近距離引越しであれば当日中に引越しが終わるものの、当然ながら近場への引越しばかりではありません。長距離の引越しになることはよくあります。その場合、1日ではなく複数日の時間が必要になります。
また、遠距離への引越しであるとその分だけ料金相場が高くなります。しかも、長距離とはいっても長さの程度によって金額が大きく変動するため、費用相場を算出しにくいです。当然、遠方になるほど引越し価格は高騰しやすいです。
しかし、一般的な相場料金であれば存在します。また、遠方への引越しだからこそ可能な割引交渉術もあります。そこで、どのようにして長距離引越しを安く済ませ、値引き交渉すればいいのかについて解説していきます。
もくじ
長距離引越しの費用相場
引越しでの料金ですが、近距離よりも長距離引越しの方が料金は高くなります。近場であると一日で引越しが終わるものの、遠距離の引越しでは何日もの期間が必要になるので作業員やトラック運転手の人件費が余分に必要となります。また、ガソリン代や高速道路代も多く発生します。
それでは、実際のところ料金の目安はいくらなのでしょうか。長距離引越しでは料金が高めになりますが、一般的には以下のようになります。
・長距離引越し(約500km:東京-大阪)での引越し料金相場
引越し人数 | 単身・一人暮らし | 2人 | 3人 | 4人以上 |
部屋サイズ | ワンルーム~1LDK | 1LDK~2LDK | 2LDK~3LDK | 3LDK以上 |
閑散期 | 5~6万円 | 9~11万円 | 14~16万円 | 18~20万円 |
繁忙期 | 8~10万円 | 13~16万円 | 21~14万円 | 27~30万円 |
※閑散期(5~翌年2月)、繁忙期(3~4月)
このように、どうしても引越し料金は高くなります。3月や4月などの繁忙期であると、さらに値段は高く閑散期の1.3~1.5倍になると考えてください。
また、このときの金額は「オプションなどを含んでいない費用」になります。そのため、ベッドの解体&組立やエアコンの脱着などのオプションが加わると、より価格は高くなります。
例えば、以下は5人家族の長距離引越し(約450km:滋賀-横浜)での見積書になります。閑散期に行った引越しです。
オプションが約4万円かかっているため、妥当な金額になります。いずれにしても、遠方への引越しではこうした価格相場になると考えてください。
長距離引越しでの日程は複数日になる
なお、引越し場所の距離が長い場合、必ず引越し日程は複数日にわたると考えるようにしましょう。中距離以上(300km以上)の引越しであると、朝早くからの引越し作業であっても新居への搬入は次の日以降になるのです。
例えば、先ほどの家族の長距離引越し(約450km:滋賀-横浜)であれば、2日にわたって作業をしました。当日の朝に荷物をトラックに積み込み、次の日の午前中にトラックが到着するという流れになります
中距離以上の引越しでは、引越しの日程が2日になると考えてください。これが「福岡-東京」のように、さらに距離が遠い場合は3日(荷物の到着は2日後)にわたるようになります。
近距離引越しとは異なり、遠方への引越しでその日のうちに引越しを完了させるのは物理的に難しいです。必ず日数は2~3日ほどの余裕をみたうえでスケジュールを調節するようにしましょう。
安い引越し金額を実現する方法
長距離引越しであると、どうしても引越し費用が高くなりがちです。そのため、引越し料金をできるだけ値切るようにしなければいけません。
そこで、費用を安くするために何を考慮しなければいけないのかを理解する必要があります。長距離引越しの場合、以下のようなことを考えるようにしましょう。
一括見積もりは必須
引越し業者はたくさん存在します。大手だと、「アート」「日通」「サカイ」「アリさん」「クロネコヤマト」などが有名です。これらの会社に対して、複数社に見積もりを依頼するのです。
例えば、先ほどの長距離引越しでは4社に対して見積もりを依頼しました。このとき、サカイ引越センターでは438,264円であり、アート引越センターでは260,000円の見積もりとなりました。
この時点で既に約18万円の違いがあります。
その後、同じように今度はクロネコヤマトと中小の引越し業者に見積もりに来てもらいました。右上のピンク用紙がクロネコヤマトであり、見積金額は270,000円です。一方、中小引越し企業の見積もりは198,720円でした。
値段が違いすぎるため、今回は中小の引越し業者へ依頼することにしました。最初のサカイ引越センターに比べると値段は半額以下になり、約24万円も引越し価格が下がりました。
どれだけ引越しプランを練ったとしても、複数社への見積もりほど値引きが可能な方法は存在しません。長距離引越しは価格が高いからこそ、見積もりを比較することで大幅な値引きを実現するのがおすすめです。
・赤帽などの個人事業主は長距離引越しに弱い
なお、複数拠点のある中小の引越し業者では問題ありませんが、赤帽など個人事業主の引越し業者は長距離引越しに対応していないことがあります。そのため、赤帽を含め近距離引越しがメインの会社に長距離引越しを依頼するときは考えるようにしましょう。
長距離引越しについては、ある程度の会社規模がある方が得意になります。
500kmを超える引越しならコンテナ便を活用する
引越しであると、一般的にはトラックを活用した引越しを思い浮かべます。ただ、トラック引越しだけがすべてではありません。他の方法を利用することにより、引越し料金を安くできることがあります。
その一つがコンテナ便です。JRの貨物列車を見たことがあると思いますが、まさにあのコンテナにあなたの荷物を載せるのです。
例えば、以下は日通の公式サイトに掲載されている長距離用の鉄道コンテナ輸送になります。こうしたものを活用します。
コンテナに詰める分だけ、荷物を入れることができます。もし、荷物量が多い場合はコンテナを追加していきます。値段はコンテナの数で決まるため、コンテナの中がいっぱいでもスカスカでも値段は変わりません。
引越トラックではなく、コンテナ便を利用するメリットは単純に値段が安くなることにあります。燃料費や人件費(トラック運転手の費用)が必要ないためからです。また、どれだけ移動距離が遠くなったとしても、価格はほぼ変わりません。
出典:みんカラ
ちなみに、コンテナ便は500kmを超える引越しに効果的です。500km程度では、トラック便もコンテナ便もそこまで値段が変わらないため、トラック便を利用したほうがいいです。
・コンテナ便だと移動日数がかかる
それに対して、コンテナ便のデメリットもあります。それは、複数個所でコンテナの積み下ろしをするので時間がかかってしまうことです。長距離引越しだと、一般的な引越し日数は2日です。東京-福岡のように離れていたとしても、3日ほどの日程です。
しかし、これがコンテナ便だと4~5日ほどの日数になってしまうのは普通です。場合によっては、7日ほどの日程になることもあります。
ある程度、時間の余裕がある人にとって最適なプランがコンテナ便です。
・海上コンテナもある
なお、引越し会社によっては海上コンテナを利用できることもあります。鉄道よりも海上コンテナの方が一般的に料金相場は下がります。
出航日数は限られてしまいますが、引越し日程を自由に設定できる場合は海上コンテナ便も検討してみるといいです。
一人暮らしで荷物が少量なら単身パックがおすすめ
一人暮らしの人を含め、荷物が非常に少ない人に限られてしまいますが、単身パック(混載便)を活用するという方法もあります。
一般的な引越しでは、一つのトラックを貸し切りにして利用します。ただ、そうではなく「決められた大きさのボックスに詰めるだけ荷物を積み、他の人の荷物と一緒にトラックに載せて運搬する方法」が単身パックになります。
出典:三八五引越しセンター
荷物量の少ない単身者にとってみれば、単身パックは非常に値段が安くなります。ただ、「自分は荷物量が少量なので単身パックで十分」と思っていたとしても、意外とそうでもなくボックス内に荷物を積み切ることができないことはよく起こります。
こうしたことを避けるため、引越し業者の訪問見積もりは必ず受けなければいけません。
ちなみに、例えば日通の単身パックLを活用すれば、東京-大阪での引越しを23,000円などで実現することができます。「数点の家具だけ」など荷物量が非常に少ない場合はおすすめです。
なお、単身パックでは通常の荷物と同じ扱いになるため、「旧居 → 物流センター → 新居」という経路をたどります。そのため、通常の引越しに比べるとどうしても日数がかかります。余裕をもって引越しの日程を組める一人暮らしの人に向いているプランです。
引越し業者の格安長距離プラン
引越し業者によっては、長距離用のプランを提供していることがあります。コンテナ便を組み合わせるなど、安く済ませるように対応しているのです。
格安料金になるのかどうかについては、引越しでの移動距離や荷物量によって大幅に変動します。そのため、いずれにしても複数社への見積もりは必須ですが、引越し業者によっては以下のような引越しプランが存在します。
・アリさんマークの引越社
コンテナ便の活用を含め、アリさんマークの引越社では長距離引越しを格安で実現できるプランが存在します。一般的な引越しでは、トラック便になります。ただ、500kmを超える場合はコンテナ便を含めて検討するといいです。
このとき、「トラックへ積み、長距離移動の部分だけJRのコンテナ輸送を使う」「コンテナへ直接、荷物を積む」などさまざまなプランがあります。
コンテナ便については、他の引越し業者でも対応しています。ただ、アリさんマークの引越社であれば最初から長距離プランが提示されており、確実にコンテナ輸送による格安料金を実現できることが分かります。
・日通(日本通運)
元々は物流企業であるため、日通ではコンテナ輸送を含めさまざまな引越しプランが用意されています。
まず、JRを用いたコンテナ輸送は当然のこととして、海上コンテナ輸送も可能です。そのため、東京-沖縄のような引越しであっても格安で対応できます。
また一般的なコンテナよりはサイズが小さくなるものの、単身パックXという2tコンテナを利用した単身パックが存在します。もちろん、荷物が非常に少ない人向けの単身パックも用意されています。
物流企業であるため、日通はトラック輸送以外の引越しに多く対応しています。
※クロネコヤマトも同様に物流企業であるため、日通と同じように多くの格安引越しプランが存在します。
・引越しのプロロ
格安引越しをする方法について確認してきましたが、引越し代を安くすることを考えると、コンテナ便のようにどうしても引越し日数がかかるようになります。
ただ、「長距離引越しの中でも、1日以内に完了するなど早く引越しを完了しなければいけない」という人も中にはいます。そうしたとき、値段相場は高くなるものの飛行機などを活用して長距離引越しを一日で完了させることも可能です。
引越しのプロロであれば、こうした引越しにも対応しています。「超速1DAY便」という名前の引越しプランです。対象エリアは以下の通りです。
- 東京23区⇔札幌市近郊
- 東京23区⇔福岡市内近郊
- 札幌市近郊⇔福岡市内近郊
- 大阪近郊⇔札幌市近郊
- 大阪近郊⇔東京23区
- 大阪近郊⇔福岡市内近郊
スケジュールが詰まっていて、どうしても一日以内に引越しを完了させなければいけない場合はこうしたプランを活用しましょう。
ただ、長距離引越しを一日で終わらせるには、あなた自身も飛行機に乗って移動するなど事前準備が大変です。スケジュール調節が難しくなり、さらには値段相場も高額になることは理解しなければいけません。
事前のスケジュールや流れを確認しておく
近場の引越しであれば、当日の引越し作業だけに集中すれば問題ありません。ただ、長距離引越しをするときに行うのは、引越し作業だけではありません。引越し作業の他にもやるべきことがあります。
具体的な流れとしては、以下のようになります。
- 旧居で引越し荷物を運びだす
- 大家(管理会社)の立ち会いのもと、退去時の確認を行う
- 旧居または新居周辺のホテルで一泊
- 新居へ移動し、荷物を搬入する
旧居での作業では、引越し作業中にガス会社に来てもらってガス栓を締めてもらうなどの作業も必要になります。それと同時に退去時の確認が必須になるため、空になった部屋を大家(管理会社)に見せるためのスケジュール調節をしなければいけません。
退去時の確認が終わった後、旧居か新居の周辺にあるホテルへ泊まります。そうして次の日、トラックが到着する時間になったら新居へ移動して荷物を搬入することになります。
こうした流れになるため、時間調節を含めた事前準備をきちんと行う必要があります。
スケジュール調整の準備をしていないと「退去時の確認をせずに新居へ移動してしまい、旧居の管理会社との立ち会いをするためだけに以前の住所へ戻らなければいけなくなった」など無駄な時間や交通費が発生することになってしまいます。そのため、引越しの手順・流れについてはきちんと確認するようにしましょう。
遠方への引越しであると、往復の交通費は高額になります。格安引越しができたとしても、交通費が高くなってしまっては意味がありません。そのため、スケジュール調節が重要になります。
長距離引越しを格安で行う
移動距離が長くなると、それに応じて目安となる引越し料金はどうしても高くなってしまいます。そのため、安く済ませる方法について考えなければいけません。
格安引越しを実現する手順としては、最初に見積もりの比較があります。引越し料金の比較をしなければ低価格での引越しは実現できません。実際、長距離引越しのように値段相場があいまいな場合だと、業者によって値段が2倍以上も離れることがよく起こります。
また、おすすめなのは「さらに安い引越しを実現できないか」と考えることです。特に500kmを超えるのであれば、コンテナ便を活用するという選択肢も視野に入れましょう。一人暮らしで荷物が少ないのであれば、単身パックも有効です。
そして、長距離であると引越しの日数は2日以上になるので事前準備やスケジュール調節をしっかり行い、無駄にお金が出ていかないように注意しましょう。
こうしたことを理解したうえで長距離引越しを実現すれば、費用をできるだけ抑えることができます。長距離引越しだからこそ、引越しの流れや費用を安く済ませる方法を理解したうえで、複数の引越し業者へ見積もりを依頼するといいです。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
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多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。