引越しをしたとき、運転免許証の住所変更が必要なことは説明するまでもありません。運転免許証は身分証明書として有用なため、引越し後すぐに住所変更の手続きを済ませる人が多いです。

ただ引越しをすると、運転免許証の住所変更以外にもさまざまな手続きが必要となります。これを怠ると罰則の対象となるだけでなく、金銭的な実害が発生する可能性があります。

それでは、自動車を所有している人が引越した際には、どのような手続きが必要なのでしょうか? また自動車の引越し手続きを済ませないと、どのような問題が起こるのでしょうか?

ここでは、引越しに伴う普通自動車の手続きについて解説していきます。

車の引越し手続きに備えて住民票をもらっておく

まず、引越し作業を終えたら、印鑑とマイナンバーに関する書類を持参し、役所で住民票の移動を行います。

このとき普通自動車の引越し手続きでは、新居の住民票が必要となります。そのため車を所有している人は、住民票の移動手続きの際に新居の住民票を発行してもらいましょう。

役所で住民票を受け取ったら、以下の順番で自動車関連の手続きを進めていくことになります。

  1. 車庫証明の取得
  2. 免許証の住所変更
  3. 車検証の住所変更
  4. 任意・自賠責保険の住所変更

以下で一つずつ詳しく解説していきます。

警察署で車庫証明と免許の住所変更を行う

役所で住民票の変更・発行手続きを終えたら、まずは警察署で車庫証明の取得免許証の住所変更を行います。

これらのうち免許証の住所変更には、住民票や保険証など新しい住所がわかる書類と運転免許証が必要です。手数料や顔写真の撮影などは発生しません。

また、運転免許証の住所変更は期限が定められていません。免許の更新時期までに住所変更を終えないと更新できず免許失効するリスクはありますが、急いで行う必要はありません。

一方で、車庫証明の取得は早めに申請を済ませる必要があります。

警察署で発行してもらった車庫証明は、陸運局(運輸支局)で行う車検証の住所変更に必要となります。このとき、車検証の住所変更は引越しから15日以内に済ませることが義務付けられています。

ただ、車庫証明の発行には申請から3~7日かかります。そのため車庫証明の申請手続きが遅くなると、期限内に車検証の住所変更を済ませられなくなる可能性があります。

そのため引越し後、役所での手続きを終えたら、なるべく早く車庫証明の取得手続きを進めましょう。

必要書類を記入してから車庫証明手続きへ出向く

車庫証明の手続きは引越し先住所を管轄する警察署で行います。住居と駐車場の管轄が異なる場合、駐車場を管轄する警察署に出向くことになります。

なお、車庫証明の申請手続きに必要な書類・費用は以下の通りです。

  • 自動車保管場所証明申請書
  • 保管場所標章交付申請書
  • 保管場所の所在図・配置図
  • 自認書または保管場所使用承諾証明書
  • 印鑑
  • 手数料(合計で2,600~2,750円ほど)

これらのうち、自動車保管場所証明申請書と保管場所標章交付申請書は、警察署へ出向いたときにその場で受け取り・記入することができます。

ただ、これらの書類には車のメーカーや型式などを記入する欄があります。基本的には車検証を見ながら作成することになるため、現地で記入すると手続きに時間がかかります。また車検証を忘れてしまうと、必要書類が作成できずに無駄足を踏んでしまう可能性もあります。

さらに駐車場を賃貸する場合、駐車場のオーナーや管理会社に記入してもらう書類があります。分譲マンションだと、物件平面図を見ないと書類を作成できません。

そのため車庫証明手続きの際には、必要書類をダウンロード・印刷し、あらかじめ記入してから警察署へ出向くことをおすすめします。

なお車庫証明の申請手続きに必要な書類は、警視庁のホームページですべてダウンロード・印刷できます。以下は警視庁サイトの保管場所証明申請手続きのページです。

ここには車庫証明手続きに必要な書類がすべて記載されています。pdfファイルだけでなく、エクセルファイルも記載されているため、パソコンなどで入力して印刷することも可能です。

以下に、書類の記入方法について解説していきます。

・自動車保管場所証明申請書と保管場所標章交付申請書

自動車保管場所証明申請書保管場所標章交付申請書には、車検証に記載されている情報とあなたの引越し後住所を記入します。駐車場の位置が異なる場合は駐車場住所も必要です。

例えば以下は、警視庁ホームページに記載されている自動車保管場所証明申請書の様式です。

これらの記入欄のうちオレンジ枠には、車検証に書いてある情報を記します。また青枠部分には、新居・駐車場の住所を記入します。赤枠のところには車を所有している人の氏名や住所などを記載します。

このとき、書類に記す住所は住民票の記載と同じにする必要があります。そのため保管場所証明申請書の住所欄は、住民票を見ながら記入しましょう。

なお、保管場所標章交付申請書も同じ内容を記入することになります。様式もほとんど一緒であるため、上の画像を参考にしてください。

・保管場所の所在図・配置図の作成方法

なお車庫証明を取得するためには、車を保管する駐車場が自宅から2km以内である必要があります。これを満たしていることを証明するのが保管場所の所在図・配置図です。

この書類には、自宅と駐車場の距離や駐車場の配置・寸法などを記入する必要があります。以下は、警視庁ホームページに記載されている保管場所の所在図・配置図の様式です。

このような書式の用紙に、それぞれ駐車場の所在地と配置図を記入します。以下は、所在地の記入例です。

この画像のように、自宅と駐車場の位置関係を地図で記し、直線距離を記入します。直線距離はYahoo!地図の距離計測を利用すると簡単に調べることができます。

このとき、自宅と駐車場の住所が同じ場合、所在図の記入は必要ありません。配置図のみ記入して提出することになります。以下は配置図の記入例です。

このように配置図には、駐車場の配置と寸法、出口の道路幅などを記入します。賃貸物件の場合、オーナーや管理会社が配置図を用意しているケースが多いです。分譲マンションだと、物件購入時に渡される平面図に記載されています。

一方で戸建て住居だと、駐車場の幅などを自分で測る必要があります。ただ正確に細かく測る必要はないので、おおよその長さを記入すれば問題ありません。

・自認書または保管場所使用承諾証明書

また車庫証明を取得するためには、駐車場を使う権利があることを証明できる書類が必要です。

例えば持ち家への引越しであれば、駐車場を所有していることを証明する自認書を提出すればいいです。以下のような書式で作成することになります。

一方で賃貸物件であれば、物件のオーナーに保管場所使用承諾証明書を記入してもらう必要があります。警視庁で掲示されている様式は以下のようになります。

ただ基本的には、駐車場を管理しているオーナー・管理会社は、保管場所使用承諾証明書を発行する必要があることを理解しています。そのため車庫証明を取得することを伝えれば、オーナー・管理会社側で用意してくれるケースがほとんどです。

また、物件や駐車場などの賃貸契約書に「駐車場の位置番号などの必要情報」が記されている場合、契約書のコピーを提出しても問題ありません。

車庫証明手続きをしないとどうなるのか?

なお、車庫証明の取得手続きは引越しのときだけでなく、車の購入時にも行います。そのため車を購入した際に自分で車庫証明を取得した人であれば、難なく手続きを完了させられるでしょう。また、車庫証明の重要性も理解しているはずです。

ただ車を購入するときには、ディーラーなどが車庫証明申請を代行してくれるケースが多いです。そのため「車庫証明がどのような手続きなのか」「車庫証明を取得しないとどうなるのか」を知らない人は案外多いです。

ただ、車庫証明は普通自動車を所有するために必須の手続きです。つまり、車庫証明を取得しないと車を所有できないことが法律で定められています。

このとき引越しによって駐車場の住所が変わった場合、住所変更手続きをしないと「警察に登録している住所とは異なる車庫を使用している(=虚偽の車庫登録をしている)」ことになります。これは、20万円以下の罰金が科せられる犯罪行為になります。

また同様に、実際に住んでいるところとは異なる住所での車庫登録も違反行為となります。例えば「実家に住民票・車庫登録を残したまま引越し、引越し先の駐車場に車を停めている」などです。

実際のところ、虚偽の車庫登録がバレることはほとんどありません。また仮に発覚しても、引越し後の手続きモレが原因である場合、罰則が適用されることはまずありません。

ただ、虚偽の車庫登録が犯罪行為であるのは事実です。駐車違反を繰り返すなど、悪質性が疑われる状況になると罰則が科せられる可能性があります。そのため引越ししたら、忘れずに車庫証明を取得するようにしましょう。

陸運局で車検証(ナンバー)の住所変更を行う

警察署で手続きを終えて車庫証明を受け取ったら、新居を管轄する運輸支局で車検証の住所変更手続きを行います。

車庫証明の手続きとは異なり、車検証の住所変更では、事前に記入が必要な書類はありません。以下の書類を持参すれば、現地で問題なく手続きを終えられます。

  • 車庫証明書
  • 住民票(マイナンバーの記載なし)
  • 印鑑(認印可)
  • 車検証の原本
  • 申請書(窓口で入手、その場で記入)

これに加えて、管轄外への引越しだとナンバープレートが必要となります。ナンバープレートに表記される地名が変更となるためです。

車庫証明と異なり、車検証の手続きはその日のうちに終わります。ナンバープレートの変更がある場合であっても、基本的には当日中に新しいプレートを受け取ることができます。

このとき、ナンバープレートの取り外し・取り付けは専門業者に封印作業をしてもらう必要があります。そのため、手続き対象の車に乗って陸運局へ向かう必要があります。なお作業に必要なドライバーなどの工具類を持参する必要はありません。

車検証の住所変更手続きに伴う手数料

なお、車検証の住所変更で発生する手数料は350円です。ナンバープレートの変更が必要となる場合、ナンバープレート代として2,000円ほどかかります。

また希望ナンバーは5,000円、図柄入りナンバープレートだと1万円ほどの追加料金が必要となります。これらは受注生産となるので、受け取りまでに1週間ほどかかります。

さらにナンバーが変更となった場合、ETC車載器の再セットアップが必要です。ETC車載器にはナンバーが記憶されており、登録が古いナンバーのままだと通行料金を正しく計算できないためです。場合によっては、身に覚えのない通行料金を請求されるリスクもあります。

ETC車載器の登録ナンバー変更はETC車載器の取扱店などで行うことになり、数千円ほどの手数料が必要となります。

これに加えて、引越し後の車検証手続きを自分で行うのが困難な場合、ディーラーなどに代行を依頼することができます。このような場合、委任状と依頼料が必要となります。

ナンバー変更しないデメリットとリスク

このとき、中には現在のナンバーに愛着がある人もいるでしょう。特に人気エリアのナンバーだったり希望ナンバーを取得していたりする人だと、ナンバープレートが変わるのを避けるために車検証の住所変更をしないケースが多いです。

このとき、車検証の住所を変更しないのは法律違反であり、50万円以下の罰金が発生する罰則が定められています。ただ実際に罰金が科せられるケースはほとんどないため、「ナンバーを変えなくても実害はない」と思っている人はかなり多いです。

しかし、引越し後に車検証の住所変更を済ませないと、自動車税などの納付通知書やリコール通知などが届かなくなります。その結果、自動車税などの支払い延滞が発生したりリコール修理ができなかったりする事態に陥ります。

参考までに私が過去に転勤で引越したとき、住所変更をするのを忘れていました。その結果、自動車税の納付通知書が自宅に届きませんでした。

このとき、すぐに役所へ連絡して新居へ納付通知書を送付してもらいましたが、納付通知書が届いた頃には納付期限が過ぎており、延滞金が発生してしまいました。車検証の住所変更をさぼったことによって、無駄な時間とお金がかかってしまったのです。

このような事態を防ぐためにも、引越したら忘れずに車検証の住所変更を済ませることをおすすめします。

任意・自賠責保険の住所変更

また、忘れがちなのが車の保険に関する住所変更です。自賠責保険と任意保険の両方で住所変更手続きを行う必要があります。

これらのうち、自賠責保険は加入している保険の代理店窓口や電話で住所変更できます。また任意保険だと、保険会社のホームページで住所変更が可能です。

このとき、自賠責保険であれば、住所変更を行わなくても保険を利用できます。ただ、保険金支払いの際に住所が変更となったことを証明できる書類が必要となります。そのため自賠責保険の住所変更を行わないでいると、事故の際に保険金を受け取るのが遅くなってしまいます。

また任意保険は、運転する地域によって保険料が変動します。そのため引越し後に任意保険の住所変更を行わないと、契約内容と実態が異なることによって保険が利用できない可能性があります。

そのため、いざというときの金銭的負担を減らすためにも、引越しによって住所が変わったら、なるべく早く住所変更手続きを済ませましょう。

車の引越し手続きを怠ると、金銭的な実害が出る

引越しに伴う車の手続きについて、「運転免許証の住所変更だけで済む」と思っている人は多いです。中には、面倒だったり費用負担が嫌だったりなどの理由で車の引越し手続きを行わない人もいます。

ただ車を所有している人が引越した場合、新住所での車庫証明の取得や車検証の住所変更などを行わなければなりません。これは、法律で定められています。

またこれらの手続きを怠ると、罰金を科せられる可能性があるだけでなく、自動車税の納付通知書やリコール案内が自宅に届かなくなります。その結果、金銭的な実害が発生する可能性があります。

同様に、自賠責保険・任意保険の住所変更を忘れると保険金を受け取れないリスクを生じます。そのため金銭的な実害を防ぐためにも、面倒くさがらずに車の引越し手続きをもれなく全て済ませましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

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