引越しするにあたって、費用と同じくらい心配になるのが日程です。引越しでは私物のほとんどをトラックで運ぶことになるため、到着が遅くなると生活に支障をきたします。特に新居まで距離がある場合、どれくらい日をまたぐのかは重要なポイントです。

また中には、引越し荷物の到着予定日に新居で待機するのが難しい人もいるでしょう。このような場合、到着予定日以外に荷物を受け取れないようであれば非常に困ってしまいます。

それでは、引越し荷物を搬出してから新居に搬入するまでには、どれくらいの日数がかかるのでしょうか? また、到着予定日以外を搬入日に指定することはできるのでしょうか?

ここでは荷物の搬出から搬入までにかかる期間と、引越し荷物の日時指定について解説していきます。

引越し荷物の搬出から搬入までの日数

インターネット通販などの一般的な荷物は、遠方であっても発送から1~2日で自宅に届くのが基本です。地域によっては、当日中に荷物が届くケースもあります。そのため、引越し荷物も「最長でも2日で搬入・搬出が完了する」と考えている人は多いです。

ただ一般的な荷物(小包)の運搬には、遠方だと航空便が利用されるのに対して、引越し荷物は陸送が一般的です。

航空便だと離れた地域にも短時間で荷物を運べますが、陸送だと距離に応じて運搬時間が長くなります。そのため引越しでは、新居までの距離が遠いほど引越しにかかる日数が多くなるのが基本です。

当日便で引越し可能な距離

それでは、新居までの距離がどれくらいであれば当日中に荷物を搬入できるのでしょうか。一般的には、最大で300kmの範囲内であれば当日中に引越し荷物を搬入できるケースが多いです。

具体的にいうと、旧居と新居の距離が100km以内であれば、荷物を積み込む時間に関わらず当日中に引越しを終えられるのが基本です。

例えば関東内・関西内での引越しであれば、午後便での搬出であっても当日中に引越しを完了できると考えて問題ありません。参考までに、オレンジ枠で囲まれている地域が東京から100kmの範囲です。

また新居までの距離が100~200kmだと、午前便での引越しであれば当日中に引越しが終わります。午後便だと、搬出の開始時刻によっては翌日の到着となる可能性があります。特に夕方の便だと、荷物の搬入は翌日になります。

例えば東京から静岡に引越す場合、午前中に荷物を搬出すれば当日中に引越しが終わります。一方で夕方の荷物搬出だと、翌日の搬入となるのが一般的です。以下の青枠が東京から200kmの範囲になります。

旧居から新居までの距離が300kmほどになると、午前便での搬出であれば当日搬入が可能ですが、午後の搬出だと翌日の到着となるのが一般的です。300kmの引越しで当日中に引越しを終えたいのであれば、午前1本目の便で荷物を搬出しましょう。

翌日以降の搬入となる引越し距離

ただ、200~300km以内の引越しであっても、新居までの道のりで高速道路が充実していない区間が多いと翌日搬入となるケースがあります。

また荷物量が多かったりエレベーターなしの上層階だったりする場合、荷物の搬出に時間がかかるため、当日中に荷物を搬入できない可能性があります。

さらに船を使わないと荷物を運べない地域への引越しも、搬出の時間に関わらず当日中の搬入が難しくなります。

例えば青森と北海道南部(函館)は100kmほどの距離しかありませんが、フェリーで引越し荷物を運ぶことになるため到着までに2日かかります。同様に、沖縄や離島へ引越す際も通常より日数がかかります。

なお、300kmを超えた引越しでは翌日の到着となるのが基本です。例えば東京から東北や関西に引越す場合、搬出から搬入まで1~2日ほどかかります。参考までに、以下の緑枠が東京から約300kmの距離となります。

さらに、引越し距離が1000km(東京~福岡)に及ぶと、運搬に2~3日かかるのが一般的です。引越しの時期やプランなどによっては、搬出の1週間後に搬入となるケースもあります。

搬入~搬出の期間が長くなる引越しプラン

このように、一般的な引越しであれば引越しにかかる日数は1~3日となります。ただ引越しプランによっては、通常よりも引越し日数が長くなるケースがあります。

例えば前述のように、午前便で搬出すれば当日中に引越しを終えやすくなります。一方で午後便やフリー便だと、荷物の搬出時刻が遅くなるため、その分だけ搬入のタイミングも遅くなります。

特にフリー便の搬出では、引越し業者の都合がいい時間に荷物の搬出を行います。そのため、もっとも人気のない時刻(=昼過ぎや夕方の便)での搬出となるケースが多いです。

例えば午後2本目の便だと、あなたの引越し作業の前に2件引越しがあるため、荷物の搬出時刻が遅くなります。場合によっては夕方以降の作業となるケースもあります。そのためフリー便での引越しだと、午前便・午後1本目の便よりも搬入日が1日遅くなると考えた方がいいです。

単身パックだと、近距離引越しでも翌日以降の搬入になる

また、通常であれば当日中に到着する距離であっても、単身パック(コンテナ便)での引越しだと翌日以降に荷物が到着するのが基本です。

専用のコンテナボックスを利用した単身パックでは、複数人数の荷物を一度に運びます。そのため単身パックを利用すると、引越し費用を大きく抑えることができます。

ただ単身パックではトラックに荷物が集まった後に出発するため、近距離引越しであっても翌日以降の荷物到着となります。参考までに、以下はヤマト運輸の単身パックの利用の流れです。

このように、単身パックの引越しだと近距離の引越しであっても最短で翌日以降の搬入となります。業者によっては、2~10日ほどかかるケースもあります。

単身パックも通常の引越しと同様に、陸送での運搬となるのが基本です。そのため単身パックの引越しでは、通常プランより1~7日ほど運搬日数が上乗せされると考えましょう。

繁忙期や格安の長距離引越しだと到着日が遅くなる

また通常の引越しプランであっても、繁忙期や格安の長距離引越しプランだと到着日が遅くなりやすいです。1台のトラックに複数家族の荷物を積み込んで運ぶ「混載便」での出発となるためです。

混載便での引越しだと、貸し切りトラックで運搬するよりも効率よく荷物を運ぶことができます。そのため引越しが多い繁忙期や格安の長距離引越しだと、混載便となることが多いです。

ただ、その分だけ荷物の到着が遅くなります。一般的には1~2日ほど到着が遅くなるケースが多いです。

特に、引越しの少ない地域から混載便で引越す場合、トラックがいっぱいになるまでの期間が長くなりやすいです。このような場合、荷物の到着が遅くなるだけでなく、到着日も直前まで判明しないので注意しましょう。

搬入日の指定は可能なのか?

このとき、場合によっては荷物が到着する予定の日に新居に滞在できない人がいるでしょう。このような場合、荷物の搬入日を指定することはできるのでしょうか。

結論からいうと費用はかかりますが、物理的に運搬が可能な範囲であれば荷物の到着を希望日に指定することは可能です。これは、到着日を早める場合も同様です。

例えば東京から大阪へ引越すことを考えた場合、移動距離はおおよそ500kmとなります。そのため基本的には、朝に荷物を搬出しても翌日の到着となります。

ただ中には、スタッフの増員や運搬方法の変更などで早めの搬入を実現してくれる業者もいます。仕事などの都合でどうしても荷物の搬入日を早めに指定する必要があるのであれば、見積もり時に相談して対応してくれる業者を選びましょう。

引越し業者の荷物一時預かりサービスで搬入日を指定する

一方で荷物の搬入日を到着予定日より遅らせる場合、引越し業者の荷物一時預かりサービスを利用することになります。

一時預かりの期間が数日ほどであれば、荷物をトラックで待機させます。一方で荷物の預かり期間が長くなる場合、業者の倉庫へ荷物を移して保管するのが一般的です。

このとき引越し業者の一時預かりサービスは、単身引越しの荷物で2~3万円、家族引越しの荷物だと5~10万円ほどが相場です。ただ荷物の種類や引越し時期などによっては、一時預かりサービスの価格が高くなったり、一時預かりを断られたりするケースもあります。

また引越し業者の中には、指定日に合わせた荷物の運搬方法を選択してくれるケースがあります。例えば以下は、日通の荷物預かりサービスについての記載ページです。

このように、日通を利用した引越しで荷物の搬入日を遅らせて指定すると、時間のかかる輸送方法に切り替えてくれるケースがあります。輸送方法で日数調整してくれると、その分だけ一時預かりの期間が短くなるため引越し費用を節約することができます。

単身パックは通常の荷物と同様に日時指定が可能

ちなみに単身パックの引越しだと、荷物の到着日以降であれば日時指定が可能です。単身パックの荷物は通常の荷物と同等の扱いとなるためです。例えば以下は、ヤマト運輸の単身パックです。

このように、単身パックでの引越し荷物は翌日~7日以内で到着日を指定することができます。あなたが新居で待機できる都合のいい日を指定して申し込みましょう。

なお中には、配達日を土日や夜間に指定すると追加料金がかかる業者もあります。追加料金の金額によっては単身パックを利用する費用面でのメリットが少なくなるため、単身パックの申し込み時に追加料金について忘れずに確認しましょう。

日をまたぐ引越しのコツ

なお前述のように、引越し先が遠くても朝一番に積み込めば荷物の到着日を早められる可能性があります。引越し日程をなるべく抑えたいのであれば、午前1本目の便で荷物の搬出を行いましょう。

また引越し距離が長くなると、その分だけ道路状況が日程に影響します。特に道路が渋滞していると、1~2日ほど到着が遅延するリスクが高いです。そのため引越しにかかる日にちを抑えたいのであれば、お盆や年末年始など道路が混むタイミングを避けましょう。

日をまたぐ引越しでは最終便での搬出で費用が安くなる

一方で新居に到着する前にホテルで宿泊する予定なのであれば、その日の最終便で荷物の搬出を行うと引越し料金を抑えることができます。引越し料金は朝がもっとも高く、時間が経過するほど安くなりやすいため、夕方などの最終便で引越しすると、料金が格安になるためです。

例えば遠く離れた新居まで車で向かわなければならない場合、当日中に到着するのが難しいケースがあります。このような場合、道中で1~2泊して新居へ向かうことを検討することになります。

このとき最後の便で荷物を搬出すれば、引越し費用がかなり抑えられます。また新居までの道のりを2日以上に分けて運転できるため、移動で疲労を溜めずに済みます。

参考までに、私が350kmほど離れた地域に引越した際、小さな子供を連れて車で新居へ向かうことになりました。この距離を連続して走るとドライバーと子供に大きな負担がかかるため、道中で1泊することを検討していました。

このとき、引越し業者からは搬出日の最終便で搬出して翌日到着にすれば、家族引越しでの料金が8万円ほど安くなると見積もりをもらいました。予定よりもかなり安価であり、浮いたお金で宿泊費を十分にカバーできるため、このプランで引越しすることにしました。

このように新居へ向かうまでに宿泊する必要があるのであれば、最終便で引越した方がお得です。無理に午前便で引越しを早く終わらせようとせず、状況を見てメリットの多い引越し方法を選びましょう。

長距離引越しでの日数を節約したいなら航空便やチャーター便を利用する

一方で、長距離であってもとにかく引越しの運搬期間を短くしたいのであれば、航空便やチャーター便を利用することで引越し日程を短縮できます。

航空便であれば、飛行機で荷物を運ぶため遠距離の引越しでも数時間で到着できます。朝に荷物を積み込めば、引越し荷物を当日中に到着させることが可能です。

航空便を扱っている業者や利用可能区間は限定されており、料金もかなり高くなります。ただ引越しの日程は大幅に短縮できるので、「とにかく短期間で引越しを終えなければならない」という人は航空便を検討してみましょう。

またトラックで荷物を運搬する場合、混載便よりもチャーター便の方が早く到着しやすいです。中距離・長距離の引越しであっても、2~3日以内には到着します。荷物の搬入日を指定すれば自動的にチャーター便が選択されるので、引越し業者の見積もり時に到着希望日を伝えましょう。

複数業者に見積もりを依頼し、料金と日程を確認する

ただ引越し業者によっては、あなたが希望する引越しの実現が難しいケースがあります。特に日をまたぐ引越しでは、業者による日程・料金の差が大きいです。実際にかかる日数や費用などについては、業者に確認しないとわかりません。

そこで日をまたぐ引越しをあなたの希望通りに進めたいのであれば、複数の引越し業者に見積もりを依頼しましょう。複数の業者に見積もりを依頼すれば、各社が提示した日程と料金からあなたの希望に合った業者を選ぶことができます。

また複数業者に見積もりを依頼すれば、価格競争によって料金の値引きを受けやすくなります。訪問見積もりを何件も受けるのは面倒に感じるかもしれませんが、節約できるお金は大きいので必ず複数の業者に見積もりを依頼しましょう。

搬出から搬入までの期間を理解し、希望通りの日程で引越しを進める

引越し荷物は基本的に陸送で送られるため、新居が遠いほど日数がかかります。具体的には、300km以内の近・中距離引越しであれば、当日中に荷物を搬入することが可能です。一方で300kmを超えると2日、1000kmを超えると引越しに3日はかかります。

ただ単身パックでの引越しだと、近距離であっても翌日以降の搬入となります。また繁忙期や格安の長距離引越しでは、通常よりも到着日が1~2日ほど遅くなるケースがあります。

このとき、荷物の到着予定日に新居で待機できない場合、荷物の預かりサービスを利用して日程を調整するのが基本です。

ただ、搬出から搬入までの期間や荷物預かりサービスの内容、到着時間は業者によって異なります。そこで希望通りの日程で引越しを進めたいのであれば、複数業者に見積もりを依頼しましょう。そうすることで荷物の搬出・搬入日を指定できるだけでなく、費用も大幅に節約できます。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

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