引越しをするとき、いま勤めている会社に報告しなければいけないのか悩む人は多いです。引越しの事実を伝えるのが面倒であったり、上司にいろいろ詮索されるのが耐えられなかったりするため、できることなら内緒にして引越ししたいものです。

ただ、少なくとも会社の総務(または人事)には必ず引越しすることを報告しなければいけません。これは、引越しに伴って行うべき手続きがあるからです。上司はともかく、総務・人事に「報告しない」という選択をすると、後で不都合な事態が起こります。

それでは、どの時期にどういう必要な手続きをすればいいのでしょうか。ここでは、引越しの事実を職場に報告しなければいけない理由やスムーズに引越しを完了させる方法について解説していきます。

会社で必要な手続き

引越しをするとき、住民票を移す人は多いです。住民票を移す場合、必ず職場へ報告するようにしましょう。このときの報告先は総務(または人事)になります。一般的には、会社の総務が手続きを受け付けています。

なぜ、必ず会社へ報告する必要があるのでしょうか。これは、会社が社会保険や年金などあらゆることを代行してくれているからです。

会社が代わりに行ってくれている業務としては、主なものは以下のことがあります。

  • 税金の支払い(源泉徴収、年末調整など)
  • 社会保険料(健康保険料、年金保険料)の支払い

もし、職場に何も伝えずに引越しをした場合は不都合な事態が起こります。例えば、異なる市区町村へ引越しをするとします。このとき、会社はあなたに代わって住民税の支払いをします。住民税には市民税や区民税があり、あなたの住んでいる市区町村へ住民税を払ってくれます。

このとき、異なる市区町村へ引越しをして住民票を移している場合、総務へ引越しを連絡していなかった場合、役所から「この人は住民票を他の地域に移しているため、管轄が違う」という報告が入ります。つまり、報告せずに勝手に引越しをしたことが会社にバレます。

また、納税は日本国民の義務であるため、必ずいま住んでいる場所(住民票の住所)を報告し直さなければいけません。結局のところ総務(または人事)へは必ず報告しなければいけないため、早めに引越し先の住所を報告しておいた方がいいです。

市民税(区民税)や県民税など、住民税の支払いでは以下のように必ず現住所の記載欄があります。ここが正しくないと税金の支払いができないため、総務が正確な住所を記載できるようにしておく必要があります。

さらに、サラリーマンや公務員であると、一年間の給料(所得)を元に所得税を決定する年末調整をする必要があり、このときも必ず現住所を記載しなければいけません。昔の住所を記載すると面倒な手続きが必要になるため、正しい住所の記載が必要です。

要は、会社に報告しなくてもいつかバレます。引越しを報告しなければ、総務からは無駄な手続きが増えて「あの人は引越しをした事実を報告しない常識のない人」と思われてしまいます。これを避けるため、会社への報告は必須です。

単身・一人暮らしならまだいいですが、家族の引越しで扶養者がいる場合となると、手続きは非常に複雑になります。会社に引越しを伝えないと、後で非常に面倒な作業が待つことになります。

交通費(通勤手当)の受取金額を変える必要がある

多くの会社が交通費(通勤手当)の規定を設けています。このとき、会社からより遠い場所へ引越しをするのであれば、交通費は多く支払われるように変えなければいけません。通勤時間や距離などによって交通費の支給規定があるため、総務に転居届を出して所定の手続きを取るようにしましょう。

これは、会社に近い場所へ引越しをした場合も同様です。交通費は少なくなりますが、総務へ引越し日や引越し先の住所を伝えて正しい交通費に直してもらうようにしましょう。総務へ電話やメールをすれば、どのような書類を提出すればいいのか教えてくれるはずです。

例えば私がかつて在籍していた職場の場合、以下のような書類を提出する必要がありました。

申請理由に「住所変更」があるため、ここに〇をした後に現住所や1ヵ月の定期代など、交通費を記載して申請するようになります。

もし、引越ししたことを会社へ報告せずに高い通勤手当をもらい続ける場合、それは業務上横領に当たります。要は、会社のお金をだまし取っていることになるのです。

「引越しの報告をしなければいけないことがわからなかった」という言い訳は通じません。会社は多めに支払った交通費を返還請求する権利がありますし、多めの交通費が給与明細に書かれるので「知らなかった」という言い訳は明らかに不自然です。

最悪の場合は懲戒処分になるため、正直に引越しした事実を伝えるようにしましょう。引越しの事実は将来的に必ずバレるため、早めに報告するといいです。

引越しを報告するタイミング・時期

それでは、いつ誰にどのような方法で引越しを報告すればいいのでしょうか。これには、以下のようにするといいです。

・いつ報告すればいいのか

引越しを総務(または人事)へ報告するタイミングとしては、引越し先と引越し日が決まったときがいいです。

引越し先が決まらなければもちろん住所変更できませんし、引越し日がわからなければいつ手続きを報告すればいいのかわかりません。そのため、引越し先と引越し日が決まったタイミングで総務へ連絡するようにしましょう。

メールや電話などで報告すれば問題ありません。

・報告の期限

総務への報告時期については、早ければ早いほどいいです。できれば引越し前に報告するようにしましょう。

また、仮に引越し後の報告になってしまったとしても、2~3日以内には総務へ引越し先の住所を伝えるといいです。どれだけ遅くても1週間以内には伝えましょう。

社内での必要な提出書類を聞き、書類を記載して出すとなると時間がかかります。公的書類については総務が代わりに行ってくれますが、総務への必要書類の提出では「引越しをして〇日までに提出する」などの期限が設けられていることがあるため、早めに対処するといいです。

なお、特別な事情があったり忘れたりして総務への報告が遅れてしまった場合、お詫びをしたうえで早めに手続きをしなければいけません。

上司へは報告しなければいけないのか

総務や人事へ引越し日や引越し先の住所を必ず伝えなければいけないことはわかりました。それでは、一緒に働く会社の上司や同僚についてはどうなのでしょうか。

一般的には、上司についても引越しを報告するのが基本です。このときは引越し先の住所を詳細に伝える必要はなく、ザックリとした住所を報告すれば問題ありません。例えば、「5月20日から横浜市に住むことになりました。前の住所よりも会社に近くなります」のような感じです。

一緒に仕事をする上司や同僚にメールで報告するのは失礼に当たるため、必ず対面で報告するようにしましょう。

公的な手続きが必要な総務とは異なり、上司や同僚への引越し報告は「これからの仕事を円滑にするコミュニケーションの一つ」です。飲みの場でもいいので、軽い気持ちで伝えるといいです。

引越しの事実を上司に知られたくない場合の考え方

ただ、中には上司に引越しをした事実を知られたくないケースがあると思います。例えば、同棲することになったので引越しする場合、上司から「同棲するのか! 相手は誰だ」というような無駄な詮索をされたくありません。

また、上司に引越し理由を聞かれるのが面倒だと考える人は多いです。「なんでそんな場所に引越しするんだ?」などのように尋ねられたくないと思うのは普通です。

上司に引越しを知られたくない理由は人それぞれです。こうしたとき、無理に引越しを伝える必要はありません。

総務への報告は税金の支払いや社会保険料支払いなどの観点から必須であっても、上司への報告は義務ではありません。プライベートなことを伝える必要はなくその人の判断によるため、無理に報告しなくても大丈夫です。

・年賀状の問題は考慮すべき

上司への報告を回避したとしても、いずれ問題になるものとして年賀状があります。多くの会社では、いまも上司へ年賀状を出す習慣があります。

私は非常に面倒くさがりな性格なので、可能な限り年賀状を出したくありません。時間と労力の無駄だからです。ただ、会社員であると上司に年賀状を出さないわけにはいかない場合もあるでしょう。私も嫌々ながら年賀状を出し、同時に以下のように年賀状が届きます。

年賀状を出すとなると、事前に上司へ引越し先の住所を伝えなければいけません。年賀状が届いたときに「あれっ、この人は引越しをして住所が変わったのか」と思われてはいけません。それでは、失礼な人だと思われます。

年賀状送受の習慣がある場合、事後報告にはなりますが12月になったときに面倒でも上司へ住所変更のことを伝えるようにしましょう。このときは、「そういえばかなり前に引越しをしたのですが、伝えていましたっけ?」などのようにとぼけながら聞くといいです。

会社にも引越し住所を知られたくないときの対処法

なお、上司だけでなく会社にも住所を知らせたくない場合はどうすればいいのでしょうか。先ほど、総務の引越し連絡は必須だと解説しましたが、一つだけ例外があります。それは、「いままで実家に住んでいたが、初めて単身での一人暮らしを始める場合」です。

それまで実家暮らしであったのであれば、住民票は当然ながら実家にあります。また、住民票を移動させなくても、勝手に賃貸マンションを契約して一人暮らしを始めることは可能であるため、住民票を実家のままにしておき、年末調整などの書類に実家の住所を記載するようにすれば何も問題は起こりません。

会社から実家に送られてくる書類についても、実家から単身引越しをした先の住所に郵送してもらえばいいです。また、年賀状を送ってもらう住所も実家のままで大丈夫です。

このように、それまで実家暮らしをしていた人が引越しをする場合、例外的に会社にも上司にも報告しなくて問題ありません。ただ、総務に報告しない場合は交通費の支給が正しくないため、通勤手当の面でデメリットがあることは理解しなければいけません。

職場へ報告し、引越しを完了させる

引越しをするとき、さまざまな手続きが必要になります。このとき、サラリーマンは会社への報告を怠ってはいけません。

「同棲を知られたくない」「こっそり引越しをして住む場所を変えたい」など、たとえ引越しを内緒にしたい場合であっても、報告しないのは上司や同僚までにしましょう。総務に報告しないと後で大きな問題になりますし、確実に引越しがバレて最終的には正しい住所を伝えなければいけなくなります。

いつ報告するべきなのかというと、引越し先の住所や引越し日が決まったタイミングで総務へ伝えるといいです。引越し後であっても、早めにメールや電話などで引越しの事実を教えるようにしましょう。

会社への報告なしで問題が起こらないのは「それまで実家暮らしであり、初めて一人暮らしをするケース」のみです。それ以外の人はいかなる理由があっても、総務へは連絡するといいです。

上司に報告するかどうかは人によって異なりますが、一般的には報告するのが普通です。報告したくなくても、年賀状の時期には引越し先の住所を伝えるようにしましょう。

サラリーマンで避けて通れないのが引越しでの報告です。転勤など会社命令なら全社員に伝わるので隠す必要はないものの、個人的に引越しする場合は会社へ報告するべきなのか迷います。ただ、総務へは必ず連絡しないといけないことを理解したうえで引越し作業を進めるようにしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

おすすめの人気記事

・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術

引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。

また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。

引越し価格を安くする交渉術

・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由

多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。

この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。

引越し業者の割引は無意味

安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備

見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。

ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。

引越し業者の営業マンへの対処法

見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか

実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。

ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。

おすすめの見積もり比較サイト