賃貸物件について更新料の支払いは、契約更新のときに発生します。そのため、物件の契約時に更新費用の支払いまで考えなければいけません。

更新料の支払いが一般的な地域では、賃貸物件の契約更新時に数万~十数万円の支払いが生じます。そのため更新料の支払い日が近づくにつれて、「更新料を何とかして減額できないか」「引越した方がお得ではないのか?」などと考える人は多いです。

それでは、賃貸物件の更新料を減額してもらうことは可能なのでしょうか? また「更新料を支払って今の物件に住み続ける」「契約更新をせずに引越しする」の2択だと、どちらの方がお得なのでしょうか?

ここでは更新料の支払いを抑える方法や、更新料と同等程度の費用で引越すコツなどについて解説していきます。

更新料は払わないといけないのか?

「同じ賃貸物件に住み続けるためには、2年おきに家賃1~2ヶ月分の更新料を支払うのが必須である」と思っている人は多いです。特に関東でしか暮らしたことのない人は、このように思っていることでしょう。

この場合、以下のように賃貸契約書に「更新料が必要」と明確に記載されることになります。

ただ借主からしてみれば更新料は大きな負担であり、不服に感じやすい支払い項目です。実際、契約を更新すれば大家には新たな家賃収入が入るため、「更新料を請求する意味が分からない」「同じ物件に住み続けるだけなのに、更新料が高すぎる」という声は多いです。

このとき、更新料は家賃を安くして物件を魅力的に見せるために始まった風習とされており、更新料の有無や相場などには地域差があります。実際、全国的に見ると賃貸物件の更新に費用が発生する地域は少ないのが実態です。

例えば北海道や九州などだと、更新料が必要となる賃貸物件はまずありません。東北や関西などでも更新料が発生しない物件がほとんどです。

賃貸物件の更新料は、どの地域・物件でも発生する費用(=法律で支払いが定められている費用)ではないのです。

ただ当然ながら、賃貸物件の契約時に更新料の支払いについて同意している場合、「払いたくない」と思っても更新料の支払いは逃れられません。つまり契約書に更新料についての記載があるのであれば、更新料の支払いは必須となります。

更新料は値下げ交渉できるのか?

このとき前述のように、更新料は法律で定められている支払い項目ではないため、更新料の有無や金額などは大家や管理会社の判断で設定しています。そのため状況によっては、交渉次第で更新料を値下げしてもらえるケースがあります。

例えば、現在あなたが住んでいる物件に空室が多い場合、更新料の減額交渉に応じてくれる可能性が高いです。大家からしてみれば、空室が多いとその分だけ家賃収入が少なくなるため、更新料を値下げしてでも現在の入居者を保持したいからです。

また更新後に引越しする予定があるのであれば、その旨を大家に相談すれば更新料を免除してくれたり月割りにしてくれたりするケースが多いです。

ただ、このような事情がない限り、更新料の値下げ交渉は成功しないのが基本です。一般的に、大家や管理会社が更新料の値下げに応じるメリットは少ないためです。

そもそも賃貸物件の更新料は、家賃や入居時の初期費用を安くするための補填として設けられています。そのため更新料を値下げしてしまうと、安くした分の費用などを回収できないことになってしまいます。

また更新料が設けられているのは、基本的に退去者が発生しても再び入居者が現れやすい物件です。賃貸物件の契約時には礼金や仲介手数料など大家・管理会社への報酬が発生します。そのため、更新料の設定によって退去者が出ても、早期に入居者が見つかれば大家・管理会社は損しません。

さらに大家・管理会社からしてみれば、更新料の値下げを交渉する人は「支払い能力が低い(=家賃の滞納リスクが高い)」ということになります。更新料の値下げ交渉に応じることは、家賃を滞納する可能性がある人を入居させ続けることにつながります。

このように、大家や管理会社には更新料の値下げ交渉に応じる理由はありません。むしろ大家・管理会社からしてみれば、更新料の値下げは損をするリスクが高い行為です。

そのため「更新料が高すぎる」「更新料を払いたくない」と感じても、契約書に記されている更新料を額面通り支払わなければならないことを覚悟しましょう。

更新料を払った後に引越した場合、返金は可能?

このとき、中には更新料を支払った後に急な引越しが決まるケースもあるでしょう。借主からしてみれば更新料は再契約後も住むために支払っている費用であるため、更新後に短期間で引越すことになった場合「返金してもらいたい」と考えがちです。

ただ更新料を支払った直後であっても、更新料が返金されるケースはほとんどありません。賃貸物件の更新後に引越すことになったのはあくまであなた(借主)の都合であり、大家・管理会社には関係ないためです。

特に管理会社には、物件の更新手続きに伴って多くの事務作業が発生しています。あなたが支払った更新料の半分は管理会社の取り分となり、このような事務作業に対する報酬に充てられます。そのため支払った更新料のうち、半分はまず返金されません。

また更新料のもう半分は大家の取り分となりますが、一度受け取った報酬(更新料)をわざわざ返金する人は少ないです。

ただ中には、事情を考慮して更新料の一部を返金してくれる善良な大家もいます。望みは薄いですが、急に引越しせざるを得ない事情が発生したのであればダメ元で更新料の返金について相談してみるといいです。

居住期間が長い人は家賃・更新料が安くなる可能性がある

ただ同じ物件に長く居住している場合、更新のタイミングで家賃を値下げしてもらえる可能性があります。居住期間が長くなると、入居時よりも賃貸物件の価値が下がっているケースがあるためです。

基本的に賃貸物件は新しいほど人気が高く、その分だけ家賃も高額になります。一方で築年数が経過すると人気が落ちるため、家賃を安く設定して入居者を募集します。

そのため、新築・築浅で入居してから期間が経過している場合、現在の募集家賃はあなたが入居したタイミングよりも安くなっているケースがあります。

ただこのような家賃の差異があっても、入居者には伝えないケースが多いです。大家は、わざわざ自分の収入(=家賃)を減らすことはしないのです。

参考までに、私が過去に15年暮らした賃貸物件では、入居から10年経過した頃に他の入居者からの情報で家賃が下がっていることが判明しました。その旨を大家に伝えると、次の月から家賃が安くなりました。自分で現在の家賃を確認しないと、高い家賃を支払い続けるケースがあるのです。

そのため賃貸物件の更新時には、更新料を支払う前に現在の家賃を賃貸物件のサイトなどで確認し、家賃が下がっているようであれば、家賃の減額交渉を行いましょう。そうすることで毎月の家賃負担が減り、家賃1~2ヶ月分と定められている更新料も減額することができます。

更新料と引越しだとどっちがお得なのか?

このように居住年数が長い場合、家賃の減額によって更新料も安くなる可能性があります。ただ前述のように、更新料のみの値下げ交渉は成立しないのが基本です。

更新料の値下げ交渉が成功しないと、数万~十数万円の支払いが生じます。そのため「更新料を支払うくらいなら、そのお金で新しい家へ引越したい」と考える人は多いです。

それでは、更新料を支払うのと引越しをするのでは、どちらの方がお得なのでしょうか? 結論からいうと、基本的には更新料を支払う方が金銭的な負担が少ないです。

例えば引越しを考えたとき、新たな賃貸物件の契約費用には家賃の5倍ほどかかります。これに加えて、引越し業者の利用料金として、単身・2人暮らしでも3~10万円ほど見積もる必要があります。

これに対して賃貸物件の更新料は家賃1ヶ月分が相場であり、高くても2ヶ月分であるケースがほとんどです。また賃貸物件の更新時には火災保険や保証会社の更新費用も必要となりますが、合わせて数万円ほどです。そのため、多くても家賃3ヶ月分ほどの費用で現在の住居に住み続けることができます。

したがって現在の家賃と同等程度の賃貸物件を選ぶ場合、いま住んでいる物件を更新した方が費用は安く済むといえます。

更新料と同額程度の費用で引越すコツ

ただ、引越しの初期費用は工夫することで大きく減額することが可能です。うまくいけば、更新料より少し高い程度の費用で引越しできる可能性があります。

例えば前述のように、賃貸物件の契約には敷金や礼金、前家賃などで家賃の5倍ほどの費用がかかるのが基本です。ただ礼金は支払い義務のない項目であるため、物件によっては礼金なしで契約できます。礼金なしの物件を選べば、引越しの初期費用を家賃1ヶ月分浮かせることができます。

また中には、入居後1~2ヶ月分の家賃を無料にしてくれるフリーレント物件もあります。このような物件を選べば、賃貸物件の契約にかかる初期費用を大きく減らすことができます。参考までに以下は、東京のフリーレント物件です。

この物件情報にはフリーレント2ヶ月と記されています。つまり入居後2ヶ月分の家賃を無料にしてくれるのです。このような物件を選べば、格安で引越しすることが可能となります。

一方で引越し業者の利用料金であれば、複数の業者に見積もりを依頼するだけで大幅に節約可能です。引越し業者からしてみれば契約を取れなければ売り上げが立たないため、「他の業者にも見積もりを依頼している」と伝えるだけで数万円の値引きを受けられるケースはよくあります。

このように、引越し費用は工夫次第で大きく減額することができます。初期費用を節約できれば、今住んでいる物件の更新料に少し費用を上乗せするだけで新しい環境で暮らし始めることができます。

安く引越すために退去時費用にも着目する

このとき注意すべきなのは、引越しの初期費用を減らすだけでなく退去時の費用も節約する必要がある点です。

退去時にはオーナーなどと部屋の状況を確認します。修繕などが必要な箇所が見つかれば、敷金が修繕費に充てられます。その後、余った敷金はあなたへ返金されます。そのため修繕箇所が少ないほど、返ってくる敷金の金額が大きくなり、引越し費用に充てられる予算が多くなります。

ただ賃貸物件のオーナーの中には、借主に責任のない範囲まで敷金で修繕しようとするケースがあります。

例えばあなたが壁紙やカーペットなどを汚してしまった場合、敷金を壁・床の張替え費用に充てることになります。このとき、借主であるあなたが負担しなければならないのは汚れ部分を含む1枚分です。

また、原状回復の義務には経年劣化が考慮されます。例えば壁紙の耐用年数は6年とされているため、壁紙を貼ってから6年が経過すれば、クロスの価値は1円となります。そのため入居から少なくとも6年経っていれば、汚れがあったとしても壁紙の修繕費用を負担する必要性はなくなります。

ただ大家の中には、壁紙や床などの全面張替え費用を負担させようとしたり、経年劣化を加味せずに修繕費用を請求したりするケースがあります。そのため退去時にはオーナーが求める修繕費用が適切かを確認しましょう。

また頑固な汚れなどをそのままにして退去してしまうと、原状回復費用を多く取られる可能性が高いです。そのため引越しにかかる費用を減らしたいのであれば、水回りのカビやキッチンの油汚れなど頑固な汚れを落としてから退去しましょう。

引越しより更新料を支払った方が費用負担は少ない

更新料は支払いが法的に義務付けられている項目ではないため、値引き交渉する余地はあります。特に入居者が少ない賃貸物件だと、現在の入居者を引き留める目的で更新料を減額してくれる可能性があります。

また居住年数が長い場合、家賃が入居当初より安くなっているケースがあります。このような場合、更新のタイミングで家賃の値下げ交渉をすれば応じてくれるケースがほとんどです。家賃が安くなれば、その分だけ更新料も減額されます。

ただこのような事情がない限り、更新料の減額交渉は成功しないと思った方がいいです。大家・管理会社からしてみれば更新料を値引きするメリットは少なく、むしろ支払い能力の低い人を入居させ続けるリスクを伴うためです。

このとき節約方法を工夫すれば、更新料に少し費用を上乗せすることで引越しできる可能性があります。そのため現在の部屋に不満があり、更新料の支払いをしたくない場合は、初期費用を抑えながら引越しすることを考えましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

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