引越しでは荷物を極力減らすために、新居で使わない品物は処分するのが基本です。これは、物干し竿などの大型荷物であっても同様です。ただ、物干し竿は一般的な荷物と比べて捨て方が異なるため、処分に手間がかかります。

また、物干し竿を新居へ運ぶ予定だったものの、引越し時に運搬モレが発生してしまうケースは多いです。引越し作業を終えた後に物干し竿の運び忘れが発覚した場合、自力で運んだり別途輸送したりしなければなりません。

このようなことから「物干し竿であれば次の入居者が使えるから、部屋に置いたまま引っ越したい」と考える人は多いです。

それでは、物干し竿はどのようにして処分すればいいのでしょうか? また、物干し竿を旧居に置いていくことは可能なのでしょうか? ここでは、引越しの際に物干し竿が不要となったときの処分方法などについて解説していきます。

旧居に物干し竿を置いていくことはできない

引越し前に問題なく使用していたものであっても、新居だと使い道がなくなるケースがあります。このようなケースの代表的な例が物干し竿です。新居の竿掛けにサイズが合わないと物干し竿を設置することができません。これは竿掛けよりも長すぎる場合も同様です。

このとき、新居で使用できなくても旧居であれば引き続き利用できます。いま使用している物干し竿を置いていけば、次の入居者が物干し竿を購入する必要がなくなるため良いことづくしのように思えます。

ただ基本的には、賃貸物件にあなたの私物を置いたまま引越しすることはできません。賃貸物件の借主には部屋を元に戻して退去する義務(=原状回復の義務)があるためです。

また大家からしてみると、前の入居者が置いていった残置物は勝手に廃棄できません。残置物の所有権はあくまで前の入居者(=あなた)となるため、残地物によって新しい入居者とトラブルになると非常に面倒なことになります。このようなことから、有用な品目であっても退去者にはすべての荷物を持って行くことを大家・管理会社は求めます。

そのため引越し前に部屋になかった品物(=私物の物干し竿)は、次の入居者が使用できそうな物であっても退去時に撤去するのが基本です。

物干し竿を運び忘れた場合、どうしたらいいのか?

ただ中には、引越し時に物干し竿を運び忘れた人もいるでしょう。物干し竿はベランダなどに置いておくため、引越しの際に運び忘れてしまうケースは多いです。

このとき物干し竿の運び忘れに気付いたのが退去の立ち合い前であれば、退去日までに物干し竿を撤去すれば問題ありません。時間のある日に自力で新居まで運んでもいいですし、梱包して新居へ発送する手段もあります。物干し竿が不要なのであれば、旧居で廃棄しても問題ありません。

一方で立ち合い時に物干し竿の運び忘れに気付いた場合、仮に徒歩で物干し竿を持ち運ぶのが困難な状況であっても、立ち合い時に撤去することを求められます。退去の立ち合いでは部屋を空っぽにしなければならないためです。

ただ中には、立ち合い時の確認モレによって物干し竿の運び忘れに気付くのが退去手続き後となるケースがあります。このような場合、退去手続き後にあなたが部屋に入ることはできないため、日程を合わせて取りに行くか大家や管理会社に忘れ物の輸送・処分を行ってもらう必要があります。

このとき、退去立ち合い時に気付かなかった落ち度があることから大家・管理会社が撤去費用を負担するケースが多いです。ただ、契約書に「残置物の処分は借主が費用負担する」と明記されている場合、処分費用が請求されます。

自力であれば数百円ほどで処分できる品物であっても、大家・管理会社に撤去を任せると業者の手配などによって数千円ほどの撤去費用を請求されるケースがあります。

そのため物干し竿の処分費用があなた負担となるのであれば、旧居へ取りに行くことをおすすめします。また物干し竿を新居で使用する場合、着払いで送ってもらうことも検討しましょう。

物干し竿の運び方と捨て方

それでは旧居に物干し竿を置き忘れてしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか?

まず物干し竿を新居に運ぶ場合、「自力で運ぶ」「運送業者に送ってもらう」の2択があります。自家用車や知り合いの車を利用できるのであれば、物干し竿を車に積み込んで新居まで運びましょう。

一方で自由に使用できる車がない場合、運送業者に輸送を依頼することになります。このとき業者や物干し竿の長さによっては、サイズオーバーで運べないケースがあるため注意が必要です。

例えば以下は、日本郵便のゆうパックで送れる荷物の大きさについてです。

ここには、ゆうパックで運送できるのは3辺の合計が170cmまでの荷物と記されています。そのため、物干し竿の長さによってはゆうパックを利用することができません。

一方で以下は、ヤマト運輸で送れる荷物のサイズ表です。

このように、ヤマト運輸では3辺合計が200cm以下であれば宅急便、3辺合計が450cm以下であればらくらく家財宅急便を利用できます。そのため物干し竿を新居へ送る際には、サイズを測った上で輸送業者を選びましょう。

なお、物干し竿を送る際には梱包が必要です。まずは以下のように、養生テープなどで物干し竿を1つにまとめましょう。

その後、緩衝材やダンボールなどを巻いてガムテープで固定します。きれいに梱包しなくても、中身が露出していない状態になれば輸送可能なので、引越しで余った資材などを活用しましょう。

大型ごみとして捨てる

ただ、物干し竿はそれほど高価なものではありません。そのため運送業者に輸送を依頼する場合、購入費用よりも輸送費の方が高額になる可能性が高いです。そのため特殊なタイプの物干し竿でない限り、旧居地域で処分してしまうのが賢明です。

このとき、物干し竿は大型ごみとして捨てるのが基本です。大型ごみとして捨てる場合、地域のごみ処理センターなどに連絡した上で、コンビニエンスストアなどで購入できるごみ処理券を添付し、指定の日にごみとして出します。地域によって処分費用は異なりますが、数百円ほどで処分できるケースが多いです。

ただ退去手続き後に物干し竿を捨てる場合、回収日まで退去後の住居(=住んでいない住居)に大型ごみを置いておくことになります。

そのため大家や管理会社に「〇日に大型ごみとして回収されるので、一時的に置かせてもらえないか」と相談しましょう。大型ごみ回収の手配をあなたが行うのであれば、了承してもらえるケースが多いです。断られた場合、新居地域で大型ごみとして処分しましょう。

また物干し竿の長さや地域のごみルールによっては、物干し竿を燃えないごみとして捨てられるケースもあります。事前に旧居地域のごみ処理ルールを確認してから処分方法を考えましょう。

なおコンクリートの土台が付いた物干し台の場合、地域によってはごみとして処分できないケースがあります。このような場合、不用品回収業者などに処分を依頼する必要があるので覚えておきましょう。

金属ごみとして捨てれば無料で処分できる

また住んでいる地域にリサイクル回収ボックスなどがある場合、物干し竿を金属ごみとして無料で処分できるケースもあります。例えば以下は、北海道にある金属製品の回収ボックスです。

このような回収ボックスを利用すれば、費用をかけずに物干し竿を処分できます。

このとき、物干し竿を回収ボックスまで徒歩で持ち運ぶのは難しいです。ただ中には、物干し竿を運べる自家用車を所持していない人もいるでしょう。

このような場合、レンタカーを手配して運ぶのが一般的です。ただ旧居と新居が近く、収納家具などの購入予定があるのであれば、ホームセンターで買い物をして軽トラを無料で借りる手段がおすすめです。

ホームセンターで大型の荷物を購入すると、1~2時間ほど軽トラックを借りられるケースが多いです。このとき、買い物した荷物を運ぶついでに物干し竿を処分しに行けば、車を有料で手配する必要がなくなります。

なお短めの物干し竿や伸縮可能タイプであれば、タクシーで運搬できるケースがあります。物干し竿のサイズを確認してタクシー会社に相談してみましょう。

リサイクルシステムを活用して無料で譲る

このとき、中には不要となった物干し竿を売って処分したいと考える人もいるでしょう。不用品が売れれば処分費用がかからないだけでなく、引越し費用の足しにすることもできるためです。

ただ結論からいうと、物干し竿をリサイクルショップなどで売るのは難しいです。そもそも物干し竿は安価で販売されている上に、屋外など雨や日光の影響を受ける場所で使用するため状態が悪くなりやすいためです。そのため、ほぼ新品などの好条件でなければリサイクルショップでは買い取ってもらえないと思った方がいいです。

ただ地域のリサイクル掲示板などを利用すれば、物干し竿をリサイクルできる可能性があります。例えば以下は、大手の地域コミュニティサイトです。

このようなリサイクルシステムを利用すれば、お金をかけずに物干し竿を処分することができます。

ただ当然ながら、このようなサイトを利用してもすぐに貰い手が現れるとは限りません。また、有料に設定すると貰い手が現れにくいので、あくまで費用をかけずに処分する(=無料でゆずる)ことを目的にしましょう。

引越し時には物干し竿を撤去する必要がある

賃貸物件の借主には原状回復義務があるため、入居前に存在しなかった荷物はすべて撤去して退去する必要があります。そのため物干し竿のような「次の入居者が使用できそうな品物」であっても、あなたの私物はすべて引越しの際に旧居から運び出さなければいけません。

ただ物干し竿はベランダに置いているため、忘れたまま引越しするケースは非常に多いです。このような場合、旧居へ物干し竿を取りに行ったり、大家・管理会社に対処を依頼したりする必要があります。

このとき大家・管理会社に物干し竿を処分してもらう場合、業者による作業が入って処分費用が高くつきやすいです。そのため旧居地域へ戻れる環境なのであれば、自分で処分しに行くことをおすすめします。

なお物干し竿は大型ごみとして捨てるのが一般的です。このとき金属ごみの回収ボックスや地域のリサイクルシステムを利用すれば、費用をかけずに処分することができます。これが旧居に物干し竿を置いていってしまった際の対処方法です。


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