住宅を一か所にまとめたものとして団地があります。団地では同じ外観のマンションがいくつも建っており、そこには何百人もの人が暮らすようになります。

例えば工場が非常に多い地域だと、その工場地帯で働く人のための団地があります。また、公営住宅(市営住宅・県営住宅・都営住宅)なども団地となっています。

「団地へ引越しをする」「団地から引越したい」など人によって状況は違いますが、団地だからこそ注意すべき引越しのポイントがあります。どのように引越しをすればいいのか理解していないと、高額な引越し料金になってしまうことがあります。

そこで、団地・公営住宅(市営住宅・県営住宅・都営住宅)の引越しをするときに考えるべきことについて解説していきます。

エレベーターのない団地は多い

一般的な賃貸マンションであれば、必ずエレベーターがあります。高層階へ行くとき、エレベーターに乗って移動することになります。これは引越しのときも同様であり、引越し時はエレベーターを利用して荷物を運搬するようになります。

ただ、公営住宅をはじめとした団地ではエレベーターが備え付けられていないことがよくあります。

民間の賃貸マンションに比べて、団地の家賃は一般的に安いです。市営住宅・県営住宅・都営住宅などは特に低所得者向けなので、管理維持費をできるだけ少なくするためにエレベーターをなくしているのです。

法律では、建物の高さが31メートル以上だとエレベーターの設置義務があります。これは、マンション・アパートでいうと6~7階に当たります。そのため、5階建てのマンションやアパートまでであれば、特にエレベーターの設置義務はないといえます。

団地では4階や5階建てのマンションでもエレベーターのないことがあります。特に古い団地だと、階段だけのケースが多くなります。これについて、まずは認識しなければいけません。

エレベーター無しだと引越し代は高くなる

それでは、なぜエレベーターの有無が重要になるのかというと、引越し代に関わってくるからです。

特別な理由がない限り、引越し業者へ荷物の運搬を依頼することになります。このとき訪問見積もりが実施されますが、必ずエレベーターの有無を確認されます。1階や2階の部屋なら特に問題ありませんが、3階以上に荷物を運搬する場合はエレベーターがあるかどうかが重要になるのです。

これについては、以下のように見積書にも明記されます。

3階以上への搬出・搬入でエレベーターがない場合、当然ながら作業員は大変な重労働になります。その分だけ、引越し時間も長くかかってしまいます。養生の手間もあります。そのため、引越し業者へ見積もりを出したときの値段が高くなってしまうのです。

団地や公営住宅の家賃は安いですが、引越しについては費用面でのデメリットがあると認識しましょう。

団地だからこそ必要な初期費用

また、費用については他にも考えるべきものがあります。

通常の賃貸マンションには揃っているものの、団地・公営住宅だからこそ必要な家具が存在します。こうしたものを揃える必要があるのです。退去するときについても、これらを撤去して元の状態に戻す必要があるため、何が必要になるのか理解しておくことは重要です。

このとき、団地だと以下のようなものが必要になることが多いです。

  • 風呂釜
  • ガス給湯機
  • カーテンレール
  • 網戸

どれも一般的な賃貸マンションに備わっているものになります。ただ、団地・公営住宅になると備わっていないことがあります。

例えば、以下はある市営住宅のお風呂場になります。元々は何もないお風呂場でしたが、ここに風呂釜を設置したときの様子です。

出典:株式会社BBSアカギ

こうしたものの設置が必要であり、ない場合は「風呂釜」「ガス給湯機」「カーテンレール」「網戸」を購入しなければいけません。これらを購入する場合、20万円ほどになります。

また、退去するときはこれらのものを撤去することになります。そのため、「団地から団地に引越しをする」「団地から民間の賃貸マンションへ引越しをする」ときを含め、退去時も余計な費用が必要になる可能性があります。

確かに公営住宅の場合、礼金や仲介手数料、更新料などはありません。しかし、風呂釜代や工事費用などが発生することは理解しましょう。

他には、敷金として家賃の2ヵ月分ほどが必要になるため、例えば家賃4万円であれば敷金は8万円になります。これに引越し代が加わるようになります。仮に引越し費用が6万円だとすると、初期費用は以下のようになります。

  • 風呂釜など、必要なものや工事代金:20万円
  • 敷金:8万円
  • 引越し業者への支払い費用:6万円

これだけでも34万円であるため、公営住宅(市営住宅・県営住宅・都営住宅)への引越しでは家賃が安いですが、初期費用は高くなります。そのため、長く住むことが前提になります。

業者へ依頼する一般的な団地引越しの金額

それでは団地へ引越しをするとき、一般的に引越し業者へ支払う料金はどれくらいの価格になるのでしょうか。これについては、以下のようになります。

・近距離引越し(50km以内)で引越し業者へ依頼する料金相場

引越し人数 単身・一人暮らし 2人 3人 4人
部屋サイズ ワンルーム~1K 1LDK~2LDK 2LDK~3LDK 3LDK
閑散期 3~4万円 6~7万円 8~9万円 10~12万円
繁忙期 5~6万円 8~10万円 11~13万円 14~17万円

離婚や生活保護、リストラなど人によって理由は異なると思いますが、団地を希望する多くの人は近距離での引越しになります。そのため、近距離引越しでの料金相場を記しています。

なお、同じ団地内で引越しをする場合はトラックを頼まなくてもいいため、費用相場は上記よりも下がります。

・繁忙期を避けるといい

引越しでの閑散期は5月から翌年2月です。ここであれば、安い金額での引越しを実現できます。一方で3月や4月などの繁忙期になると、引越し代が1.5倍ほどに跳ね上がります。そのため、引越し時期を動かせる場合は繁忙期を避けるようにしましょう。

・見積もり比較を行う

意外と初期費用がかかることから、できるだけ引越し代を安くすることを考えなければいけません。このとき、引越し業者による見積価格の比較は必須です。

何社もの業者に見積もりを出させることにより、ようやく安い価格での引越しを実現できます。引越し代には定価がなく、いくつも見積もりを取ることでようやく適正価格になるのです。特に4階や5階など、より高層階への引越しをする場合は業者によって見積価格がまったく異なることがよくあります。

高い金額での引越しを避けるためにも、何社も訪問見積もりを依頼するようにしましょう。

退去時は公営住宅でも修繕費・原状回復が必要

なお、入居するときは関係ないですが、退去時は団地であっても修繕費が必要になります。賃貸不動産では原状回復が必要であり、入居時とまったく同じ状態に戻さなければいけません。そのため、風呂釜などを設置した場合、すべて撤去する必要があります。

他にも、例えば壁にキズを生じていた場合、その傷は修繕する必要があります。最初に敷金を支払うことになりますが、原状回復に必要な修繕費は敷金の中から出されることになります。敷金から原状回復費用が差し引かれ、後で戻ってくるようになります。

このとき最初の敷金だけでは原状回復費をまかなえない場合、差額となる修繕費が後で請求されます。その分だけ、退去費用が大きくなるのです。例えば10年など長く住んでいた場合、修繕費用が15万円ほどになることはよくあります。そうなると、退去費用は高くなります。

ちなみに、引越し業者へ依頼する金額が高いと考えて、稀に自分で引越しを行おうと考える人がいます。離婚したシングルマザーや生活保護者など、特に公営住宅だと訳ありの人が多いため、少しでも引越し代を浮かせようとするのです。

しかし、引越し業者に依頼しないことで壁に傷をつけてしまい、原状回復費用が非常に高額になってしまうことがよくあります。以下のように、床に傷をつけてしまうのです。

ちなみに、私の場合はこの傷の修繕費用として5万円を請求されました。テレビやテーブルくらいなら問題ないですが、洗濯機や冷蔵庫、ベッドなど大型家電・家具を運搬するときはこうした傷ができるリスクが高くなります。

一方で引越し業者に依頼すれば、ダンボールやハンガーボックスなど必要な資材を提供してくれるだけでなく、大型家具を含めて丁寧に梱包してくれます。以下のようになります。

養生や梱包を含めて引越し業者に依頼したほうが作業は圧倒的に楽ですし、壁に傷をつけて無駄な修繕費が発生するリスクを限りなく少なくさせることができます。ただ、複数社に見積もりを依頼して安い値段の業者に引越し作業を依頼する必要はあります。

・不要な荷物は引越し業者に廃棄処分させる

なお、団地から引越しをするときは風呂釜を片付けたり、網戸を廃棄処分したりしなければいけません。このとき、粗大ごみは引越し業者に廃棄処分させるといいです。

引越し業者によって対応は異なりますが、大手の引越し業者を含め多くの会社が粗大ごみの廃棄処分の代行に対応しています。訪問見積もりのとき、問題なく捨ててくれるかどうか確認するようにしましょう。

一般的な賃貸マンション・アパートで風呂釜などは不要であり、団地に住む人に特徴的な荷物となります。こうした荷物の処分に困る場合、引越し業者に頼みましょう。

公営住宅では建て替えによる立ち退き料の補助が出る

普通は自らの意思で団地へ引越したり、団地から出ていったりすることになります。ただ、人によっては団地や公営住宅(都営住宅・県営住宅・市営住宅)などに住んでおり、アパートの建て替えによって出ていかなければいけないことがあります。そうしたとき、どのようになるのでしょうか。

公営住宅(都営住宅・県営住宅・市営住宅)などであると、建て替えに伴って立ち退き料が出されるのが一般的です。

これは、公営住宅法第42条に明記されています。そのため、都営住宅・県営住宅・市営住宅などの公営住宅に住んでいる人が立ち退きを命じられた場合、自治体が「最低限の引越し代の費用を出さない」というのは法律違反に当たります。

以下が実際の条文です。

(移転料の支払)第42条

事業主体は、公営住宅建替事業により除却すべき公営住宅の除却前の最終の入居者か、当該事業の施行に伴い住居を移転した場合においては、その者に対して、国土交通省令で定めるところにより、通常必要な移転料を支払わなければならない。

いくらの立ち退き料になるのかについては、自治体によって異なります。15万円ほどのときがあれば、30万円の立ち退き料になることもあります。金額は自治体ごとに異なると考えてください。

民間の賃貸マンションであれば、立ち退き料は出されません。6ヵ月前に通知する場合、問題なく退去させることができるのです。それに比べると、建て替えによって補助が出る市営住宅などの団地は条件が良いといえます。

トラブルを避けるための挨拶は必要か

なお、引越しのときに悩むものとして挨拶があります。特に団地では一つの場所に非常に多くの人が住むことになります。

一般的な引越しであると、挨拶は不要です。民間の賃貸マンションやアパートで挨拶をすることはありません。深夜の引越しなど、特殊な引越し以外であれば特に気を使う必要はないのです。

しかし、これが集合住宅になると話は別です。団地などの集合住宅では、古株の人がいたり、月一回の掃除があったりします。そのため、事前に挨拶をしておく方がその後の付き合いはスムーズです。どこまでの挨拶がいいかというと、同じ階段を使う人については全世帯に挨拶をすると非常にスムーズです。

このときの手土産としては、スーパーで売っている500円ほどの手土産で問題ありません。高すぎない粗品を挨拶の品として購入し、同じ階段を使う世帯に配るようにするのです。

挨拶をするのは非常に面倒です。ただ、団地だと後のことを考えると挨拶をしておいた方がいいです。

手土産の値段は安くて問題ないため、引越し業者が作業している間にピンポンを鳴らして挨拶回りをするといいです。もし、人がいなければ後日に粗品を持って挨拶をするようにしましょう。そうすれば、トラブルを避けることができます。

また、住宅の数が多くて対応できない場合は隣接する世帯にだけ挨拶をするといいです。

団地・公営住宅の引越しを行う

「団地にこれから入る」「団地から団地に引っ越す」「同じ団地内で引越しをする」「団地から出る」など、いろんなパターンはありますが、いずれにしても集合住宅特有の問題があります。

公営住宅の場合、エレベーターがなく階段だけのケースがよくあります。4階や5階などであっても、階段で上らなければいけません。そうなると、引越しの場合はオプション料金が必要になることが多くなります。

また、風呂釜など民間の賃貸マンションでは購入することのないものを買わなければいけません。そのため、意外と初期費用がかかるようになります。退去時についても、修繕費用が発生するようになります。

そのため、安い引越しをすることを考えましょう。特に公営住宅への引越しを希望する人では、離婚したシングルマザーや生活保護者など、お金のない状態であるため、できるだけ引越し代金を下げなければいけません。そのため、引越し価格の比較は必須です。

団地・公営住宅では面倒なルールや特徴的なことが存在します。これらをきちんと把握し、対処することで引越しを完了させるようにしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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