引越しをするとき、クレジットカード払いできるのか考える人は多いです。クレジットカード払いであればポイントがつきますし、引越しでは初期費用が高くなるので分割払いを活用したいという人もいます。

また、クレジットカードでは優待特典がついており、それらの中にはカード払いすることで割引が適用されることがあります。

クレジットカード払いできたり、割引があったりするとなると、クレジットカードを活用したほうがいいように思います。ただ、引越しはそもそも定価が存在せず、業者側の言い値です。そのため、いくらクレジットカード払いをして割引特典を受けても、結果的に高くつくことがあります。

そこで、クレジットカード払いをするときのメリットやデメリット、さらには引越し後に行うべきクレジットカードの手続き(住所変更など)まで含めて解説していきます。

大手引越し業者ではカード払いが可能

引越しを業者へお願いするとき、個人事業主(赤帽など)へ頼むときは現金払いだけになります。ただ、大手の引越し業者であればどれもクレジットカード払いに対応しています。

こうした会社としては、以下のようなものがあります。

  • アート引越センター
  • 日通
  • サカイ引越センター
  • アリさんマークの引越車
  • ヤマトホームコンビニエンス(クロネコヤマト)
  • アーク引越センター

VISA、MasterCard、JCB、AMEX、ダイナースとあらゆるカード会社に対応しているため、支払いについては見積もりのときに営業マンへカード払いしたいことを伝えるといいです。単身・一人暮らしから家族の引越しまで、あらゆる場面でカード払いが可能です。

カード払いの注意点・デメリット

ただ、クレジットカード払いするときはいくつかの注意点があります。これには、以下のようなものがあります。

・支払い方法が業者によって異なる

クレジットカードによる支払いをするとき、一括や分割、リボ払いなどを選べるのが普通です。ただ、引越し業者の中には一括払いだけに対応しており、分割払いやリボ払いに対応していないことがあります。

どのような支払い方法ができるのかについては、引越しの見積もりをもらうときに引越し業者に聞くようにしましょう。特に初期費用を抑えるために分割払いやリボ払いを検討している場合、そうした支払い方法に対応しているかどうか確認する必要があります。

・事前の手続きが必要になる

カード払いをするとき、カードキャッシャーなどを使って引越し日の当日に決済することを想像する人は多いです。ただ、これは誤りです。カード払いするためには、必ず事前に手続きをしなければいけません。

例として、以下にクロネコヤマトのQ&Aを以下に載せますが、このように事前の手続きや支払いが必要になります。

引越し日の当日にカード払いしたいことを伝えても受け付けてくれません。必ず事前にカード払いしたいことを伝え、パソコンや携帯電話などによってネット上から事前決済するのが基本です。

基本的には、クレジットカード払いに対応しているほとんどの会社がこのようなシステムになっていると考えてください。

・業者によっては手数料が上乗せされる

引越し業者によって異なりますが、クレジットカードを利用することで数パーセントの手数料が上乗せされることがあります。

引越し代は安いほどいいです。こうしたとき、料金が上乗せされるのであればカード払いする意味がありません。手数料が加わるかどうかは引越し業者によって異なるため、必ず確認するようにしましょう。

クレジットカードを利用するメリット

ただ、実際のところ引越し代金は高額になりやすいため、それだけの現金が手元にないことはよくあります。引越し日の当日になって「そういえば引越し代金を支払うためのお金がない」という事態に陥ることは珍しくありません。

単身での引越しならまだいいですが、家族での引越しでは費用が何十万円にもなります。そうした場合は近くの銀行やコンビニまで走って行ってATMでお金を引き出さなければならず面倒です。そのため、現金を用意しなくてもいいカード払いはメリットが大きいです。

また、クレジットカードの利用では他にもポイントがたまるというメリットがあります。還元率1%のクレジットカードであれば、実質的に1%の割引を受けているのと同じです。例えば私の場合、以下のようにANAカードを使ってコツコツとマイルをためています。

カード払いによる割引特典の利用

さらに、クレジットカードでは独自にキャンペーンを設けており、多くのカードで「引越し業者の利用によって代金の割引や優待特典を付ける」ということを実施しています。

例えば、私が使っているANAカードでは、以下のように引越しでのキャンペーンが掲載されています。

また、キャンペーン情報をクリックすると、それぞれの引越し業者がどのような割引になるのか書かれています。今回のキャンペーンでは、25~35%の割引が実施されていました。

これらの割引特典を適用させるためには、事前に「クレジットカード会社のキャンペーンを利用したい」と伝える必要があります。そうすることで、ようやく割引適用になります。

格安引越しでは現金払いが必須

ここまで、大手引越し業者ではであればほとんどの会社でクレジットカード払いが可能であることを確認してきました。また、クレジットカードのキャンペーン情報を確認すれば、どれだけの割引があるのか理解できるようになります。

ただ、ここまで述べておきながらにはなりますが、残念ながら引越しでクレジットカードを利用する機会はほぼありません。なぜなら、カード利用によってほぼ確実に損をしてしまうからです。もっとわかりやすく言うと、引越し料金が高額になります。

なぜ、こうした事態になるのでしょうか。それは、引越し料金に定価が存在しないからです。

クレジットカードの優待割引サービスは意味がない

既に値段が決まっている商品であれば、割引は大いに意味があります。ただ、引越しでは値段設定があいまいであり、営業マンのさじ加減によって価格が大幅に違ってきます。

実際、私が二人暮らし(夫婦)での引越しをしたとき、見積もりのときに最初は9万円を提示されました。ただ、「他にも見積もりを取っているので今すぐあなたの会社には決定しない」と伝えたところ、その場ですぐに7万円に値段が下がりました。要は、たった一声で25%ほど値切ることができたのです。

こうした現状があるため、いくら「35%引きしますよ!」と提示してあったとしても、もともとも値段が決まっていないので値引きの意味がありません。元値を高額で提示すれば、いくらでも値引き率を操作できます。

見積もりをもらったあと、クレジットカード利用による割引を適応できるのなら意味があります。ただ、こうした割引を利用するには見積もり前に「カード割引したいことを事前に告げる」のが基本であるため、割引キャンペーン自体が無意味なのです。

・複数社の見積もりをしないと損をする

引越しをするときに最も損をするのは、一社だけに見積もりを依頼することです。クレジットカードの割引制度を利用すればいいと考え、一社だけで見積もりを依頼し、結果として高額な引越しをしてしまうのです。

そこで、そもそもクレジットカードの引越し割引キャンペーンは意味がないことを理解して、複数の業者へ見積もりを依頼するようにしましょう。

業者への支払いは現金払いがほとんど

いくつもの業者で見積もりをもらい、値段やサービス内容など最も良い提案をしてくれる業者へ依頼するのが基本ですが、当然ながら引越し業者が値下げするときは利益が出るギリギリのラインで頑張ることになります。

そのため、見積もりのときに引越し業者から「当日の現金払いでお願いします」と必ずいわれるようになります。これまで、私は大手の引越し業者から見積もりをもらって何度も引越しをしましたが、ほぼ100%の確率で現金払いを要求されました。

私自身はコンビニでもクレジットカードを利用するほどの人間ですが、引越しのときについては高額費用であったとしても現金払いです。これは、そうしないと格安での引越しを実現できないからです。

クレジットカードを利用する場合、引越し業者はカード会社へ5%ほどの手数料を支払わなければいけません。例えば、引越し料金が10万円であると5,000円の手数料をカード会社へ払うのです。引越し業者にしてみれば、あなたがカード払いすることでよけいな費用が発生することになります。

引越し業者の営業マンはこれを理解しているため、格安での見積もりを提案する代わりに現金払いをあなたにお願いします。

また、支払い方法について営業マンが何も言わない場合、「クレジットカード払いではなく現金払いにする代わりに、もっと値段が安くならないのか」と交渉することも可能です。定価がないため、こうした交渉も可能なのです。

引越しでは現金払いの方が圧倒的に得です。それだけ値段が安くなるからです。

もちろん、まとまったお金を用意できないので後日の一括払い、分割払いやリボ払いをしたい人はカード払いにすればいいです。ただ、そうではなく当日や事前の一括払いを考えている人にとって、実は引越し代をカード払いするメリットはありません。高額費用を支払う必要はないため、現金払いによって安い引越しを実現させましょう。

引越しで忘れてはいけないカードの住所変更

このように引越しではほとんど役に立たないクレジットカードですが、引越しをするときに忘れがちなのがクレジットカードの住所変更です。

ネット明細ではなくクレジットカードの利用明細が毎月郵送されれてくるようにしている場合、請求先住所の変更をしなければ正しい住所に届きません。

また、クレジットカードの有効期限切れが近くなった場合、更新のために新たなクレジットカードが送られてきます。このとき、住所変更の手続きをしていなければ「いつまで経ってもカードが届かない」という状況に陥ってしまいます。

クレジットカードは非常に重要なアイテムであるため、以下のように「転送不要」の簡易書留で送られてきます。

転送不要のため、有効期限切れの更新のときに住所変更手続きをしていなければ新たなカードを受け取ることができなくなります。

引越しによってクレジットカードが使えなくなるわけではないものの、住所変更の更新手続きを忘れていると後で不都合なことが起こるようになるのです。

住所変更の手順

実際に引越しをした後、クレジットカードの有効期限切れ(更新)のときにカードが手元に届いたり、利用明細の書類が適切に送られたりするように住所変更をしましょう。

引越しをするとき、「クレジットカード払いができるかどうか」「カード利用による優待割引があるか」を調べるよりも、こっちを考えることの方が圧倒的に重要です。

このとき、郵送や店頭窓口で変更届を提出するという方法はあるものの、ほとんどの人は「ネット上での申請」または「電話」での手続きを選びます。この方法が最も簡単だからです。

・ネット上から申請する

インターネット経由で住所変更する場合、会員サイトへログインするようにしましょう。ログインIDやパスワードを入力した後、どこかの画面に住所変更のボタンがあります。

例えば、以下は私が保有しているANAカード(VISAなので三井住友カードがログイン画面になる)へログインしたときの様子です。

ここには、大きく「各種変更」のボタンが表示されているため、ここから住所変更すればいいことがわかります。

また、以下は私が別にもっているJCBカードのログイン画面です。ここにも、同じように個人情報を変更するためのボタンがあります。

ここから所定の手続きを踏むことで住所変更できます。会員サイトへログインすれば、すべてのクレジットカードで住所変更が可能です。

・電話による変更手続き

インターネットが苦手であったり、会員サイトへのログイン方法がわからなかったりする場合、電話での問い合わせでも住所変更が可能です。

このとき、クレジットカードの裏面にカードデスクへの電話番号が書かれてあります。私が利用している先ほどのANAカード(VISAなので発行元は三井住友カード)であれば、以下のようになります。

ここへ電話して手続きを進めるだけで住所変更(請求先住所の変更)が可能になります。カード会社によって住所変更に必要な方法は異なりますが、電話をすればすべて教えてくれます。

クレジットカードの取り扱いを理解して引越しする

引越しをするとき、クレジットカードについて理解しなければいけないポイントについて確認してきました。

大手引越し業者ではほとんどでカード払いに対応しています。カード払いをすれば高額な現金を用意しなくてもいいですし、ポイント付与まであります。会員サイトへログインすれば、引越し料金の割引キャンペーンを実施していることさえあります。

ただ、実際のところどうかというと、引越しをするときにクレジットカード決済を考えるほど損をします。結局のところ複数社から見積もりを取るのが最も賢い方法ですし、そもそも引越し料金に定価が存在しないので割引率に意味がありません。

また、できるだけ安い見積もりを出そうとすると、必ず引越し業者の営業マンが現金払いを要求してきます。現金払いを言ってこなかったとしても、「カード払いではなく現金で払うため、その分だけ値段を安くしてほしい」という交渉をすることができます。

値段があいまいな引越し料金だからこそ、クレジットカード払いに意味がないのです。

その代わり、引越しをして住所変更するときはクレジットカードの更新手続きを忘れないようにしましょう。住所を変えずに放置したままであると必要な書類が届かないだけでなく、有効期限切れの更新手続きで大変な目にあうようになります。

クレジットカードが入った書類は簡易書留で転送できないため、そのままの状態であると強制解約の可能性もあるからです。

こうしたことを理解して、クレジットカードをどのように取り扱えばいいのか事前に把握したうえで引っ越し作業を進めるようにしましょう。


引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。

例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。

ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。

引越し侍

引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。

さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。

SUUMO引越し見積もり

一般的に引越しの一括見積もりでは登録直後、たくさんの電話がかかってきます。こうした電話が嫌でメールだけで完結したい場合、SUUMO引越し見積もりを利用しましょう。

SUUMO引越し見積もりでは「電話番号の登録が任意」なので、メールだけで見積もりの日程調節が可能です。電話が嫌な場合、リクルート社が運営するSUUMO引越し見積もりが最適です。

おすすめの人気記事

・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術

引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。

また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。

引越し価格を安くする交渉術

・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由

多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。

この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。

引越し業者の割引は無意味

安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備

見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。

ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。

引越し業者の営業マンへの対処法

見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか

実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。

ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。

おすすめの見積もり比較サイト