家賃は毎月支払う固定費であるため、高額になるほど金銭的な負担が重くなります。そのため、引越し先の家賃はなるべく抑えたいところです。

ただ当然ながら、引越し先を家賃だけで決めることはできません。間取りや立地、設備など、さまざまな条件からあなたに合った部屋を選ぶ必要があります。

このとき、好きな時期での引越しを選べるのであれば、引越し時期を調整すればお得に希望通りの部屋へ引越すことができます。

それでは、「家賃が安くなる時期」というのは存在するのでしょうか? また、どのような時期であればお得に引越しできるのでしょうか?ここでは、賃貸物件の家賃や初期費用などを安くするための引越し時期について、コツを解説していきます。

家賃が安くなる引越し時期

一般的に、引越しの混み具合は時期によって変動します。例えば3~4月は、進学や転勤などで引越しが非常に多い時期です。また9~10月も異動が多い時期であるため、引越し件数が増えやすいです。

このような引越しが多い時期は、引越し業者の利用料金が高騰しやすいです。一方で上記以外の閑散期は引越し業者のスケジュールが空いているため、安い値段で引越しが可能です。

このような価格変動が起こるのは引越し業者の利用料金だけではありません。賃貸物件の家賃も、引越し時期によって価格が変動することがあります。

引越し閑散期は家賃が安くなりやすい

一般的に、賃貸物件の家賃は一定で変化しないと思われがちです。たしかに、家賃は食料品や消耗品などのように短期間で価格が変動することはありません。

ただ基本的に、家賃の金額は大家が決めます。そのため、大家の意向によって家賃の値段は変わります。

例えば土地の値段や維持費などが高騰した場合、家賃の設定を高く見直すことがあります。特に、人気のある物件や引越しが多い時期などは、家賃を高くしても入居者が現れやすいため、家賃が高くなりやすい傾向にあります。

一方で引越し閑散期に空室が多い場合、入居者を増やすために家賃を安く設定し直すケースがあります。賃貸物件の維持には費用がかかるため、空室が多いと赤字になりやすいからです。そのため、引越し閑散期には「家賃を安くしてでも空室を埋めたい」と考える大家が多くなります。

特に引越しの最繁忙期である3~4月を過ぎると、引越し件数がかなり少なくなります。9~10月には転勤による引越しが増えますが、新生活シーズンほどではありません。そのため、新生活シーズンを終えて入居者が現れなかった部屋は、空室期間が長く(=赤字リスクが高く)なります。

このような事態を避けるために、5月を過ぎる頃から家賃の見直しを検討する大家が増え始めます。つまり、6~8月はもっとも家賃の値下げ見直しが実行されやすいのです。

そのため、この時期に引越しをすれば、家賃が安い物件に巡り合いやすくなります。

家賃ではなく初期費用が安くなるケースもある

ただ、中には引越し閑散期で空き家があっても家賃を下げない大家もいます。すでに入居している人がいる場合、同じ条件の部屋で家賃の差が発生してしまうためです。

すでに入居している人からすれば、新しく入居した人の方が家賃が安いのは納得できません。そのため、何らかのきっかけで家賃の差が発覚するとトラブルに発展する恐れがあります。

また、新しい家賃に合わせて既存の入居者の家賃も下げるのは経営上のリスクを伴います。このような事情から、閑散期で空室があっても家賃設定を変更しない大家は多いです。

ただ家賃が変わらない場合であっても、引越し閑散期であれば賃貸物件の契約費用(初期費用)が安くなる可能性が非常に高いです。大家からしてみれば、引越し閑散期に空室を埋めてくれる可能性がある見込み客を逃したくないのは事実です。そのため家賃を値下げできない場合、初期費用を安く提示することによって入居してもらおうとするのです。

一般的に、賃貸物件を契約する際には敷金や礼金、前家賃など家賃5ヶ月分ほどの契約費用が発生します。これらはそれぞれ家賃1ヶ月分が相場であり、敷金(退去時の修繕費に充てられるお金)以外の項目は、支払いを免除されればその分だけ費用が浮きます。

中には、入居後1~2ヶ月分の家賃を免除(フリーレント)してくれる大家もいます。閑散期の賃貸契約であれば、このような初期費用の値引きによって家賃2~3ヶ月分ほどの金額を浮かせられるケースがあるのです。

そのため家賃が時期変動しない物件であっても、閑散期の引越しは金銭的なメリットが非常に大きいです。

家賃が安い時期に引越しするデメリット

ただ、家賃や初期費用が安くなる時期に引越しをするデメリットもあります。それは物件の選択肢が少なくなる点です。特に引越し閑散期には、条件のいい物件が空いていないケースが多いです。

引越しが多い時期は入居希望者が多い一方で、退去する人も多くなります。その結果、引越し繁忙期は空き部屋(または空室予定の部屋)の数が多くなりやすいです。

一方で引越し件数が少ないと、その分だけ空き部屋が発生しにくいです。そのため引越し閑散期で入居可能となっているのは、繁忙期に売れ残った部屋(=条件の悪い物件)である可能性もあります

そのため閑散期の引越しは金銭的メリットが大きい一方で、好条件の物件が見つかりにくい側面があるといえます。

物件のキープはできるのか?

このとき、中には「気に入った物件をキープして、都合の良いタイミングで引越したい」と考える人もいるでしょう。このようなことができれば、条件の良い物件を家賃が安くなってから契約したり、家賃が安くなった物件をあらかじめ抑えて転勤などのタイミングで引越したりすることが可能となります。

ただ基本的に、賃貸物件のキープは不可能です。大家からしてみれば、契約するかどうかわからない人のために空室を保持するメリットはありません。むしろ、赤字期間が長くなるリスクを伴います。

このとき、契約の意思を伝えれば、家賃の発生日(=入居日)を1ヶ月ほど遅らせてもらえるケースは多いです。ただ、1ヶ月を超えて入居を待ってもらったり、契約が確実ではない状況で空室をキープしてもらったりすることはできません。

そのため、引越し先の物件は実際に引越しをするタイミングで探し始めましょう。

家賃などを安く抑える交渉のコツ

なお前述のように、引越し閑散期の入居希望者は大家にとって逃したくない顧客です。そのため閑散期の物件探しでは、内見の段階で大家側から値引きなどの提案があるケースもあります。

また家賃や初期費用の値引き提案がない場合であっても、引越し閑散期であれば交渉次第で値引きを受けられる可能性が多いです。そのため閑散期に引越すのであれば、大家や仲介業者に家賃や初期費用の値引きについて交渉してみましょう。

ただこのとき、「安くしてくれたら契約する」というスタンスで交渉に臨むと、大家に要注意人物(=入居後にトラブルを起こすリスクが高い)と判断されて入居できなくなりやすいです。

そのため、家賃や初期費用の値下げ交渉は契約の意思が固まってから実行し、「ぜひとも入居したいと考えているが、少しだけ予算オーバーである」などと伝えましょう。このように交渉することで、家賃などの値引き交渉に成功しやすくなります。

家賃が安い時期に物件探しを行い、お得に引越しする

引越し閑散期である6~8月は、家賃設定が安くなりやすい時期です。空室期間が長くなると赤字になりやすいため、「家賃を安くしてでも入居者を見つけたい」と考える大家が増えるからです。

また家賃設定が安くならない場合であっても、閑散期の引越しであれば礼金や前家賃などの初期費用の値引きを受けやすいです。大家・仲介業者側からの値引き提案がなくても、交渉次第で初期費用の減額を実行してもらえるケースが多いので、まずは予算について相談してみましょう。

このとき、家賃や初期費用の減額交渉は契約の意思が固まってから行いましょう。「安くしてくれたら入居する」という態度で交渉に臨むと、大家から「要注意人物である」と見なされて契約できない可能性が高くなります。

なお、閑散期の引越しは選択肢(=空室)が少ないデメリットもあります。また気に入った部屋があったとしても、あなたの都合で物件をキープすることはできないので注意しましょう。これらを理解した上で、家賃が安い時期の引越しをしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

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