普通の賃貸マンションやアパートへ引越しする場合、特別に注意する点はありません。基本的にトラックは路上や駐車場へ駐車しての引越し作業になりますし、特別な引越しの順番待ちも必要ありません。

ただ、タワーマンションを含め、高層マンションへ引越すときは通常の引越しとは異なり、独自の引越しルールが存在します。これについては、グレードの高いタワーマンションであるほど引越し時の細かいルールや順番が決められています。

そうしたとき、「よくわからないルールが多いので荷物を運送するときの料金相場が高くなってしまうのでは」という不安を抱える人もいます。

ここでは、どのような手順でタワーマンション(高層マンション)の引越しを行い、料金相場がどうなるのかについてまで確認していきます。

グレードの高いタワーマンションほどルールが決まっている

金持ちの人であれば、多くの人がタワーマンションに住むことになります。そのため、高層マンションを住むのは多くの人のあこがれです。

マンションの中でも、見た目が普通の単なる高層マンションであれば通常の引越しと同じです。ただ、エントランスが非常にキレイであり、見た目にもタワーマンションだとわかるような場合は引越し時に適切な手順を取らなければいけません。

さて、私の友人に金持ちの友達がいたので、タワーマンションの引越しを少しだけ手伝うことになりました。当然、引越し業者を使っていたのですが、その後の荷解きなど簡単な引越しを手伝ったのです。

このときのエントランス(タワーマンションの入り口)は以下のようになっていました。

また、エレベーターを昇って部屋のある階に着くと、いくつもの部屋が並んでいました。まるでホテルのようです。

このタワーマンションは東京都内にある、かなりグレードの高いタワーマンションになります。そのため、いろいろとルールがありました。これには、以下のようなものがあります。

エレベーターの利用確認や駐車スペースの確保

タワーマンションの中でも、そこまでグレードが高くない場合は引越しの厳格なルールはありません。そのため、「引越し業者に見積もりを依頼し、引越し日を決定する → 実際に引越しをする」という流れで大丈夫です。

ただ、これがグレードの高い高層マンションになると話が違ってきます。このタワーマンションの場合、事前にエレベーターの使用許可をもらう必要がありました。

今回のタワーマンションの場合、「居住者が利用するエレベーター」と「運搬業者(引越し業者を含む)が利用するエレベーター」が明確に分かれていました。以下の写真のように、365日24時間ずっと養生されている場所があり、業者は必ずそこから出入りする必要があったのです。

居住者が利用するエレベーターに比べて、業者用のエレベーターの数は当然ながら少なくなります。

ただ、引越しをするとなると業務用エレベーターをその時間はほぼ独占することになります。そのため、事前に引越しすることを管理会社に伝え、「この日のこの時間に〇〇という引越し業者を利用して引越し作業をする」と事前に伝え、予約しておく必要がありました。

このときの予約はできるだけ早めに完了しなければいけません。枠が埋まっていた場合、予約を取ることができません。その場合、引越し日を他の日にずらさなければいけません。当然、引越しの繁忙期となると、予約が埋まる確率が高くなります。

つまり、「エレベーターを予約して、利用許可をもらう」という普通のマンションでは考えられないことをしなければいけないマンションでした。

また、タワーマンションによっては引っ越しトラックを止める場所が明確に決められていることがあります。グレードが高くなるほど引越し時の決まりが多くなるため、どのように引越しをすればいいのか高層マンションであるからこそしっかりと確認するようにしましょう。

ちなみに、この知人の場合は荷造りした荷物の搬入時間を13:00にしていました。ただ、引越しはいつ終わるかわからないため、少し時間を長めにとって「13:00~17:00」でエレベーター使用の予約をしていました。

実際に引越し業者のトラックが到着したのは14:00です。このように時間が少しずれるのは普通なので、可能な限り多めに予約枠を取っておくといいです。

タワーマンションであっても養生はしっかりと行われる

タワーマンションでは業務用エレベーターで既に養生されてあったり、廊下はじゅうたんがしかれていたり、傷に対する対策が既に行われています。

ただ、そうした場合であっても養生はしっかりと行われます。養生は引越し業者が行ってくれるため、あなたが実施する必要はありません。実際の養生では、以下のようにあなたが引越しする部屋まで養生されるようになります。

タワーマンションではエントランスが広かったり、部屋までの距離が長かったりします。そのため、業者が行う養生の量は多くなりますし、その分だけ手間も必要です。

ただ、いくら養生が必要になるからといって、その分だけ引越し料金が高くなることはないので安心してください。

新築のタワーマンションでは、抽選によって順番に入居する

なお、タワーマンションでは住む人の数が非常に多いです。一つのマンションに何百人もの居住者がいることになります。

こうした人たちが入居可能日に一気に引越しするのは不可能です。そのため新築の場合、基本的には抽選によって順番に入居するようになります。

このときは管理会社が第一希望から第三希望まで聞くのが普通です。その後、スムーズに引越しできるように引越し日や引越し時間が割り当てられ、人気が高い日を第一希望にした場合は抽選になります。

新築の高層マンションへ引越しをする場合、多くの人が一気に引越しをすることになるため、エレベーター使用時間の確認予約はより大変になります。抽選が終わった後、引越し時間をずらす必要が少しでも発生した場合は、引越し期間が大幅に遅れたり深夜の引越しになったりします。

建築されて数年経過したタワーマンションでもエレベーターの予約が必要になりますが、新築の高層マンションではさらに厳密に引越し時間が管理されるようになります。

引越しをするとき、事前に管理会社の手続きに従う

高層マンションへ住むとき、このようにいくつかルールがあります。エレベーターの予約以外にも、タワーマンション独自のルールがあり、「なぜこのような意味不明な規則に従う必要があるのか」と疑問に思うことは多いです。

ただ、そのように決まっているため、そのルールに従うしかありません。そのためタワーマンションへ引っ越したり、タワーマンションから他へ引越ししたりするとき、事前に管理会社へ電話して「引越しのときにどのような手続きを取ればいいのか」を確認するようにしましょう。

引越し時のルールを確認後、引越し会社へ連絡して見積もりを依頼するといいです。タワーマンションの部屋に梱包した荷物を運ぶとき、どのような注意点があるのか引越し会社へ伝えるのです。

ちなみに、このタワーマンションでの引越しでは、引越し業者に来てもらって見積もりをもらうとき、引越し先がグレードの高いタワーマンションであることが判明したため、業者はすぐに管理会社へ電話して「トラックを駐車できるか」など、さまざまなことを確認していたといいます。

タワーマンションでは引越しで問題となる謎のルールが多いことを認識したうえで引っ越し作業を進めるようにするといいです。

引越し料金を高めに提示されることはないのか

高層マンションではよくわからないルールがあったり、多くの養生が必要だったりするため、普通の引越しよりも料金相場が高くなるのではと心配する人が多いです。実際のところ、引越しで必要な費用は普通の引越しよりも高くなってしまうのでしょうか。

養生のところでも説明しましたが、「エントランスからの距離が長い」「引越しのとき、謎のルールが設けられている」「養生の量が多い」などの理由で引越し費用が普通の引越しよりも高くなることはまずありません。

参考までに、私が引越しを手伝った人は2人(夫婦)での引越しでした。2LDKへの引越しだったのですが、このときの引越し料金は75,000円です。荷物の量はわりと多かったですが、何社もの見積もりを依頼して安い業者を選んだため、通常の費用相場よりもむしろ安い料金での引越しでした。

実際の見積もりをみせてもらいましたが、確かに75,000円であり、格安引越しを実現するために頑張って値切ったようです。

解体できない大型家具は買い替える必要がある

なお、タワーマンションで引越しをするときは注意すべき点があります。それは、「大型家具を買い替える可能性が出てくる」ことです。

ベッドや食器棚などは家具の中でも大きくなりやすいです。そのため、引越しのときは解体して運送するのが基本です。例えば、以下のような大型ベッドを解体・組立なしでタワーマンションに持ち込むのは大きすぎて不可能です。

ただ、中には解体できないベッドや食器棚が存在します。2階以上のマンションやアパートに搬入する場合、2~3万円でクレーンによる吊り上げが可能です。

ただ、タワーマンションであるとルールが非常に厳格であり、クレーンが入れないことが多いです。また、そもそも高層階であるとクレーンすら届きません。その場合、解体できない大型家具は運搬不可能です。

そうしたとき、家具を捨てて新しいベッドや食器棚を購入することを視野に入れましょう。タワーマンションに住むためには、家具類の廃棄処分が必要になることもあるのです。

タワーマンションで挨拶は不要

ちなみに、持ち家に住むようになったり、小さいアパートへ引っ越したりする場合、隣近所へ挨拶をすることがあります。タワーマンションでも同じように挨拶は必要なのでしょうか。

結論からいうと、高層マンションに住むときに挨拶はまったく必要ありません。タワーマンションに住む場合、一年以上住んだとしても隣に住んでいる人の顔すらわからないのが普通です。タワーマンションで近所付き合いは存在しないのです。

今回、引越しを手伝った金持ちの友人はこれまで何度もタワーマンションを移り住んでいる人です。そのような人でも、これまで挨拶は一度もしたことがありません。また、隣の部屋に誰が住んでいるのかもわからないのが普通のようです。

高級マンションでは構造がしっかりしているため、部屋の壁が薄くて音が漏れるなど、よくあるトラブルは起こりません。近所付き合いがなく、基本的にトラブルがなく、良い意味で挨拶を含め何のしがらみもなく住めるのがタワーマンションだといえます。

タワーマンション独自の引越しルールを把握するべき

今回はタワーマンションの引越しを手伝ったわけですが、高級マンションは非常に豪華だなと感じました。その日、引越しを手伝ったお礼として食事をおごってもらったわけですが、タワーマンションの屋上にあるレストランで食事をごちそうしていただきました。

さらに、マンションの屋上にはプールがあります。ジムやジャグジーもあるため、すぐに運動することができます。

また、引越しを手伝った部屋はかなりの高層階であり、非常に景色がいいです。東京の夜景を一望でき、なんてうらやましい場所に住むのだろうと感じました。

ただ、高層マンションへ荷造りした荷物を運ぶためには、これまで述べた通り普通ではありえないさまざまなルールが存在します。これを明確にするため、管理会社へどのような手続きが必要になるのか前もって確認するようにしましょう。

通常の引越しとは異なり、引越し会社と勝手に引越し日を決めればいいわけではありません。事前にエレベーターの予約を取ったり、トラックの駐車スペースを確保したりしなければいけないのです。

こうした手続きをすれば、スムーズにタワーマンションへ引越しすることができます。引越し費用が高くなることはないものの、管理会社とのやり取りや連絡がタワーマンションでは重要になります。早めに管理会社へ連絡し、確実に済ませてトラブルなく引越しするようにしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

おすすめの人気記事

・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術

引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。

また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。

引越し価格を安くする交渉術

・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由

多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。

この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。

引越し業者の割引は無意味

安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備

見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。

ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。

引越し業者の営業マンへの対処法

見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか

実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。

ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。

おすすめの見積もり比較サイト