引越しでは、旧居の荷物を一度に新居へ運ぶのが基本です。ただ中には、スケジュールの都合などで荷物を数回に分けて新居へ運びたい人もいるでしょう。

ただ、荷物の分割配送は一般的な引越しプランではありません。そのため引越し業者のホームページなどには、引越し荷物の分割配送について記載されていないケースがほとんどです。

それでは、引越しの荷物を分割して発送することは可能なのでしょうか? また引越し荷物の分割配送には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

ここでは引越し荷物を分割で配送するメリット・デメリットと、分割配送するコツについて解説していきます。

分割配送のメリット・デメリット

引越しする事情は人によって様々です。そのため、中には「引越し荷物を数回に分けて配送したい」と考えている人もいるでしょう。

例えば転勤などによる急な引越しに家族が対応できない場合、転勤での引越しを先に済ませ、後から家族が合流する(=2回目の引越しをする)ケースがあります。

また仕事などの都合で急に引越さなければならない場合、引越し日までに荷造りが終わらないケースがあります。このような場合、生活に必要な荷物だけ先に新居へ送り、残りの荷物を後日運搬すれば日程に余裕をもって作業に当たれます。

このような荷物の分割配送には、スケジュールを調整しやすくなるメリットがあります。ただ一方で、引越し費用の総額が高くなるデメリットもあります。

引越し業者からしてみれば、引越し荷物を分割配送する(=引越しを2回に分けて行う)ことになります。そのため引越し荷物の分割配送には、引越し2回分の料金が発生するのが基本です。

このとき荷物の分割配送では引越し1回あたりの荷物量が少なくなるため、引越し料金が単純に2倍になるわけではありません。ただ、荷物を1度に運ぶのに比べると引越し料金が高くなるのは避けられません。

また荷物を分割配送する場合、2回目の運搬のため、引越し後に旧居地域へ戻らなければなりません。つまり、その分だけ交通費と時間が必要になります。このように、引越し荷物の分割配送には多額の費用がかかるのです。

このとき、引越し業者の中には業者が荷造りを行ってくれる有料プランがあります。このようなプランは数万円ほどで利用できるため、引越し荷物の分割配送よりも費用を抑えることができます。また、荷造りのために旧居地域へ戻る必要もありません。

そのため急な引越しで荷造りが間に合わないのであれば、まずは分割配送ではなく有料の荷造りプランの利用を検討するのが基本です。

近距離引越しだと分割配送を検討する価値がある

ただ中には、引越し業者に荷物を触られたくない人もいるでしょう。このような場合、引越し先が近いのであれば費用をかけてでも荷物を分割配送する価値があります。

まず旧居と新居の距離が近い場合、引越し料金そのものが安くなりやすいです。旧居へ戻る交通費もそれほどかかりません。そのため荷物を分割配送しても、金銭的負担が重くなりにくいです。

また急な引越しだと、荷造りだけでなく役所の引越し手続きや仕事の引継ぎなども間に合わないケースが多いです。2回目の引越しと同じタイミングで引越し手続きや仕事の引継ぎを行うようにすれば、急な引越しでも余裕をもって引越しできます。

そのため急な近距離引越しで荷造りが間に合わなかったり、引越し手続きや仕事の引継ぎなどで旧居地域へ戻る予定があったりするのであれば、荷物の分割配送を候補に入れましょう。

引越し荷物をお得に分割配送するコツ

それでは実際に、荷物を分割配送する際には、どのような点に注意が必要なのでしょうか?

まず荷物を分割配送する際には、スケジュールの組み方に注意する必要があります。後送りの日程を遅らせすぎると、家賃の二重発生期間が長くなるためです。

前述のように急な引越しで分割配送を利用する場合、休日に旧居へ戻って引越し作業を進める必要があります。ただ当然ながら、引越し作業が完了するまでは旧居の契約が継続(=家賃が発生)します。つまり後送りの日程に余裕を持たせすぎると、二重家賃の発生期間が長くなるのです。

このとき賃貸物件の退去時には1~2ヶ月前に申告することが契約で定められており、退去の申告から1ヶ月~2ヶ月は家賃が発生します。つまり実際の退去日に関わらず、退去の申告から1ヶ月(または2ヶ月)は家賃が発生します。

そのため急な引越しで荷物を分割配送する際には、家賃の発生期間内に荷物の後送りを済ませられるようにスケジュールを組みましょう。そうすることで、二重家賃の発生期間を短くすることができます。

先送りの荷物量を抑えて単身パックを利用する

また、先送りの荷物を少なく抑えられるのであれば、引越し業者の単身パックで荷物を送ることで引越し費用を抑えることが可能となります。

単身パックは宅配便のように引越し荷物を送ることができるプランです。業者の用意する専用ボックスにあなたの荷物を積み込み、他の人の荷物(専用ボックス)との混載により、引越し先まで荷物を運搬します。例えば以下は、ヤマト運輸の単身パックです。

このような専用ボックスで荷物を送れば、トラックを貸切る引越しに比べて低価格で引越し荷物を送ることができます。以下は、ヤマト運輸の単身パックで東京から埼玉へ荷物を送る場合の料金表です。

このように専用ボックス1本分であれば、数万円ほどで荷物を新居へ送ることができます。そのため引越し荷物を分割配送する際には、生活に最低限必要な分だけの荷物を単身パックで送り、残りの荷物を通常の引越しプランで配送するといいです。

複数の引越し業者に見積もりを依頼する

また荷物の分割配送を検討する際には、必ず複数業者に見積もりを依頼しましょう。1社のみに見積もりを依頼すると、金銭的に損をするリスクが非常に高いためです。

例えばパートナーの単身赴任先へ後から合流する場合など、分割で配送する荷物量が多い場合、単身パックで荷物を送ることは難しいです。このような場合、引越し業者に荷物の分割配送について相談する必要があります。

このとき、引越しの分割配送について見積もり業者を1社だけにすると、単純に引越し2件分の料金を請求される可能性が非常に高いです。一方で複数の業者に見積もりを依頼すれば、業者間での価格競争が起こって引越し料金が安くなりやすいです。

特に業者からしてみれば、荷物の分割配送を希望している顧客(=2件分の引越し契約を2件分受注できる顧客)であるため、他の業者には取られたくないのが実情です。そのため複数業者に見積もりを依頼していることを伝えれば、大幅な値引きを引き出せる可能性が高いです。

引越し荷物の分割配送を検討する場合、複数業者に見積もりを依頼して相談しましょう。そうすることで、格安で希望通りの引越しを叶えやすくなります。

複数の引越し業者に見積もりを依頼して、希望のプランで契約する

引越し荷物を2回以上に分けて運搬すれば、時間に余裕をもって荷造りできます。特に近距離引越しや、仕事の引継ぎなどで旧居地域へ戻る予定がある場合、引越し荷物の分割配送を検討する価値があります。

ただ当然ながら、荷物を分割配送するとその分だけ費用が高くなります。引越し先が遠方の場合、旧居の荷造りに交通費や宿泊費なども必要となるため、引越し費用の総額が高額になりやすいです。

そこで、急な引越しやパートナーの単身赴任などで荷物の分割配送を検討しているのであれば、まずは複数の引越し業者に見積もりを依頼しましょう。見積もりを取る業者を増やすだけで、分割配送であっても引越し料金を抑えやすくなります。

また複数の業者に見積もりを依頼すれば、荷造りサービスや単身パックなど、さまざまなプランの中からあなたのスケジュール・予算に合った引越し方法を見つけやすくなります。このようにして希望通りの引越しを進めましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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