賃貸物件に引越しする際には、大家と新居の賃貸契約を結ぶ必要があります。賃貸契約の際には、大家に求められた書類を提出しなければなりません。そのうちの一つに住民票があります。

ただ住民票には住所や氏名などが記載されていますが、収入など支払い能力に関する情報は載りません。住所や氏名であれば身分証明書でも確認できるため、わざわざ住民票を提出する必要性は低いように思えます。

それでは、賃貸物件への引越しではなぜ住民票が必要となるのでしょうか? また引越しで必要となる住民票の項目としては、どこまで記載すればいいのでしょうか?

ここでは賃貸契約で住民票の提出が求められる理由と、引越しで提出する住民票への記載内容について解説していきます。

引越しで住民票が必要となる理由

大家にとって賃貸物件は大切な資産です。入居者に家賃を支払ってもらえなかったり部屋を過度に汚されたりすると、大家は甚大な損失を被ります。このような事態を避けるために、大家は入居希望者の情報について正確に把握しようとします。そのうちの一つが身元(住所・氏名)チェックです。

このとき、住所氏名の証明には運転免許証などの身分証明書が利用されるのが一般的です。ただ賃貸契約の際には、身分証明書だけでなく住民票の提示も求められます。そのため「住所や氏名が記載された身分証明書を提示しているのだから、住民票は不要なのではないか?」と考える入居希望者は多いです。

ただ、運転免許証に記載されている住所は必ずしも現住所であるとは限りません。引越し後に免許証の住所変更手続きを行っていなければ、記載住所が古いままとなるためです。

これに対して住民票には、入居希望者の最新の住所(現住所)が記載されているのが基本です。そのため賃貸物件の大家は、資産損害のリスクを避けるために住民票と身分証明書の情報を照らし合わせて入居希望者の身元を正確に把握しているのです。

住民票が現住所と違うと賃貸契約できないのか?

ただ中には、現住所と住民票の住所が異なる人もいるでしょう。このような場合、賃貸契約のために現住所へ住民票を移さなければならないのでしょうか?

結論からいうと、現住所と住民票の住所が異なっていても賃貸契約は可能です。住民票と身分証明書を合わせて確認することで、住民票に記載されている本人である(=なりすましではない)ことが確認できるためです。

そのため、よほど不信な点がない限り、住民票と現住所が異なることによって賃貸契約できない事態に陥るケースはありません。実際、住民票を実家や単身赴任元のままで賃貸契約を結んでいる人は多いです。

ただ当然ながら、引越しをしたら住民票を新住所に移すのが原則であり、住民票に記載される住所が最新の住所であるという認識が基本です。余計な疑念を抱かれないためにも、賃貸契約前に大家へ現住所と住民票の住所が異なる旨を伝えておきましょう。

賃貸契約で用意する住民票の種類と記載項目

なお賃貸契約で求められる住民票は、正確には「住民票の写し」と呼ばれます。このとき住民票の写しを「役所で発行してもらった住民票のコピーである」と考える人は多いです。

ただ住民票の写しとは、一般的に住民票と呼ばれている書類(=役所などで発行された書類)を指します。住民票の原本は役所で保管されており、この内容を書き写したものが住民票の写しであるためです。

そのため賃貸契約で住民票の写しを求められた場合、役所などで発行された書類をコピーせず、そのまま不動産業者に渡すようにしましょう。また住民票の写しの有効期限は発行から3ヶ月となるので覚えておきましょう。

なお、この記事では住民票の写しについて一般的な呼び名である住民票と表現しています。

契約する物件に住む全員分の住民票が必要

また前述のように、賃貸契約における住民票は入居者の身元確認のために利用されます。そのため、賃貸契約時には入居予定の人物全員分の住民票が必要となります。

例えば同棲やルームシェアなど、異なる世帯の人が新居で一緒に暮らし始める場合、それぞれの住民票が必要です。

また家族で引越しをする場合、家族全員分の住民票が必要となります。家族全員分の住民票は世帯分を選ぶことで発行可能です。例えば以下は、実際の住民票の交付申請書です。

ここには同一世帯のうち、住民票を発行する人を選ぶ項目があります。家族全員で引越しをする場合、「世帯全員」の項目にチェックを入れて発行しましょう。

このとき、役所で発行された世帯分の住民票はホチキスなどで1つにまとめられます。以下は実際の世帯全員分の住民票です。

これをほどいてしまうと、書類が全部揃っていても世帯分の住民票としては無効となります。つまり、賃貸契約での身元証明には利用できません。そのため綴じられている世帯全員分の住民票はバラバラにしないように注意しましょう。

住民票に載せる項目はどこまで記載が必要?

また住民票に記載される内容には、本籍や世帯主の氏名、マイナンバーなど「記載の有無を選ぶ項目」があります。

これらのうち世帯主の氏名と本籍については、大家や不動産業者によっては記載を必要としているケースがあります。事前に大家・不動産業者へ記載が必要かどうかを確認しておきましょう。

ただ、世帯主の氏名や本籍の記載を必要としない場合であっても、これらの表示がある住民票を提出して問題ありません。そのため世帯主の氏名や本籍の表示について迷った場合、とりあえず記載しておきましょう。

一方で、住民票にマイナンバーを記載してしまうと、受け取りを拒否されるケースがほとんどです。マイナンバーは取り扱いに注意が必要な個人情報であるため、「マイナンバーが表示された住民票を手元に置きたくない」と考える大家・不動産業者が多いのです。

そのため賃貸契約で使用する住民票には、マイナンバーを記載しないように注意しましょう。

引越しで提出する住民票の取得方法

それでは実際に、賃貸契約で利用する住民票はどのようにして取得すればいいのでしょうか?

まず、住民票の取得にはいくつか手段がありますが、もっとも一般的なのは住んでいる地域の役所で発行してもらう方法です。運転免許証などの身分証明書を役所に持参し、現地で交付申請書に必要事項を記入すればその場で取得可能です。

また、住民票の発行はそれほど時間のかかる手続きではないため、30分~1時間ほどあれば書類を受け取れるケースが多いです。役所で発行手続きをすれば書類不備を現地で指摘してもらえますし、住民票に記載する内容についての相談も可能です。そのため住民票への記載内容などに不安を覚えるのであれば、役所で住民票発行の手続きを行いましょう。

マイナンバーカードを利用すればコンビニで取得可能

ただ、役所は平日の日中しか開所していないため、仕事などの都合で役所へ出向くのが難しい人は多いです。住民票の発行手続きは郵送でも行うことはできますが、郵送による住民票の発行手続きには1週間ほどかかります。書類に不備があると、さらに時間がかかることになります。

そこで住民票の発行のために役所へ出向くのが難しい人や、住民票取得の手間・時間を省きたい人は、コンビニエンスストアで住民票を入手しましょう。マイナンバーカードを利用すれば、コンビニのマルチコピー機で住民票を発行できます。

以下は、コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機のホーム画面です。

このような画面の「行政サービス」を選択すると、各種証明書の交付サービスを選択できる画面へ移ります。

証明書交付サービスを選択すると、マイナンバーカードのスキャンを求められます。指定の位置にマイナンバーカードをセットし、読み取りを開始しましょう。

マイナンバーカードの読み取りが完了したら、発行する証明書の種類を選択する画面へ移ります。住民票は「居住している市区町村の証明書」にあたるので、これを選択します。

その後、あらかじめ設定していたマイナンバーカードの暗証番号を入力します。そうすると必要な書類の種類を問われるので、「住民票の写し」を選びましょう。

このとき、コンビニエンスストアで住民票を発行する際には、住民票の種類や記載項目をあなた自身が選ばなければなりません。家族引越しであれば「世帯全員」、記載項目については「マイナンバー記載なし」「(必要に応じて)本籍記載あり」を選択しましょう。

すべての入力が完了すると、発行する証明書の最終確認画面へ移ります。内容を確認し、所定の手数料をコピー機へ入金すれば発行が完了します。

このようにしてコンビニで住民票を取得すれば、役所に出向く手間を省くことができます。また待ち時間なく住民票を受け取れるので、時間を大幅に節約できます。そのため時間がない人や、住民票への記載内容を自ら選択できる人は、マイナンバーカードを利用してコンビニで住民票を取得しましょう。

なお、地域によってはコンビニエンスストアでの住民票発行に対応していない自治体もあります。住んでいる地域の役所のホームページなどであらかじめ確認した上でコンビニでの取得手続きを行いましょう。

賃貸契約で必要な住民票について理解する

一般的に、賃貸契約では住民票の提出が求められます。大家にとって賃貸物件は大切な資産であるため、住民票と身分証明書の情報を合わせて確認することで身元を把握しています。

このとき、住民票に記載されているのは最新の住所(=現住所)であるのが原則です。ただ住民票を旧住所のままにしている人は多く、事情を説明すれば問題なく賃貸契約できます。住民票と現住所が異なる旨をあらかじめ大家・不動産業者に伝えましょう。

なお賃貸契約で必要となる住民票には、契約する物件に住む人全員分の記載が必要です。また、大家・不動産業者によっては本籍の記載が必要となるケースがあります。一方で、マイナンバーを記載してしまうと住民票を受け取ってもらえないケースがほとんどなので注意しましょう。

また住民票は役所だけでなく、コンビニエンスストアのマルチコピー機でも発行可能です。コンビニでの住民票発行にはマイナンバーカードが必要となるので、忘れずに持参しましょう。これが賃貸物件への引越で必要となる住民票の取り扱い方法です。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

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