子供のいる家庭であれば、引越しのときに必ず確認するべきものとして児童手当があります。子供をもつ家に対して、中学生になるまで支給される助成金が児童手当になります。子供がいるのであれば、あらゆる人が対象になります。
ただ、引越しによって県外へ行くようになるとき(正確には市区町村を移動するとき)、必ず児童手当の手続きが必要になります。この手続きをしなければ、手当を受け取ることができなくなるからです。
児童手当はさかのぼって受け取ることができません。忘れていると、結果として何万円も損をすることになります。こうした事態を防ぐためにも、事前に児童手当の手続きについて理解したうえで引越し作業を進めなければいけません。
そこで、どのようにして児童手当の手続きをすればいいのかについて解説していきます。
もくじ
中学生以下の子供がいるなら全員が対象
子供をもつ場合、中学生以下の子供がいる家庭に対して申請すれば全員がもらえる助成金が児童手当です。具体的な金額としては、以下のようになります。
子供の年齢 | 支給額 |
0~3歳(3歳になる誕生月まで) | 子供一人につき月15,000円 |
3歳~小学校修了前(第1子・第2子) | 子供一人につき月10,000円 |
3歳~小学校修了前(第3子以降) | 子供一人につき月15,000円 |
中学生 | 子供一人につき月10,000円 |
※高所得者の場合、子供一人につき月5,000円の支給になります。
計算式は扶養家族の人数によって異なりますが、前年の所得がザックリと650~700万円以上の人は高所得者に分類され、一律月5,000円の支給になります。満額はもらえないようになっているのです。
夫婦のうち、年収の多い方の銀行口座に振り込まれるのが児童手当です。そのため、年収の多い方が役所へ出向いて手続きを行うようにしましょう。
公務員かどうかで支給方法が異なる
なお、あなたが一般企業で働いていたり、自営業であったりする場合、普通に役所へ出向いて手続きをすれば問題ありません。ただ、なぜか公務員については少し手続き方法が異なるようになります。
一般企業のサラリーマンの場合、市区町村の自治体から児童手当が支給されるようになります。そのため、市役所や区役所へ出向くことによって手続きをします。私も公務員ではないため、以下のように市役所へ出向いて手続きを行いました。
ただ、公務員だと「勤務先の職場」から児童手当が支払われるようになります。そのため役所へ行くのではなく、いま働いている勤務先の総務や人事に問い合わせをして手続きをしなければいけません。
児童手当をもらうためには、児童手当認定請求書を提出することになります。このとき、以下のように「公務員」の項目があり、明確に分類されるようになっているのです。
基本は役所での手続きになります。ただ、公務員については例外的に勤務先に問い合わせるようにしましょう。
市区町村の外へ引越しをすると手続きが必要
子供がいる場合、高確率で住民票を移すことになります。そうしなければ保育園の転園ができませんし、小学校や中学校などの転校もできません。面倒ですが住民票を移動させ、住所変更をする必要があります。
このとき、他の市区町村へ引越しをする場合、必ず児童手当の手続きが必要になります。県外に限らず、同じ県内であっても市区町村が変わったら手続きしなければいけません。前述の通り、児童手当の支給は市区町村の単位で行われるからです。
これについては、旧居と新居での両方で手続きが必要になります。具体的には、以下のようになります。
【旧居での手続き】
- 旧居の役所で児童手当受給事由消滅届を提出する
【新居での手続き】
- 新居の役所で児童手当認定請求書を提出する
これだけになりますが、役所(公務員は勤務先)に出向いて書類を提出しなければいけません。
必要な持ち物
「児童手当受給事由消滅届」「児童手当認定請求書」については、役所に存在します。そのため、まずは役所へ出向いたうえで、その場でどのように記載すればいいのか聞きながら書類を書けば問題ありません。
ただ、このときは必要な持ち物があります。必要書類を持参したうえで手続きをするようにしましょう。具体的には、以下のようになります。
- 印鑑
- あなたの健康保険証
- 銀行通帳、キャッシュカードなど振込先が分かるもの
市区町村によっては、本人確認書類(運転免許証など)が必要になることがあります。ただ、私が申請した市区町村では、上記の3つだけで問題ありませんでした。
児童手当を受け取るためには、マイナンバーが必要になります。ただ、マイナンバーカードを持参する必要はありません。役所が勝手にマインナンバーを調べて記載してくれます。私が申請したとき、窓口の人が「こっちでマイナンバーを記載して書いておきますね」といわれました。
また、過去には児童手当の変更をするときに所得課税証明書(課税証明書)の提出が必要だったときがあります。しかし、現在は手続きのときに所得課税証明書を提出する必要はありません。「課税証明書はどのように取得すればいいのか」などを考える必要はなく、上記の持ち物を持参したうえで手続きを行うといいです。
マイナンバーを利用することで、所得課税証明書(課税証明書)を示さなくても役所側は問題なく申請者の所得を把握できるようになっています。そのため、提出不要なのです。
15日以内に書類を出す
なお、実際に引越しをするときは「転居の15日以内」に旧居の役所で児童手当受給事由消滅届を出すようにしましょう。その後、引越しをして15日以内に新居の役所で児童手当認定請求書を出すのです。
こうした届け出をしていないと、助成金を受け取れなくなります。前述の通り、申請を忘れた場合はさかのぼって助成金を受け取ることができません。児童手当の額はそれなりに大きいため、出し忘れるとかなりの損をすることになります。
また、住民票を変更したにも関わらず児童手当の廃止手続きをしていなかった場合、旧居の役所から振り込まれた児童手当については返還しなければいけません。返還したとしても、新居の住所からその分の児童手当が支払われるわけではないため、非常に損です。
住所変更をする場合、「旧居で転出届を出し、旧居で転入届を出す」という作業が必要になります。これら転出届や転入届を提出するのと同じタイミングで児童手当の手続きを行いましょう。
・月をまたいでも15日以内の手続きなら問題ない
なお、児童手当は手続きをした次の月から適用されます。例えば4月に申請をした場合、5月分から支払われることになります。
ただ、引越しのときは月をまたぐことが多いです。そのような場合であっても、15日以内に手続きを行えば、たとえ月をまたいだとしても問題なく児童手当が振り込まれるようになっているのです。これを15日特例といいます。
ただ、15日ギリギリではなく早めに手続きを行うようにしましょう。
判断基準は「受取人の住民票」になる
なお、このときの児童手当の手続きが必要になる場所の判断基準は「児童手当を受け取る人の住民票がどこにあるのか」になります。要は、夫と妻のうち年収が高い方の住民票の場所が重要になります。
受取人の住民票を移動させるときに児童手当の変更手続きが必要になります。子供の住民票がどこにあるのかは関係ありません。
例えば、単身赴任によって旦那だけが引越しをすることになり、住民票を移動させたとします。この場合、たとえ子供の住民票は移動させないにしても、受取人(旦那)の住所変更が発生するので手続きが必要になります。
例えば私の場合、妻が妊娠して最初の子供が生まれたとき、私の住民票は実家(岡山)に置いたままでした。また、妻は横浜出身だったのですが、出産後の子供の住所は妻の実家(横浜の住所)にすることにしました。つまり、以下のような感じになります。
- 私:住民票は岡山
- 妻:住民票は横浜
- 子供:住民票は横浜
私の住民票は岡山のままですが、実際に住んでいるのは横浜です。また、子供の住民票は横浜なので、基本的には横浜の区役所で子供関係の手続きを行います。
ただ、児童手当の手続きについては、岡山の市役所で行う必要がありました。私自身の住民票が当時、岡山にあったからです。そこで岡山市役所へ出向き、以下の窓口で申請手続きをすることになりました。
また、実際は横浜で親子が同居していたとしても、住民票上では住所が違うため、形式上は「別居している」ということになります。そのため、「児童手当・特別給付 別居監護申立書」という書類を提出し、これに記入することになりました。
こうして私の場合、子供関係の手続きの中でも、児童手当だけ実家(岡山)の市役所で手続きを行うことになりました。
・住所変更をしなければ手続きは不要
受取人の住民票がどうなるのかで判断するため、受取人が住所変更をしなければ、たとえ引越しをしたとしても児童手当の手続きは必要ありません。
そのため、「夫が単身赴任をするが、住民票は変更しない」などのような場合、児童手当の手続きは特に必要ありません。
同一の市区町村内での引越しは何もしない
なお、市区町村が変わる場合に変更届を出す必要があるため、引越しをするときであっても同一の市区町村の中であれば特に手続きを行う必要はありません。
住民票を変更するとき、同一市内であれば転居届を提出することになります。このとき、児童手当については特に何もしなくて問題ないのです。
ただ、たとえ同一市内で引越しをしたとしても、児童手当の手続きをしなければいけないことがあります。このパターンとして、どのようなケースがあるのか理解しなければいけません。
・離婚、再婚で名前が変わった
特に女性であれば、離婚や再婚をすることで名前が変わるようになります。その場合、必ず児童手当の手続きをしなければいけません。
また、たとえ名前が変わらなかったとしても、再婚をしてもう一方の方が高年収だった場合、児童手当を受け取る人が変わることになります。その場合も同様に変更手続きをしなければいけません。
離婚や再婚をする場合、高確率で引越しをすることになります。このとき、児童手当の変更が必要な場合は住所変更と同時に手続きを行うといいです。
・公務員になった
転職によって新たに公務員になった場合、同じように児童手当の手続きが必要になります。支払先が市区町村ではなく、勤め先になるからです。
また、同様に公務員をやめて自営業になったり、一般企業に勤めたりするようになった場合も同様に児童手当の手続きをしましょう。転職によって引越しをする場合でもしない場合でも、いずれにしても変更手続きが必要です。
代理による申請や郵送は可能
なお、基本的には本人が役所の窓口に出向くといいですが、市役所や区役所が開いているのは平日のため、なかなか行けないことがあります。そうしたとき、代理人が申請することも可能です。
この場合、必要書類に加えて以下のものを持参するようにしましょう。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 委任状
委任状については、役所の公式サイトからダウンロードすることはできますが、役所の窓口でも受け取ることができます。そのため、窓口で書き方を聞きながらその場で記載するのが現実的です。
また、郵送も可能です。例えば児童手当の申請手続きをする場合、以下の書類を送るようにします。
- 児童手当認定請求書
- 本人確認書類(運転免許証など)のコピー
- 健康保険証のコピー
- マイナンバーカード(または通知カード)のコピー
郵送であると、一つでも不備があると手続きできなくなります。そうしたリスクはあるものの、郵送でも手続き自体は可能です。
支給日のタイミングを理解する
なお、実際の支給日はどのタイミングになるのでしょうか。これを理解していないと、「いつまで経っても振り込まれない」などのように考えてしまいます。そこで、支給日に関する知識をつける必要があります。
まず、給付金をもらえる資格を得るのは翌月になります。例えば、8月10日に申請をした場合、9月からしかもらえないようになります。
そのため、例えば8月31日に子供が生まれた場合、その日のうちに児童手当の申請をすれば9月からの支給対象になります。一方、1日過ぎて9月1日になった時点で9月分の児童手当はもらえないようになってしまいます。
そして、振り込みのタイミングは毎月ではありません。4ヵ月に一回の定時支給となります。児童手当が毎月振り込まれないのは、定時支給になっているからなのです。具体的には、以下のようになります。
- 6~9月分:10月に支給
- 10~1月分:2月に支給
- 2~5月分:6月に支給
このように支給日は決まっているので、いつが支払いのタイミングになるのか把握するようにしましょう。
現況届は必ず提出するようにする
なお、児童手当では6月になると住民票の住所に現況届が届くようになります。これには、6月1日時点での状況を把握するものになります。現況届を出さないと児童手当の受給資格をはく奪されることもあるため、必ず提出するようにしましょう。
このとき、迷いやすい項目としては以下のように考えるようにしましょう。
- 続柄:「子」「孫」など、続柄を記す
- 居住:住民票の住所が子供と同じ場合は「同居」、違う場合は「別居」になる
- 監護の有無:子供を育てているかどうかなので、必ず「有」にする。「無」だと児童手当がなくなる
- 生計:続柄が子供だと「同一」となり、孫などそれ以外では「維持」になる
もし、分からないことがあれば役所で聞くようにしましょう。そうすれば、確実な現況届を仕上げられるようになります。
海外へ引越しをする場合の児童手当
ちなみに、海外へ引越しをする人もいます。その場合、ケースごとに児童手当を受け取れるかどうかが違ってきます。これについては、以下のように考えます。
・親の一方が単身赴任で海外へ行くケース
親のうち、どちらか一方だけが海外へ引越しをする場合、配偶者に引継ぎが可能です。
例えば父親が海外へ単身赴任し、母親が国内で引き続き子供の面倒を見る場合、妻が児童手当の受給者になります。このときは役所で手続きをするようにしましょう。
・親の両方が海外へ行き、子供を残すケース
子供だけが日本に残る場合、子供の代わりに面倒を見てくれる人(おじいちゃん、おばあちゃんなど)を指定すれば、その人(おじいちゃんなど)が児童手当を受け取れるようになります。
このときの手続きを「父母指定者」と呼びますが、これを行うことで子供の面倒を見てくれる他の人に児童手当が支給されるようになります。
・家族全員または子供が海外へ行くケース
家族全員で海外へ引越しをする場合、当然ながら児童手当は支給されません。また、子供が海外へ行く場合についても、同様に児童手当は受け取れません。
例外として、留学については児童手当の支給対象になります。この場合、別に必要書類を提出する必要があるため、役所の窓口へ出向く必要があります。
確実に児童手当の手続きを行うべき
子供をもつ家庭であれば、全員が支給対象になるものとして児童手当があります。児童手当の額はそれなりに大きいため、きちんと手続きを行って受け取れるようにしましょう。
児童手当は市区町村の単位で支給されるようになります。そのため、県外はもちろんのこと、同市内でない場合の引越しであるなら、必ず役所で手続きをしなければいけません。住民票を移動するとき、転出届や転入届を提出することになりますが、同時に児童手当の必要書類も提出するようにしましょう。
児童手当はさかのぼって受け取ることができません。また、手続きをしていなければ一度受け取った手当の返納をしなければいけないこともあります。
こうした事態を防ぐため、忘れずに手続きをしましょう。
引越しのとき、児童手当は非常に重要な手続きになります。また、引越しに限らず「改名する」「公務員になる」など、その他のタイミングでも必要な手続きがあるため、確実に手続きをして児童手当を継続して受け取れるようにしましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
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