引越しには多額のお金がかかります。荷物の量や引越し距離、賃貸物件の価格などによっては、数十万円ほどの出費が発生するケースもあります。
このような多額の費用を一度に支払うと、金銭的な負担が重くなります。場合によっては、手持ちのお金で支払いきれないケースもあるでしょう。このような場合、「引越し費用を分割払いにして、1回当たりの支払金額を抑えたい」と考える人は多いです。
それでは、引越しにかかるお金を分割払いすることは可能なのでしょうか? また引越し費用の分割払いには、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
ここでは引越し費用を分割で支払う方法と、分割払いのデメリットについて解説していきます。
もくじ
引越し費用を分割支払いする方法
一般的に、賃貸物件の契約には家賃の5倍ほどの初期費用がかかります。また引越し業者の手配には、数万円~数十万円ほどの料金が発生します。
これに加えて引越しでは、新居の家具家電や収納などを揃えなければなりません。引越し距離が長くなると、交通費や宿泊費なども必要となります。そのため「引越し費用の支払いを抑えて、なるべく手元にお金を残したい」と考える人は多いです。
このとき基本的に、引越し業者や不動産業者に引越し費用の分割払いを直接依頼することはできません。ただクレジットカードの分割払いを利用すれば、引越しにかかる費用負担を分割することが可能です。引越し費用をクレジットカードで支払い、支払い回数を2回以上に設定するのです。
このようにすれば、手元のお金を大きく減らすことなく引越しできます。場合によっては、貯金が足りなくても引越しすることが可能となります。
大手引越し業者であればクレジットカード払い対応がほとんど
ただ当然ながら、引越し費用を分割払い(=クレジットカード払い)にするためには、クレジットカード払いに対応した業者を利用しなければなりません。
このとき引越しにかかる費用のうち、引越し業者の利用料金を分割払いできるケースが多いです。大手引越し業者であればクレジットカード払いに対応しているケースがほとんどであるためです。
例えば以下は、大手引越し業者の支払い方法についてです。
この業者はクレジットカードでの支払いが可能となっています。このような業者を選べば、引越し料金を分割で支払うことが可能となります。
一括払いのみ対応の場合、あとから分割払いに変更する
このとき、業者によっては、一括払いしか対応していないケースがあります。例えば以下は、大手引越し業者の支払い方法についてです。
この業者は引越し料金のクレジットカード払いに対応しているものの、選択できる支払い回数は一括のみとなっています。このような場合、支払い時に分割払いを選択することができません。
ただクレジットカード会社によっては、一括で支払った項目をあとから分割払いに変更できるケースがあります。このようなサービスを利用すれば、一括払いのみ対応の引越し業者であっても料金を分割で支払うことが可能となります。
なお、一括払いから分割払いへの変更には事前の申し込みが必要となるケースが多いです。支払いに慌てることのないように、事前に確認しておきましょう。
クレジットカード払いが可能な賃貸物件は限定される
一方で賃貸物件の契約にかかる初期費用については、クレジットカード払いに対応している物件が少ないです。賃貸物件の大家は個人や中小企業が多いためです。
顧客がクレジットカードで支払うと、規定の手数料を業者側がクレジットカード会社に支払わなければなりません。資金力のない個人や中小企業にとって、このような手数料は金銭的な負担が非常に重いです。そのため、クレジットカード払いに対応していない大家(=物件)が多いのです。
ただ大手の不動産業者が管理や仲介している物件などであれば、クレジットカード払いに対応しているケースがあります。例えば以下は、大手不動産業者の検索サイトに掲載されている物件情報です。
この物件は、条件を満たせば初期費用のクレジット払いが可能となっています。つまり、クレジットの支払い方法選択によって初期費用の分割払いが可能となります。
そのため賃貸契約の初期費用を分割支払いしたいのであれば、大手の不動産業者でクレジットカード払いに対応した物件を探しましょう。
滞納家賃や退去費用の分割払いは大家や管理会社に相談する
なお賃貸物件に住んでいる人が引越しをする場合、物件の契約費用や引越し料金以外に退去費用も発生するケースがあります。
まず賃貸物件の借主は部屋を入居前の状態に戻して退去する義務(=原状回復義務)があります。特に敷金なしで入居していたり、部屋を過度に汚損・改造していたりする場合、退去時に支払う修繕費用が高額になりがちです。
また月々の家賃を滞納している場合、滞納分の家賃を退去時に一括で請求されます。滞納している期間によっては、一括で支払うのが難しい金額となるケースもあります。このような場合、滞納した家賃や退去費用を分割で支払うことは可能なのでしょうか?
結論からいうと、滞納家賃や退去費用は分割払いできないのが原則です。ただ、どうしても一括で支払えないようであれば、大家や管理会社に相談することで分割払いできるケースがあります。
まず、退去する物件が家賃のクレジットカード支払いに対応している場合、大家や管理会社に相談することで滞納家賃や退去費用をクレジットカードで支払えるケースがあります。前述のように、クレジットカードで支払えば、滞納家賃や退去費用を分割で支払うことができます。
またクレジットカード払いに対応していない物件であっても、真摯に相談すれば分割支払いに対応してくれるケースがあります。「必ず全額返済する」という意志を示すためにも、毎月の支払日を設定し、支払い回数を2~3回など現実的な回数に設定した上で相談しましょう。
大家や管理会社が滞納家賃や退去費用の分割払いに対応しない場合、国の借り入れ制度や銀行ローンなどで分割払いする手段もあります。これらはどちらも審査や条件などがあるため、どうしても一括で支払えないのであれば、役所や社会福祉協議会、銀行などに相談してみましょう。
引越し費用の分割払いで費用が高くなるデメリット
このように、引越し費用や退去費用などを分割で支払う方法はいくつかあります。引越し費用などを分割払いにすると、1度に支払う金額が少なくなるため手持ちのお金が減らないメリットがあります。
ただ、引越し費用の分割払いには大きなデメリットがあります。それは支払い総額が高くなる点です。
一般的に、クレジットカードでの分割払いで支払い回数を3回以上に設定すると、年率で12%ほどの分割手数料が発生します。例えば引越し料金30万円を3回(年率12.25%)で支払うと、分割手数料が追加で6千円ほど発生します。
またクレジットカードの分割払いは、支払い回数が増えるほど手数料が高額になっていきます。分割手数料の年率が上がることに加え、支払い期間が長くなるためです。
例えば引越し料金30万円を12回(年率14.75%)で支払うと、2万2千円ほどの手数料がかかり支払総額が約32万2千円となります。当然ながら、分割支払いにする金額や支払い期間が長くなると、その分だけ手数料が高くなっていきます。
そのため引越し料金を分割払いする際には、手数料の発生によって支払総額が高くなることを理解しましょう。
引越し料金をクレジットカードで支払うと値引きを受けられなくなる
これに加えて、引越し業者の利用代金をクレジットカードで支払おうとすると、引越し料金そのものが高くなりやすい点にも注意が必要です。
まず、引越し業者の現場スタッフはクレジットカード支払いの端末を常備していません。そのため引越し業者の利用料金をクレジットカードで支払うためには、契約前に業者へ申告しなければなりません。
このとき、引越し料金には定価が存在しません。引越し業者の利用料金は荷物の量や引越し距離、引越し業者のスケジュールなどによって大きく変動するためです。そのため引越し料金が確定するのは、引越し業者による訪問見積もり後となります。
ただ前述のように、利用料金をクレジットカードで支払うと、業者側が既定の手数料をクレジットカード会社へ支払わなければなりません。そのためクレジットカードで支払うことを申告すると、営業スタッフから値引きを引き出しにくくなります。引越し料金を分割払い(=クレジット払い)にすると、分割手数料だけでなく引越し料金そのものが高くなりやすいのです。
そのため手持ちのお金が少なかったとしても、引越し業者の利用料金をクレジットカードの分割払いで支払うのはなるべく避けるのが賢明です。
引越し費用を抑えで分割払いを避けるコツ
なお手持ちのお金を減らしたくないのであれば、分割払いを検討するだけでなく、引越し費用そのものを減らす工夫を凝らすのが大切です。
引越し費用を節約できれば、分割払いを選択する必要がなくなる可能性があります。つまり、分割手数料など無駄な支払いを防ぐことができます。そこで以下の内容を参考にして、まずは引越し費用を抑えることを考えましょう。
複数の引越し業者へ見積もりを依頼する
まず引越し費用を節約したいのであれば、複数の引越し業者に見積もりを依頼するのが基本です。見積もり件数を増やすだけで価格競争が起こり、引越し費用が安くなるためです。
引越し業者からしてみれば、訪問見積もりを依頼する顧客(=契約する可能性の高い顧客)です。契約が取れないと売上が立たないため、訪問見積もりを依頼した顧客から何としてでも契約を取ろうとします。
このような事情から訪問見積もりの営業スタッフは、他の業者にも見積もりを依頼していることがわかると、値引きを提案して契約を取ろうとします。そのため見積もりを依頼する業者を多くすると、その分だけ引越し料金の値引きを受けやすくなるのです。
実際、複数業者に見積もりを取るだけで数万円ほどの値引きを提案されることはよくあります。そのため手持ちのお金を減らしたくないのであれば、複数業者に見積もりを依頼して価格の安い業者を利用しましょう。
礼金なしやフリーレント物件だと賃貸の初期費用を節約できる
また、賃貸物件の契約費用も工夫次第で大幅に減額可能です。
前述の通り、賃貸物件の契約には家賃の5倍ほどかかると一般的にいわれています。具体的な内訳は「敷金(家賃1ヶ月分)」「礼金(家賃1ヶ月分)」「前家賃2ヶ月分」「仲介手数料(家賃1ヶ月分)」であり、これらはどれも減額可能です。
例えば以下は、敷金礼金ゼロの物件です。
この物件を選べば敷金・礼金がないため、賃貸契約の初期費用を家賃2ヶ月分ほど減額することができます。また以下は、フリーレント付きの物件です。
1~2ヶ月など、一定期間の家賃が無料になる契約をフリーレントといいます。上記の物件を選べば、前家賃1ヶ月分の支払いをゼロにすることができます。
また仲介手数料については、仲介手数料が安い物件や不動産業者の自社管理物件を選ぶことで節約可能です。特に不動産業者の自社管理物件だと、仲介手数料をゼロにすることも可能です。
このようにして引越し先の賃貸物件を選べば、賃貸契約の初期費用であっても大幅に減額可能です。そのため手持ちのお金が少ないのであれば、物件選びを工夫しましょう。
なお賃貸契約の初期費用のうち、敷金は退去時の修繕費用に充てられるお金です。そのため敷金ゼロ物件を選ぶと、退去時に修繕費用を請求される(=退去費用が高くなる)可能性があるため覚えておきましょう。
引越し費用を節約した上で分割払いを検討する
引越しで必要となる初期費用の多くは、クレジットカードで支払うことによって分割払いが可能となります。特に大手引越し業者は、クレジット払いに対応している業者が多いため、分割支払いできるケースがほとんどです。
一方で個人や中小企業が管理する賃貸物件はクレジット払いに対応していないケースが多いです。そのため賃貸物件の契約費用を分割払いしたいのであれば、大手不動産業者などが所持・管理する物件を選びましょう。
ただクレジットカードの分割払いには手数料が発生するため、引越し費用を分割払いすると支払い総額が高くなります。さらに引越し料金をクレジットカードで支払おうとすると、業者から値引きを提案されにくくなります。つまり、引越し費用そのものが高くなりやすいです。
そこで、手持ちのお金をなるべく減らさずに引越したいのであれば、まず初期費用の節約を検討しましょう。敷金礼金なしやフリーレント物件を選べば賃貸契約費用を節約できますし、複数の引越し業者に見積もりを取れば引越し料金がかなり安くなります。このようにして初期費用の節約を考えた上で、最後に分割払いを検討しましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。