保育園に通う乳幼児がいるとき、「引越し先で子供を預ける保育園が見つかるかどうか」は切実な問題です。
私の住んでいる地域も、地方であるにも関わらず希望待機(希望する保育園への入所を待っている人)がおよそ70名います。また自治体のホームページに掲載されている保育園の受け入れ可能人数を見ても、ほとんど空きがない状態です。
このことから保育園の入園を希望しても、希望通りにならない場合が普通にあることが分かります。
そこで今回は希望の保育園に入るために「引越しをするとき、どのタイミングで保育園の転園手続きをすれば良いのか」「保育園入園手続きの手順」について解説していきます。
もくじ
保育園入園の申し込みに必要な書類
引越しが決まったら、まずは現在通っている保育園に報告を入れます。実際の退園届けは、退園する月の月末(または翌月の1日)までに自治体に提出すれば良いです。ただ、保育園側が空き情報を早く掴む意味でも、引越しが決まった時点で知らせる方がいいです。
ただ新しい保育園への入園を申請するとき、「保育に必要な事由」に応じてそれらを証明するための各種書類が必要になります。保育園に入るためには「夫婦の両方とも働いている」などの条件が必要なため、こうした書類を用意するのです。
具体的には、以下のようなものになります。
- 就労証明書
- 母子手帳の写し
- 申立書
- その他必要書類(診断書、障害者手帳の写し、介護保険証、在学証明書、関係機関からの意見書)など
自治体により必要書類が異なるため、引越し先自治体のホームページで確認しましょう。ちなみにこれらの証明書は、子供の両親、同居の祖父母の全員分の書類が必要です。
さらに以上の証明書類以外にも、申請書やアレルギーの調査票など共通して用意する書類がいくつかあります。
このように新しい保育園の入園に当たって確認事項や用意すべき書類がいくつかあるため、引越しの予定が決まり次第、早目に準備を進めなければいけません。
引越し前に住民票のある自治体に書類を提出する
では引越し予定で遠い場所に引越しをするために保育園入園手続きをする場合、書類はどこでもらい、どこに提出すれば良いのでしょうか。
書類の入手先は、引越し先自治体の子供に関する事項を担当している部署です。自治体によって名称は違いますが、私の住む自治体では「子育て支援課」となっています。
そして多くの場合、以下のように必要書類は一式ダウンロードできるため、他県への引越しの場合は便利です。
ただ、いま住んでいる自治体の役所へ出むいて詳細を聞き、その場で書類を記載するといいです。記入した書類の提出先は、住民票のある自治体だからです。しかも基本的に郵送では受け付けられておらず、実際に担当部署に書類を持って行く必要があるため、その場で記載したほうが早いです。
ちなみに引越し前の認可保育園への入園可否については、現在住んでいる自治体と引越し先の自治体で話し合われます。
例えばあなたがA市に住んでいてB市の保育園を希望する場合、住民票のあるA市に書類を提出します。その後A市がB市に必要書類を送り、保育所に入所できるかを協議し、その回答に基づいて手続きが進んでいきます。
これを「管外協議」といいます。このとき原則としてB市の保育園はB市の住民が優先されるため、あなたが不利になることは否めません。
※引越しをしても住民票を管理する自治体が同じ場合、不利にはなりません。
しかし転出することが分かる書類(新築などの建築契約書やマンションなどの賃貸契約書の写しなど)があれば、引越し先の自治体へ直接申し込みができ、同等に扱ってもらえる場合があります。
このような引越し前の救済措置の有無は、自治体によります。保育園の名称や空き状況などは、随時サイトで確認できますが、引越しに伴う入園や転園については詳しい説明がない場合が多いです。
したがって引越しに伴う救済措置の有無については、直接、自治体に電話をして確認することをおすすめします。
保育園に申し込むタイミングは、年3回ある
それでは、どのようなタイミングで保育園に申し込みをするのでしょうか。あなたが4月入園を申請するとき、申し込みのタイミングは3回あります。参考までに私の住む地域の受付時期は、以下の通りです。
- 1次選考:11月上旬申し込み、12月選考、1月結果通知
- 2次選考:1次申し込み以降、1月中に申し込み、2月上旬選考、2月下旬結果通知
- 3次選考:2月上旬に申し込み、3月上旬選考、3月中旬結果通知
秋に1度、年明けに2回計3回の受付があります。このとき1次選考に申し込んで仮に選考に漏れてしまっても再度、2次選考に申し込むことができます。
そのためマイホームの新築に伴う引越しなど、引越しまでに猶予がある場合は早目に準備を進めて1次選考に申し込むといいです。ただし私の住む地域では、保育に必要な事由が「転職・求職」の場合は3次選考にしか申し込むことができません。
ちなみに会社都合で急に引越しが決まるなど申し込みが4月以降になる場合は、随時受け付けが行われています。ただし年度途中の入園よりも4月入園の方が、空きは多いため、急な引越しではどうしても空きがない状況に陥りやすいです。
保育園に入所できる基準
このとき4月入園で申請したからといって、必ずしも保育園に入所できるわけではありません。保育園に入所できるかどうかは、「基準指数」と「調整指数」を合わせた点数の合計で決まります。
その合計点数の高い人から、優先的に保育園に入園できます。
・「基準指数」「調整基準」の内容を理解する
保育園の入所判定に使われる指数に、基本指数と調整指数があります。それぞれ自治体ごとに細かく点数が設定されており、ネット上で「〇〇市 基準指数」と入力すると一覧を見ることができます。
例えば私の住む地域では保育の必要な事由が「就労」の場合、一番点数が高いのが「月160時間以上、被雇用者もしくは自営の中心者として就労している場合」です。一方で「引越しに伴い退職し、求職活動をする予定」で申請をした場合、基準指数は0点です。
このような具体的な指数は自治体ごとに大きく異なっているので、確認しなければいけません。
こうした上記の基準指数と共に調整指数が加点されます。調整指数の内容項目は次の通りです。
- 福祉的配慮:虐待やDV、ひとり親、生活保護、児童の障害など
- 養育環境の配慮:兄弟や多胎児等など、2人以上の同時申し込み
- 子育て支援・少子化対策の配慮:育休明け、第3子以降、前年度に待機児童など
内容の詳細については自治体ごとに点数が定められており、引越し先の自治体のホームページなどで確認することができます。
ちなみに加点だけでなく、減点の対象もあります。一例を挙げると以下の通りです。
- 祖父母と同居している
- 保育料を滞納している
- 市内に祖父母がいる
- 就労・就学時間が64時間(自治体による)未満
以上のような形で基準指数と調整指数が出され、点数の高い数の人から優先的に入園できる仕組みになっています。
保育園以外の選択肢も考える
しかし、地域によっては希望する保育園に入ること自体、難しい場合も多いです。実際、希望通りの保育園に入園できるのは、約60%だとする厚労省のデータがあります。
そのため引越し後、転園できないと困る場合は、認可外保育園も検討するといいです。認可外保育園の特徴は以下の通りです。
【認可外保育園】
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大きく違うのは、認可を受けているかいないかという点です。
入所条件がない分、入りやすさの点でいうと一般的な保育園(認定保育園)に比べて入りやすいです。ただし園によって経営規模やサービス内容が大きく異なるため、必ず見学に行くことをおすすめします。
・認可外保育園も無償化の対象となる
ちなみに2019年10月より、3〜5歳児の保育園、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育の利用料金が無償化となっています。
さらに認可外保育園の保育料についても3〜5歳児は月額3.7万円(認可保育園の保育料の全国平均額)までの利用料が無償化されます。そのほか一時預かり事業や病児保育なども無償化の対象になります。
このような保育料の支援があるため、引越し先で保育園に入ることができない場合に備え、認可外保育園も検討しましょう。
また幼稚園と保育園の機能を併せ持つ、「認定こども園」もあります。幼稚園部分に所属する場合は、午後2時頃から帰宅となりますが、保育園部分の属する場合は、そのまま保護者が迎えにくるまで園で待機します。
認定子ども園の特徴をまとめると、以下の通りです。
【認定こども園】
|
このように子供の預け先は、認可保育園だけでなく、無認可保育園、認定こども園などがあります。もしあなたのお子さんが無償化の年齢(3歳〜5歳)に該当する場合は、このように認可保育園以外も選択肢の1つです。
保育園から幼稚園の転園も選択肢に入れる
ちなみに満3歳以上であれば、幼稚園への転園もできます。実際、私の友人はフルタイムで働きながら子供を幼稚園に預けていますが、預かり保育があるため幼稚園でも問題ないそうです。
また経済的な負担について、保育の必要性の認定を受けた場合は、幼稚園の預かり保育についても月額1.13万円まで無償化されます。ただし幼稚園は制服やカバン、体操服など規定の物品が必要になる場合があるので、その点は出費がかさみます。
ただし引越し先から近い場所に幼稚園がある場合、検討してみても良いのではないでしょうか。預かり保育や空きの有無についても電話して直接、訪ねてみるといいです。
このように幅広い選択肢を持っておくと、万が一申し込み後に不承諾通知が届いたときにも慌てずに済みます。子供の預け先をスムーズに見つけるため、情報収集しておいて損はないです。
転園したくない!そのまま継続して保育園を変えたくない場合は?
これまで引越し先での保育園入園について述べましたが、引越し先が隣町など近距離の場合、保育園を変えたくない人も多いです。特に年長で卒園間近である場合は、なおさらです。
その場合は、いま通っている保育園が市外からの「広域入所を認めているか」を確認するといいです。保育園は原則として住民票のある市町村の保育園に通いますが、広域入所が認められている場合、市町村外の人でも利用することができます。
ただし、それには以下のような条件があります。
- 定員にゆとりがあること
- 在住の市町村民と競合しないこと
- 受け入れにより、職員の増員など負担がないこと
お子さんが通っている保育園が、上記に当てはまるようであれば転園しないことも可能です。
しかし広域保育を希望するとき、在住の自治体が在園する保育園へ委託料を払う必要があるため、引越し先の自治体の予算がない場合は難しいケースもあります。
ただし条件が整えばそのまま転園せずに保育園に通うこと可能なため、希望する場合はまずは在園している保育園に相談してみるといいです。
住所票の移動など、引越しに伴う手続き
そうして引越しが近づいてくると、退園や転出の手続きが必要となってきます。やるべきことは、以下の通りです。
【引越し前に行う手続き】
①退園届けを出す
自治体に設置されている退園届けに記入して、担当課に提出します。提出は、退園する月の月末(もしくは翌月の1日)までです。様式がダウンロートできる自治体はありますが、基本的には自治体の窓口に出向いて記載するといいです。
ちなみに提出が遅れた場合は、利用の有無に関わらず保育料を払うことになるため注意が必要です。
このとき一緒に「児童手当受給事由消滅届」を窓口で書いて提出して下さい。
そうして引越し後に、新たな住所の役所で児童手当の手続きをとります。
②転出届を出す
退園届けを出すと同時に、同じ役所で転出届(住民異動届)を提出します。こうした書類は市役所や区役所に置いてあります。
引越しの14日前から手続きが可能です。本人確認ができるもの、印鑑登録証、印鑑を用意して行きます。
書類を提出すると、転出証明書がもらえます。それを持って引越し先の自治体で転入の手続きを行います。
③退園する保育園へ挨拶する
こうして退園となったときは、保育園の先生方に贈り物をした方がよいか悩む人は多いです。挨拶だけでも問題ありませんが、何かお礼の品を持って行きたい場合は、個別包装された菓子折りがおすすめです。
菓子折りだと職員で分けやすい上、個人的には品物を受け取らないとする園であっても全体への贈り物とすれば受け取ってもらいやすいです。
同様にクラスのお友達にも何かお礼をしたいと思えば、子供が作った折り紙や手紙など手作りのものが気を遣わせないためおすすめです。
また特に仲の良かったお友達には、メッセージと共にハンカチなど使えるものをプレゼントするといいです。
【引越し先で行う手続き】
①転出届を出す
引越しが無事に終わったら、14日以内に引越し先の自治体で転入の手続きをします。用紙(住民異動届)は、市役所や出先機関にまとめて用意してあります。
書き方など分からないことがあれば、職員に尋ねれば問題ありません。
- 以前の居住先でもらった転出証明書
- 本人確認ができるもの
- 印鑑
- マイナンバーカード
これらを持って手続きに行ってください。転出届を出せば、住所変更は完了です。
②児童手当の手続きを行う
「保険証の写し」「通帳」「マイナンバーが確認できるもの」「印鑑」「本人確認ができるもの1点(顔がないものは2点)」を持参して、認定請求書に記入すれば大丈夫です。
初めての引越しの場合、何をやったらよいか分からず不安になるかもしれません。私の場合は免許証や保険証、マイナンバー、印鑑など手続きに必要だと思うものを一式持って市役所に行くようにしました。
そこで引越しに伴う手続きについて尋ね、言われるがままに部署を回った記憶があります。したがって、引越しに伴う手続きについて大雑把に流れを把握しておいて、後は職員の方に尋ねながら進めていけば、問題ありません。
保育園の入園申請は、自治体によって違う
入園手続きや入園を判定するための点数などの詳細は、自治体によってさまざまです。また引越しによる救済措置の有無についても、自治体によって異なります。サイト上に記載がないケースもあるため、不明な点は直接、電話をして確認するといいです。
このような保育園探しでは空きがないことも考慮して、認可外保育園などの選択肢も検討しておくといいです。
保育園だけに絞るのではなく、複数の選択肢を用意しておくと気持ちが楽です。幼稚園という選択肢もあるため、引越し後に保育園に空きがない状況でも対応できるケースは多いです。
また引越しに伴う各種手続きは、どうしても引越し直前に集中します。そのため引越しが決まったら、まずはいまの保育園へ報告し、できるところから準備を進めましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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