引越しすると多くの住所変更手続きが発生します。年金もそのうちの一つです。年金の住所変更については、加入している年金の種類によって異なります。そのため年金の引越し手続きを考えたとき、まずは自分の加入している年金の種類を把握する必要があります。

このとき年金関係の住所変更を行わなくても、ただちに困ることはありません。そのため、年金の住所変更手続きを後回しにして忘れてしまう人が多いです。

それでは、年金の住所変更を忘れるとどうなるのでしょうか? また、年金の登録住所はどのようにして変更すればいいのでしょうか?

ここでは、引越し時に年金の登録住所を変更する方法と住所変更を行わないリスク・デメリットについて解説していきます。

年金の住所変更手続き

引越しをしたら14日以内に住民票を移すことが法律で定められています。これと同様に、年金の住所変更も引越しから14日以内に行わなければなりません。

このとき、特別な理由なしに住民票の引越し手続きを怠ったことが判明すると、5万円以下の過料が科されるケースがあります。

これに対して年金の住所変更には期日が設けられているものの罰則はありません。そのため引越したタイミングで手続きしないと、年金の住所変更手続きを忘れてしまいがちです。

ただ「罰則がないから」といって年金の登録住所を旧住所のままにしていると、年金についての書類が自宅に届かなくなります。自分で年金保険料を支払っている場合、納付書を入手できないことになります。

納付書が届かないことによって年金保険料の未納期間が発生すると、その分だけ受け取る年金が少なくなります。また年金保険料の納付は日本国民の義務であるため、未納期間が長くなると延滞金が加算された請求(催告状)が来ます。未納を続けていると、財産が差し押さえられるケースもあります。

年金の住所変更を行わないと、余計なお金を支払わなければならない事態に陥るリスクがあるのです。そのため面倒くさいからと言って後回しにせず、年金の住所変更は引越し後すぐに行いましょう。

なお年金手帳の住所欄については、あなた自身の手で新住所を書きこめば住所変更が完了します。なお所持している年金手帳が青色の場合、住所変更欄そのものが存在せず、住所変更の必要性もないのでそのままにしておきましょう。

保険の区分で手続き内容が異なる

また年金には「国民年金のみ加入している人(=第1号被保険者)」「国民年金と厚生年金・共済組合に加入している人(=第2号被保険者)」「第2号被保険者に扶養されている配偶者(=第3号被保険者)」の3つの区分があります。

これらのうち、第2号被保険者には会社員や公務員などが当てはまります。またアルバイト・パート従業員であっても、一定以上の年収があれば第2号被保険者となります。具体的には、以下の写真のように給料から「厚生年金保険料」が天引き(控除)されていれば第2号被保険者です。

第2号被保険者は会社を通して年金保険料を支払っているため、会社側で年金の住所変更手続きを行います。厚生年金保険(健康保険)被保険者住所変更届という書類に必要事項を記入して、会社の総務部や人事部などに提出しましょう。

また同様に、第3号被保険者の住所変更も、扶養者(第2号被保険者)が会社に書類を提出して行うことになります。配偶者と一緒に引越した場合、第2号被保険者が自身の住所変更と一緒に手続きすれば問題ありません。

国民年金のみに加入している人(第1号被保険者)の年金手続き

一方で年金保険料を自分で支払っている第1号被保険者は、年金関連の手続きのすべてを自分で行わなければなりません。

このとき、国民年金の情報がマイナンバーと紐づけられている人は、引越し時に転出届や転入届、転居届を提出すれば国民年金の住所も自動的に変更されます。そのため第1号被保険者で引越しをしたとしても、マイナンバーとの紐づけが完了している場合、特に手続きをする必要はありません。

一方で国民年金をマイナンバーと紐づけていない人は、住民票の引越し手続きとは別に年金の住所変更手続きを行う必要があります。年金の住所変更は市区町村の役所内にある国民年金の窓口で行うことができます。

引越し後には住民票や印鑑登録、健康保険など役所で行う引越し手続きが数多くあるため、このタイミングで年金の住所変更も済ませてしまいましょう。

国民年金の住所変更で必要となる書類

なお、国民年金の住所変更では以下の書類が必要となります。

  • 住所変更届出書
  • 基礎年金番号がわかる書類
  • 本人確認書類

これらのうち、住所変更の届出書は役所にあるため事前の準備は必要ありません。また基礎年金番号は年金手帳基礎年金番号通知書、年金定期便などに記載されています。以下は、年金手帳の2ページ目の写真です。

ここには10桁の基礎年金番号が記されています。年金の住所変更ではここに記載されている番号が必要となるため、年金手帳や基礎年金番号通知書などを忘れずに持参しましょう。

また年金の住所変更で使用する本人確認書類については、運転免許証やマイナンバーカードで対応可能です。これらを持ち合わせていない人は、年金手帳または基礎年金番号通知書と健康保険証を合わせて提出すればいいです。

なお年金の住所変更を届け出る際にマイナンバーを記入して提出しておくと、次の引越しで年金の住所変更手続きが不要となります。そのため可能であればマイナンバーがわかる書類を持参し、書類に記入しておくといいです。

年金手帳を紛失した場合の住所変更

ただ、年金手帳は就職・退職や国民年金の住所変更などでしか使用しません。そのため、年金手帳が必要となったときに所在が分からなくなっている人は非常に多いです。このような場合、どうすればいいのでしょうか?

まず、年金手帳や基礎年金番号通知書は将来年金を受け取る際に必要となる重要な書類です。そのため、これら書類を紛失しているのであれば、再交付の手続きを行う必要があります。

年金手帳(基礎年金番号通知書)の再交付は市区町村の役所で行うことができます。必要書類は運転免許証などの本人確認書類のみです。手数料もかかりません。

また、年金手帳や基礎年金番号通知書の再交付手続きの際には、国民年金の住所変更も同時に行うことができます。そのため手元に年金手帳や基礎年金番号通知書などがない場合、国民年金の窓口で「年金手帳・基礎年金番号通知書の再交付と住所変更を行いたい」と伝えましょう。

引越しても年金保険料の免除手続きをやり直す必要はない

なお、中には年金保険料の免除申請を行っている人もいるでしょう。保険料の支払い免除を受けると、保険料が減額(またはゼロ)になります。

このとき、年金保険料の免除が解けると年間で20万円ほどの支払い義務が発生します。そのため保険料の免除を受けている人は、引越しによって免除が解除されないか心配になることでしょう。

結論からいうと、引越しによって居住する市区町村が変わっても、保険料の免除は継続されます。国民年金の窓口は役所にあるものの、年金の運営・管理を行っているのは「国民年金機構」という全国的な組織であるためです。

国民年金機構は、住所ではなく基礎年金番号で被保険者を管理しています。基本的に、割り振られた基礎年金番号は生涯を通して変わりません。そのため、異なる市区町村へ引越しても保険料の免除は継続されます。

参考までに以下は、高山市の公式サイトに記載されている国民年金についてのQ&Aです。

ここには、年度の途中で市外へ引越しても住民票を移せば年金保険料の免除が継続されると記載されています。そのため、引越し後に改めて免除の手続きを行い直す必要はなく、免除が解除される心配もいらないことを覚えておきましょう。

手続きしたのに年金書類の住所変更が反映されていない理由

ただ、年金の住所変更手続きを終えたらすぐに年金関連の郵便物が新住所に届くようになるわけではありません。年金の登録住所が変更されるまでには、数週間ほどの期間を必要とするためです。長い場合だと約2ヶ月かかるケースもあります。

このような事情から、住所変更手続きから1~2ヶ月の間は年金関連の郵便物が新住所に届きません。そのため引越し直後には忘れずに郵便物の転送手続きを行い、年金関係の郵便物が自宅に届かないといった事態を避けるようにしましょう。

一方で手続きから2ヶ月が経過しているにも関わらず新居へ年金関連の郵便物が届かない場合、年金の登録住所が正しく変更されていない可能性が高いです。このような場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。

この場合、マイナンバーと年金が紐づけられていない可能性が考えられます。前述のように、年金がマイナンバーと紐づけされている場合、マイナンバーの引越し手続きをすれば年金の登録住所も変更されます。

ただ、年金関連の正式書類にマイナンバーを記入しないとマイナンバーと年金の紐づけは行われません。そのため「手元にマイナンバーがわかる書類がなかった」などの理由で、年金のマイナンバー登録書類を返送しなかったり個人番号を空欄で提出したりしていると、年金とマイナンバーが紐づけされないままになります。

このとき、年金へのマイナンバー登録を行わなくても特に問題は起こりません。そのため「マイナンバーが登録されているはずだから、年金の住所変更手続きは必要ない」と考える人の中には、年金とマイナンバーの紐づけが完了していないケースがあるのです。

年金とマイナンバーの登録状況は、国民年金機構のホームページ(ねんきんネット)で確認できます。そのため年金関連の書類が新住所に届かない状況になっているのであれば、マイナンバーとの紐づけ状況を確認してみましょう。

なお、ねんきんネットにはマイナンバーでログインすることができます。ただマイナンバーを利用してねんきんネットにログインしても、マイナンバーが年金情報と紐づけされるわけではないので注意しましょう。

納付書の住所が古くても使用できるのか?

なお、住所変更がされてなかったり住所変更のタイミングが遅かったりすると、転送などによって自宅に届く年金の納付書に記載される住所が古いままとなります。このような場合、旧住所が記載された納付書を使用できるか不安になることでしょう。

結論からいうと、納付書に記載されている住所が古いままでも問題なく年金保険料を支払うことができます。前述のように、年金関連の情報は住所ではなく基礎年金番号で管理されているためです。

そのため、旧住所宛てに届いた納付書で年金保険料を支払っても問題は起きません。また新住所宛てに2通目の納付書が届くこともないので、手元に届いた納付書で保険料を納めましょう。

年金の引越し手続きを正しく行い、未納を防ぐ

引越したら年金の引越し手続きを行わなくてはなりません。年金の住所変更手続きについては、加入している年金の区分によって異なります。

具体的には、会社などを通して年金を支払っている人(第2号被保険者)と第2号被保険者に扶養されている配偶者は、勤め先で年金の住所変更を行います。

一方で学生や自営業などの第1号被保険者は自分で住所変更手続きを行う必要があります。年金手帳や基礎年金番号通知書などを持参すれば引越し先の役所で住所変更ができるので、転居届・転入届を提出する際に一緒に手続きしましょう。

このとき、マイナンバーと年金が紐づけされている人は、第1号被保険者であっても年金の住所変更手続きは不要です。また年金保険料の免除を受けている人が引越し後に免除を申請し直す必要もありません。このようにして年金の引越し手続きを進めましょう。


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