引越しと結婚は、どちらもお金がかかるイベントです。特に新婚での引越しは気持ちが盛り上がっているため、つい財布のひもが緩くなりがちです。
ただ引越しにお金をかけすぎると、金銭的に苦しい新婚生活となってしまいます。特に実家暮らしから結婚で引越す場合、引越しに関する経験が少なく金銭的に損してしまいやすいため注意が必要です。
また、実家からの引越しの場合、私物を実家に置いていきたいと考える人は多いです。確かに、実家暮らしが長いと私物が多くなりがちなため、すべて新居に運ぶと収納が足りなくなりやすいです。
それでは結婚による実家からの引越しでは、どのようにして引越しを進めたらいいのでしょうか? また結婚で実家を出る際、私物を実家に置いていっても問題ないのでしょうか?
ここでは結婚時に実家から引越す際の段取りや費用、実家にある荷物の取り扱いについて解説していきます。
もくじ
実家暮らしからの結婚で必要な引越し費用
結婚では、大きく分けて引越しと結婚式、新婚旅行の費用が発生します。これらのうち結婚式と新婚旅行は必須項目ではないですし、時期を見送って開催費用を貯めることもできます。
これに対して結婚による引越しは、先延ばしするのが難しい項目です。そのため、結婚時には以下に挙げる引越し費用がかかります。
- 賃貸物件の契約費用
- 引越し料金
- 家具家電の手配
これらのうち、物件の契約には家賃の5倍ほどがかかります。例えば家賃10万円の部屋を借りる際には、50万円ほどの初期費用が必要となります。
引越し料金については、荷物を運搬する距離や引越し時期によって大きく価格が異なります。例えば、二人での引越しの価格相場は以下のようになります。
・一般的な荷物量での二人引越し
近距離(50km以内) | 中距離(200km) | 長距離(500km) | |
閑散期 | 6~7万円 | 8~9万円 | 10~12万円 |
繁忙期 | 8~9万円 | 10~12万円 | 14~16万円 |
このように、二人での引越しには6~12万円ほどの費用がかかります。引越し業界の繁忙期である新生活シーズン(3~4月)の引越しだと、8~16万円ほどかかることになります。
また、引越し時には新居に合った家具を購入する必要があります。お互い実家暮らしからの引越しだと、生活に必要な家具家電をすべて揃えなければなりません。家具家電のグレードによって異なりますが、賃貸契約や引越し費用、家具家電などをすべて合計すると、100万円ほどは見積った方がいいです。
このように、結婚での引越しには多額の費用がかかります。必要な費用をパートナーと折半するとしても、100万円近くのお金が必要となることを覚悟した方がいいです。
複数業者に見積もりを依頼し、引越し料金を抑える
ただ、引越しにかかる費用は工夫次第で節約することが可能です。
例えば住居であれば、敷金礼金なしの物件を選ぶことで契約費用を家賃2ヶ月分ほど節約できます。特に礼金は支払うメリットのない項目です。初期費用を節約したいのであれば、礼金なしの賃貸物件を探しましょう。
また前述のように、3~4月に引越すと閑散期に比べて2割増しほどの引越し料金がかかります。そのため可能であれば、閑散期に引越した方がいいです。
さらに、引越しをあまり経験していない人だと「引越し業者の料金は大きく変わらない」と考えて見積もりを1社しか取らないケースが多いです。
ただ、引越し業者の見積もりは複数受けるべきです。業者によって引越し料金が異なるだけでなく、業者から値引きを引き出しやすくなるためです。
引越し業者からしてみれば、契約が取れなければ売上が発生しません。そのため営業スタッフは、訪問見積もり時に顧客から何としてでも契約を取ろうとします。
このとき、他の引越し業者に見積もり依頼を出している事実や他社の見積金額を伝えると、営業スタッフから価格交渉を受けます。複数の業者に見積もりを依頼するだけで、引越し料金が安くなるのです。引越し費用を節約するためにも、引越し業者の見積もりは複数社から取りましょう。
パートナーと同じ引越し業者を選ぶのが基本
このとき、パートナーの住んでいた家で新婚生活を過ごすのであれば、あなたが自由に引越し業者を選んで問題ありません。
ただ結婚を機に新たに契約した家へ引越すのであれば、パートナーと同じ引越し業者を利用した方がいいです。パートナーと別の業者で引越しを行うと、荷物の搬入時間が重ならないように時間を調整しなければならないためです。
異なる引越し業者の搬入時間が少しでも重なってしまうと、後から来た引越し業者に待ち時間が発生します。そうすると、完了時間を早めるために荷物の扱いが雑になったり、待ち時間分だけの追加料金が請求されたりするリスクがあります。
一方で同じ引越し業者を利用すれば、業者側で搬入時間の調整を行ってくれます。同じ業者を利用すれば後から到着したスタッフが先行組を手伝うことができるため、スムーズに作業が進みます。また搬入時の床養生をそのまま活用できるため、時間を大幅に節約することができます。
さらに、パートナーと同じ業者を利用する前提で複数業者から見積もりを取れば、大幅な値引きを引き出しやすくなります。
そのため結婚を機に二人同時に引越しをするのであれば、パートナーと相談して同じ業者を選びましょう。そうすることで引越し料金を安く、さらにはスピーディーに作業を進めることができます。
二ヶ所積みで引越しすれば、引越し料金を節約できる
また、お互いが現在暮らしている家の距離や位置関係によっては、二ヶ所積みプランを選択することで料金がさらに安くなる可能性があります。
二ヶ所積みプランでは、片方の家の荷物を積み終わった後、もう片方の家へ立ち寄って積み込み、新居へ向かいます。2件分の荷物を1台のトラックで運搬するため、別々のトラックで運搬するよりも費用を抑えることができます。
例えば2人の家が以下のような距離・位置関係であれば、二ヶ所積みでの引越しが可能となります。
二ヶ所積みでの引越しは、単身引越しの1.5倍ほどの価格になります。つまり別々で依頼するときに比べて、1人あたりの引越し料金が25%ほど安くなるのです。そのためトラックで立ち寄れる位置にどちらかの家があるのであれば、二ヶ所積みでの引越しを検討しましょう。
参考までに、以下は実際に立ち寄りプランを利用したときの見積書です。
このときは短距離引越しであり、二ヶ所積みの場所は車で10分ほどの距離と非常に近かったこともあり、本来は二ヶ所積み2万円の料金を1万円に値切ることができました。近距離であれば、こうした料金相場となります。
家具家電の購入費用を節約するコツ
引越し業者を手配したら、新居で使うカーテンや照明、収納などを揃えていきます。結婚での引越しだと、これに加えて2人で使う家具家電の手配も必要です。
このとき、パートナーが一人暮らしをしていて生活家電が一通り揃っていたとしても、結婚を機に「二人暮らし用の家具家電へ買い替えたい」と考える人は非常に多いです。
ただ単身用の家具家電であっても、2人暮らしであれば問題なく対応できます。また家具家電をすべて買い替えると、引越し費用がかなり高額になります。その結果、金銭的余裕のない新婚生活を送らざるを得ないリスクを生じます。
このような事態を避けるためにも、パートナーが家具家電を所持しているのであれば新居でも活用しましょう。
実家暮らしからの引越しで揃えるべき家具家電
一方で夫婦ともに実家暮らしから結婚する場合、新居で必要な家具・家電をすべて揃える必要があります。具体的に必要となる家具家電は生活スタイルによって個人差はありますが、おおむね以下の通りとなります。
【家具】
- カーテン
- 照明
- ベッド
- 食事用テーブル
- テレビ台
- 収納家具
【家電】
- 洗濯機
- 冷蔵庫
- テレビ
- 掃除機
- 炊飯ジャー
- 電子レンジ
- ケトルやポット
この他にも、生活スタイルや物件などによってはトースターやエアコン、物干しスタンドなどが必要となります。
また新婚生活では、共有のベッドで眠りたいと考える人は多いです。ただ賃貸物件で暮らす予定である場合、シングルベッドを2台購入するのがおすすめです。
ダブルベッドやクイーンサイズベッドだと、2人で寝ると非常に窮屈です。また大きいサイズのベッドを購入すると、引越しの際に玄関を通過しない可能性もあります。
一方でシングルベッド2台であれば、寝るのに十分な広さを確保できます。またベッドを密着させて並べれば、一緒に眠っている感覚を味わえます。
ベッドを買い直すと大きな出費となるので、まずはシングルベッド2台の購入を検討しましょう。その後、家を購入する際にもう一度ベッドの大きさを検討するといいです。
また、すぐに子供を持つ可能性があるのであれば、ベッドではなく床に敷けるマットレスや布団などを考えるのもいいです。子供が小さいうちはベッドよりも布団での育児の方が楽であるため、出産後にベッドから布団へ切り替える人も多いからです。結婚後のライフプランに合わせて家具を選びましょう。
なお、お互い実家暮らしからの同居では、家具家電だけでなく食器や調理道具、掃除用具などの生活用品も必要となります。新婚生活の開始前に、これらも忘れずに揃えましょう。
単身向けの家具家電を購入する
また初めての同居で夫婦の家具家電を購入するとなったとき、「どうせ買うなら大型で高機能な家具・家電を購入したい」と考える人は多いです。ただ夫婦ともに結婚を機に実家を出るのであれば、高級・大型のアイテムを購入しないのが賢明です。
まず、家具家電を高機能・大型の物で揃えると購入費用がかなり高額になります。場合によっては100万円でも足りなくなる可能性があります。
またファミリー向けの生活家電の中には、玄関を通過しない大きさのタイプがあります。このような品物はクレーンによる吊り上げ作業で搬入することになるため、運搬費用が高額になります。
さらに、高機能家電を購入すれば、家事の時間を節約できるように思いがちです。ただ家事に慣れていないと、このような機能を使いこなせないケースが多いです。実際、高いお金を出して高機能家電を購入しても、基本的な機能しか使わないことはよくあります。
これに対して単身用の家電であれば、冷蔵庫や洗濯機であっても5万円ほどで購入できますし、どんな物件であっても玄関から搬入可能です。
また単身用の家電であっても、新品であれば基本的な機能が一通り揃っています。例えば以下の写真のように、電子レンジだと出力を変更できるタイプが1万円未満で買えます。
そのため夫婦ともに初めて実家を出るのであれば、まずは必要最低限の機能がついている単身向けの家電を選びましょう。機能が多い大型の家電は、家の購入時や家電の買い替えで検討するといいです。
実家の荷物はすべて片付けるのが基本
家具家電の手配と並行しながら、新居へ持っていく荷物をまとめていきます。実家からの引越しであれば、1週間もあれば荷造りを完了できるケースがほとんどです。
このとき、結婚したのであれば自分の荷物はすべて実家から出すのが基本です。結婚後は引越し先の住居があなたの家であり、実家はあくまで親の家であるためです。
また、親がいつまでも「あなたが暮らしていた頃の家」に住み続けるとは限りません。夫婦だけの手狭な家に引越すケースは多いですし、家を改装することもあります。
このような場合、あなたの荷物が勝手に捨てられたり、引越し時に荷物が行方不明になったりするリスクがあります。このようなトラブルを避けるためにも、可能であれば私物はすべて新居へ持ち運んだ方がいいです。
実家に置きっぱなしにできる荷物
ただ、結婚して初めての家は手狭であるケースがほとんどです。そのため実家にある私物をすべて新居に運び込むと、収納しきれない可能性が高いのは事実です。
そこで実家にある私物が多いようであれば、将来的に片づける前提で一時的に荷物を置かせてもらえないか親に相談しましょう。
例えば学校の卒業文集やアルバム、賞状などは、見返す機会がかなり少ないですが、捨てることはできません。このようなものであれば、実家に置いておくことを許可してもらえるケースがほとんどでしょう。
また実家の収納スペースに余裕があるようであれば、頻繁に読み返さない本やゲーム、コレクター品などについても置いていくことを検討しましょう。
なお、私物をあなたが暮らしていた時のままにしておくと、家族が片付ける際に荷物を紛失しやすくなります。そのためあなたの私物を実家で保管してもらう際には、移動しやすい状態にしておきましょう。
このとき、本や冊子などをダンボールに収納しておくと虫害に遭うリスクがあります。そのため本などの紙製品は、以下のようなプラスチック製の収納ケースで防虫剤と一緒に保管しておきましょう。
このような保管ケースに片付けておくことで、大切なものを虫害から守りやすくなります。またプラスチック容器に整頓して保存しておけば、家族に「不要なものである」と誤って処分されるリスクが少なくなります。
実家に荷物を置けない時の対処法
ただ中には、実家に私物を置いていくことを許可されないケースもあるでしょう。このような場合、どのようにしたらいいのでしょうか。
まず、引越しでは断捨離して荷物を減らすのが原則です。そもそも卒業アルバムなど思い出の品を除き、「実家に置いていきたい荷物(=不要な荷物)」であるため、基本的には処分していくべきです。
どうしても捨てられない荷物が大量にあるのであれば、トランクルームを借りる手段もあります。ただ当然ながらランニングコストがかかりますし、何をトランクに入れたか忘れがちになるので、最終手段にした方がいいです。
また、読み返したい本が大量にあるのであれば、電子化する手段もあります。1ページずつスマホやスキャナーで記録していくことになるので根気と時間を要しますが、荷物を大幅に減らすことができます。
結婚で実家から出るときの引越し作業を理解し、快適な新婚生活を送る
結婚時の引越しにはお金がかかります。特に実家からの引越しだと、それまでの引越し経験が少ないため無駄な費用をかけがちです。新婚生活をみすぼらしくしないためにも、結婚で必要な引越し作業を理解して費用を抑えましょう。
例えば引越し業者は、パートナーと同じ業者を利用するのが基本です。お互いの家の位置や距離などによっては2ヶ所積みによって引越し費用を抑えることができます。
また実家暮らしからの結婚だと、揃える生活用品が多くなります。このとき、奮発して高級・大型の家具家電を購入すると、引越し費用が高額になるだけでなく搬入に手間とお金がかかります。そのため初めての夫婦暮らしでは、単身向けの家具家電を購入しましょう。
また実家に収納スペースがある場合、卒業アルバムなどの思い出の品を一時的に保管させてもらえないか相談しましょう。このとき、勝手に捨てられないように移動させやすい形で保管しておくことが大切です。このようにして実家からの結婚引越しを進めましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
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