引越しをするとき、多くの人は引越し業者へ依頼します。このとき、「訪問見積もりなしで依頼できないのか」「部屋が汚いのでメールのみで見積もりを完了したい」「女性なので、部屋に男性(営業マン)を入れたくない」などのように考える人もいます。
実際のところ、メールなどネットのみのやり取りで引越しの見積もり金額を出すことは可能なのでしょうか。
結論を述べれば、訪問なしで見積もりを出すこと自体は可能です。ただ、正直なところおすすめしません。高確率で何万円ものお金を損するからです。
なぜ、メールのみの見積もりでは高額なお金を損してしまうのでしょうか。これには、当然ながら理由があります。ここでは、訪問見積もりなしの引越しを選択したために何万円ものお金を損してしまった実例を含めて解説していきます。
もくじ
訪問見積もりなしは嫌がられる
引越し業者に見積もりを依頼する場合、電話であれメールであれ、まずは「いつ訪問しましょうか?」と聞かれます。あなたの家に行くことで、見積もり金額を算出しようとするのです。
引越しでは、基本的には訪問見積もりになります。実際に家に行って荷物の量や引越しプランを聞かなければ、見積もり金額を算出することができないからです。
訪問したとき、荷物の量やハンガーにかかっている衣服、大型家具・家電製品の量を確認されます。その後、引越しプランを聞くことで正確な金額が算出されます。
ただ、荷物の量だけ伝えればいいのであれば、電話のみであっても問題なく見積額を算出できそうな気がします。しかし、実際は「ろうかを荷物が通れるか」「エレベーターの有無」「階段の幅」なども含めて営業マンは総合的に確認しています。
電話のみ・メールのみでは分からない情報がたくさんあるため、これらを含めて見積もり金額を算出していると考えてください。
メールのみだと必ず追加料金が必要になる
もちろん、メールのみで見積もり金額を出してもらい、当日に引越しをしてもらうことは可能です。例えば、以下は私の友人が引越しをしたときに「メールだけのやり取りで業者と打ち合わせをしたときの様子」です。
このように、運びたい荷物をメールで送るのです。ただ、この場合だとほぼ確実に追加料金を徴収されるようになります。
この理由には、いくつかのパターンがあります。
・荷物の量を過少申告していた
訪問見積もりがある場合、営業マンが現場を目視確認したうえでトラックを頼むことになります。適切な大きさのトラックを依頼することで、問題なく旧居から新居へ荷物を運搬できるようになるのです。
ただ、素人が確認してもどれくらいのサイズのトラックを依頼すればいいのか分かりません。また、基本的にメールだけで荷物の量を伝えるにしても、一般的には少ない数の荷物量を伝えがちになります。その結果、当日になってトラックに荷物がすべて乗らないという事態に陥ります。
トラックに積み切りできない場合、もう一台のトラックを呼ばなければいけません。当然、これには追加料金が必要になります。
・オプション代が必要
引越し業者に依頼するとき、基本的にあらゆる引越しでオプション代が必要になります。「初めて実家から出て一人暮らしをする」という単身引越しのように、極端に荷物が少ないケース以外はオプション代が必要になると考えてください。
ほとんどの人で発生するオプションとしては、例えば洗濯機があります。洗濯機のセッティングはオプションになります。実際、訪問見積もりをしてもらうと以下のように見積書へ記載されるようになります。
他には、ベッドの分解・組立もオプションです。これらの解体作業は非常に手間で時間がかかるため、オプションとなるのです。引越しでのオプションは他にもあります。「エアコンの取り外し・取り付け」「食洗器の解体・設置」「荷物の吊り下げ・吊り上げ」など、その種類は多いです。
訪問見積もりを行う場合、こうしたオプションまで含めた総額で料金を算出します。ただ、当然ながら電話口やメールのみだと引越しの内容を伝えきれていないので、オプション代が入っていない金額となります。
オプションがないため、引越し業者から提出される料金は当然ながら安いです。ただ、引越し日の当日にオプション代を請求されるようになるため、結果として高額な費用になります。
総額の引越し金額を比較するのが正しい
安い費用での引越しを実現するためには、複数業者から見積もりをもらって比較する必要があります。ただ、このときの金額は「引越しに適切なサイズのトラックを頼み、オプション代を含めた総額」で比較しなければ意味がありません。
訪問を実施せず、ネットのみのやり取りで出される見積もり金額は当然ながら激安です。多くの人は荷物を過少申告しますし、オプション代が含まれていないので当然です。
ただ、メールのみの見積もりだと当日にトラックの荷台に荷物が乗りきらなかったり、オプション代を正規料金で請求されたりするため、結果として当日に支払う引越し費用が異常に高くなってしまうのです。格安引越しを考えていたにも関わらず、結果的には料金が高額になります。
訪問なしで費用が高額になった実体験
前述の通り、私の友人はメールのみで見積もりを出せる業者とやり取りをして、その業者に引越しを依頼しました。以下のように、「訪問見積もりで家に伺わない代わりに見積もり金額を安くしている」というものでした。
こうしたやり取りをして、引越し代金は25,000円となりました。荷物量の少ない引越しであり、近距離なのでこうした値段になったようです。
ちなみに、訪問見積もりをしてもらった大手引越し業者の料金は32,400円でした。これと比較すると、見積もり時点の金額自体は7,400円もの開きがあります。
・引越し料金が軽く倍以上になる
そうして引越し日の当日、私も手伝ったわけですが到着して第一声目に言われたのが「荷物量が多い」ということでした。大きめのトラックを呼ぶことになり、これには33,000円の値段がかかります。そのため、その時点で訪問見積もりしてくれた大手業者よりも値段が高くなりました。
また、その引越し業者は東京を起点に活動している個人事業主だったのですが、個人事業主なので養生はありません。
ただ、引越しをしている途中で不動産の管理会社から「養生をしてくれ」と忠告されました。管理会社と新居の賃貸マンションが非常に近かったので、養生していないことが簡単に分かってしまったわけです。そこで養生をすることになったのですが、養生代のプラス料金は15,000円です。
もちろん、他にも当日になって追加料金がかかるものが出てきます。洗濯機のセッティングオプションが必要になったのはもちろんのこと、実際には大きめのトラックでも全部を積むことができなかったので往復するなどトラブルが続出しました。
そうして、結果的に引越し費用は71,000円となりました。近距離引越しで荷物が少なめにも関わらず、非常に高額な引越し代になってしまったのです。
「メールだけ(ネットのみ)のやり取りで完結したい」という考えをもっているのであれば、悪いことは言わないのできちんと訪問見積もりをしてもらうようにしましょう。これだけで適正価格での引越しを実現できます。
訪問見積もりであれば、トラックのサイズが小さくて積めなかったのは営業マンの責任です。あなたが悪いわけではないため、いくらでもクレームを入れることができます。ただ、メールのみだとそうしたことはできなくなり、必ず追加料金が必要になってきます。
部屋が汚い状態でも問題ない
訪問見積もりを嫌がるケースとして、多いのは「自分の部屋が散らかっていて汚い」というものがあります。特に女性であると、汚い部屋を営業マンに見られるのは嫌です。
確かに、部屋が汚い状態だと人を部屋に招き入れるのは嫌です。ただ、そのような恥は捨ててください。どうでもいい恥を捨てて、10分ほどの訪問見積もりを受けるだけで引越し金額は非常に安くなるからです。
変なプライドのために、無駄に高額な引越しをしてはいけません。当日に高額な追加料金を請求され、引越しで失敗しないためにも「メールのみでの見積もりは可能か」などは考えないようにしましょう。
訪問なしを考える人は多くの場合、荷物の少ない一人暮らしの単身者です。荷物量が少ないと、ネットのみのやり取りで問題ないと考えてしまうのです。ただ、単身引越しであっても訪問見積もりは必須です。安い引越しを実現するためにも、メールのみでのやり取りはしないようにしましょう。
なお、たとえ部屋が汚かったとしても問題なく正確な見積もり金額を出してくれます。さすがにゴミ屋敷のような状態だと微妙ですが、床が少し見えない程度の汚さであれば特に問題ないと考えてください。
それでも嫌な場合の対処法
ただ、女性であると特に部屋が汚くなかったとしても、男性の営業マンに部屋を隅々まで見られることに抵抗のある人は多いです。そうしたことが嫌な場合、どのようにすればいいのでしょうか。
まず、訪問見積もりのときに女性の営業マンがいるかどうか聞くようにしましょう。引越し業者では女性の営業マンもいるため、そうした人に来てもらうようにすれば問題ありません。
もし男性営業マンしか派遣できないと言われた場合、その業者の訪問見積もりは断るといいです。引越し業者は他にもたくさん存在します。一括見積もりを含め、複数業者へ依頼するのが基本なので一社くらい断っても問題ありません。
また訪問見積もりで見られて嫌なものについては、あらかじめお風呂場やベランダなどへ一時的に避難させるようにするといいです。洗濯機のサイズを確認するため、洗面所は見られてもお風呂場の中までは見られません。また、ベランダまで営業マンが行くことはありません。
こうしたことを考慮しながら、見積もりの料金を出してもらって比較するといいです。決して、訪問なしを選択してはいけません。
訪問なしを避け、見積もりに来てもらうべき
どのようにすれば、メールのみで見積もり費用を出してもらえるのか考える人は多いです。ただ、電話口やメールだけで金額を聞いたとしても、その価格の通りに引越しが進むことはまずありません。必ず当日になって追加料金が発生することになります。
訪問見積もりがなければ、正確な荷物量や引越しプランがわかりません。
新居にエレベーターが付いていないだけでもオプション代が必要になるため、実際のところ営業マンにどのような引越しを実現したいのかその場で話さないと「正確な見積もりができることはない」と考えてください。
「単身パックを検討している」「一人暮らしで荷物が非常に少ない」など、いろんなケースはありますが訪問なしは避けた方が無難です。
部屋が汚くても問題ありませんし、男性営業マンの訪問が嫌でも女性営業マンを頼めばいいです。代替案はいくらでもあるため、メールのみではなく訪問見積もりを受け、引越し準備を進めるようにしましょう。
引越しのとき、必須となるのが「複数社から見積もりを取ること」です。引越し価格には定価がなく、引越し業者によって見積もり額はバラバラです。そのため複数の業者から見積もりを取るだけで、何万円も節約できます。
例えば、以下は5人家族の長距離引越しで見積もりを取ったとき、4社に見積もりを依頼しました。このとき、最高額は438,264円でした。一方、最も安い業者は198,720円であり、半額以下の料金になりました。複数業者へ依頼しないだけで、大きな損をすることになります。
ただ、自ら業者を探して電話をかけるのは大変です。そこで、必要な情報を入力するだけで完了する一括見積もりを利用しましょう。
・引越し侍
引越し侍ではアート、サカイ、日通、アリさんなどの大手が登録しており、入力作業は30秒で終わります。無料で利用できるサービスなので気軽に利用できます。
さらに大手だけでなく、中小の引越し業者も登録しているので低価格な引越しが可能になります。最大15社まで見積依頼でき、できるだけ複数の業者の見積もりを取り、最安値で引越しをしたい人に適しています。
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・引越し料金を値切り、最安値の引越しを実現する時期や価格交渉術
引越し価格を安くするためには、適切な方法が存在します。見積もりを比較するのは当然として、例えば休日ではなく平日の引越しにするだけで、1万円以上の値引きは簡単です。
また、同じ日であっても午前の引越しを午後にするだけでも値引きが可能です。こうした価格交渉術について解説しています。
・引越しの割引制度(早割、紹介割引、社員割引)に意味がない理由
多くの場合、引越し業者は割引制度を設けています。ただ、残念ながらこうした割引はまったく意味がありません。引越しには定価が存在しないからです。
この事実を認識すると、なぜ引越しで何社もの見積もりを取らなければいけないのか理解できるようになります。格安引越しをするためにも、知識をつけなければいけません。
安い引越しを実現する、訪問見積もりのコツや流れ、事前準備
見積もりのとき、必ず訪問見積もりとなります。電話やメールだけの見積もりでもいいですが、ほぼ100%の確率で失敗します。追加料金が必要になり、非常に高額な引越しになるのです。
ただ、訪問見積もりではどのような流れになるのでしょうか。またどう接すればいいのでしょうか。引越し業者の営業マンが訪問に来たときの対処法について確認していきます。
見積もり比較サイトでの引越しはおすすめ!料金はいくら安いのか
実際に見積もりを依頼するとき、自ら業者を調べて電話するのは非常に手間です。そこで、ほとんどの人が一括見積サイトを利用します。
ただ、そのような見積もり比較サイトが適切なのでしょうか。利用方法に違いはあるのでしょうか。これらを明らかにしていきながら、おすすめの見積もり比較サイトを紹介していきます。