引越し先の立地や内装などは、内見によって契約前に確認するのが基本です。一方で、内見時に引越しトラック駐車場所について確認する人はほとんどいません。そのため、物件や引越し業者を契約してから引越しトラックの駐車場所について心配になる人は多いです。

また引越し荷物を自力で運搬する場合、軽トラックなど車の手配だけでなく駐車場の確保も自分で行わなければいけません。行き当たりばったりで引越しを進めてしまうと、入居日に荷物を運び込めない事態に陥ってしまいます。

それでは業者を利用した引越しにおいて、トラックの駐車場所についてあなたがするべきことはあるのでしょうか? また自力で引越しする際、どのようにして車の駐車場所を手配・確保すればいいのでしょうか?

ここでは引越し業者のトラックを駐車する場所や、自力引越しで車を駐車させる場所を確保する方法などについて解説していきます。

引越し業者を利用する場合

荷物の少ない単身引越しを除き、業者を利用した引越しでは大型のトラックで荷物を運搬します。一般的な住居には大型トラックを停める駐車場が存在しないため、新居に面した道路にトラックを路上駐車して作業を進めるのが基本です。

ただ、新居付近にトラックを路駐させるためには「トラックを停められるだけの道路幅」が必要です。また新居前の道路が駐車禁止の区画である場合、駐車許可証の取得も必要となります。

このとき、業者を利用した引越しではトラックの駐車場所の確認・手配は引越し業者の仕事です。そのため原則的には、引越し業者のトラックの駐車場所についてあなたがするべきことはありません。

トラブル防止のため、トラックを路駐できる環境か確認しておく

ただ中には、トラックの駐車場所を確認・手配しない業者もいます。特に中小規模の引越し業者だと、トラックの駐車場所を事前に確認しないまま作業に移るケースが多いです。

このような業者を利用する場合、あなたが新居近くの道路状況を把握していないと後々トラブルに発展する可能性があります。

引越し当日になってトラックを横付けできないことが発覚すると、引越しに多大な時間を要したり追加料金を請求されたりするリスクがあります。また他人の駐車場へ業者が勝手にトラックを駐車し、住民トラブルに発展したケースもあります。

このような事態を避けるためにも、「トラックの駐車場所確保は業者の仕事だから」とすべて業者任せにするのではなく、あなた自身も新居周辺の道路状況について確認しましょう。

まず、新居入り口に面した道路に白線(中央線)が引かれている場合、「新居そばに引越しトラックを路駐できる」と考えて問題ありません。例えば以下のような道路です。

このような中央線が引かれている道路であれば、2車線分を合わせた道幅が5.5m以上となっています。2トントラックの横幅は2mほどであるため、中央線の引かれている道路であれば引越しトラックを路駐させても他の車は通行可能です。

このとき、住宅地や街中の道路はほとんどが駐車禁止となっています。ただ基本的には、駐車禁止道路であっても事前の申請によって路上駐車が可能となります(他の車の通行の妨げになる場合を除く)。

そのため「中央線が引かれている道路であれば、引越しトラックを停められる(=引越しトラックの駐車について心配する必要はない)」と覚えておきましょう。

なお路上駐車の許可申請は業者の仕事なので、この点に関しては気にしなくて問題ないです。

引越しトラックを新居近くに路駐できないケース

一方で、新居そばの道路が引越しトラックを路駐できない環境となっている場合、事前に業者へ確認しておく必要があります。具体的には、新居周辺の環境が以下のような条件を満たすようであれば、業者に連絡しておきましょう。

  • 中央線のない道路
  • 急こう配の道
  • 冬の降雪地帯

これらケースについて、それぞれ以下で詳しく解説していきます。

中央線のない道路

中央線のない道路は、道幅が5.5m以下となっています。中には、乗用車がギリギリすれ違える程度(3mほど)の道幅しかない道路もあります。

このような道路に2トントラックを路駐させると、他の車が通行できなくなります。そのため新居そばの道路が中央線のない道路の場合、道幅によってはトラックを横付けできないケースがあります。

公道の道幅は市町村が公開している道路台帳・道路認定図や道幅検索サイトなどで確認できます。ただ「道幅が狭いかもしれない」と伝えれば引越し業者側で調べてくれるので、あなたが道幅の詳細を調べる必要はありません。

急こう配の道

また新居に面する道路が坂になっている場合、基本的には車輪止めを使用し、路駐して作業するのが基本です。ただ坂が急こう配だと、車輪止めを使用しても路駐には危険を伴います。

そのため新居に面する道路が急こう配となっている場合、坂の横道や坂の下にトラックを駐車して作業を進めるケースが多いです。新居までの距離によっては多大な時間と労力を要するため、時間と追加料金がかかることを覚悟する必要があります。

冬の降雪地帯

また引越し先が北海道や東北など降雪地帯の場合、冬に引越すと引越しトラックを停められないケースがあります。道路横に大きな雪山ができるためです。

このような環境だと、新居から離れた場所へトラックを駐車して荷物を少しずつ運び込むことになります。雪が原因で追加料金がかかるケースは少ないですが、引越しに多大な時間がかかる覚悟をしておきましょう。

新居に到着後、トラックの駐車スペースがないことが発覚した場合

ただ中には、入居日に新居へ到着した段階で引越しトラックを停める場所がないことに気付くケースがあります。このような場合、どうしたらいいのでしょうか。

基本的には、「トラックを停められないかもしれない」と思った時点で業者に連絡した方がいいです。業者が到着してからトラックを停められないことが発覚すると、駐車場所を探す手間と時間がかかり、作業完了時刻がかなり遅くなってしまうためです。

また業者が新居に到着してから応援を呼ぶことになると、応援スタッフの到着が遅くなります。そうすると少人数で作業する時間が長くなり、引越しの完了時刻が遅くなるだけでなく、作業スタッフに強い負荷がかかって荷物の破損リスクが高くなってしまいます。

一方で、業者が新居へ到着する前にトラックの駐車場所のトラブルについて連絡しておけば、スタッフが移動中に新居周辺の環境を調べることができます。また早いタイミングで応援を呼ぶ判断を下せるため、適切な人数で引越し作業に当たってもらうことができます。

そのためあなたが新居に到着したタイミングでトラックの駐車場所がないことに気付いたら、すぐに業者へ連絡しましょう。作業員の連絡先が分からない場合、新居がある地域の引越し業者の支店に問い合わせれば取次や伝言にて対応してくれます。

自分で引越しする場合の注意点

一方で業者を利用せず自分で引越しを進める場合、あなた自身で軽トラックなどを駐車できる場所を確認・確保する必要があります。

このとき、軽トラックは乗用車用の駐車場に停めることができます。そのため新居にあなたが契約した月極駐車場があるのであれば、そこに車を停めて荷物の運搬作業を進めることになります。

また駐車場を契約していない場合であっても、管理人や大家などに相談すれば使っていない駐車場を一時的に貸してくれるケースがあります。そのため自力で引越しを行う予定であれば、まずは管理人や大家に車の駐車場所について確認してみましょう。

警察署で路駐の許可申請を行う

ただ当然ながら、新居が駐車場なしの物件だと駐車場を借りることができません。また駐車場がある物件であっても、場合によっては一時的な駐車場の貸し出しを行っていないケースもあります。このような場合、引越しに利用する車をどこに停めればいいのでしょうか。

まず、新居に面する道路が駐車禁止区画でなければ、引越し作業中のみ車を停めておくことは可能です。ただ前述のように住宅街や街中の道路のほとんどは駐車禁止区域内であり、以下のような駐車禁止の標識があります。

このような駐車禁止の標識がある道路に車を路上駐車したことが警察に見つかると、違反切符を切られて罰金が科せられます。

このとき、「警察に見つからなければ違反にならない」と考える人は多いです。ただ駐車禁止区間に軽トラなどを路駐して引越し作業を行うと、近隣住民から通報されるケースが多いです。そうなると違反・罰金が発生するだけでなく、近隣住民からの心象が著しく悪くなります。

このような事態を防ぐためにも、新居に面する道路が駐車禁止区間であるのであれば、あらかじめ駐車許可を取得しておきましょう。

一般的に「駐車許可は業者でなければ取得できない」と考える人が多いですが、引越しが目的であれば一般人でも取得可能です。

ただ、駐車許可の取得をオンラインや郵送で手続きすることはできないのが原則です。また、代理人(当日の引越しに関わらない人)が申請することもできません。

なお駐車禁止区間の駐車許可は、新居を管轄する警察署に以下の書類を提出することで取得できます。

  • 駐車許可申請書
  • 駐車場所周辺の見取り図
  • 車検証の写し
  • 運転免許証の写し

そこで、これらを取得しましょう。また、もし面倒なのであれば引越し業者を利用するのが適切です。

駐車許可を取得できないケース

ただ場合によっては、このような手続きを踏んでも駐車許可が下りないケースがあります。例えば路上に車を駐車することで他の車の通行の妨げになる場合、駐車許可は下りません。

また道幅が狭く、あなたの車を左端に寄せて駐車した際に通れる道路幅が3.5m未満となる場合も申請が不認可となります。救急車や消防車など緊急車両が通行できなくなるためです。

さらに、申請した場所(=新居)周辺にあなたの車を停められる駐車場や駐車可能道路がある場合、申請した駐車禁止区画ではなく近隣の駐車場・駐車可能道路に車を停めることが求められます。例えば新居のすぐそばにコインパーキングがある場合、駐車許可申請が通らない可能性が高いです。

これに加えて、引越しをレンタカーで行う予定の場合、駐車許可の取得は難しいです。駐車許可の申請~取得には1週間ほどの時間を要するためです。

前述のように、駐車許可の取得には車検証のコピーが必要です。ただ、レンタカーの車検証を1週間前に入手するのは難しいです。そのためレンタカーで引越しをする場合、駐車許可の取得は諦めた方がいいです。

運転できる人を一人連れていく

それでは、新居近くに車を停められる場所がなく、新居に面する道路の駐車許可を取得できなかった場合、どのようにすればいいのでしょうか。

まず、新居周辺に月極駐車場があるのであれば、ダメ元で「引越しの作業日だけ日割りで駐車場を借りられないか」と相談してみましょう。

業者が管理する駐車場だと許可されないケースがほとんどですが、個人が管理する月極駐車場であれば、特別に日割り料金で駐車場を借りられる可能性があります。

なお月極駐車場も借りられないようであれば、自力での引越しを諦めるのが基本です。ただ「取り締まりのリスクを伴ってでも、自力で引越し作業をしたい」というのであれば、あなた以外に運転できる人を一人連れていきましょう。

道交法における「駐車」とは、「①継続的に停止すること」または「②運転者が車両を離れて直ちに運転できないこと」を指します。そのため、運転席に車を運転できる人が座って入れば②には該当しません。

ただ当然ながら、引越し荷物を下ろす時間が長くなるほど①による取り締まりの対象になりやすいです。そのため可能であれば複数人で荷物を下ろし、車を停車している時間を極力短くしましょう。

また短時間であっても、駐停車禁止の区間に車を停めると違反になります。どのような場合であっても、このような区間に車を停めることは避けましょう。

運搬トラックの駐車場所を確認し、スムーズに引越しを進める

引越し業者を利用する場合、トラックの駐車場所については業者が確認・確保するのが基本です。ただ中には、駐車場所の確認・確保を怠る引越し業者もいます。このような場合、あなたが新居周辺の状況を把握して業者に伝えなければなりません。

例えば新居に面する道路が中央線のない道路や急こう配となっている場合、引越しトラックを路駐するスペースが足りないケースがあります。このような場合、すぐに引越し業者に連絡して駐車場所の確認を依頼した方がいいです。

また引越しを自力で進める場合、駐車場所をあなた自身で確保する必要があります。新居が駐車場付き物件であれば、大家や管理会社に1日だけ駐車場を借りられないか相談してみましょう。

新居の駐車場を利用できないのであれば、新居に面する道路の駐車許可を取得しましょう。申請の承認には1週間ほどかかるので、引越し日が決まったら早めに手続きを開始しなければいけません。このようにして引越しトラックの駐車場所を確認・確保し、もし面倒だったり無理だったりする場合は引越し業者に依頼するのが適切です。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

おすすめの人気記事

・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術

引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。

また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。

引越し価格を安くする交渉術

・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由

多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。

この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。

引越し業者の割引は無意味

安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備

見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。

ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。

引越し業者の営業マンへの対処法

見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか

実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。

ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。

おすすめの見積もり比較サイト