部分の養生を必須にしている賃貸不動産は多いです。
例えば私が友人の引越しを手伝ったとき、その友達は個人事業主の引越し業者に依頼していました。ただ、引越し日の当日に新居で荷物の搬入をしているとき、管理会社の人から「必ず養生をしてください」と注意を受けてしまったのです。
その賃貸マンションと不動産管理会社は非常に近い距離にあったため、養生していないのが丸わかりでした。
そこで、彼はプラス料金で養生代のオプションを支払い、以下のように簡単な養生をしてもらうことになりました。
ちなみに、このときの養生費用は15,000円です。オプションとしてこれだけの料金が上乗せされたため、格安引越しを考えて個人事業主に依頼したにも関わらず、結局のところ大手の引越し業者に依頼したほうが引越し費用は安いという結果になってしまいました。
養生オプションの料金相場は10,000~15,000円と非常に高いです。そのため、これら養生代が最初から無料になっている業者に引越しをお願いするといいです。
特にタワーマンションや新築マンションであると、引越し時の養生は必須のルールです。必ず大手または中小の引越し業者に依頼するようにしましょう。
・養生のみ行ってくれる業者はほぼない
ちなみに、できるだけ格安引越しを実現するために「養生のみを行ってくれる業者はあるのか」と考える人がいます。ただ、養生のみに対応した業者はほぼ存在しません。
引越しで必要な最も大きな経費は人件費です。人の派遣に最もお金がかかるため、養生のみには対応していないのです。
また、前述の通り養生オプションだけでかなりの高額費用になるため、養生だけをお願いする意味はあまりありません。それなら、初めから養生を含んだ引越しを頼んだ方が効果的です。
養生の範囲は意外と広い
それでは、養生するとはいってもどのような部分に養生をするのでしょうか。実際に引越し業者へ依頼すればわかりますが、意外と広い範囲を養生してくれます。これは、それだけ壁や床を傷つけることに細心の注意を払っているからです。
以下では、どのような部分で養生されるのか確認していきます。
・部屋の壁
当然ですが、建物の壁は養生されます。旧居や新居の部屋の壁を養生することで、荷物を運搬するときの傷を防ぎます。
部屋の中については、壁は養生するものの床についてはマットなどであまり保護しません。その代わり、毛布や専用の資材を活用して家電製品・家具を保護した状態で運搬します。
当然、運搬時は宙に浮かした状態で運ばれるので床が傷つくことはありません。
・共用部分(エレベーター、ろうかなど)
賃貸マンション・アパートであると、その不動産に住んでいる人全員が使う共用部分があります。それが、エレベーターやろうか、玄関などです。
こうした部分は養生しなければいけません。前述の通り、特にタワーマンションや新築マンションであると養生ルールが厳しいです。養生なしでは確実に注意を受けるため、大手か中小の引越し業者への依頼が必須です。
共用部分については、壁と床の養生が必要になります。荷物を運ぶとき、ろうかでは台車を使うのが普通なので、以下のようにろうかの壁や床を養生します。
それと同時にエレベーターの養生も必要になります。エレベーターの壁を傷つけないように、以下のようにしっかりと保護しなければいけません。
・階段がある場合は壁や床を養生する
なお、「エレベーターのないマンション・アパートへ引越しする」「新築一戸建てへ引っ越す」などの場合、階段の養生をしなければいけません。
例えば、以下は新築一戸建てへ引越しをしたときの様子です。
階段については、通路が狭く特に壁や床が傷つきやすいので丁寧に養生されていました。階段は毛布やマットを活用し、丁寧に保護する必要があるのです。
引越し業者に見積もりを頼み、養生してもらう
養生は引越しのときに必須となる作業です。養生することで壁や床を保護し、傷や汚れから守ることができます。また、賃貸マンションでは共用部分の養生をすることが引越し条件になっていることは多いです。
ただ、自分で養生するのは現実的ではありません。そこで、引越し業者に依頼して養生してもらうようにしましょう。やり方を調べる意味はなく、最初から専門の引越し業者にお願いすればいいのです。
大手や中小の引越し業者であれば、見積もり料金の中に養生費用がサービスで含まれています。養生方法などを知らなくても、勝手に専門スタッフが養生してくれます。
注意点として、引越し業者の中でも「個人事業主では養生代がオプションになり、養生を頼むと非常に引越し代金が高くなる」ことがあります。引越しの見積もり費用だけを見れば安いですが、養生料金まで考えると総額が高くなってしまうのです。
こうしたことに注意したうえで引越し業者に見積もりを依頼し、適正価格で引越しするようにしましょう。養生のオプション代金の相場は高いため、最初から養生代が含まれている大手や中小の引越し業者を活用するといいです。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
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見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。