一般的に、マンションは周辺環境が良い場所に立地しているケースが多いです。そのため利便性や環境の観点からマンションへの引越しを考える人は多いです。

ただマンションは、戸建て住宅やアパートと異なる点がいくつもあります。そのため中には、マンション引越しの費用や作業・手続きについて不安になっている人もいるでしょう。

それではマンションへの引越しには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか? またマンションへの引越しでは、どのような作業が必要となるのでしょうか?

ここでは、マンションへの引越しでかかる費用の相場や、マンション引越しでやるべきことなどについて解説していきます。

マンションへの引越しにおける費用の相場

一軒家への引越しの場合、トラックから家までの距離が近いです。これに対してマンションへの引越しだと、エントランスやエレベーター、廊下などを通過して部屋へ行くため、トラックから部屋までの距離が長くなるケースがほとんどです。

トラックから部屋までの距離が遠くなると、その分だけスタッフが荷物を運ぶ距離が長くなります。また内装を傷つけないために養生する箇所も多くなります。そのため「マンションへの引越しだと、戸建てやアパートよりも引越し料金が高くなるのではないか?」と心配する人は多いです。

ただ基本的に、エレベーターがついている一般的なマンションの場合、引越し費用に追加料金が加算されることはありません。以下は、引越し閑散期(5~1月)における引越し業者の料金相場です。

短距離(50km以内)中距離(200km以内)長距離(500km以内)
単身3~4万円4~5万円5~6万円
2人6~7万円8~9万円10~12万円
3人以上8万円~11万円~14万円~

このように引越し先がマンションであっても、引越し料金が大幅に高くなるということはありません。これは高層マンションでも同様です。エレベーター付きのマンションであれば、アパートや戸建てに比べて引越し料金が高くなるということはないのです。

エレベーターなしマンションだと追加料金がかかる

ただ引越し先がエレベーターなしマンションの3階以上だと、引越し料金が高くなることを覚悟した方がいいです。エレベーターの付いていないマンション上層への引越しには、通常よりも多くの時間と作業員が必要となるためです。

エレベーターがないマンションへ引越す場合、部屋の階数が高いほど荷物の運搬に時間がかかります。当然ながら引越し作業に時間がかかると、その分だけ料金が高くなります。そのため部屋の階層が1つ上がるごとに、1,000~2,000円ほどの追加料金が課されるのが一般的です。

またエレベーターなしマンションの上層へ荷物を運ぶ場合、複数の人数で荷物を受け渡しながら荷物を上へ運んできます。

例えばエレベーターなし5階の部屋へ荷物を運ぶ場合、3階で別のスタッフへ荷物を受け渡して部屋まで搬入を行います。つまり「1~3階担当スタッフ」「4~5階担当スタッフ」に分かれて作業を行います。荷物量が多い場合、5階までの階段を3~4人で担当するケースもあります。

このようにして階段で分担して荷物を運ぶとなると、その分だけ作業に必要なスタッフ数が多くなります。当然ながら、作業員の数が多くなると引越し料金が高くなります。具体的には、作業員が1人増えると引越し料金が1万円ほど高くなります。

そのためマンションへの引越しであっても、引越し先物件にエレベーターがない場合、引越し料金が高くなることを覚悟した方がいいです。

マンションへの引越し料金を抑えるコツ

このとき、マンションへの引越し料金については、複数業者へ引越しの見積もりを依頼するだけで節約することができます。

引越し業者からしてみれば、契約が取れないと売り上げが発生しません。そのため引越し業者の営業マンは、見積もりを依頼してきた見込み客から何としてでも契約を取ろうとします。

その結果、引越し料金の価格競争が起こり、低価格で引越し業者と契約することが可能となります。実際、複数業者から見積もりを取るだけで引越し料金が数万円ほど安くなるのはよくあります。

なお複数業者へ見積もりを依頼すれば、一般的なマンションはもちろん、エレベーターなしマンションへの引越しでも引越し料金を抑えることが可能です。

大型の荷物があると、吊り上げ費用がかかる

ただエレベーターありのマンションであっても、大型の荷物がある場合、追加で料金が発生する可能性があります。吊り上げ作業によって窓から荷物を搬入するケースがあるためです。

例えばソファやベッドなど、分解できない家具が大型である場合、扉を通過しないケースがあります。このような場合、吊り上げ作業によって窓から荷物を搬入しなければなりません。

このとき搬入先が2階であれば、以下のように手作業で吊り上げ作業を行うケースが多いです。

これに対して3~5階への搬入や重量物だと、以下の写真のようなクレーン(ユニック車)を利用して吊り上げることになります。

このような吊り上げ作業が行われると、通常よりも引越しに時間と手間がかかるため、引越し料金が高くなります。手作業での吊り上げだと10,000~30,000円、クレーンでの作業だと20,000~50,000円ほどかかるのが一般的です。

なお6階以上の高層階になると、引越し業者のクレーン車では吊り上げできません。高層階用のクレーン車を別途手配することになるため、費用が非常に高額になります。

当然ながら、搬入にクレーンが必要になるということは、搬出時にもクレーンが必要となります。そのため分譲マンションへの引越しを除き、吊り上げ作業が必要な大型荷物を所持しているのであれば、高層階への引越しを諦めるか荷物の処分を検討することをおすすめします。

マンションへの引越しまでにやるべきこと

それでは実際にマンションへの引越しが決まったら、どのようなことをすればいいのでしょうか? まず現在の住まいが賃貸物件なのであれば、大家や管理会社に退去の連絡を行う必要があります。

一般的に、賃貸物件の退去連絡は引越しの1ヶ月前までに行う必要があります。物件によっては2ヶ月前申告であるケースもあります。旧居の家賃は退去の連絡から1ヶ月(または2ヶ月)発生するため、退去の連絡が遅くなると新居の家賃支払いと重複してしまいます。

このような事態を避けるためにも、引越しが決まったらまずは退去の連絡を旧居の管理会社などに入れましょう。

引越し日時を予告する張り紙を掲示する

またマンションへの引越しでは、管理会社から引越し日と作業時刻について確認連絡があるケースが多いです。これは、あなたの引越し中にエレベーターを使用しにくい状況となることについて、掲示物などで他の入居者へあらかじめ予告するためです。

このような張り紙は管理会社が掲示するのが基本です。ただ中には、入居者が自ら用意して張り出すことを求める管理会社もあります。このような場合、引越し先マンションが近隣であれば、引越し日時を記載した簡単な張り紙を作成して指示通り掲示すればいいです。

ただ引越し先マンションが遠方であったり、仕事などの関係で新居へ出向くのが難しかったりするのであれば、指示に従わなくても問題ありません。

そもそも、引越し告示の掲示物を張り出すのは管理会社の業務であり、入居者の義務ではありません。本来であれば入居者であるあなたが、わざわざ時間や交通費などをかけて掲示物を張り出しに行く必要はないのです。

そのため引越し前に張り紙を掲示しに行くのが難しいようであれば、管理会社に「掲示物の提示は管理会社の仕事であるため、必要ならそちらで用意してほしい」と伝えましょう。それでも掲示物を要求されるようであれば、管理会社に「張り紙を掲示しに行くのは不可能である」と伝えて要求を無視しても問題は起こりません。

電気やインターネットがマンション契約の場合、旧居の契約を忘れずに解約する

また入居先の種類に関わらず、引越しでは電気や水道、ガス、インターネットなどの引越し手続きが必要です。特にガスとインターネットについては、引越し手続きが遅れると入居日に使用できない事態に陥ります。そのため、入居日が確定したらすぐにガス・インターネットの引越し手続きを進める必要があります。

このとき電気やインターネットなどがマンション一括契約となっている場合、手続きなしでも引越し後すぐに電気・インターネットを使用できます。

ただこの場合であっても、旧居での契約を解除しないと利用料金の請求は止まりません。使っていない電気・インターネットの料金を支払い続けるのはもったいないので、これら契約の解約を忘れないようにしましょう。

マンション引越しの当日の流れ

このとき、通常の引越しでは引越し前に電気やインターネットなどの住所手続きを行わないと新居でこれらを利用することができなくなります。ただこれらをマンションで一括契約している物件に引越しする場合、引越し手続きを行わなくても新居ですぐに使用できます。

ただ

なお、どのような場合であっても、賃貸物件へ引越す際には荷物搬入日の朝までに新居の鍵を受け取っておく必要があります。鍵の受け取りが遅れると、引越し業者を待たせてしまって追加料金を請求されるリスクがあります。

またマンションへの引越しでは、引越し当日の朝に害虫対策を実行した方がいいです。どれだけ部屋をきれいに使用しても、近隣の部屋から害虫が侵入する可能性が排除できないためです。

また害虫対策については、部屋が空っぽである荷物の搬入前が最適なタイミングです。そのためマンションへの引越し当日には、害虫のエサとなるホコリなどを掃除し、バルサンなどのくん煙殺虫剤を焚いておきましょう。

このとき、煙が多く出るタイプのくん煙殺虫剤だと、隣や上層の住民などから「ボヤである」と勘違いされるケースがあります。そのため可能であれば、水タイプや霧タイプなど、煙の量が少ないくん煙殺虫剤を使用しましょう。

張り紙で予告した時間内に引越しを終わらせる

入居するマンションの害虫対策を終えたら、旧居から荷物を搬入していきます。

このとき、前述のようにマンションへの引越しでは、あなたの引越しによってエレベーターを使用しづらくなる時間帯について予告しています。

このような中、引越し作業の終了時刻が予告時間から大幅に遅れると、クレームがくる可能性があります。またマンション住民の心象が悪くなり、引越し早々肩身の狭い思いをするリスクにつながります。

そのためマンションへの引越しでは、予告した時間内に引越しを終わらせられるように工夫しましょう。例えば引越し当日までに荷造りが完了していないと、作業の完了時刻が遅くなりやすいです。そのため、引越しの前日までには確実に荷造りを終わらせるようにしましょう。

また新居への到着時刻が遅れると、その分だけ引越しの完了時刻が遅くなります。そのため旧居での作業・手続きを終えたら速やかに新居へ向かうといいです。

引越しの挨拶はどこまでするべきなのか?

なお一般的に、引越し後には「向こう3軒・両隣」の範囲に引越し挨拶が必要であるといわれてます。ただこれは戸建て住宅の場合であり、上下や斜めにも住民がいるマンションへの入居で「引越し挨拶はどこまでするべきなのか?」と悩む人は多いです。

ただ基本的に、マンションへの引越しで挨拶する必要ありません。賃貸マンションは入居者の入れ替わりが多く、近所付き合いがほとんどないためです。

実際マンションでの居住では、近隣住民の顔を見ないまま退去に至るケースは非常に多いです。そのため賃貸マンションへ引越す際には、近隣住民への挨拶について気にする必要はありません。

なお例外的に、子供やペットがいる世帯や分譲マンションへの引越しでは、近隣住民へ挨拶した方がいいです。子供やペットがいると騒音が発生しやすいですし、分譲マンションだと近所付き合いが生じるケースがあるためです。

このような場合、両隣と上下の階へ引越しの挨拶しに出向きましょう。手土産はラップやティッシュなどの日用品を選び、無地ののしを付けるといいです。

マンションへの引越し費用や当日の流れを理解し、時間内に引越しを終わらせる

マンションへの引越しでは、戸建てとは異なる点が多いです。例えばマンションでは同じ建物に複数の世帯が入居しているため、あなたの引越し日時について事前に予告する必要があります。引越し日時が確定したら、管理会社に連絡を入れておきましょう。

また、マンションは戸建て住宅よりも近所付き合いが少なく、入居者の入れ替わりが激しいです。そのため子供やペットがいる場合を除き、マンションでは引越しの挨拶をしないのが一般的です。

このときマンションへの引越しであっても、基本的には戸建てと引越し料金の相場は変わりません。ただ引越し先がエレベーターなしである場合、引越しに時間と作業員が必要となるため引越し費用が高くなりやすいです。

そこでマンションへ引越す際には、複数業者に引越し見積もりを依頼しましょう。そうすることでマンションの種類に関わらず、引越し料金を節約することができます。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

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