引越しで賃貸物件を契約する際には、「収入を証明できる書類」が必要となります。このような収入証明書として、源泉徴収票を求められるケースが多いです。

ただ、源泉徴収票は1年に1度しか発行されません。そのため他の用事に使用したり、紛失したりなどによって源泉徴収票が手元にない人もいるでしょう。

それでは賃貸契約で求められた源泉徴収票が手元にない場合、どうすればいいのでしょうか? また源泉徴収票を用意できない場合、代わりに提出できる書類はあるのでしょうか?

ここでは賃貸契約で源泉徴収票を求められたときの対処法と、源泉徴収票以外の収入証明書について解説していきます。

賃貸契約では源泉徴収票の提出を求められる

賃貸物件に居住する際には、部屋の持ち主(大家)に家賃を支払います。当然ながら、家賃は大家にとって大切な収入源です。また居住者から受け取る家賃には、物件の維持・修繕費も含まれます。そのため家賃を踏み倒されると、その分だけ収入がなくなるだけでなく、修繕費分だけ赤字となります。

このような事態を避けるため、大家は「家賃を支払い続けられる能力があるかどうか」を賃貸契約前に確認します。このような支払い能力の確認に使用される代表的な書類が源泉徴収票です。

このとき収入を証明できる書類については、源泉徴収票以外にも課税証明書や所得証明書などがあります。ただ他の収入証明書に比べて、源泉徴収票は信用度が高く、必要な情報を1枚で確認できるメリットがあります。

例えば課税証明書・所得証明書には、課税額や所得額などが記載されていますが、収入の内訳についてはわかりません。極端な話、ギャンブルなどで得た臨時収入であっても、所得として申告すれば、課税証明書・所得証明書に記載される金額が高くなるのです。そのため、課税証明書・所得証明書は「定期的な収入がある(=家賃の支払い能力が高い)」という証明の信用度は低めです。

これに対して源泉徴収票だと、「会社勤めによる所得額・課税額」が記載されるため、「定期的な収入があり、収入が急になくなるリスクが低い」とみなされやすいです。そのため源泉徴収票は課税証明書などよりも、家賃の支払い能力があると判断されやすい(=賃貸の審査を通過しやすい)です。

そのため賃貸契約時に源泉徴収票を求められたのであれば、他の収入証明書ではなく源泉徴収票を提出しましょう。

なお、源泉徴収票はコピーではなく原本を提出するのが原則です。必要書類として「源泉徴収票(コピー可)」などの記載がない限り、原本を提出するようにしましょう。

源泉徴収票が手元にない場合の再発行方法

ただ、源泉徴収票は転職やローンの契約などでも使用します。また中には、源泉徴収票を紛失した人もいるでしょう。源泉徴収票は1年に1度しか発行されないため、利用しようとしたときに手元にないケースは多いです。このような場合、源泉徴収票の再発行手続きを行いましょう。

このとき、「源泉徴収票には所得額や課税額などに関する書類だから、税務署や役所で再発行できる」と考えている人がいます。

ただ源泉徴収票は勤務している会社が発行する書類であるため、税務署や役所では受け取ることができません。そのため源泉徴収票を再度入手したいのであれば、勤務している会社に問い合わせる必要があります。

源泉徴収票の手続きについては、会社の経理や総務を担当している部署で受け付けてくれます。経理部や総務部などに連絡・相談しましょう。

源泉徴収票の代わりとなる収入証明書

ただ中には、さまざまな事情で源泉徴収票の入手が難しい人もいるでしょう。このような場合、源泉徴収票なしで賃貸契約することは可能なのでしょうか?

結論からいうと、源泉徴収票を求める賃貸物件であっても、他の収入証明書を用意すれば賃貸契約できるケースが多いです。源泉徴収票の代わりとなる収入証明書は以下の通りです。

  • 所得証明書
  • 課税証明書
  • 確定申告書の写し
  • 給与明細
  • 給与支払い証明書

これら書類について、以下で詳しく説明していきます。

所得証明書・課税証明書

所得証明書や課税証明書は役所で発行してもらうことができる収入証明書です。マイナンバーカードや運転免許証などを持参し、役所の市民税課などへ出向きましょう。

なお所得証明書や課税証明書は、前年分の所得・課税額分が翌年1月1日に居住していた地域での発行となります。そのため1月1日時点の居住市町村が現在と異なる場合、旧居地域で発行してもらうことになります。郵送での手続きも可能なので、旧居地域の役所へ問い合わせてみましょう。

確定申告書の写し

また自営業や税金の還付などで確定申告を行った人は、確定申告書の写しを収入証明書として提出することができます。確定申告書の写しとは、税務署による収受日付印が押されている確定申告書類を指します。そのため郵送やe-Taxで確定申告を行った場合、確定申告書の写しが手元にないケースがあります。

このときe-Taxで確定申告を行ったのであれば、確定申告書の書類データと受信通知の画面データを提出すれば確定申告書の写しの代わりとなります。これらを印刷して大家へ提出しましょう。

なお、確定申告書の写しは税務署で再発行してもらうことができますが、申請から入手までには1ヶ月ほどの時間を要します。そのため手元に確定申告書の写しがない場合、所得証明書や課税証明書などを用意した方がいいです。

給与明細・給与支払い証明書

なお賃貸物件の入居審査では、給与明細も収入証明書として認められるケースが多いです。

ただ給与明細を収入証明書として提出する場合、直近の3ヶ月分をまとめて提出するのが基本です。また1通でも揃わないと、収入証明書として認められないのが基本です。

給与支払い証明書は源泉徴収票と同様に、会社の経理部や総務部などで発行してもらえる書類です。そのため、源泉徴収票の再発行と手続きの手間は変わりません。

ただ源泉徴収票との大きな違いは、直近の収入額を証明できる点です。源泉徴収票は前年の1~12月までの収入額・所得額・課税額が記載されるのに対して、給与支払い証明書は現在までの任意の期間で給与(所得)の金額を証明できます。

そのため前年よりも大幅に収入が上がっている場合、源泉徴収票ではなく給与支払い証明書を提出した方が入居審査に有利になりやすいです。前年から収入が上がっているのであれば、源泉徴収票の再発行ではなく給与支払い証明書を提出してもいいでしょう。

退職後や転職したばかりの時に利用できる収入証明書は?

ただ源泉徴収票や課税証明書などには、前年1年分の所得額や課税額が記載されています。そのため前年の仕事場を退職していたり転職直後だったりする場合、「前職での収入証明書を提出して問題ないのか」と気になることでしょう。

このとき現職を退職予定であっても、辞める前に入居手続きを完了できるようであれば、いま勤めている会社の収入証明書(源泉徴収票)を提出して問題ありません。また、大家に「退職予定である」とわざわざ申告する必要もありません。

ただ、すでに退職・転職していたり退職時の有休消化期間に入っていたりする場合、源泉徴収票などの前年の収入を証明する書類を提出するのは避けた方がいいです。在籍確認などによって退職済みであることが発覚すると、「信用性が低い」と見なされて入居審査の通過が厳しくなるためです。

そこで転職先が決まっており、会社をすでに退職済み(最終出勤日後)であるならば、転職先企業に年収見込み証明書を発行してもらいましょう。雇用契約書に年収見込みが記載されている場合、この書類のコピーでも収入証明書として認めてもらうことができます。

また転職して何度か給与の支払いを受けているのであれば、数ヶ月分の給与明細書を提出することで証明書として受け付けてくれるケースもあります。転職先が確定しているのであれば、今後の収入金額がわかる書類を大家に提出しましょう。

退職後の転職先が決まっていない場合

ただ中には、退職後に次の就職先が決まっていない中で引越しを考えている人もいるでしょう。次の就業先が確定していないと、これからの収入を証明できる書類を用意することができません。このような場合、どうしたらいいのでしょうか?

まず、退職後に転職先が決まっていない場合、働く意思があったとしても無職の扱いとなります。「定期的な収入がない(=家賃の支払い能力が低い)」と見なされるため、前年の収入証明書(源泉徴収票など)を提出しても入居審査に通ることは難しいです。

ただ多額の貯金があったり給与以外の収入があったりする場合、預金通帳のコピーを提出することで「家賃の支払い能力があると見なされる(=入居審査に通過する)」という可能性があります。そのため大家へ現在の状況を伝えた上で、預金通帳のコピーを提出してみましょう。

また現在無職であっても、医師や教職などの免許を保有している場合、これら免許を証明することで「就職先が見つかりやすい」と判断されて審査を通過するケースもあります。いずれにせよ、仕事がないことを隠したまま入居審査を通過するのは難しいため、事前に伝えた方がいいです。

賃貸契約に必要となる源泉徴収票や他の収入証明書について理解する

源泉徴収票は家賃の支払い能力を証明できる代表的な書類です。そのため賃貸契約で大家から源泉徴収票の提出を求められた場合、他の収入証明書ではなく源泉徴収票の原本を提出するのが基本です。

このとき、源泉徴収票が手元にないのであれば、勤務先で再発行してもらうことができます。経理部や総務部などに連絡し、再発行の手続きを進めましょう。

ただ中には、源泉徴収票を用意するのが難しい人もいるでしょう。このような場合、課税証明書・所得証明書や確定申告書の控えなどが代わりの書類として有効です。

また前年の職場をすでに退職済みなのであれば、転職先の会社に年収見込み証明書の発行を依頼しましょう。このようにして収入証明書を用意し、賃貸契約を進めていきましょう。


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